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ミステリの祭典

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忘れられた花園

作家 ケイト・モートン
出版日2011年02月
平均点6.50点
書評数4人

No.4 5点 ボナンザ
(2022/09/11 22:09登録)
三つの時代のストーリーを同時に進めながら、最後はぐっと引き込む力を持った良作。

No.3 7点 びーじぇー
(2022/08/11 18:53登録)
時は1931年、ロンドンからオーストラリアに到着した船の中に、4歳の女の子が一人で乗っていた。保護者は見つからず、なぜその子が一人で乗っていたのかもわからないまま、入国審査官の人が家に連れて帰ってしばらく一緒に暮らしているうちに、我が家で引き取ろうっていう話になる。そしてネルという名前をもらい養女になり、過去の事情が分からないまま時が過ぎていく。
現代パートの他に、ネル自身が1970年代に自分のルーツを求めて英国に渡った時の話と、20世紀初頭の英国を舞台に長じて物語作家となるイライザ・メイクピースの数奇な生涯を描くパートと、全部で3つのパートがあって、それぞれのプロットが、絡み合うように進んでいく。一つのパートで明らかになった話を受けて、別の時代でさらに情報が開示されるみたいな構成。語りの巧みさとプロットの面白さとキャラクターの魅力が渾然一体となっている。

No.2 7点 ʖˋ ၊၂ ਡ
(2022/07/01 14:37登録)
第一次大戦前夜の一九一三年、ロンドンから豪州の港に着いた船には、白いトランク一つを提げた身元不明の幼女が乗っていた。
物語の時間軸は大きく分けて三つ、ストーリーラインは四つある。ひねりの連続で展開されるモダン・サスペンスだが、全編が古典名作へのオマージュに彩られている。古いトランクから謎の文書が出てきて物語が始まる、というのはクラシックな欧米文学ノ常套だし、また孤児院の少女が壁に囲われた庭園を慈しむことで成長していくバーネットの「秘密の花園」を精密な下絵にしているのは言うまでもない。
本書はあえて謎を解かないミステリであり、二度にわたる「不正解」をそのまま内包して終わる。そうして答えを出さない地点に留まり得たことで、人が過つことの秘密にむしろ一歩踏み込んでいる。

No.1 7点 makomako
(2020/08/10 14:58登録)
 3つの時代とお話が交錯する。次々と時代が変わるので記憶力の怪しい私には苦手の部類の入る展開でした。
 名前の一覧があったらよかったのに。一部の登場人物の名前が単純すぎて(ネル、リル、ヒューなど)区別をつけて覚えにくかった。まあトルストイの戦争と平和ほど複雑多彩なのも困るのですが。
 はじめのうちはちょっと退屈、でも読んでいくと次第にお話に引き込まれます。上下に分かれているけど上巻だけでやめないように頑張ろう。

 純粋な推理小説ではないので、お話の途中で謎のかなりの部分がわかってしまい(いやな読者になったものです)、訳者があとがきに述べているような矛盾も多少気になりましたが、良しとしましょう。
 作者のほかの作品も読んでみたい気にさせられました。

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