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ミステリの祭典

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あびびびさんの登録情報
平均点:6.33点 書評数:669件

プロフィール| 書評

No.129 7点 砂の狩人
大沢在昌
(2010/09/01 17:43登録)
逮捕されても「未成年だからすぐに出て、また誰かを殺す」と
薄く笑った少年をその場で射殺したやめ刑事が主人公。

異様な連続殺人事件を発端に房総隠遁生活から東京に呼び戻されるが、そこでやくざ、中国マフィア、警察庁が絡んで息をつかせぬ展開でラストへと導く。

大沢在昌のすべてが詰まっているような作品。


No.128 2点 女とギャンブル
富島健夫
(2010/08/25 13:39登録)
江守さんから懐かしい名前。このコーナーで
彦坂郁雄の話が出るなんて!

私はその彦坂のインタビュー記事を作成するために、
千葉の館山まで行き、民宿で朝まで飲んだ経験があります。
もちろん、競艇場で「特別ゲスト」である冨島健夫にも
何度も会いました。

そのころこの本を読んだのですが、内容はあまり覚えて
いません。あまり推理的要素はなかったのでは?


No.127 7点 警官の紋章
佐々木譲
(2010/08/25 13:30登録)
笑う警官→警察庁から来た男に続く完結編?
歴史小説も手掛けるササキジョーが「奥行きが深い」と
いう警察小説。北海道警察の内情をとことん曝け出している。

本当に何を読んでも外れがない作家のひとりだと思う。


No.126 4点 魔女の盟約
大沢在昌
(2010/08/07 01:03登録)
祖父母に売春の悪魔島に売られ、そこで何千人もの客を取らされた主人公が島抜けに成功し、やがて財産を築き、追われながらも魔女になって難関に立ち向かう?

話は釜山から始まり、上海、東京と舞台を変えていく。それぞれの国のマフィアを手玉に取る器量は幼いころに「地獄」を見て来たからこそ。

まあ、大沢在昌に外れはほとんどない。


No.125 8点 少年時代
ロバート・R・マキャモン
(2010/08/07 00:45登録)
わずか1500人が暮らすアメリカの田舎町。そこで12歳の少年が父親の牛乳配達を手伝ったある日の早朝に殺人事件に巻き込まれる。

それから1年間、夢と希望と挫折を味わうその少年は後に作家になるのだが、その郷愁と魔法のようなできごとがなんとも言えない味わいを醸し出している。

特に彼の父親と母親は、まさに父親と母親である。


No.124 1点 世界の名探偵50人
事典・ガイド
(2010/08/04 01:48登録)
激しく1点です。予め犯人が分かるミステリは、鼻紙にもなりません。

どの世界でもあるんですね。こういう反則技が…。


No.123 4点 復讐法廷
ヘンリー・デンカー
(2010/07/21 23:32登録)
レイプし、殺人を犯したというのに州法の矛盾で無罪…。
ある意味、少年法に似たジレンマ。

これを当時の裁判官を証人に呼ぶなどして逆転判決に。過去に曖昧な法律に人生を棒にふった人もかなり存在するのだろうなと改めて思う。


No.122 8点 ウォッチメイカー
ジェフリー・ディーヴァー
(2010/07/04 04:01登録)
ボーンコレクターは映画で見ており、デンデル・ワシントンが凛凛しく演技をしていたのを思い出す。車いすのリンカーンライムが頭脳とニューヨーク市警の刑事スタッフの機動力を生かして事件を解決するのだが、ミステリと言うより、現代社会のひずみから生まれた病にメスを入れる医者のような役割。

その分このサイトでは疑問視される面もあるだろうが、時代の推移を考えれば威風堂々の作品だと思う。ハードカバー二段で
500ページ、文庫だと上下になりそうだが、それでも終わるまで迫力はあったと思う。


No.121 5点 コカイン・ナイト
J・G・バラード
(2010/06/23 16:22登録)
スペインの高級リゾートで「脳死状態」にある移住民に「犯罪行為」をもって人間の本能を蘇らせ、街を活性化させるというSF感覚も織り交ぜたサスペンス。

結末は驚愕…ではなかったが、英国ナンバー1作家と言われただけあって巧みな文章に完成された構成力。読み返す必要性は感じなかったが、一読のお薦めはできる。


No.120 7点 毒入りチョコレート事件
アントニイ・バークリー
(2010/06/08 15:07登録)
安易に読んでいると、どの結末でもそれで終わる可能性がある。その点はさすがによくできていると思うが、逆にいえば、ミステリのいい加減さも露呈する。

