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ミステリの祭典

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閻魔堂沙羅の推理奇譚 負け犬たちの密室
閻魔堂沙羅

作家 木元哉多
出版日2018年05月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 makomako
(2020/10/11 13:05登録)
 このシリーズ初めて読みました。どれが第1作かわからなかったので、適当に買ったらシリーズ2番目でした。
 どこから読んでもよいとのことです。実際一話完結の話のようなので一作目を読んでいなくても問題ありませんでした。
 なかなか奇抜な設定。
 でもとても読みやすく、漫画チックでもあるが、結構本格でもある。
 作者はかなり才能がありそうな感じがしました。
 私も作者のがちがち本格も読んでみたい。

No.2 6点 メルカトル
(2019/06/03 22:12登録)
「閻魔堂へようこそ」。閻魔大王の娘・沙羅を名乗る美少女は浦田に語りかける。元甲子園投手の彼は、別荘内で何者かにボトルシップで撲殺され、現場は密室化、犯人はいまだ不明だという。容疑者はかつて甲子園で共に戦ったが、今はうだつのあがらない負け犬たち。誰が俺を殺した?犯人を指摘できなければ地獄行き!?浦田は現世への蘇りを賭けた霊界の推理ゲームへ挑む!
『BOOK』データベースより。

前作よりかなり本格色が濃くなって、確かな手応えを感じます。第一話では前作の書評にも書きましたが私の要望通り、現職の刑事が主人公で、派手さはないもののしっかりとしたミステリに仕上がっていると思います。伏線も効いていて好感が持てます。第二話はワンパターンと思わせて、一捻りしているところに新味が見られます。もっとも、登場人物が少ないのでおおよそのオチは読めますが、ラストが良い味を出していますね。第三話はちょっと風変わりな密室物。これはいわゆるクローズドサークルの変形で、短編にしては盛り沢山の内容な上、トリックもなかなか斬新でよく練られていると感じました。

全体を通して格段の進歩を遂げたとの印象を受けました。文章などは堂に入っており、既に大家の貫録すら感じさせます。あとは今後まだまだ本シリーズをメインにしていくのか、或いは新たなシリーズを発進させるのかといったところだと思いますが、個人的にはガチガチの本格を長編で読んでみたいですね。この人は少なくともそれだけのポテンシャルを有している作家だと思いますので。7点に近い6点です。

No.1 6点 人並由真
(2018/06/27 21:15登録)
(ネタバレなし)
 前巻とほぼ同じ総ページ数ながら収録エピソードの絶対数はひとつ減って3本になっちゃったけど、内容にあった紙幅的にはこれくらいの方がいいかもね。作品の中味と物語の容量はちゃんとバランスをはかるべしという主旨のことは、かのE・クイーンも言っております。
 二冊目ということでさらに各編にもよりバラエティ感が出てきて、まんま「地獄少女」みたいな懲悪路線にも踏み出したけれど、これは今後シリーズを長続きさせる意味でいいと思う。
 一定以上の水準の謎解き&フーダニット(推察がつく部分もそれなりにあるが)と、毎回沙羅以外の登場人物の面子が変る連作キャラクタードラマとして個人的にはかなり気に入っています。
 しかしこの二巻巻末の惹句「人間賛歌×本格ミステリ!」というのは一巻ならともかく、前述の通り、本書の方では作品に幅がでてきたという意味において、ちょっとズレてきちゃいましたな(笑)。

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