消えた装身具 モース主任警部シリーズ |
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作家 | コリン・デクスター |
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出版日 | 1992年12月 |
平均点 | 5.50点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 4点 | レッドキング | |
(2021/11/13 11:41登録) デクスター第九作。巻頭に市内地図が載り、ん?前回が歴史ミステリなら今回は地理ミステリ?と、川を利用した不可能トリック期待したが、人間関係アリバイトリック付きの「オックスフォード観光ミステリ」であった。 ※ミステリの舞台が、館から街や村にまで広がると、どうしても緊密構成が緩まり、緊張感も薄まる。せめて密室代わりに、入り組んだ川や道の地理を利用したトリック、背景にしたロジックの出番を期待したく。 |
No.3 | 6点 | 雪 | |
(2020/09/18 00:16登録) 〈英国"歴史の都"ツアー〉のクライマックスで、コレクターたる最初の夫の遺品〈ウルバーコートの留め具〉を、オックスフォードのアッシュモーリアン博物館に寄贈する筈だったツアー客ローラ・ストラットンが、ホテルでの滞在中に急死した。問題の装身具は八世紀後半のすかし細工を施した金製品で、三角形の隅にルビーが一つだけはめこまれているもの。博物館の収蔵品である黄金のバックルに完全にフィットする、世に二つとない貴重な品だった。だが持ち主の死とともに、留め具もまた彼女の抱え込んだハンドバッグごと紛失していた。 事件を担当するテムズ・バレイ警察のモース主任警部は、ローラの死は他殺ではないかと疑うが、二十七名にものぼるツアー客を前に窃盗犯の洗い出しは遅々として進まない。そんな彼の疑念を掻き立てるかのように、今度は装身具を受け取る予定だった博物館側の管理責任者が、全裸の死体となって遊泳地域の川面に浮かんだ! モースは錯綜する関係者の証言を選り分け、その中から二つの事件の関連を掴もうとするが・・・。二転三転するプロットを凝らして、英国現代本格の雄が描くシリーズ第九弾。 ゴールド・ダガーを受賞した『オックスフォード運河の殺人』から3年後の1991年に発表された長篇。冒頭の「感謝の言葉」で述べられている通り、英国セントラル・テレビジョンで1987年のクリスマスに放映された『主任警部モース』第2シリーズ第1話、「ウルバーコートの留め具」を原型にしている。文庫版で読了したので詳細は不明だが、大庭忠男氏のポケミス版解説によるとTV版とはかなり違う作品に仕上がっているそうだ。 全三部構成で、ダミーと真相との二段構え。観光ツアーの事件らしくオックスフォード全域を舞台に取り、TV版脚本を叩き台に細部まで考え抜かれた殺人を描いている。痒い所まで手が届くのは本解決の方だが、実のところ偽解決の方が面白いのもいつものデクスターあるあるである。ここから後期の代表作『森を抜ける道』に行くだけあって、内容的にも復調している。だがそれでも色々と限界はあって、かなり上手く纏めてはいるが初期作を越えるまでには至っていない。 全員を集めての犯人指摘やモースのベッドインから恋の終わりまでと、演出や主人公周りのエピソードもやや派手。この辺りはドラマ版の影響だろうか。個人的にはもう少し抑えた筆致の方が好みだが。 リメイクとの前情報から期待値は低かったが、結構楽しめた作品。佳作までには至らないがそれでも6.5点は付けたい。 |
No.2 | 6点 | 了然和尚 | |
(2015/05/24 19:18登録) モース警部もの9冊目ですが、1、2作目よりは落ちますが、3〜8作目よりは良かったような気がします。バスツアーの座席順まで仕込みがあって、本格度も高いです。何か名取裕子が出てくるテレビの2時間ミステリーを思わす内容、展開で理解はしやすかったのですが、陳腐な感じでした。原題は事件の解決にも登場する重要なワードなので、「消えた装身具」という題はどうなんでしょうかね。 |
No.1 | 6点 | ロビン | |
(2008/12/23 23:33登録) 直球の本格物。なんとモースが関係者を集めて推理ショーを披露します。クロスワードパズルの名手らしい仕掛けもあり、 事件自体も面白い構図。7点か迷ったけど、ちょっと犯行に関わった人物が多すぎて、都合の良さが目に付いてしまったため、6点で。 |