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ミステリの祭典

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ロビンさんの登録情報
平均点:6.56点 書評数:130件

プロフィール| 書評

No.70 6点 消えた装身具
コリン・デクスター
(2008/12/23 23:33登録)
直球の本格物。なんとモースが関係者を集めて推理ショーを披露します。クロスワードパズルの名手らしい仕掛けもあり、
事件自体も面白い構図。7点か迷ったけど、ちょっと犯行に関わった人物が多すぎて、都合の良さが目に付いてしまったため、6点で。


No.69 7点 クリスマスのフロスト
R・D・ウィングフィールド
(2008/12/21 22:12登録)
フロスト警部シリーズの第一弾。大抵こういった「一見ダメ風」な刑事は、実は中身は頭の冴える名刑事だったりするのだけど、彼の場合は本当にダメみたい笑。そんな彼の魅力的なキャラクターで本書は読ませる。
ミステリー的にはさほど目新しいところはないが、複雑的にいくつもの事件が絡み合い、エンタテインメント性に溢れ、非常に面白かった。
次作も読みたいと思います。


No.68 8点 ロジャー・マーガトロイドのしわざ
ギルバート・アデア
(2008/12/20 01:46登録)
まいったね。やられました。
クリスティの名作『アクロイド殺人事件』へのオマージュとして書かれた作品。最近の作品だが、舞台となる吹雪の山荘でのクローズド・サークルもの。そのあまりにも古典的すぎるスタイルからか、冒頭から中盤にかけては物語的興奮は一切なく、全く面白みを感じなかった。『アクロイド』を髣髴とさせる要素もさっぱり。
それが解決編に入り、ようやく気持ちをそそられてきた。こういった発想の転換的トリックは個人的にかなり好き。一方、密室トリックはバカミスで、正直あまり気に入らない。
っていうか、何よりも驚かされたのが、本書に隠されていた仕掛け。(以降、完全なネタばれです)

三人称が一人称に化けた瞬間は驚愕。しかし日本の読者には『ロートレック荘』があるので、そちらを既読の方にはややインパクトが弱いかもしれません。


No.67 9点 ドルの向こう側
ロス・マクドナルド
(2008/12/15 22:18登録)
お馴染みの、失踪者の捜索という依頼を受けてアーチャーが悲劇の歯車を回し始める。
本書は、後期ロスマクには希少な、冷静沈着なアーチャーが激昂し感情を露にする場面がある。思春期の(ちょいと年はいきすぎだけど)少年を通じて、ロスマクの思想や哲学が伺える。そういった意味でも、他にはない貴重な作品。
ラストでようやく事件の全景を眺められ、その犯人もまた、予想の及ばない人物だった。
今回のアーチャーはカッコいい。


No.66 4点 魔神の遊戯
島田荘司
(2008/12/13 22:16登録)
バレバレ。だって彼らしくないんだもの。あまりにも事件が幻想的すぎて、真相とギャップがありすぎるとはよく言われますが、今回はしょぼすぎる。
いろんなトリックのネタを寄せ集めただけの、二番煎じな作品だと感じてしまった。


No.65 8点 野獣死すべし
ニコラス・ブレイク
(2008/12/11 21:08登録)
あの人物に関しては、作中やたらと触れられていたので、もしかしたら……と思っていたのに、そっちか!
僕も『頼子のために』にそそられて本書を読んでみたんですけど、期待を裏切らない素晴らしい出来だと思います。犯人の正体自体は、確かに現代の読者にとっては一つのパターンですけど(しかし自分は意表をつかれた)、問題となる手記の、書き手が意識していた読者の違いという仕掛けはすごいです。


No.64 6点 クール・キャンデー
若竹七海
(2008/12/10 19:46登録)
これはアンフェアじゃないですよね?構図や展開も本格ではなくサスペンスだし。この分量でサクッと読めるし、「最後の一撃」もそれ相応の威力が。
この人の物語はホント、嫌な人間が出てくるなあ。読者を苛々させるのが上手い笑。


