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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.17点 書評数:887件

プロフィール| 書評

No.247 7点 繭の密室
今邑彩
(2012/01/03 17:55登録)
 今邑彩の本格物としてはちょっとさえないかな。メイントリックはちょっと本格物が好きなものにとってはどこかで読んだぞといったもの。もちろん作者はそれだけではダメなことを承知しているのでずいぶんひねってはある。
 犯人は以外だった。女性は恐ろしいねえ。


No.246 3点 九月が永遠に続けば
沼田まほかる
(2011/12/31 15:38登録)
 第5回ホラーサスペンス賞受賞作で国内ミステリー部門第1位という帯がついて本屋に山済みされていたので、ミーハー心を刺激されてどんなものかと読んでみたが、残念ながらはずれ。
 文章はまずまずだが話の内容が全く好みではない。登場人物はある面で普通の人だが一皮向くとどろどろのごてごて。妙に気の強くそして切れやすい女が主人公で、不自然と思えるほど親切で鈍感なおとこが助けてくれる。こんな話は女性にしか書けないだろう。それにしても女性から見た世界はこんな風になっているのかと思うとちょっと驚く。
 全体として救いようのない話がねちねちと続きうんざりしたといった印象でした。
 私の感性が古いのかもしれませんが、これが本当にベストセラーになっているのですかねえ。
 


No.245 7点 水車館の殺人
綾辻行人
(2011/12/28 21:46登録)
 これは本格物の備えているロジックと幻想のぎりぎりの妥協点であることを良く示している小説だと思う。そういった意味では本格推理小説の見本のような小説。若き作者ががちがちの本格物を書こうとした意図がうかがえて読んでいてとても好ましい。
 1年前と現在が交互に語られそれが複雑に絡み合って最後に意外な結果となっていくストーリーは、本格物として読む分には実に興味深い。
 でもよく考えると、いくら衝撃的な出来事といっても1年前のことを些細な出来事まで正確な時間をみんなが記憶していることなんて本当は絶対無理なんだ。
 好みとしては第1作の十字館のほうが好きなのだがこれも悪くはない。


No.244 9点 十角館の殺人
綾辻行人
(2011/12/24 14:30登録)
 この作品は昔発表された直後に読み、私に本格物に興味を持たせてくれた作品でした。綾辻氏は当時の新本格作家といわれた作者の中で抜群に文章が良く、内容も実に凝っておりいっぺんにファンとなってしまいました。
 でも当時の採点なら多分8点ぐらい。時を経てずいぶん本格物を呼んだ後で再読すると、その雰囲気はさらに好ましく、トリックもほとんど忘れていたので(この点私は再読に向いているのす。今後年のせいでさらに覚えが悪くなると思われるので今もっている本でひょっとしたら生涯楽しめるかも)本当に楽しめた。減点は最後のところが理解し難いところぐらい。
 本格物の多くの名作が発売されておらず、本屋で手に入らないのはまことに残念だが、館シリーズは文庫本が再販され手に入れやすい。それだけ人気が有るということなのでしょう。


No.243 4点 人形館の殺人
綾辻行人
(2011/12/17 14:53登録)
 綾辻の館シリーズの異色作ではあるが、好みではない。
 こういった設定ならある意味どんなことでもありとなるのではないでしょうか。初めて読んだときには大分がっかりしたことのみ覚えていたが、作者が思い入れのある作品としてあげているのでもう一度読んでみた。
 やっぱり私にはあいませんでした。


No.242 10点 時計館の殺人
綾辻行人
(2011/12/12 21:42登録)
 綾辻の館シリーズ私にとって推理小説にのめり込見始めた頃に読んで十角館以来館シリーズはすべてリアルタイムで読んできた。20年ぶりに読み直してみたが、雰囲気といい堅固で独創的なトリックといい、ほんとうにすばらしい。
 思えばこの頃の作者は人形館、霧越邸と年に1作ぐらいの割ではあったがきわめて質の高い本格推理小説を発表しており、まさに絶頂期であった。綾辻の新作が出ると聞いたら書店へ飛んでいったものだ。
 このところの作品は当時の勢いが低下気味なのはまことに残念なのだが、思えばこんな作品を何作も書くこと自体が無理なのかもしれない。


No.241 5点 弁護側の証人
小泉喜美子
(2011/12/06 20:45登録)
 これは評価が分かれる作品だと思います。まず文章。翻訳家なのだからなのでしょうか、外国作品の翻訳文そのままの文体で味も素っ気もない。こんな文が嫌いだから外国小説は読みたくないという人も多いと思います(私もどちらかというとそっちのほう)。こういった方にはこの作品は全くだめでしょう。
 さらにミステリーの面白さが「だまし」にあると感じている人にはこんな面白い小説はないと感じそうですが、そうでなければただだまされただけでばからしいかぎりなのでしょう。
 確かにこの小説にはきれいにだまされました。まあ許せる程度なので酷評はしませんが、だますだけの小説なんてあんまり好みではありませんな。


