home

ミステリの祭典

login
恋恋蓮歩の演習
Vシリーズ

作家 森博嗣
出版日2001年05月
平均点6.42点
書評数19人

No.19 5点 ボナンザ
(2022/11/27 23:09登録)
要約すると保呂草はとんでもないものを盗んでいきました・・・。ってコト?

No.18 5点 E-BANKER
(2018/01/10 22:30登録)
2001年発表のvシリーズ第六作。
何とも意味深なタイトルだし、英文タイトルは“A Sea of Deceits”・・・
よく分かんねぇ・・・

~世界一周中の豪華客船ヒミコ号に持ち込まれた天才画家・関根朔太(せきねさくた)の自画像を巡る陰謀。仕事のためその客船に乗り込んだ保呂草と紫子。無賃乗船した紅子と練無は、完全密室たる航海中の船内で男性客の奇妙な消失事件に遭遇する。交錯する謎、ロマンティックな罠。スリリングに深まるvシリーズ長編第六作!~

航空機内の密室殺人を扱った前作「魔界天翔」。
お次は、豪華客船内で起こる不可思議な消失事件がメインテーマとなる。
航空機⇒船というのは作者らしい稚気なのか、最初からの計算ずくなのか?

前作でも、発生する事象は何とも「曖昧模糊」とした形をとっていたが、本作ではさらに「曖昧模糊」さがレベルアップした印象だ。
いったい何が書きたかったのか? 
単にミステリーの一形態としての「船上ミステリー」に取り組みたかったのか?
ラストで判明することとなるサプライズについても、恐らく本シリーズファンなら中途で「もしやそうではないか・・・」と薄々察したはず。
(かくいう私もそうだが)
そんなことは作者も折り込み済だろうからなー

保呂草VS鈴鹿一族VS各務、そしてVS紅子、おまけでVS祖父江・・・
この図式は前作と同様なのだが、それぞれがそれぞれの思惑を抱いてついたり離れたり・・・
何ともスマートでスリリングな展開。
もはや探偵を主役とした本格ミステリーというよりは、盗賊を主役としたアルセーヌ・ルパン或いはルパン三世シリーズのような風味になった感のあるシリーズ。
今後の展開は気になるけど、徐々に個人的な好みからは外れていってる印象。
でも、やっぱり気になる。特に保呂草の行く末に・・・

No.17 7点 Tetchy
(2017/06/12 00:55登録)
豪華客船の上で起こる密室での人間消失と絵画盗難。ただ人間消失事件は正直必要か?と思った次第。

以下大いにネタバレ。


まず絵の所有者を部屋から出すためならば話があると持ち掛けさせてカフェテリアで拘束してもらうなどすればいいだけである。スキャンダルについても目的の男を呼び出したら自室で襲われたと見せかけるなどの他の方法もあったはずだ。
何しろ殺人事件となれば警察が介入して事が大事になるのにもかかわらず絵画の略奪を計画しているところにわざわざ警察を介入させる意味が解らない。絵が盗まれただけであれば警察もわざわざヘリコプターまで投入せずに次の停泊地である宮崎で警察が乗り込んでくるだけだろう。事を荒立てずにスマートに盗みを済ませてほしいと依頼した割には逆に大騒ぎになるような略奪計画である。実際船内は人が落ちたことで大騒ぎしているし。

また海に注意を向けるためにわざわざ海に落とすというのも詭弁である。船の中で人が見つからない、もしくは物が見つからないとなるとすぐに海に落ちた、落としたのではと思いつくのは当然である。海に何かが落ちなかったら船の中だけで考えると云うのはかなり無理な論理ではないだろうか。

さて今回は今まで道化役でしかなかった香具山紫子にスポットが当てられる。しかしてっきり香具山紫子のシンデレラ・ストーリーになるかと思いきや、さにあらず、やはり小鳥遊練無と瀬在丸紅子のマイペースに翻弄されて結局いつも役割に。「マイ・フェア・レディ」になり損ねた紫子が報われる日はいつ来るのか。それともずっとこのままなのだろうか。「わたしの人生っていったいなんやろ」と一人気落ちせずに頑張れ、紫子!

