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ミステリの祭典

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生者と死者 酩探偵ヨギ ガンジーの透視術
ヨギ ガンジーシリーズ

作家 泡坂妻夫
出版日1994年10月
平均点6.25点
書評数16人

No.16 6点 虫暮部
(2020/11/29 15:04登録)
 〈生者と死者のテスト〉について。描写が曖昧だけれど、六人の名前を書くところは隠しておらず、“その中の誰が死者かを当てる”ことが主眼? 隠して書いたら、作中の説明では透視出来ないよね。でも当てるだけなら6分の1の確率だ。場の雰囲気でその程度でも驚く、と言うこと? 良く判らない。
 また、自動書記の内容が同じ文字列のアナグラムなのは何を狙った演出なのか?

No.15 5点 ボナンザ
(2018/10/13 10:13登録)
しあわせの書に続く大仕掛けであるが、こちらは最初から仕掛けが分かっているため、衝撃はそれほど大きくない。

No.14 4点 いいちこ
(2017/05/07 09:26登録)
前作「しあわせの書」も、ミステリとしては平凡な作品であったが、その前作にも遠く及んでいない。
まず短編小説は、小説としての成立性の点で大いに疑問。
そのうえで長編小説は、当該短編小説を消しに行く創作意図から、その仕掛けがある程度察せてしまううえ、各所で無理を強いられている印象が強い。
本の特殊な装丁が、サプライズを大きく減じ、読者の心理的なハードルを高めている点もマイナスに作用。
以上、本作の奇想と意欲は買うものの、それが1個の読物に昇華できておらず、華麗なる失敗作と言わざるを得ない

No.13 5点 風桜青紫
(2016/07/18 20:32登録)
仕掛けについては「ようこんなんできたな」とびっくりしたが、長編と短編それぞれの出来についてはもうひとつだった。『しあわせの書』は中身も面白かったんだが……。まあ、こっちは制約が厳しすぎたか。

No.12 6点 E-BANKER
(2014/05/05 20:58登録)
「しあわせの書~迷探偵ヨギガンジーの心霊術」に続くシリーズ第二弾。
前作は“書籍”自体に仕掛けられた驚愕の(?)のトリックが炸裂したが、本作もまた驚きの仕掛けが施された作品。
最近新潮文庫で再版され、手に取りやすくなったのがうれしい。

~この本は絶対に立ち読みできません。はじめに袋とじのまま短編小説の「消える短編小説」をお読みください。そのあと各ページを切り開くと驚くべきことが起こります。そして謎の超能力者と怪しい奇術師、次々にトリックを見破るヨギガンジーが入り乱れる長編ミステリー「生者と死者」が姿を現すのです。史上初、前代未聞の仕掛け本!~

こんなことするのって作者くらいだろうなぁ・・・
前作(「しあわせの書」)も『何じゃこりゃ??』と思わされたけど、本作の仕掛けもかなり強烈。
本作発表の経緯については作者あとがきに詳しく書かれているので、そちらを参照するのが早いが、幻影城から出された作者の処女長編「11枚のトランプ」も袋綴じ形式(フランス装)だったのは知らなかった。
本作を発表するまでの苦悩にも触れられてるけど、確かにこれは難しい注文だったんだろうねぇ・・・

で、作品そのものの評価なのだが・・・
まず「消える短編小説」の方は、長編読了後は記憶までも消えてしまった。
内容云々ではなくて、消えること自体に意味があるんだろうけど、中身は殆どないという感じ。
長編については、サブタイトルどおり「透視術」をテーマとした作者得意の奇術ミステリー。
終盤にまるで叙述ミステリーに出てくるようなトリックが明らかにされるのだが、特段サプライズを感じるほどではない。

まぁ本作は「仕掛け」そのものを味わうための作品だろう。
「消える短編小説」がいかに消えていくのか、それを楽しめるかどうかにかかっている。
それを楽しめない方にとっては、まるで意味のない作品ということになる。
評点は作者のアイデアと努力に敬意を評して・・・。
(この「遊び心」は評価すべきなんだろうなぁ)

No.11 6点 sophia
(2014/04/12 20:27登録)
こういう試みは非常に面白いと思うが、肝心のお話が短編、長編ともにイマイチ。
努力賞といったところでしょうか。

No.10 6点 アイス・コーヒー
(2014/04/08 17:30登録)
「しあわせの書」を超える驚愕の仕掛け本として出版された本作。その特異な形状については改めて説明する必要はないだろう。今年に入って復刊されたことは、非常にありがたい。

