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ミステリの祭典

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こうさんの登録情報
平均点:6.29点 書評数:649件

プロフィール| 書評

No.529 6点 家蝿とカナリア
ヘレン・マクロイ
(2010/08/16 00:44登録)
 10年近く積読になっていたのを最近読了しました。古き良き本格作品といった印象で少し長いと思いましたが読み易かったです。訳もいいのでしょうが。
 舞台でわざわざ殺す必然性はなくまた1度目の殺人が起きて、犯人が見つかってない中での公演はまずありえなさそうですがそれは眼をつむるしかないかなあと思いました。また「家蝿」は犯人が実は〇〇〇だという伏線の様ですが実際はその時の〇〇の数値により作品中の様に起きるとは限らないと思います。
 作品そのものは不満な点もありますが楽しめました。


No.528 7点 最上階の殺人
アントニイ・バークリー
(2010/08/16 00:30登録)
 シェリンガムシリーズ第7作目はシェリンガムの妄想ぶり暴走ぶりがすごい作品でその点は「ジャンピングジェニイ」に匹敵すると思います。
 事件そのものは単純なのですがこれで長編一本書けるのは大したものです。真相、構成はバークリーらしい仕上がりです。この作品でもモーズビーと共演していますが「毒入りチョコレート事件」以外に4作品で共演しており彼らの推理対決は興味深くいずれも読む価値があると思います。
 また作者のシェリンガムを据えた意図を踏むならば出来れば「レイトンコート」から刊行順に読んだ方がより楽しめるシリーズだと思います。(私は初訳の年の違いのためかなりばらばらに読んだのでその点は残念です)


No.527 7点 警察署長
スチュアート・ウッズ
(2010/08/09 01:09登録)
 重厚な大河小説の趣きです。ガイド本で折原一氏が「古今東西ベスト1」と書いていたのが非常に意外でした。
 サイコサスペンス、警察小説、エンターテイメント小説の要素もありますが本格度は高くありません。エンターテイメント小説として楽しむべき作品なのでしょう。
 小学生の頃(おそらく出版直後)ドラマ化されていたのを家族で見た記憶があります。


No.526 7点 九マイルは遠すぎる
ハリイ・ケメルマン
(2010/08/09 00:57登録)
 安楽椅子探偵ものの今や古典でしょう。表題作には突っ込みどころはあるでしょうが読んだ当時は感心しました。また表題作だけでなく他作品も一定水準で楽しめます。この短編集の続編がないのが残念です。


No.525 6点 ママは何でも知っている
ジェームズ・ヤッフェ
(2010/08/09 00:48登録)
 安楽椅子探偵ものの今や古典と言える作品だと思います。読み心地はいいですし楽しめた覚えがありますが個人的にはミステリの出来と関係なく主人公に対する嗜好からアシモフの「黒後家蜘蛛の会」の方が好きだなあと思いました。ヤッフェのこの作品集の方が断然ミステリ度は高いですし楽しめるのは間違いないと思います。


No.524 7点 封印された悪夢
フィリップ・マーゴリン
(2010/08/09 00:37登録)
 プロット派のリーガルサスペンスの雄マーゴリンの処女作です。
 数年前高校生カップルが惨殺され迷宮入りした事件を担当刑事と検事が犯人、真相を追究するストーリーです。
 処女作でもストーリーテラーぶりは発揮されていますが法廷での弁護士と検察の対決といった場面は目立たず後のマーゴリンの作品を含めた一般的なリーガルサスペンスぽくはありません。精神分析を利用する所など不満な点もありますが作品の展開、構成は結構好きです。
 完成度では「暗闇の囚人」や「黒い薔薇」には及ばないかもしれませんし世評もそんなに高くなさそうですが個人的には楽しめた記憶があります。出版以前や当時はグリシャムが人気だったのですが個人的にはマーゴリンの方が好きでした。


