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ミステリの祭典

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白夜行

作家 東野圭吾
出版日1999年08月
平均点7.92点
書評数119人

No.99 7点 バード
(2013/08/14 13:56登録)
かなり長い話だったが後半は一気に読めてしまえた、それだけ読み物として面白かったということ。この長さで面白く読みきらせるのは流石東野さんといったところ。
ミステリとしてはどんでん返しがあるわけでもないしそもそもミステリという括りではないかな。結末はある意味無難な気がする、ここでもう一波乱あればそれこそ文句のつけようはなかったのだが・・・。

No.98 6点 ナノ
(2013/07/18 12:58登録)
この本を読破したと読書感想文さえ嫌っていた10年ほど前の自分に言ったら、果たして何と言うでしょうか。
とにかく重厚な本であり、それに違わぬエピソードの応酬が印象的でした。

もちろん主要な箇所の解決は為されつつ、読者への想像の余地を残してあるあたりに東野圭吾氏の手腕を読みとることができます。
しかし正直なところ、有耶無耶、適当な場所の多さも目についてしまった為、少々残念でした。

この物量だから仕方ないという意見もあるかもですが、自ら捌ききれない物量にするのがそもそもおかしいのです。
薄くした方が無駄のない物語になり、かつ読者にも安く提供できるのですから。人狼城のような、もはや目的が摩り替った作品なら別ですが。

No.97 9点 Tetchy
(2012/09/16 20:45登録)
白夜行。なんと悲痛なタイトルか。明るくてもそれは日の光ではない。かといって安らかに眠るにはなんとも明るすぎる、中途半端な黄昏。決して無垢な光ではなく闇を孕んだ光の下で生きてきた桐原と雪穂の人生をまさに象徴している。

物語はこの2人の生い立ちを、小学校、中学校、高校とそれぞれの点描を語りながら進む。そしてお互いの人生に間接的のそれぞれの翳を滲ませながら。
それらの進行は実に訥々としている。その時2人の周囲に起こった大なり小なりの事件は決して解決されることはない。しかし断片的に語られる事件には過去に起きた事件に対するある手がかりがさりげなく溶け込まされている。このあたりの配し方が東野は実に上手い。特に252ページの雪穂の章の最後の一行には鳥肌が立ったほどだ。そんなさりげない文章で東野は桐原亮司と唐沢雪穂という二人の男女の暗黒と恐ろしさを淡々と描いていく。

母子家庭の貧民街からのし上がっていく唐沢雪穂の物語は一面を捉えれば、『マイ・フェア・レディ』ばりのサクセス・ストーリー、立身出世物語だろう。一見輝かしい人生には心を失くしたゆえの冷酷さが隠れ、彼女をいいようのしれない恐ろしい何かに変貌させた。

全ての真相を描くのがミステリだろうが、あえて書かずに読者に補完させるのもまたミステリ。一から十まで説明をする書き方もあろうが、東野氏は描写でもって読者に考えさせる(感じさせる)書き方を選んだ。行間を読むことを敢えて読者に強いたわけだ。納得がいかない、呆気ない、訳がわからないとは、本を読んで思うこと、感じること、考えることを放棄して全て作者に説明を求める幼稚な読み方でしかない。

確かに唐突に閉じられた結末ゆえに気持ちに整理の付かない自分がいる。しかしこの作品は東野氏が追求してきた人の心こそミステリの到達点の一つだろう。
そしてその後の東野氏の活躍を知る人々にとってこれがまだ通過点に過ぎなかったというのが驚きだ。恐るべし、東野。