ミステリとしては標準並みの謎の難易度で全てではなくとも謎の一部は私にも途中で解ってしまうほどの物だったが、今回は事件の謎よりも物語の謎、いや保呂草という男の行動こそがメインの謎だったように思う。
この考えの読めない探偵兼泥棒の、常に客観的に物事を冷静に見つめ、目的のためには人を利用することも全く厭わない(その最たる犠牲者が香具山紫子なのだが)、あまり好感の持てない人物だが、彼の信念というか、信条が本書では意外な形で明らかになる。
常に計画的打算的に行動する保呂草自身の本当の心情は不明だが、恐らく本書でそれまで保呂草嫌いだった読者の彼に対する評価はそれまでよりも大なり小なり好感を増したのではないだろうか。実際私はそうなのだが。

ところで題名『恋恋蓮歩の演習』とはどういった意味だろうか?まず目につくのは「演習」の文字。これは前作で保呂草が盗み出すように依頼された幻の美術品「エンジェル・マヌーヴァ(天使の演習)」から想起されるのは当然だし、登場人物も各務亜樹良と関根朔太と共通していることからも繋がりを連想させる。
一方「恋恋蓮歩」という四文字。これは森氏独特のフレーズで造語かと思ったら実は「恋恋」は「思いを断ち切れず執着すること」、「恋い慕って思い切れない様」、「執着して未練がましい様」という意味で、一方の「蓮歩」は「美人の艶やかな歩み」という意味らしい。
この2つの単語を繋げたのは森氏の言葉に対する独特のセンスなのだが、つまり「恋恋蓮歩の演習」は「恋い慕って思いが募る女性が行う艶やかな歩く練習」ということになる。う~ん、そうなるとこれはやはり大笛梨絵、瀬在丸紅子ではなく、今回保呂草の計画に一役買った香具山紫子を表した題名になるのだろうか。
しかし一方で英題“A Sea Of Deceit”は“偽りの海”という意味。邦題と英題を兼ね合わせる人物はとなると大笛梨絵になるだろうか。いずれにしても色んな解釈ができる題名ではある。

最後に読み終わった後に保呂草自身のプロローグに戻ると、文字に書かれた時点で現実から乖離し、全ては虚構となる、そして全てが書かれているわけではなく、敢えて書かないで隠された事実もあるし、今回はその時点における意識をそのままの形で記述することを避けるとも謳われている。森作品、特にこのシリーズにおいてこの「書かれていること全てが本当とは限らない」というメッセージが通底しているように思われる。それはやはり保呂草潤平という謎多き人物がメインを務めているからかもしれない。
それはつまり、自分の直感を信じて読めばおのずと真実が見えてくるとも告げているように思える。ただ読むだけでなく、頭を使いなさい、と。だからこそ森ミステリには敢えて答えを云わない謎が散りばめられているのかもしれない。それこそが現実なのだからだ、と。

No.16 4点 虫暮部
(2016/08/29 11:09登録)
 最後の手紙が凄く引っ掛かった。
 “もしかしたら、/自分の子供を愛することだって、/できるかもしれない。”
 この程度の気持で養育権を勝ち取っちゃって大丈夫? この気持自体が各務に誘導された結果、ということだろうか?
 “水平の柱”はわざとらしい。梁くらい私だって判る。ミステリに於いて、犯人(というか何らかの悪意を持ったひと)のミスは相応の原因に基づくべきであって、単に手掛かりを提供する為のようなそれは好ましくない。
 また、各務がそれぞれ別のルートで接触した大笛と保呂草が既に知り合いだった、という偶然はかなり苦しい。

 他にもあちこち不自然な気がするし、そこに目を瞑れるほど面白いというわけではない。

No.15 8点 ∠渉
(2015/02/24 20:34登録)
保呂草って、人間味のあるすっげぇイイ奴でな気がするんだけど、意外と読者の反応は割れるんだよなぁ。ハツラツな奴等だらけの本シリーズにおいて一人ハードボイルドな彼はかなり損な役割な感じがするけど、森氏の愛情が強く感じられるのでこの保呂草というキャラクタは大好きだ。
そんな保呂草が森氏によって"忙殺"される本作。あまりの忙しさ(!?)に保呂草がほんの少し自身の内側を見せてくれました。でも「見せすぎない」から、読ませるわけだ。でもって作品に漂うセンチメンタリズム。そして確かなミステリィ。
毎度毎度けっこうスゴいことやってると思うんだけどなぁ~。そんな気取らないスタンスも自分好みな森作品である。

