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ミステリの祭典

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スイート・ホーム殺人事件
別邦題『甘美なる殺人』

作家 クレイグ・ライス
出版日1957年01月
平均点5.73点
書評数11人

No.11 7点 クリスティ再読
(2019/10/14 10:29登録)
高校生の頃に読んだときには、退屈で退屈で...でその後敬遠していた作品なんだけど、逆に言うと「今再読して自分がどう感じるか?」ということの方が実に興味深かった。こういうのが、再読の醍醐味なんだろうね。ミステリとしては「密度」が低いし、ダメな人は本当にダメな作品なのは、他の皆さんの評をみればその通りな作品である。
まあ本作、子供が大活躍する作品であるにもかかわらず、まったく子供向きじゃないし、本作の幸福感とかユーモアなんて、高2病真っ盛りの高校生ゴトキにゃわからないよ。本当に「大人向けの童話」と思って読むべきなんだろう。推理作家の母親よりもしっかりした子供たちが、母親の小説の宣伝のために事件を解決しようと奮闘し、あまつさえナイスガイの警部と母親をくっつけようとするんだもん。こんな子供たちいるわけない。けども、この「いるわけない」に作者の愛と夢のすべてを注ぎ込んだ小説なんだよね。本作の幸福感がライスの悲惨な人生から生まれたものだ、と思ったら、かなり粛然とするものがあるよ。人生経験を重ねてからにこそ、読むべき小説だろう。
あと、子供の突飛な思い付きで出てる発言に、時々訳者がとまどっているような印象を受ける個所がある。だから訳は意外なくらいに読みづらい。これは訳者が合ってないのだと思う。それこそ小泉喜美子に頑張って訳してもらいたいようなものだ。

No.10 3点 斎藤警部
(2019/05/20 13:40登録)
ママ(ミステリ作家)の子供の一人が口から出まかせでデッチ上げた架空の人物が実際に現れるという、まるでファンタジー小説もどきの不可能興味(合理解決される)はそれなりに惹かれるものがありますが、何しろ物語のムゥードがほんわか緩過ぎなもんだからスリルや刺激に繋がらないこと!! 物語3分の2をとうに過ぎて初めて、この様な内なる忖度まみれに見える特殊本格推理の中でいったい誰が最も電撃的かつブラックじゃない真犯人像になり得るのかと遅い考察を巡らしてもみたのですが、、話はいつしかドタバタ押し切りで終わっちゃってましたね。 所々いい挿話やいい流れもあるんだけど、個人的にミステリとしてもユーモア譚としても決して’面白い’の領域を脅かしもしません。平たく言や好みに合わないってだけですね。で犯人誰なんだっけw



【 一応ネタバレでしょう 】

これでもしママが真犯人だったら。。。ママが獄中で書いた懺悔手記という設定だったら。。 或いは、死に別れたはずの父親が実は××とか。。。 どの暗黒妄想も当然の様に、ガーター越えて隣レーンに飛んじゃうくらいの大外れでした。あぁ良かった。

No.9 5点 E-BANKER
(2018/02/10 21:06登録)
C.ライスといえばコレという方も多いのではないか?
ということで作者の代表作的位置付けの作品。
1944年の発表。原題“Home Sweet Homicide”

~カーステアズ家の子供たち。十四歳のダイナ、十二歳のエイプリル、十歳のアーチーは、勇んで探偵に乗り出した。お隣のサンフォード家の奥さんが射殺されたのだ。でもおかしい。銃声は二発聞こえたのに、被害者が撃たれたのは一発だけ。そしてサンフォードさんの旦那さんも姿を消して・・・。ミステリー作家のお母さんを有名にするために、子供たちの大活躍が始まった! ほのぼのユーモアたっぷりの本格ミステリー~

確かに“良い”作品だ。
母子家庭に育つと子供は逞しく、比較的良い子に育つ印象があるような・・・
(それに比べてウチの子供たちは・・・って)
とにかく、母親を有名にするため、そして新しいパートナーを見つけるため、三人の子供たちが奮闘。
それに巻き込まれる警察や近所の人々。
最後に訪れるハッピーエンド!
実に“良い”雰囲気!

なんだけど・・・
ミステリーの本筋からすると、どうにも作者とは相性が良くない。
「大はずれ・・・」「大当たり・・・」でも感じたんだけど、特に中盤の未整理が目に付いてしまう。
読んでる方も、探偵役の登場人物と同様、「いったいどうなっているのか?」という、まるで霧の中のような感覚になってしまう。
その割に、終盤ではいきなり解決!って、オイオイ! 急にかよ!
っていう突っ込みを入れたくなる。

本作もなぁー
まぁ雰囲気重視なんだとしたら、こんなもんなのかな・・・
ほのぼのしたい方は是非ご一読ください。しなくても良い方は別にスルーして良いかと・・・

No.8 5点 いいちこ
(2017/07/25 11:41登録)
ミステリとしては水準程度。
ホームコメディタッチのミステリとして良さが感じられる作品だが、例によって直訳一辺倒の翻訳(特に指示代名詞)がリーダビリティを大きく減じており、損をしている印象