No.96 5点 いいちこ
(2012/04/12 22:01登録)
東野圭吾の数ある作品の中でも1、2を争う評価の高い作品だが、私にとっては残念なデキと言わざるを得ない。
敢えて主人公の内面描写をせずに周囲のエピソードから迫っていくというプロットはわかる。
しかしいくらなんでも説明不足が過ぎる。
主人公がなぜあれほどまでに献身的に振る舞わなければならなかったのかが本作の主題である。
しかし、その核心に迫るものが何もない。
複数解釈を許す柔軟構造との反論もあるかもしれないが、それにしても圧倒的に説明不足すぎるだろう。
従って、あっけなさ過ぎるラストも単に置いてけぼりを喰らっただけで終わってしまった。
私の読解力不足かもしれない。
読む人によっては言い知れぬ余韻が残るのかもしれない。
だとしたら、これほどのボリュームが必要だったのかは大いに疑問。
広げるだけ広げた風呂敷が一気に畳まれるカタルシスが一向に感じられないまま、徒労感と消化不良を感じる読後感だった

No.95 10点 NAP
(2012/02/13 22:35登録)
傑作です。ドラマ見る前に読むべき!
東野さん頭いいなーって純粋に思った(笑

No.94 5点 スパイラルライフ
(2012/02/07 15:14登録)
本格ミステリではないが、確かに面白い。あの厚さを苦痛なく一気読みさせられました。

武田鉄矢って、いかりや長介ばりの渋い演技ですね。

No.93 9点 mozart
(2011/07/06 11:29登録)
書評サイトでノワール・ミステリーとされていたので、これまで敬遠してきたけれど、読み始めたら1日で読了。文句なく傑作だと思います。
二人の主人公の内面が一切露わにされていないところがこの作品のキモですね。それでも二人の接点について想像力がかき立てられるのは、彼女らの心情に関する伏線が、そこここに鏤められていることによると思います。
唯一の不満は、亮司がここまでして雪穂の「白夜行」を支えるに至った背景について、もう少し伏線が欲しかったということくらいかな(単に自分の読みが浅かっただけかも知れないけど)。

No.92 9点 つよ
(2011/05/01 22:08登録)
長いだけの価値あり。
面白かったです。

No.91 5点 misty2
(2011/04/17 22:21登録)
楽しく拝読。
残り数十頁にしてこの展開、どの様な落としかと期待大。
しかし期待は裏切られ、長編にしてこのエンディング。5点かな。

No.90 6点 HORNET
(2011/01/16 08:03登録)
 いわゆるノワールといわれる作品ですね。主人公が「悪」なので,好みによって評価が分かれる作品だとは思います。ちなみに私は全く気になりません。共感はできませんが。
 それにしてもこのサイトでのあまりの評価の高さに驚きました。確かに面白いと思いますが,私は厚さを「感じ」ました。読み進めるのに苦はないですが,読み終えてみると細部についてはあまり思い出せません。
 やはり私はフーダニットやハウダニットを主体とした,推理小説よりの東野作品のほうが好きです。

No.89 8点 ムラ
(2010/12/15 18:42登録)
長さに見合った内容で、ただひたすらぺージをめくる事が出来ました。
ところどころのさりげない伏線も上手いです。背筋がぞくりとさえしましたよ。
やはりこういった人間と人間の密接なドラマを書くのが東野さんの面白いところですわな。

No.88 7点 Q-1
(2010/12/05 02:33登録)
先にドラマを観てしまったのですが、ドラマとは主人公達の性格も異なり楽しめました。
本も分厚く何となく避けていたのですが、思い切って挑戦してよかったです。

No.87 7点 ZAto
(2010/10/17 22:01登録)
主人公たちに共感するしないは読者の感覚に委ねられている。
雪穂と亮司によって、ある者は命を奪われ、尊厳を失い踏みつけられていくのだが、
困ったことに周囲の人間がバタバタと落とされていく様を楽しむ悪意を喚起されたような気もする。
なるほど読者の立場は常に正義の側に身を置く必要はない。
ときには悪に身を染めてみるのも自由なのかもしれない。

No.86 7点 frontsan
(2010/10/05 22:48登録)
一つ一つの事件はたいしたことないのだが、全体としてはそれらがよくまとまっていた。長いわりにアッという間に読めたが、終わりがあっけなかったような気がする。