No.523 6点 検察側の証人
アガサ・クリスティー
(2010/08/09 00:20登録)
 少しネタバレあります。
 テンポ良く進み最後のどんでん返しと好みの趣向のはずなのですがアクロイド同様世評ほど楽しめなかった作品です。高校の頃この作品は立ち読みで済ませてしまった覚えがあります。
 主要人物が2人しかいないせいかあまり驚きがなかった点、また変装は舞台映えはしそうですが伏線はあるにしろ実際にうまくいくかどうか、証拠として成立するかどうか疑問に感じた点が不満でした。作品としてはコンパクトでかつ上手いなあとは思いますが。 


No.522 8点 災厄の紳士
D・M・ディヴァイン
(2010/08/02 00:30登録)
 「悪魔はすぐそこに」が期待したほど楽しめなくて新刊の2冊は積読になっていたのを最近読了しました。
 パトリッククエンティンかと思わせるような家族内の悲劇を扱い明らかなクラシカルフーダニットではありますがサスペンスに近い印象がありました。
 はじめ倒叙ぽかったストーリーが後半一転する所などこれまでと違う構成で人物設定、ストーリー展開は「こわされた少年」に近い印象で個人的に「こわされた少年」はあまり楽しめませんでしたがこの作品は楽しめました。


No.521 7点 地下室の殺人
アントニイ・バークリー
(2010/08/02 00:08登録)
 モーズビーの丹念な捜査報告、その後のシェリンガムの推理という通常探偵小説とあまり変わらない構成で進んでいるため少しバークリーらしい皮肉が足りない印象がありました。
 また前半の学校教師たちのストーリーは会話がやけにいきいきしていますがシェリンガムの作品(完全なフィクション)のため全くでたらめの可能性もありますしその部分が推理の元になるのが不満ではあります。
 またラストは期待したほど皮肉に満ちていなかったのも少し不満ですが個人的には楽しめました。


No.520 9点 シャーロック・ホームズの冒険
アーサー・コナン・ドイル
(2010/08/01 23:55登録)
 海外ミステリ好きの方はほとんどポーもしくはドイルから読み始めているのでないでしょうか。私も小学生の時この作品集(のジュブナイル)を読んだのが最初です。
 後年このシリーズのあらはたくさん目につくようになりましたが魅力的な探偵、魅力的な謎を教えてくれた作品です。
 やはりミステリ初心者の時に是非読んでほしい作品です。


No.519 8点 ブラウン神父の童心
G・K・チェスタトン
(2010/08/01 23:49登録)
 20年ほど前中学生の頃読んだ時は正直読みにくい、主人公にさほど魅力を感じない点が不満でした。
 トリックは後世の作品の原型が多く海外ミステリ好き必読の書だと思います。個人的には「折れた剣」が忘れ難いです。
ただ短期間に5冊読了したのですが残りはあまり覚えていません。


No.518 7点 愚かものの失楽園
パトリック・クェンティン
(2010/07/28 22:10登録)
 不倫中の中年男とその妻、夫妻の養女(婚約中)といった家庭に女たらしの強請屋があらわれ殺人事件が起こり、という典型的なパトリック・クェンティン(ホイーラー)のサスペンスでした。
 真相、真犯人は登場人物が少なく当てやすいですが主人公視点で犯人候補が二転三転するのは「わが子は殺人者」などと同様です。展開が他作品同様でかなり露骨な伏線もあり予想通りでしたが楽しめました。


No.517 6点 ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎
アントニイ・バークリー
(2010/07/25 15:36登録)
 シェリンガムシリーズの第三作目です。
 転落死事件を取材したところその手にボタンが握り締められ事故ではなく殺人が疑われ、というストーリーで迷探偵シェリンガムと当時の名探偵ものに登場する刑事としては恐らく最も優秀なモーズビー警部との初共演作品です。
 典型的なバークリーらしい作品ですが一番印象に残っているのはラストのセリフです。
 未訳の「Panic Party」と「地下室の殺人」以外は既読ですがワンパターンと言われてもバークリーは楽しめます。