No.63 6点 死の殻
ニコラス・ブレイク
(2008/12/10 19:43登録)
雪上の足跡トリックに関しては、「おい!」と思わず声を上げたくなるくらいしょぼい、というか、これを実際に作品にする勇気があるか、というほど初歩的なもの。
推理にしたって、どれも仮説の域を出ていない。心理的要素がが多く重視され、伏線が効いていない。まあラストで探偵の口から語られれば、たとえそれが仮説であろうとも真相なのだろうけど。
ただこのどんでん返しの構造は上手いなあ。


No.62 6点 壺中の天国
倉知淳
(2008/12/07 18:01登録)
この人の作風というか描く世界観が連続殺人という猟奇性に合っていないため、緊迫感や恐怖感といったものはまるで感じられない。
とはいうものの、いったいどうやって事件を解決するのかと思いきや、いたるところに伏線が散りばめられていたのね。なんというか「無から有を生み出す」ロジック。
欲を言えば、狂気に隠された正気を期待していたが、結局動機は狂気のまま。
ただ、探偵役の人物の「壷中の天」の思想には賛同。おそらく僕も含めて、このサイトに書き込みをしている他のみなさんにとっても、ミステリーが「壷中の天」なのでしょう。

「男が自分の弱いところを見せるのは、好きな女の前だけだ」とは、言うねえ笑


No.61 7点 捕虜収容所の死
マイケル・ギルバート
(2008/12/04 12:52登録)
自分はこのへんの知識が皆無なのでよくわかりませんけれど、捕虜ってこんな生活を送っていたんだというのが発見。そのぶん、舞台設定が理解できなかった。「捕虜収容所とはこういうところ」という具体的な説明が欲しかったな。
っていうか登場人物が多すぎる。まあメインのストーリーに関わってくるのは限られてくるのだけど。
二重のフーダニット「犯人」と「スパイ」の正体は?というのが本書の要か。少量ながら、特に後者には唸らされた。
脱走シーンはさほど緊迫感をそそられなかったなあと。この展開ならばもっとエンタテインメント性が欲しい。


No.60 7点 霧越邸殺人事件
綾辻行人
(2008/11/30 20:54登録)
いいですねぇ。面白かったです。ある意味、この作品が館シリーズでなく、単発のノンシリーズ物だという点が大きなポイントか。
だけど、肝心なロジックに目新しさはなく、シンプルすぎて意外性がない。ただ、館の力と、謎の人物を設定することでサスペンスが生まれて、物語の幻想性は十分。まあ、あの人物に関しては、言動に違和感を抱いていたのでそれほど驚きはなかった。『星降り』のほうを先に読んでしまっていたということもあるんですけど。


No.59 6点 オックスフォード運河の殺人
コリン・デクスター
(2008/11/27 23:38登録)
確かに事件そのものよりもモースの入院ライフのほうが気になってしまった。素敵な看護婦さんが多いんですね。羨ましいです。
今回はあまり事件の様相が変わることはなく、ページ数も少なく読みやすいほうかと。「解決編だけで構成された物語」とはよく言われますけども、本書はデクスターの醍醐味の一つの、論理のアクロバットがあまり堪能できないのが残念。


No.58 9点 キドリントンから消えた娘
コリン・デクスター
(2008/11/25 22:19登録)
いやあ、転がる転がる転がる!いったい何度返せば気が済むのやら笑
しつこいくらいに繰り返される論理の構築に、『ウッドストック』を読んだときは頭が混乱し、それ以来敬遠してきたデクスター。今なら、と心を引き締めて本書を読んでみました。
終盤に入ると怒涛の勢いでいくつもの真相が繰り広げられる。
結果的に、ロスマク風の悲劇だったなという印象。
十分満足なんだけど、気がかりなのは、結局「手紙を書いたのは誰か?」ということ。ベインズ?バレリー?後者なら、モースの素晴らしいロジックに素直に驚嘆するとこだが、最終的にモース自ら「バレリーではない」と断言している。だったらなんでベインズは手紙を書いたの?何度も自問していたじゃない。「なぜ、ベインズは手紙を書いたのか?なぜ?なぜ?なぜ?」って。そこの答えを教えてよ~!10点ものの勢いだったのに、最も大切なとこが明らかにされていないので減点。(もしかして自分が見過ごしていただけ?それとも、本当はバレリー?)