No.240 8点 空飛ぶタイヤ
池井戸潤
(2011/12/03 09:20登録)
 かなりの長編だが読み始めれば長さは全く気にならずにぐいぐい引き込んでいく迫力のある作品でした。登場人物が結構多いが巧みに描かれており作者の筆力を感じる。ストーリーは突発事故から始まり次々と強烈な試練が立ちはだかりまさにジェットコースターミステリーといった趣のなかに、主人公赤松の強くて弱くて人情的で実に泥臭い生き様がよく描かれている。若造の金髪門田もいいじゃないか。
 物語の結末は簡単に予測できてしうある意味で単純なお話なのだが、ぴったりと思ったとうりの結末に共感し感動する。こんな話が好きなんです。
 ただPTAの話は余分かなあ。
 それにしても悪役の大企業のモデルはすぐに見当がついてしまう。読んでいる間は実話を基にしたお話と思っていたが(以前自分が勤めていた会社関連?)、解説を読むと完全なフィクションなのだそうだ。ーー自動車、重工関係の人はどんな感じがするのかなあ。
 


No.239 7点 ビブリア古書堂の事件手帖2
三上延
(2011/11/27 10:05登録)
 本書は売れ行きがよいようでamazonでは品切れ。こうなると読みたいもので近くの大型書店へ行ったら正面になんと山積みとなっていたので早速買っ読んでみた。
 内容は相変わらず感じのよいストーリーですらすらと読める。前回と同じように大胆なトリックや残酷シーン、殺人などはない。でも雰囲気がよくだんだんにこのシリーズが好きになりそうな気がする。
 いったいシリーズ物は2作目の出来がかぎのようで、前作よりつまらないとまず3作目はもっとダメになるようです。
 2作目はたいてい1作目で分からなかった主人公の秘密などがちょっとづつ明らかになるものだが(本作も然り)、このことにより主人公たちに愛着が増すのか、この秘密がさらに知りたくなるか、あたりが分かれ目かもしれない。
 栞子さんとても魅力的、今回はお母さんの秘密も出てきてなかなか興味深い。次が楽しみとなってきた。


No.238 8点 ビブリア古書堂の事件手帖
三上延
(2011/11/24 07:50登録)
こんな雰囲気の小説好きです。奇抜なトリックや連続殺人などはまったくなし。きわめて不器用な美人の女性が一冊の古書から隠されていた過去を推理していく。4つの古書にかかわる話が有機的に絡み合ってなかなか面白い。繊細な栞子さんと普通の大男大輔の掛け合いもほほえましい。


No.237 6点 咸陽の闇
丸山天寿
(2011/11/23 15:36登録)
 シリーズ第3弾。前作がぱっとしなかったが本作品は第2弾よりは楽しめた。このシリーズは中国歴史とミステリー,SFの合体のような小説で、解明不可能と思われる現象や事件が呈示され、全く混迷にいたってしまう。そこで無心が登場して快刀乱麻を断つがごとく解決する。無心の謎解きは一見理論的のようだがSF的要素を交えた相当無理な話なのだが、とにかくそのとうりになってしまうのだ。
 本格物のように謎を解く鍵が述べられているようにもみえるがこの程度の鍵で結論を推理することは全く無理でしょう。前作よりは趙軍の戦いや兵馬俑の謎など楽しませる要素が多かった分楽しめたと思います。中国古代史が好きならまあ楽しめそうです。
 この先話は続きそうですが、この先続編が出てきたら読もうと思うかはちょっとね。項羽でも出てきたら読んでしまいそう。


No.236 4点 琅邪の虎
丸山天寿
(2011/11/09 21:06登録)
前作よりもだいぶ落ちる。「鬼」ではシチュエーションも登場人物も新鮮でトリックもまずまずだったのだが、今回はどうもぱっとしない。読んでいてつまらないのだ。それなりに謎もあり、登場人物も二度目なので愛着が湧きそうなのだが、なんだか話がごちゃごちゃとしていて最後の謎解きではまあご苦労様でしたといった感じとなってしまった。面白くなる要素は沢山あると思うのだが。


No.235 7点 赤い館の秘密
A・A・ミルン
(2011/11/06 13:56登録)
 すごいトリックやおどろおどろしい雰囲気もなく、いたって平凡といえば平凡。連続殺人などは起きず、一人の殺人事件を解決していく物語。でも翻訳物独特の変な人物ばかり登場ということはなく、むしろ登場人物の巧妙な会話や雰囲気を楽しむといった嗜好となっていることは私にとっては好ましいことでした。
 ずいぶん昔に読んだときはやっぱり変なやつが登場する違和感のある小説といった感じを受けたことを思い出しますが、最近は日本のミステリーでも変な人間がやたら出るし、文体も翻訳文のようなものも結構あるので慣れてきたのかもしれません。


