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ミステリの祭典

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ユリゴコロ

作家 沼田まほかる
出版日2011年04月
平均点7.00点
書評数13人

No.13 7点 ぷちレコード
(2020/04/12 14:34登録)
主人公は、婚約者に失踪されたばかりか、母まで亡くしてしまった亮介。彼はある日、父の書斎の押し入れに四冊のノートを発見する。そこには、おぞましい告白が綴られていた。
手記の謎に迫るメインストーリーに、やがて婚約者失踪のからくりが明らかになるサブストーリーが合流し、最後に用意されている悲しくも美しい真相に驚愕必至。

No.12 7点 蟷螂の斧
(2019/02/27 18:39登録)
サイコ系で恋愛ものという不思議な感覚の作品でした。ほとんど描かれていないのですが、妹さんが一番哀れで仕方ない。

No.11 9点 VOLKS
(2018/09/24 10:30登録)
かなり満足する一冊でした。
胸くそ悪い殺人鬼の手記を読みながら進んでゆく展開なのに、何故だかとても引き込まれました。
予想が出来る展開にも関わらず読み手を引き込ませるこの手腕、とても見事だと感じます。
そしてまたもや予想通りのラストなのですが、それでも涙が溢れてきました。
終わり方も心穏やかに締め括る展開で、着地が見事だったと思います。
初めて出会った作者ですが、他の本も是非読んでみたいです。

No.10 8点 sophia
(2018/09/04 20:32登録)
いかにも女性が書きそうなドロドロした恋愛小説だなあと思って読んでいましたが、後半の急展開にやられました。「イヤミス」と呼ばれており、胸糞悪い殺人鬼の話ではあるんですが、後味は悪くないんですよね。映画「マディソン郡の橋」を思い出しました。ノートの記述だけでなく父親の告白でもフォントが変わる演出がニクい。

No.9 8点 レッドキング
(2018/05/31 21:18登録)
なんて救いのあるエンディングなんだ。

※この作家への個人的思い入れから点数にはオマケ加算。

No.8 6点 パメル
(2017/10/14 01:08登録)
ホラーやサスペンスのジャンルには、声色や体温といったものさえ伝わってくるように、人間の姿を生々しく描く作家がいる。読み手は、登場人物の隠された本性ばかりか、魂の奥底まで暴かれているような気持になり、知らず知らずおののいてしまう。そんな作家の一人がこの人だと思う。
主人公の亮介は、ある時父の書斎で奇妙なノートを見つけ、そこに書かれていた文章を読んで驚く。これを書いたのは一体誰なのか。まずは「ユリゴコロ」と呼ぶ得体の知れない思いを抱え、幼い頃から犯行を繰り返してきたと告白が小説内小説のように記されていく。これがとても具体的で真に迫っている。
内なる声に身をまかせ、落ちるところまで落ちていくかのようなおぞましい殺人者の半生がそこにある。やがて、亮介の両親に関する過去が次第に明らかになっていくとともに、亮介の恋人が失踪した事件と絡み、物語は大きく転調する。
秘められた家族の謎が明らかになるとき、驚愕せずにはおれない胸をえぐるような凄味をたたえた作品。

No.7 7点 メルカトル
(2016/06/08 22:01登録)
「ユリゴコロ」と題された殺人者の手記をめぐる謎、記述者は誰なのか、主人公が感じている母親の入れ替わりは本当にあったのか。など興味をそそられること請け合いで、さらにここではイヤミスの本領を発揮している。
また、現在進行形のストーリーにおいても謎めいた出来事が起こり、こちらも目が離せない。そしてまさかの形で過去と現在がリンクする。確かに勘のいい読者ならこのからくりに気づくことも可能だと思うが、当然私のごときぼんくらには無理な話。まんまと騙されたのである。
ある人物の変容ぶりには首を傾げたくなるが、よく読むとそのヒントはしっかり描かれているし、最終的にはハートフルな物語だと気づかされ、前半とのギャップには驚かされるばかりだ。

No.6 7点 パンやん
(2016/04/04 10:01登録)
「ユリゴコロ」と題した殺人の手記の続きが読みたくて、どんどん引っ張られほぼ一気読み!イヤミスとはいえ、読後感はさわやかで、実に気持ちいいカタルシスもあり、まほかる女史にまんまとしてやられたぁ〜である。序盤、中盤の辛く怖い描写を乗り切れればではあるが。 

No.5 7点 白い風
(2012/08/21 19:27登録)
とりあえず、本屋大賞ノミネート作品なので、図書館で予約。
殺人者の手記、それを読む主人公の心情などが独特の雰囲気を醸し出して引き込まれました。
井戸の底を覗き込んだような”ドス黒さ”は同じ女性作家の湊さんを彷彿させましたね。
ラストも意外性があって、個人的には好きな終わり方だったので、楽しめました。

No.4 6点 まさむね
(2012/06/30 23:40登録)
 手記を中心とした前半部分は,サイコ系の雰囲気も相まって,グイグイ引き込まれました。手記は誰が書いたのか,主人公との関係は…との興味を引きつつ中盤以降へ。終盤は,確かに「判りやすい」のだけれども,いやはや,個人的には,既にそっちの観点で読んでいなかったため,結構驚かされたりして…。読後の,何とも言いがたい余韻が印象的です。

No.3 6点 文生
(2012/04/10 20:47登録)
平凡な家庭で育った男が突如、見舞われる不幸の連鎖。
そんな中、実家で偶然見つけた異様な手記。
前半、その手記を中心に物語は展開されるが、狂気と屈折した情愛の入り混じった内容は衝撃的でサスペンスにも満ち、強く引き付けれるものがあった。
ただ、現実に戻ってからの終盤の展開は予定調和であり、ミステリーとしての仕掛けも見え透いていてパワーダウンを感じたのは残念。

No.2 7点 HORNET
(2012/02/11 11:29登録)
 幾人もの人を殺めた過去が告白された「ユリゴコロ」と題される手記を発見した主人公が、亡くなった母のものではと探っていくうちに、さまざまな真相が見えてくるという話。
 手記の内容が衝撃的で、主人公とともに興味をもって読み進めてしまう。たどり着いた真相は、予想しえるものではあったが、現在のストーリーともうまく絡めてあって面白い。手記の内容からはノワールの要素が強いかと思っていたが、結末に近付くにつれハートフルな要素が色濃くなっていき、読後感も良好、いい意味で裏切られる展開だった。

No.1 6点 kanamori
(2012/01/28 20:32登録)
読み始めと読み終わった時とで、これほど印象が変わる小説も珍しい。
タイトルも誤解を招きかねないが、描かれているのは”男と女”の恋愛であったり家族愛だったりします。

主人公が実家の押入れで見つけた4冊のノート、”病的殺人者の告白”がそのまま綴られた前半部は、そのノワールな内容とあわせて、誰が書いたのか?という謎でグイグイ読み進められた。
後半、手記の書き手が明らかになって、現在の物語が中心となると、テーマを読み誤っていたことに気付かされるが、やや物語の牽引力が弱まってしまった感もある。
ミステリとしては、カンのいい読者だと”多分そういう関係だろう”と察しがつく仕掛けですが、それがこの小説のキモではないのだろう。

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