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ミステリの祭典

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兇悪の浜
リュウ・アーチャーシリーズ

作家 ロス・マクドナルド
出版日1959年05月
平均点4.60点
書評数5人

No.5 6点 斎藤警部
(2022/10/14 13:04登録)
「それは彼女に限ったことじゃないよ」
「それ、わたしへの皮肉?」

いかにもHBな錯綜ストーリーの末に明かされたのは、もしかしたら、無意識に(?)変容された「家族の悲劇」なのかも。 何気に意外性ある真犯人/真相でした。 ハリウッドの風がまるで吹いてないけど、これ以上話をややこしく蛇行させないのが正解かも知れません。 でもって、犯罪動機構成のキッツ過ぎる灰褐色の深淵が、本作の主役でしょうか。

”マチスの絵の複製の前に来ると、急にはげしいノスタルジーを感じた。平静で秩序ある世界、生命を奪ったり奪われたりすることのない世界へのノスタルジーだ。だが、それは、永遠に沈まぬ太陽と同じく、瞼の中にしか存在しない。”

No.4 4点 クリスティ再読
(2018/05/27 20:39登録)
もうそろそろ中期になる作品なんだけど、皆さんおっしゃる通りの駄作。何かポイントがちゃんと絞られていないような散漫さを感じる。依頼人の逃げられ夫はストーカーみたいで、どうにも共感できるようなタマじゃないし、殺人狂傾向の強い精神病患者とか、安易なキャラ造形が目立つ。ハリウッドと映画業界周辺が舞台なのだが、そういう「らしさ」もない。「かわいい女」といいハリウッドは、どうやらハードボイルドから見たときには鬼門のようだ。本作どうにも見どころに欠ける。
思うのだが、ロスマクって作家は、「運命」とか「ギャルトン事件」で確変した作家なので、この頃はまだちゃんと「煮えきってない」作家だったような感じだ。そういえばこの人、パルプ作家歴がないわけじゃないが大したキャリアはないのに、ハードカバー書き下ろし作家で出発できたのは、何故なんだろう?(似たような立場でライバルなマッギヴァーンは、SFが多いが結構なパルプ作家のようだからね...)

No.3 5点
(2015/10/05 21:41登録)
ロス・マクの中でも、発表当時から一般的にあまり評判のよくなかった作品のようです。
確かに、『運命』以後の作品だけでなく、以前の『人の死に行く道』等と比べてみても、全体的な構成にこの作家らしさがあまり感じられないとは言えるでしょう。基本的には明快な犯罪計画に、悪党たちが余計な手を加えることによって事件をわけのわからないものにしているという構成になっています。その悪党たちの行動がリュウ・アーチャーの捜査と交錯することによって、アクションはいつもより豊富になります。発砲となると1発だけですが。
かなり以前に読んだ時には、かなりおもしろく感じたのですが、ロス・マクをまだあまり読んでいなくて、期待するものが固まっていなかったからかもしれません。再読でもかなり派手な展開は悪くないと思いましたが、この作者にしては論理的整合性に疑問があるのに気づきました。

No.2 3点 Tetchy
(2009/05/24 00:57登録)
ハードボイルドのプロトタイプの型にかっちり嵌め込んで作られた印象が強く、従って妙に何も残らなかった。
文章は今までの一連のロス・マク作品の中では最も読みやすく、あれよあれよという間に事が進んでいった。
事件の手掛かりが容易に手に入るのも気になったし、登場人物各々があまりに類型的過ぎた(トニー・トーレスは若干異なっていたが)。

No.1 5点 ロビン
(2008/11/20 19:51登録)
うーん、いまいち。あまりにも正統派すぎたハードボイルドって感じ。プロットも単純で謎にそれほど魅力がない。
そして相変わらず初期のアーチャーはヘマが多い。それにロスマク作品に暴力は合いません。

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