袋とじのままで読める「消える短編小説」は、話の流れもぎこちなく、良くわからない展開だ。設定上やむを得ないところではある。しかし、ページを切り開いて長編になった途端、次々とトリックが炸裂して全く違った世界が見えてくる。この珍しい演出が見どころだろう。
長編の内容は、透視術を巡る超能力のインチキを見破る地味なもので、大きな期待をかけてはいけない。ただ、ガンジー、不動丸、美保子のユーモラスな会話が前作以上に登場し、面白かった。一つ残念だったのはページ数の都合からか、謎解きが分かりづらかったこと。そこは、読者が頭を働かせてよく理解するしかない。
今は亡きミステリー界のマジシャンが遺した力作を、是非多くの人に読んでほしいと思う。

No.9 7点 nukkam
(2012/10/09 18:32登録)
(ネタバレなしです) 1994年に(7年ぶりに)発表されたヨギ・ガンジーシリーズ長編第2作で、非常に凝った構成の作品です。ほとんどの部分が袋とじ状態になっており、袋とじされていない部分を読むとそれは(新潮文庫版で)25ページ程度の短編です。ここではヨギ・ガンジーは登場せず、犯罪の解決は示されているもののミステリーでさえない幻想小説です。この袋とじを切り開くとこの短編小説は13の断片となって長編ミステリーの一部となるという、凄いアイデアです。この長編ミステリーの出来は微妙で、超能力による透視術という興味深いネタがあるものの犯罪がなかなか起きず、解くべき謎が何かさえいまひとつ明確でないので真相も意外というよりは唐突感の方が強かったです。しかし袋とじの仕掛けはインパクト十分で、短編の中の前提条件が長編では180度ひっくり返っていたのには驚かされますし、短編部分が長編の中でどう活かされているかを注意しながら読むのは本書でしかできない楽しみ方です。マニアや研究家は2冊買って片方は袋とじのままにしておくそうです(袋とじを開封すると短編小説は「消える」ため)。ミステリーの完成度としては個人評価5点程度ですが唯一無二の構成に技能点として2点ほど加点しました。

No.8 5点 kanamori
(2010/08/16 17:30登録)
再び、本自体にユニークな仕掛けが施されていますが、肝心の物語が平凡で、前作「しあわせの書」と違って、本の仕掛けと小説の内容が有機的に関連していないので、大きなカタルシスは得られなかった。

No.7 6点 yoshi
(2010/03/14 12:42登録)
仕掛けを楽しむ本ですね。

これで内容が面白ければ、ジョルジュ・ペレックのアレのように、とんでもないことになっていたでしょうが、この内容では好事家の話のタネで終わってしまうのが実情か。

No.6 6点 E
(2010/03/13 21:10登録)
泡坂妻夫氏の作品が好きで、シリーズ物という事だし・・・って事で読みました。
面白いとは思いますが・・・何故か入り込めなかった;
何故だかよくわからないんですけど;ウーム;

No.5 6点 だい様
(2009/09/18 09:40登録)
ヨギガンジーシリーズ第3弾

前作『しあわせの書』同様遊び心に満ちた溢れた構成が面白い。
ただ肝心の内容が物足りなく感じた。

No.4 7点 江守森江
(2009/09/10 14:59登録)
特殊な装丁な為に限られた部数で絶版となり、今では装丁した印刷所も閉鎖され、手間を考えると再販の見込みもない。
所蔵図書館も極僅かなので手にするのに苦労した。
私が手にした本は袋綴じは裁断済みだが見出しと読み方を付す親切さだったので仕掛けは充分楽しめた。
短編でダブルミーニングの一方の徹底とシリーズキャラを排す事、長編ではダブルミーニングのもう一方を徹底する事で短編を長編に埋めて消し去る超絶技巧が炸裂する。
肝心のミステリとしての内容だが、短編は消え去る為にのみ存在し、長編も‘このシリーズ’らしいがマジックのネタワリ小説の域は出ず平凡だった。
同シリーズの仕掛け本「しあわせの書」は実演に使えるが、此方は使えない為1点低い評価にした。

No.3 9点 キトウY
(2008/07/10 23:00登録)
短編が長編になるところの変化が面白かった。ここはこうなるのかといった感じで
内容そのものは普通ですね

No.2 7点 こう
(2008/04/21 02:24登録)
 この本はしあわせの書が楽しめる方ならお薦めです。さすが泡坂妻夫としかいいようがありません。NO1の方が書いてらっしゃる通りで内容よりも仕掛けにつきます。持っている価値はあるかと思います。こんな事を考え付くのも泡坂妻夫だけでしょう。

No.1 9点 Tetchy
(2007/11/01 17:58登録)
内容よりも構成がすごい!
まさに人智を超えた本である。
とにかく未見の方は一度見て欲しい。
そして作者が注いだ労力を想像して欲しい。

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