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ミステリの祭典

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女彫刻家

作家 ミネット・ウォルターズ
出版日1995年07月
平均点5.75点
書評数8人

No.8 5点 YMY
(2023/01/25 22:34登録)
母と姉とを殺害、斧で死体をバラバラにしたオリーヴ・マーティンは、無期懲役の判決を受け、刑務所に収容されている。彼女の事件を本にするため、フリーライターのロズが取材を始めた。オリーヴ自身の話を聞いたり、弁護士に会ったりしているうちに、無実ではないかとの疑問を抱く。
捜査を担当した元刑事にロズが会い、この物語の役者がそろうと、関係者たちの過去が次々と暴かれる。さまざまな人間模様をストーリー展開の中に織り込みつつ、犯人追求が続く。
異常に太ったオリーヴ、その父、隣人、元刑事らユニークな登場人物が忘れられない。そしてショッキングな幕切れも。

No.7 5点 メルカトル
(2021/10/25 23:10登録)
注意!ネタバレをしています。

女の名はオリーヴ・マーティン、現在、無期懲役の刑に服している。母親と妹を切り刻みそれを再び人間の形に並べて、台所の床に血みどろの抽象画を描いた女―だが、本当に彼女がやったのか。アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞受賞作。
『BOOK』データベースより。

好きか嫌いかと聞かれたら私はこの作品が嫌いです。一応5点付けましたが、その中でも最下層だと考えて頂きたい。
第一に導入部の猟奇殺人事件の報道は良いでしょう。バラバラ死体大いに結構、望むところです。しかし、その理由が曖昧で、結局精神異常?で済まされてしまっているのはどうにも承服出来かねます。本格を名乗るのであれば、本作の肝でもあるなぜ死体を切断したのかに論理的な解答は必要だと思います。第二に結末がスッキリしないのもいけませんね。犯人が誰でも良かったみたいにも解釈出来ますし、動機もほぼ書かれていない、そこの処ははっきりして欲しかったです。第三に余計な描写やエピソードが多いこと。文庫で470頁はあまりに長すぎでしょう、内容的には300頁位が妥当な線です。Amazonのレビューで「終わりに近づけば近づくほどつまらない」という意見がありますが、同感ですね。

アメリカの賞を受賞していますが、甘いですよ。これだから欧米のミステリは日本に比べて本格度が低いんだよなと思ってしまいます。個人の意見です。しかも『このミス』1位だと?日本の評論家のみなさんもどうかしているとしか思えません。あくまで個人の感想ですが。

No.6 5点 ボナンザ
(2019/11/04 09:56登録)
本筋はまずまず。蛇の形の時も思ったが、真相を暴く過程で周辺住民のゴシップが次々明らかになったり、主人公の面倒くさい過去が明らかになったりするのはウォルターズの趣味なんでしょうね。

No.5 4点 ねここねこ男爵
(2017/11/25 20:30登録)
なんというか、ツイン・ピークスっぽい。そういうのが好まれた時代の作品。
雰囲気を楽しむ小説。

No.4 7点 蟷螂の斧
(2013/05/12 16:44登録)
(タイトル・女24)事件を追うごとに、家庭の内情が暴露されていく過程は読みごたえがありました。女性の心理描写は、女性作家ならではのものと感心しました。陰湿な事件を扱っていますが、女主人公と元刑事の恋愛が一服のオアシスのような感じで好感が持てました。エピローグは、賛否の分かれるところでしょうが、作者のサービス・おまけのようなものではないかと思います。

No.3 7点 あびびび
(2010/05/04 08:46登録)
実の母と妹を殺害し、その体をパズルのように切り刻んだ「怪物」は160キロもある女性だった。

女流作家がその異常な事件を一冊の本にするため、「怪物」に接見し取材すると、「この女性は正常であり、犯人ではない…」と感じる。

それから当時の関係者への調査、取材が始まるのだが、最後は現在風の終わり方と言うか、もうひとつはっきりしない。これが断定できていたなら9点はつけられると思う。

No.2 5点 nukkam
(2009/04/21 11:39登録)
(ネタバレなしです) 1993年発表のミステリー第2作でMWA(アメリカ推理作家協会)最優秀長編賞を獲得した作品です。創元推理文庫版では猟奇的犯罪や(犯人と目される)オリーヴのグロテスクな描写がフォーカスされているからかサイコ・スリラーのイメージが定着している感もありますが読んでみると思ったよりもそういう要素は少なく、捜査と推理を中心にした本格派推理小説といっていいと思います。もっとも単純な犯人探しの謎解きでもなく、事件の詳細を追及することによって矛盾や謎が発生していくという、やや異色系の本格派です。人物の性格(本性)が最初のイメージから少しずつ変わっていき、それによって事件の全貌が見えてくるパターンは前作「氷の家」(1992年)と共通しています。微妙に曖昧感を残す結末は謎をきっちり解いてほしい読者には好き嫌いが分かれそうですし、色々深読みするのを楽しむ読者なら歓迎かもしれませんが私はそれほど頭がよくないのでちゃんと説明してほかったです。

No.1 8点 touko
(2008/09/17 12:21登録)
アメリカの権威あるミステリ賞MWAの最優秀長編賞や、95年の「このミステリーがすごい!」海外編の1位作品であり、映画化もされたイギリスの女流によるサイコミステリーだそうです。

母と妹を切り刻み、それをまた人間の形に並べるというショッキングな殺人を犯したことにより「彫刻家」と呼ばれる猟奇殺人犯の巨漢(180センチ、160キロ以上)の女性は、果たして本当の犯人なのか、トラウマ持ちの女性フリーライターが取材する……という内容。

不気味さ、人物造形のユニークさ、ロマンス、脇のエピソードなどのバランスが絶妙で、物語にひきこむ力があります。
本筋以外の脱線具合も、スキャンダラスなので、なんというかワイドショー的な興味をひいて、面白い。
エンディングも余韻があってよかったと思います。

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