No.7 7点 tider-tiger
(2016/05/14 12:08登録)
学生の頃に読んだきりで内容もほとんど忘れていた作品でしたが、nukkamさんの書評に触発されて再読、仰せの通り、とてもいい作品でした。声を上げて笑うことはありませんでしたが、終始ニヤニヤしながら頁を繰っておりました。感動もありました。若い頃は大した作品じゃないなんて思いましたが、そうでもないぞ。
しっかり者の長女、利発な次女、やんちゃな長男と、類型的な人物配置で、三人の間でなんとなくお決まりのことが起こる。近所の人たちもこの手の話にはよくあるタイプです。ですが、物語の設定が特殊でなおかつ会話が楽しいので平凡な印象ではありません。
子供たち三人それぞれが容疑者に一人で質問をする場面が設けられておりますが、子供らしい質問の仕方、質問に当たっての子供らしい心配、そして、それぞれの性格が非常によく出ていて個人的にはとても好きな場面。
ミステリとしてはまあ及第点でしょうか。いわゆるトリックはないのでその点は物足りなく感じる方もいらっしゃるかも。また、ミステリだけを愉しみたい人にとっては冗長な作品だとは思います。
ただ、子供たちが子供に可能な範囲のことをして真相を探り出し、警察よりも先に真相に到達しても不自然には見えないような工夫も凝らしてあるところなんかは、ただのほのぼのミステリとは一線を画していると思います。
結末というか、真相究明の過程がまたいいんですよ。

問題点
子供がそんな言い回しをするか? について。 
自分もしないと思います。ですが、個人的にはありだと思ってます。
この作品って、親子の役割が入れ替わり、被保護者である子供たちがひたすらママを助けようと頑張る。ある意味、ママと子供たち、それぞれの巣立ちを予感させる物語なわけなんですよね。
子供が大人になろうとする→大人ぶった話しぶりをする。これは自然な流れなんですが、そこに滑稽味をつけるため、作者が大人ぶった言動をかなり誇張している。
作品の世界観とは合致しており、リアリティの置き所として個人的には問題なしだと思っています。むしろそんな子供たちの言動が楽しい。
ただ、訳文に問題ある可能性が……訳者(長谷川さん)は明治36年だかのお生まれで、私が生まれる前にお亡くなりになっている方。作者の意図をはるかに超えた子供らしからぬ言い回し、古めかしい言い回しが登場している可能性は大いにありそう。
ユダという言葉に(裏切り者のこと)なんて注釈がついていましたが、ユダはわかるから! むしろ同じ頁に出てきたジャケツに注釈つけた方が良いのでは? なんて思ったりもしました。訳文の童話調の文体に馴染めないという方もいそう。

ミステリとしては6点、小説としては8点、採点は7点にしておきます。

No.6 10点 nukkam
(2016/05/11 11:39登録)
(ネタバレなしです) クレイグ・ライス(1908-1957)の人生はまさしく不幸を絵に描いたようなもので、結婚離婚を繰り返し、アルコール中毒に苦しみ、自殺未遂事件まで引き起こしています。その突然の死が発表された際にも自殺説が流れたほどです。そんな作者がこのように明るく楽しい作品を世に送り出したのはまさしく奇跡的。1944年発表の本書はシリーズ探偵は登場せず、3人の子供たちが主人公の本格派推理小説です。こう紹介すると大人を大人とも思わぬような生意気なマセガキの物語だろうって敬遠したくなるかもしれませんが、騙されたと思ってせひ読んでみて下さい。確かに大人顔負けの活躍はしていますが、その根底には常に母親への愛情が満ち溢れています。ミステリーなのに読んで心が温まるという稀有な作品で、「Home Sweet Home」をもじった「Home Sweet Homicide」という英語原題もまたセンス抜群です。

No.5 5点 ボナンザ
(2014/12/01 00:47登録)
ユーモラスな書き方が特徴の良作。でも、話の展開も描写の仕方もかなり人を選びそう・・・。

No.4 4点 りゅう
(2011/06/26 11:31登録)
 三人の子供が、推理作家の母親のために、隣家で起きた殺人事件の解決に乗り出すとともに、刑事との間の恋の取持ちをする話です。女流作家の手になる、子供視点のほのぼのとした文体で、子供たちの活躍が描かれているのですが、個人的には全く引き込まれるところがありませんでした。訳が古めかしく、平易な文章の割には読みやすくもありません(14歳の女の子が「わが家の前途が危殆に瀕してるのに」なんて、言わないですよね)。読んでいて、眠気に襲われ、ページが一向に進みませんでした。肝心の謎解きの方もぱっとしません。私には、全く合わない作品でした。
(備考)
 新訳版が出ているようです。私は、旧訳(長谷川修二氏訳)の方を読みました。

No.3 6点 測量ボ-イ
(2010/11/21 17:42登録)
殺人事件を扱うにもかかわらず、どこかほのぼのした雰囲気
が漂うユ-モア・ミステリ-。
作者ライスはミステリ作家のマリアンに自身の姿を投影して
いたのでしょうか?
本格推理小説としては及第点ですが、話しがやや冗長で、解
決編も説明が簡単すぎて納得しずらい部分がありました。
その分、少し減点。

No.2 4点 こう
(2010/07/21 23:30登録)
 この作品の名前を見ると大推薦していた小泉喜美子の書評が思い出されますが明るい楽しい子供たちのストーリーが個人的に全然受け付けなかった記憶があります。ミステリの内容に文句があるわけではないのですが読み手を選ぶ肌触りの小説だと思います。個人的には受け付けませんでした。

No.1 7点 kanamori
(2010/04/21 20:43登録)
隣家で起きた殺人事件をミステリ作家のママのために解決しようとする3人の子供たち。ノンシリーズの傑作ユーモアミステリ。
マローン弁護士&ジャスタス夫婦シリーズはどちらかというとスプラスティックな味わいの面白さで読ませるのに対して、こちらはホンワカしたユーモアがあります。小さな子供たちが、捜査する警部とママを結びつけようと画策する場面など笑えます。
意外性も追求されていて本格ミステリとしても一級品だと思います。

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