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ミステリの祭典

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少年時代

作家 ロバート・R・マキャモン
出版日1995年03月
平均点7.60点
書評数5人

No.5 6点 レッドキング
(2018/10/05 21:18登録)
ここがミステリサイトでなければ8点は献上したい。「トムソーヤ」由来の「米国の匂い」のするファンタジー少年小説として。
でも冒頭から最後にかけてミステリとしての展開完結もあんだよなあ。その部分はせいぜい3、4点かなあ。で、おまけしてこの点数。残念だけどミステリサイトなんで。 

No.4 7点 tider-tiger
(2017/01/26 15:59登録)
本サイトからお薦めされたので読んでみました。マキャモンは初読みです。
十二歳の少年が一年の間に体験した出来事が時系列に沿って並べられています。父親と二人で早朝の牛乳配達に出掛けた際に遭遇した殺人事件が核となってはいますが、殺人事件とは関係ない話も多く、長編というよりは連作短編といった趣の強い作品です。
作者の脱ホラー宣言後の第一作目とのことですが、ホラー小説的な書き方がずいぶんと残っているように感じられます。
本作は一口、二口齧るとスティーヴン・キングの味がします。人物造型(特にデーモン)にはキングを思わせるものがありますし、後半にはペット・セマタリーを想起せざるを得ないエピソードがあったりもして、キングからけっこう頂いているのは間違いないでしょう。ただ、キングのように行間まで塗り潰す厚塗りではありませんし、キングにはないある種の郷愁を感じさせます。
読み進めていくうちに、キングと見せかけて、実はこの人がやろうとしているのはレイ・ブラッドベリではないかと気付きました。ブラッドベリお得意の舞台が用意され『霧笛(ブラッドベリの短編 太陽の黄金の林檎に収録)』を想起させられるエピソードが飛び出します。すると、やはり、主人公の少年は両親からブラッドベリの『太陽の黄金の林檎』をプレゼントして貰い、ご丁寧に『霧笛』について感想を述べたりします。
※最後に作者自らがブラッドベリを讃える後書きを残しておりました。
車窓を流れゆく美しい風景のようなレイ・ブラッドベリと映画館の最前列に座ることを強制するかのようなスティーヴン・キング。両者は持ち味、読み味のまったく異なる作家だと思っていたのですが、彼らを重ねるとこういう風になるのかと。
おまけで『銀河鉄道の夜』まで登場する。まさか、マキャモンは宮沢賢治を読んでいた?

主人公、及び親友たちのキャラが少し弱いか。まあ些細な欠点というか、実在の人物がモデルだからあまり無茶はできなかったのかもしれません。作者から少し離れた位置にいるキャラが面白かった。デーモン、ヴァーノン、ジェイバードなどなど。特にヴァーノンはもったいなかった。最後にもう一度登場して欲しかった。

あびびびさんの『特に彼の父親と母親は、まさに父親と母親である』というコメントが最初のうちはいまいちピンと来ませんでした。二人ともごくごく普通の人たちというか、むしろ弱さの方が目立つくらい。でも、そのごく普通が、やっぱり『まさに父親と母親』なんですね。
いい作品でした。

No.3 8点 itokin
(2013/02/18 11:06登録)
ホラー出身の作家らしくホラーとミステリーの入り混じったメルヘン、ファンタジーの小説です。短編をつなぎ合わせた様にいろんなエピソードにより少年の成長を表現した当時(1960年代)のアメリカの片田舎は日本とあまり変わらなかったんだなぁと懐かしく読ませてもらった。

No.2 8点 あびびび
(2010/08/07 00:45登録)
わずか1500人が暮らすアメリカの田舎町。そこで12歳の少年が父親の牛乳配達を手伝ったある日の早朝に殺人事件に巻き込まれる。

それから1年間、夢と希望と挫折を味わうその少年は後に作家になるのだが、その郷愁と魔法のようなできごとがなんとも言えない味わいを醸し出している。

特に彼の父親と母親は、まさに父親と母親である。

No.1 9点 kanamori
(2010/04/13 18:42登録)
60年代の米国南部の田舎街を舞台にした12歳の少年の成長物語。
あえて要約するとその通りですが、ある殺人事件で始まり1年後の何ともいえない結末に至る枠組みの中に、様々なエピソードが詰め込まれています。
冒険、謎、ホラー、初恋、親子の絆、友情、そしてファンタジー。だれもが持つ少年時代へのノスタルジーを喚起させてくれる、ジャンルを超えた不朽の名作だと思います。

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