No.14 5点 まさむね
(2014/01/05 23:04登録)
 Vシリーズに「慣れている」読者にとって,真相の一部は結構分かりやすい(少なくとも,その可能性には行き当たる)ような気がします。
 その一方で,このシリーズは順番に読まないと面白味が半減する可能性もある訳で…何とも難儀なシリーズですなぁ。
 まぁ,楽しめなかった訳ではないのでこの採点としますが,正直「豪華客船」感はあまり感じなかったなぁ。何かもったいないような気もします。

No.13 4点 ムラ
(2011/09/05 17:16登録)
冒頭でネタバレをしているのでメイントリックについてはわりと簡単に看破できてしまう。
ただストーリーとしては楽しめた。サブトリックはちょっと思いつかなかったし。

No.12 6点 yoneppi
(2009/08/28 09:51登録)
このシリーズは黒猫に次いで2作目。メイントリックは気づいたけどそれなりに楽しめた。
紅子さんの魅力が足りないかな。

No.11 6点 vivi
(2008/01/17 02:28登録)
Vシリーズのキャラをちゃんとつかんでいれば、
大きなトリックの解読は難しくなかったかと思います。

豪華客船での事件ということの面白みはありますが、
解決しての爽快感はあまり無し。

キャラ読みの楽しみは、非常に高いものがありますが・・・

No.10 6点 ばやし
(2004/09/13 17:00登録)
最初に全体の内容がわかってしまったのが残念。個人的には練ちゃん大好きなので今回も楽しく読めました^^

No.9 8点 馨子
(2004/08/03 02:04登録)
読んでいる最中と読了直後はかなり楽しい感じでしたが、時間が経つにつれて物語のアラが目立つように思えてきます。アラというか、釈然としない部分というか。森氏の作品ってそういうの多い気がするなぁ…。
紫子ちゃんかわいいなぁ。七夏さんにもなんだか親しみ沸いてきた。女性キャラの方が魅力的かも。林氏はもちろん、保呂草さんもモテ過ぎなのが納得できない。

No.8 10点 yamato
(2004/07/30 17:45登録)
シリーズで一番好きです。
そういう意味で10点つけます。
前作魔剣で惹きつけられてここで最高潮といった感じです。
最後は驚きました。
もうホロクサねたには驚かないと毎回誓うのですが、またやられました。

No.7 10点 なりね
(2003/12/28 21:52登録)
最後でかなり鳥肌になった。
全てにおいて完璧だった!

No.6 5点 モトキング
(2003/12/25 16:59登録)
このトリックはもう少し早い作品で持ってくるべきだった。
本当の冒頭を読んだだけで、真相以外の可能性は考えられなかった。それほど見え透いていた。
基本的なサプライズの仕組みは、「黒猫」と同じ。
いっそのこと、黒猫の次の次ぐらいで、やってしまえば面白かったかな。
実は泥棒、よりこっちの方がサプライズだし。
…なんか、保呂草という、作者にとって非常に便利な登場人物のおかげで、こういう保呂草ネタが氾濫してますね。
ま、それが狙いでこいつを作ったんだろうけど。でも、ちょっと作者はネタ枯渇気味かね。
でも、やっとこさシリーズにハマってきた。
とりあえず、最後までは読みたい。そう思わせるキャラ達だ。

No.5 9点 四季
(2003/12/23 14:55登録)
うん!色々騙された。久しぶりに切れてました。

No.4 7点 なな さんいち
(2003/11/29 21:11登録)
ラストは読めてしまったが、そこそこ良かった。
船の上っていう雰囲気が好き。

No.3 6点 SAK
(2001/06/16 17:54登録)
予測どおりのラスト。
でも、面白く読めたのは、ようやくこのシリーズの
雰囲気に慣れてきたのかも。

No.2 5点 すー
(2001/05/18 02:13登録)
「謎」主題としての物語では無く、物語を構成する部品としての「謎」を含む物語..という事はミステリか?全体的に相変わらず薄味。

No.1 6点 蛍屋茂七
(2001/05/17 00:10登録)
良質で手堅い伏線の存在が心地よい。

19レコード表示中です 書評