No.85 6点 ある
(2010/08/24 00:08登録)
主人公の二人の内面を描くシーンが一切ない点が魅力のひとつなのだろう。
そのため感情移入があまり出来なかったが,読み終えてみると脇役のキャラが立っているようにも感じた。
一成と江利子には幸せになって欲しかったなぁ‥。

ただ,どうしても雪穂が好きになれない。というか嫌い。
金のために人を裏切るのならまだしも,気に入らないという理由だけであれだけのことを「亮司に」させるのが可愛そうで。。

No.84 6点 まさむね
(2010/08/23 21:26登録)
文庫本を手にした第一印象が「厚い!」でしたが,読み始めれば一気読みでした。止まらないというか止められない。リーダビリティの高さは,さすがです。この点は文句なしです。
で,なぜこの点数なのかといえば,私好みのミステリから離れていたから。それだけです。わがままで,すみません。(そもそもミステリ性が高いという印象も受けませんでしたが…)
では,純粋に,2人の19年に及ぶ物語として見れば・・・どうなんでしょう?
印象に残る作品であることは異議なしですが,余韻を醸し出す結末と言ってよいのでしょうか?やや疑問です。

No.83 4点 江守森江
(2010/06/05 07:12登録)
綾瀬はるか熱愛発覚スクープを記念して!!
「容疑者Xの献身」で直木賞を受賞するまではドラマ化と相まって作者では一番売れた作品だろう(そこまでの東野マニアではないので売上の詳細は不明)
厚さの割に一気に読了させるリーダビリティの高さはさすが東野圭吾と言ったところだが、ノワール・ミステリーはミステリーの中でも嗜好外にあり、ドラマ化以前に読んでしまいスルーすれば良かったと後悔した。
基本的に東野圭吾好きなら作風の幅広さを絶賛し歓迎するのだろうが、違うので嗜好外な作品は程々にしてほしい気持ちの方が強い。
それでも懲りずに出版と同時に図書館予約に出向く流行物好きな自分に呆れる。

No.82 10点 りんちゃみ先輩
(2010/01/16 08:44登録)
親のエゴが子の心を奪ってしまった。TVドラマも良かったですが、原作は更に良いですね。亮司と雪穂の名前、それから「ササガキ」の名前、一生忘れないだろうと思います。それだけ別格な作品です。

No.81 7点 ミステリー三昧
(2009/12/31 12:52登録)
<集英社文庫>代表作として名高い大長編ノワール・ミステリーです。
きっと、この物語の最大の謎は主人公「桐原亮司」「西本雪穂」の存在だろう。主人公ではあるが(二人の視点からではなく)二人を取り囲む第三者の視点によって「二人の人生」が描かれている。それ故に「本当の姿」が掴めない構成になっている。何を思い、何を考え、何を抱えながら生きているのかが(二人を取り囲む登場人物と同様に読者も)全く分からない。リーダビリティーの根源はそのプロットの妙にあるといっても過言ではない。厚さを気にせず読めたのは二人の人生を追う過程だけでも「ミステリー」として成立しているからだと思う。
亮司の不審な行動の根本にあるものは「雪穂」だった考えられる。確かな結論は出ていないが、雪穂の「最愛の人」は亮司だと信じたい。・・・けど、ラストのセリフはあまりにも冷たい。
全く心が読めないのが、怖い。そして、悲しい。

No.80 4点 simo10
(2009/09/20 23:16登録)
本格ミステリなのだろうと勝手に思い込んで読んでしまいましたが、そんなミステリ色強くないんですね。
主人公二人を第三者の視点から描くことのみに徹する文章は、確かに主人公達に対する想像力を掻き立てられるものがありました。
とはいえ主人公達のやっていることは、方法がえげつないのはジャンル上許せるとしても、目的が私利私欲なので、読んでいて気分の良いものでなかったです。
登場人物やその特徴を一人一人メモしながら読んでいくタイプの私にとっては、増殖し続けていく登場人物達が結局何の伏線にもなっていなかったので、読後にちょっと腹立たしくもありました。(逆恨みだけど)

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