No.516 4点 シンデレラの罠
セバスチアン・ジャプリゾ
(2010/07/25 15:20登録)
 恐らく「一人四役」の宣伝にひかれてこの小説を手に取った読者が多いと思いますが私もその一人でした。
 当時としては良く考えられたプロットでしょうが文章が個人的に合わなくて楽しめなかった覚えがあります。伏線もありラストで真相は(おそらく)わかりますが個人的にはどっちでもいいと思った記憶があります。
 3作品ほど読みましたがジャブリゾ作品は訳のせいもあるのかもしれませんが楽しめた覚えがありません。短くてさっと読める点はいいと思います。


No.515 5点 交換殺人
フレドリック・ブラウン
(2010/07/25 15:14登録)
 いわゆる犯罪小説スタイルで交換殺人の試みが描かれています。このスタイルではどうやって2人の実行犯が知りあうか、後の実行犯がしっかり約束を守れるか、事件の結末は、といった点の処理に興味がわきますがこの作品の場合元々知り合いで事件後も会ってたりしますしあまり納得のいくラストでもありませんでした。
 何作か交換殺人を扱った作品はありますがいずれも犯罪小説スタイルではあまり楽しめた覚えがありません。
 ただ短くてさっと読める点は良かったです。


No.514 7点 悪魔に食われろ青尾蠅
ジョン・フランクリン・バーディン
(2010/07/25 15:06登録)
 以前折原一のガイド本での推薦を見て読みました。時期的にはマーガレット・ミラーやヘレン・ユースティス の「水平線の男」が既に出ていたとはいえこの手の(現代的な?)肌触りの心理サスペンスが40年代に書かれていたとは驚きです。表紙裏にアメリカで出版社から拒絶されたと書いてありましたが仕方ないことかもしれません。
 主人公エレンが精神病院を退院する冒頭からひきこまれました。早すぎた傑作というにふさわしいと思います。


No.513 8点 リリアンと悪党ども
トニー・ケンリック
(2010/07/21 23:56登録)
 軽薄な詐欺師とその被害者の女性、そしてみなしごの名子役リリアンの三人がメインキャラクターの誘拐がテーマのユーモアサスペンス(?)です。
 ミステリとしてどうか、というのは正直どうでもよくてただただ憎めないキャラクターが徐々に打ち解けてゆく所やストーリーが楽しめればいいと思います。軽い落ちもあります。
 ケンリックの作品の中では最も気に入っている作品です。


No.512 7点 スカイジャック
トニー・ケンリック
(2010/07/21 23:46登録)
 軽妙なユーモアサスペンス(?)といえばトニー・ケンリックと上田公子の名訳が思い浮かびます。作風が変化した後期の作品は1冊くらいしか読んでいませんが初期作はいずれも楽しめました。ミステリ的な評価としてはこの作品ではジャンボジェット機を消した点が挙げられますが個人的にはミステリとしてはどうでもよくてただただ主人公のやりとりやストーリーが楽しめた作品でした。なんだかんだいって万人受けしそうなのはこの作品と「リリアンと悪党ども」かなあと思いますが初期作はいずれも楽しめます。


No.511 4点 スイート・ホーム殺人事件
クレイグ・ライス
(2010/07/21 23:30登録)
 この作品の名前を見ると大推薦していた小泉喜美子の書評が思い出されますが明るい楽しい子供たちのストーリーが個人的に全然受け付けなかった記憶があります。ミステリの内容に文句があるわけではないのですが読み手を選ぶ肌触りの小説だと思います。個人的には受け付けませんでした。


No.510 7点 初秋
ロバート・B・パーカー
(2010/07/21 23:22登録)
  高校生のころ書店で簡単に手に入る作家でした。確か「キャッツキルの鷲」くらいまでリアルタイムで数年読んだ記憶がありますが手に取ったきっかけは「初秋」でした。
 推理しない健康的な私立探偵小説でハードボイルドではなくて「ライフスタイル小説」だという書評も目にしましたが当時は軽妙な語り口も含めて楽しんでいました。中でも「初秋」はいわゆる「いい話」で満足した記憶があります。
 ただ今では2~3作しか覚えていませんし「キャッツキルの鷲」の前作くらいから嗜好とずれてその後どういう展開になったかはわかりません。
 今の読者にはスペンサーシリーズって売れているのでしょうか。

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