No.57 8点 眩暈
島田荘司
(2008/11/23 22:50登録)
ふう、お腹いっぱい。楽しめたなあ。普段はロジック重視の地味な作品(失礼)を好んで読んでいるので、久しぶりに重厚で壮大な謎の物語世界を堪能できた。ただ、今回は謎の幻想性ばかり際立ち、心動かすような真相ではなかったのが残念。それを狙っているのは感じられるんだけど、僕には届かなかった。

あと、御手洗は頭脳戦だけじゃないのね。


No.56 5点 兇悪の浜
ロス・マクドナルド
(2008/11/20 19:51登録)
うーん、いまいち。あまりにも正統派すぎたハードボイルドって感じ。プロットも単純で謎にそれほど魅力がない。
そして相変わらず初期のアーチャーはヘマが多い。それにロスマク作品に暴力は合いません。


No.55 7点 衣裳戸棚の女
ピーター・アントニイ
(2008/11/20 19:47登録)
こんな密室トリック、確かにバカミスかもしれませんね。もちろん良い意味で。そんな場面は全く気にしてなかった!と苦笑。
分量もほどほどで、文章も読みやすいためサクサクとページがめくれる。トリック自体は小粒なんだけど、それが作品として丁度良い感じに仕上がっている。


No.54 6点 笑ってジグソー、殺してパズル
平石貴樹
(2008/11/17 01:10登録)
「動機ばかりさがしてちゃダメですよ」という女探偵ニッキの一言で始まる本書。『ポオ』でクイーン張りのロジックに酔わせていただいた作者の長編ミステリ一作目。
ジグゾーパズル連盟の大富豪の夫人部長が殺され、現場にはバラバラにされたジグゾーパズルがばら撒かれていた。事件は連続殺人となり、全ての現場で同じようにパズルがばら撒かれていた。さらには密室殺人も!
と、ここまできたら本格ファンの気持ちはそそられまくりで、判別できない登場人物や、魅力のない物語展開も、純粋なるパズラー故にと我慢して受け入れて解決編を楽しみにしてきた。のに、それなのに、残念。
確かに動機なんか度外視して論理のみで解決しちゃうんだけど、どれも新鮮味がなく、読んでいても全くドキドキさせられなかった。ここらへんは演出次第なのかもしれないけれど、もっとアクロバットな、意外性のあるロジックを希望。


No.53 8点 縞模様の霊柩車
ロス・マクドナルド
(2008/11/14 23:57登録)
娘の婚約者の素性を調べてほしいという依頼をその父親から受けて、捜査に乗り出したアーチャー。その人物には二重、三重の殺人容疑があることが徐々に判明し、お決まりの「質問者」として過去に起こった殺人事件の真相を暴いていく……。
今回はかなり意外な犯人だった。あまりに突然で、ちょっとドンデン狙いが感じられてしまったかな。
それにしても、こんな愛情は狂気だな。『容疑者Xの献身』というタイトルが当てはまりそうな、いやそれ以上の悲劇です。


No.52 4点 消失!
中西智明
(2008/11/12 23:15登録)
これはちょっとなぁ。この手のトリックにはかなり鈍い自分でも気づいてしまった。まあ真犯人の正体はわからなかったけども。この真相はけっこうアンチですね。


No.51 4点 最後の一撃
エラリイ・クイーン
(2008/11/12 23:13登録)
読み逃していたクイーンの最後の長編。ようやく手に入れることができた。嬉しい。
が、まいったなぁ。この作品をラストにすべきでなかった。
確かに構成に関しては、「中年になったエラリイが、『ローマ帽子』の頃の解決できなかった事件に、三十年のときを超えて解決をもたらす」という集大成的に仕上がっていて、もちろんその出来も……と期待したのに。
最初の被害者が殺される必然性がないこと、わざわざあんな面倒くさいレッド・へリングを施したのにそれがさほど利いていないこと。論理的ではあっても(?)、あんなのはフェア・プレイじゃない。

自分の中のクイーンを取り戻すために、久しぶりに国名シリーズでも読み返してみようかなぁ。

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