ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎 ロジャー・シェリンガム |
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作家 | アントニイ・バークリー |
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出版日 | 2003年04月 |
平均点 | 6.80点 |
書評数 | 5人 |
No.5 | 7点 | 人並由真 | |
(2024/06/25 06:27登録) (ネタバレ……してるかもしれない) あらら。『ウィッチフォード』を読んでから、気が付いたら丸二年以上経っていたよ(汗・笑)。 自分のイメージの中にある<シェリンガム・シリーズ>はこの作品で、だいぶ形が定まって来た感じ。 真犯人の可能性については、かなり早期に念頭に浮かんだものが~(以下略)。 ちなみに単品で読むより、シリーズ順に読んでおいた方がたぶん絶対にいいね。バークリーは、読者が『ウィッチフォード』を先に読んでくれていることも勘案つーか、織り込んで仕掛けてきているだろ。 双方読んだ人にのみ、これが通じることを願う。 ほぼ一世紀を経た今でも通用する送り手の意地の悪さだが、当時はもっとショッキングであったろう。こういうのやっていいのか、と怒った(中略)なヒトもいたかもしれん。 あと、みなさんが話題にしている<くだんの創意>ですが、さすがにこれが嚆矢ということはないんじゃないかなあ。と言いつつ、先駆の実例がぱっと頭には浮かばないな。 まあもちろん思い当っても、具体的な作品名は絶対に書けないし、作者の名前すら書いちゃいけませんが。 |
No.4 | 7点 | みりん | |
(2024/04/19 09:56登録) いやあ痛快、痛快! 現代ではありふれていますが、ロジャー・シェリンガムがたどり着いた○○○○トリックは、本作が探偵小説史上初の試みなのでしょうか?? そうだとすればバークリーの発明であり、もし私がコレを世界で初めて考案できたならば、膝をついて歓喜し、堂々と世に出すことでしょう。 【以下未読の方は読まないことを推奨】 しかし、バークリーは易々とソレに飛びつくほど、甘くはありません。発明とも言える○○○○トリックを惜しげもなく犠牲にして、メタ・ミステリに昇華させます。あぁ…なんてアイロニックな作家なのでしょう… ますます好きになってしまいます。しかし、『ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎』などという微妙なタイトルよりも『○○○○』にした方が良かったのではないでしょうか。nukkamさんもおっしゃっているように名を残せたかもしれないのに… |
No.3 | 8点 | 弾十六 | |
(2018/10/31 20:47登録) 1927年出版 翻訳2003年 迷走探偵シェリンガムらしさの出た探偵小説の傑作。楽しげな雰囲気で、小ネタの出し方も良く、大ネタに至る流れが最高です。軽い気持ちで読み始め、軽い気持ちで読み終われる、そんな娯楽小説の見本だと思いました。先行作品(レイトンコート、ウィッチフォード)を読んでいなくても充分楽しめます。 |
No.2 | 6点 | nukkam | |
(2016/05/11 12:05登録) (ネタバレなしです) 1927年発表のロジャー・シェリンガムシリーズ第3作の本格派推理小説で、シェリンガムのライヴァルであるモーズビー警部が初登場する重要作品です。互いの腹の探り合いが楽しい作品で、最後の一行には推理小説に対する痛烈な皮肉がこめられています。謎解きとしては「〇〇〇〇トリック」(本書の昌文社版の巻末解説を参照のこと)が紹介されているのには驚きました。後年発表の某作家の某有名作よりもはるかに早く本書で着想されてたんですね。このトリックを作品の核にしていれば本書がミステリー史に名を残したかもしれないのに、惜しい。 |
No.1 | 6点 | こう | |
(2010/07/25 15:36登録) シェリンガムシリーズの第三作目です。 転落死事件を取材したところその手にボタンが握り締められ事故ではなく殺人が疑われ、というストーリーで迷探偵シェリンガムと当時の名探偵ものに登場する刑事としては恐らく最も優秀なモーズビー警部との初共演作品です。 典型的なバークリーらしい作品ですが一番印象に残っているのはラストのセリフです。 未訳の「Panic Party」と「地下室の殺人」以外は既読ですがワンパターンと言われてもバークリーは楽しめます。 |