もちろん、凡人には思いつくことはできないけど。


No.119 6点 すべて死者は横たわる
メアリー・W・ウォーカー
(2010/06/03 22:12登録)
12歳のころ、父親が変死的に亡くなった。世間は自殺だというが、どうも納得が行かず、他人の迷惑を顧みず強引に捜査する娘は30代になった新聞記者。

しかし、捜査を続けるうちに完璧な男性だと思った父親像が底辺で崩壊する。

最近読む本のほとんどが女性作家が作った女性主人公。いずれも強引で他人のことは考えず猪突猛進。探偵は女性の方が向いているのかも知れない…とふと思った。


No.118 5点 凍りつく骨
メアリー・W・ウォーカー
(2010/06/03 22:01登録)
動物園のベテラン飼育員である父親がライオンに食われて死んだ…というショッキングな事件。

それを娘の主人公が飼育員になり、嫌いな爬虫類担当(毒蛇)をしながら内部事情を暴き出すという物語。あまりミステリな流れではないが、そこそこの謎はある。


No.117 6点 警視の死角
デボラ・クロンビー
(2010/05/31 23:55登録)
警視ダンカンが元妻から昔の事件を依頼されるが、その元妻は殺され、ダンカンの部下であり、恋人であるジェマと休暇を取り、捜査する。

複雑な人間模様と時代背景が謎で、トリックとか意外性はないが、イギリス的なミステリとして、安心して読める一冊。


No.116 7点 邪魔
奥田英朗
(2010/05/23 18:53登録)
この作家の小説は外れがない…とつくづく思う。
何気ない日常の中で少しの油断から発展する犯罪。

最後は松山のホステス殺しの福田和子が自転車に乗って
逃げるシーンが思い浮かんだ。

必死で自転車を漕ぐその女性の息づかいと心臓の鼓動が聞こえてきそうだ。


No.115 3点 イスタンブールの群狼
ジェイソン・グッドウィン
(2010/05/23 18:47登録)
アメリカ探偵作家賞受賞作品。当時最強を誇ったオスマントルコが絡む?歴史的ミステリ。

世界三大料理のうちのひとつであるトルコ料理のレシピなどが出て砕けたところもあるが、トルコ人が日本の歴史的推理小説を読めば同じ気持ちになる…という難解さがある。

4人が変死体で発見される流れはミステリだが、本格的ではない。


No.114 7点 告白
湊かなえ
(2010/05/20 13:38登録)
一度本を手にしたら読み切らなければいけない、そんな流れの物語。今どこかでこんな事件が起こっていそうな気がする。

前半のスピード感が話題になっているけど、後半もやや失速した程度で、全体的にノンストップの印象。


No.113 5点 蛇の形
ミネット・ウォルターズ
(2010/05/14 16:01登録)
女彫刻家もそうだったが、真相を求める女性(今回は主婦)の追求は並外れていて、厚かましく、やりすぎの感は否めないが、それでも最後の達成感は素晴らしい。

この作家は心理的描写が凄まじく、長編を読むには相当なエネルギーが必要。今回は意外な犯人だったが、驚きより、やっと終った…という読後感。


No.112 5点 キラー・イン・ザ・レイン
レイモンド・チャンドラー
(2010/05/11 19:20登録)
チャンドラー初期の短編集。「長いお別れ」や「大いなる眠り」の伏線というべき、絵コンテ的な作品が並ぶ。

しかし、探偵小説ばかり続くというのは案外しんどい気もした。頑固で、裏切りがあり、粘り強い調査の末の結末。どの作品も流れが同じということを考えれば長編の方が読みやすい。


No.111 7点 女彫刻家
ミネット・ウォルターズ
(2010/05/04 08:46登録)
実の母と妹を殺害し、その体をパズルのように切り刻んだ「怪物」は160キロもある女性だった。

女流作家がその異常な事件を一冊の本にするため、「怪物」に接見し取材すると、「この女性は正常であり、犯人ではない…」と感じる。

それから当時の関係者への調査、取材が始まるのだが、最後は現在風の終わり方と言うか、もうひとつはっきりしない。これが断定できていたなら9点はつけられると思う。


No.110 6点 グラスホッパー
伊坂幸太郎
(2010/04/30 19:02登録)
「重力ピエロ」を映画で見て、初めて伊坂作品を呼んだが、売れている作家と言うのは、発想の転換というか、やはりどこか新しい。

平平凡凡と生きている人間は、こんなストーリーは考えない。その部分だけでも、やはりプロだと思う。

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