No.234 6点 てとろどときしん
黒川博行
(2011/10/26 21:13登録)
黒川氏の小説ははじめて読みました。くろマメのコンビは多少の違和感があったが慣れてくるとそれなりに面白い。あまり派手なトリックなどはなく、もっぱら現実的な警察小説集というべき内容だが、そこにユーモアや登場人物の個性がうまく描かれているので、退屈せずに読める。もうちょっと刺激的なお話しだとなお良いのだが。


No.233 7点 琅邪の鬼
丸山天寿
(2011/10/22 07:54登録)
 ミステリー仕立ての歴史ファンタジーといったお話は個人的に好きなので、この話も楽しく読んだ。作者が自分でほら吹きおやじといっているのが、なるほど歴史とうそをうまく混ぜて本当らしい話に出来上がっている。大掛かりな謎と不可能と思われる謎が沢山ちりばめられ、これを合理的に解決するのは大変そう。ひょっとしたら「怪しい術を使ってしまいました、おしまい」。とならないか心配でしたが、ちゃんとした(ような)結論が得られすっきりしました。本当はところどころうそをつかれた感じはするのですが、まあよいでしょう。
 ちょっと歴史好きなら探偵役の無心は誰であるかは見当がついてしまうが、これもご愛嬌。次の作品が読んでみたい。


No.232 5点 真夜中の探偵
有栖川有栖
(2011/10/17 19:09登録)
 どうもこのシリーズは余り面白くない。長いお話になるようなのでこれだけでは解決していないところが沢山あるが、これから読み進んでいこうという気になりにくいなあ。有栖川氏の小説は登場人物とトリックそれにかすかに臭う文学性に惹かれるのだが、本作品はトリックがいただけない。
以下ネタバレ気味。

 こんな大きな木箱で水も漏れないようなものを作れるなら犯人は間違いなく木材をあつかっている腕利きの職人でしょう。他人に依頼はしていないようだから自分で作ったんですよ。それに相当する人物は残念ながら登場していない。ああ無理だ。
さらにこれがとても丈夫なんだなあ。水が入っていたらすごく重いよ。このトリック絶対無理。
 作者が殻を破って大きく広がりたいのは分かるのだが、残念ながら成功しているとは言いがたい。ごひいきの作家さんなのでちょっと辛口となったかもしれないけど、こういった作品を書く時間があるのならぜひ学生アリスシリーズの続きを書いてほしいのだが。


No.231 7点 QED 伊勢の曙光
高田崇史
(2011/10/12 21:49登録)
ついにQEDシリーズも最終回ということとなった。薀蓄の多いこのシリーズも最終回となるとさらに薀蓄に告ぐ薀蓄。ミステリーとしては現代社会においてこんなことで本当に殺人が起こりうるかといった疑問も当然あるのだが、お気に入りのシリーズなので許しましょう。長いこと楽しませてくれてありがとう。それにしてもナナちゃんとタタルは最後にどうなったのだろうか。もう少しはっきり書いてほしかったなあ。前回あんなに思わせぶりだったことの解答がこれではすっきりしないのだが。


No.230 9点 永遠の0
百田尚樹
(2011/10/09 09:25登録)
 世代の違いなのか私には想像できない程狂った時代とは感じられない。知覧の特攻隊の文章を読んで特攻がテロリストなどと感じる人がいるとは思わなかった。愛する家族や国を守るためにそして命令に背くことが不可能なために命を投げ出さずにいられなかった。さらにその作戦そのものの成功率がほとんどなくなってからも続行されて無駄に(といってはあまりにかわいそうだが)死地に赴いた。本当に気の毒でならない。
 この作品はこういった時代に直面した人間の切なる物語であり、まさに涙なくして読めないところがある。


No.229 4点 迷宮
清水義範
(2011/10/09 09:10登録)
あんまり好きではない。こういった異常な性格の主人公はどうもいけない。小説の出来としては悪くないとは思うけど。


No.228 8点 めぐり会い
岸田るり子
(2011/10/09 09:07登録)
少しネタバレ気味。

 この作品結構好きです。主人公の華美は頭もよく才能もあるのだが社会的にはなかなか暮らし難いタイプで、一緒に仕事をするのは大変と思われるが、個人的には結構好きです。この小説は華美のこの性格が好きか嫌いかで評価は大きく分かれそう。好きな男(私のような)にとってはとてもやさしくでムードもあり何とか守ってやりたくなってしまう。最後に理想の男女がめぐり合って本当によかった。感動した。
 でもこういった女性を好まない人が読むと鬱陶しいだけかもしれない。

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