ささらさや 「ささら」シリーズ |
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作家 | 加納朋子 |
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出版日 | 2001年09月 |
平均点 | 6.83点 |
書評数 | 18人 |
No.18 | 6点 | 斎藤警部 | |
(2020/12/13 14:24登録) 「だけど赤ん坊には魔力があるからさ。」 軽犯罪と犯罪もどきと日常の謎とを解く連作短篇、全体通してのサスペンス展開もある。 前評判に照らして、何だかさっぱり泣けない話が続くなあ、と少しばかりがっかりしていたら、表題作一つ前の終盤あたりから急に何かが蠢き始めた、そして表題作の次の最終篇でやっと現れた意外性とミステリ稚気に溢れた或る”仕掛け”、これが本当に泣けたねえ。 あれもこれも全ては、亡くなった人を想う心から。 もう少し、例えば「さや」の夫を交通事故で死なせた若い女性とか、夫の友人の住職とか、郵便配達夫とか、更に言えばエリカさんの過去と現在だって、限られた文字数の中でもっと深堀りしてもいいのにとは思ったが、そこまで重くしないのが、というかそこまで文章を濃縮しないのが、いいのかも。 表紙絵と、各話冒頭のイラスト(目次にも掲載)、どちらも必ず「さや」の息子のあかちゃんがいる、これが実にいいですね。 実は、文庫の表紙絵にはサスペンス展開の鍵を握る或るモノが描かれている。。 各イラストのほうも、特に最後の二つには特別に強い意味が込められていて、読前にその意味を予想するだけでもう、じんわり来ます。 だからと言って、深い深い感動に呑み込まれる、というのとは違う。 けど、読後にはきれいな気持ちになれる、素敵な一冊です。 おばあちゃん達も、お元気で。。 |
No.17 | 7点 | まさむね | |
(2018/09/22 23:35登録) 「ああ、良いな」と単純に思わせられる連作短編集。ミステリー要素は決して濃くはないのだけれども、その使いどころも巧いですね。主人公「サヤ」を取り巻くキャラクターも魅力的で、作者の優しさを感じることができます。 一方で、「サヤ」の気弱さや頑固さ(?)を心配してしまう(というか、多少イライラしてしまう)面もございました。そう感じるのは、私が単に身勝手だからなのか、それとも中途半端に年をとってしまったからなのか。うーん、そういう意味でも考えさせられたかな。 |
No.16 | 7点 | VOLKS | |
(2018/07/03 20:12登録) ほんわか日常ミステリーというのは、非常に読みやすい文体であるか、もしくは情緒的に読み手にピタッとはまってくれる文体で書かれていないと飽きが来る。 この作品は私にとって、とても楽しかった。 一気に読ませてもらった。 時折、涙が溢れてしまうほど夢中になることか出来た。 読んで良かった~。 |
No.15 | 6点 | 臣 | |
(2013/11/22 10:26登録) 冒頭で夫が交通事故で死ぬ。乳飲み子を連れたサヤは夫の家族から逃げるように田舎町に移り住むことになるが、そこには世話好きな三婆たちが待ち構えていた。その後、いろんな謎や事件に出くわし、婆さんたちも奔走するが、最後には夫の幽霊がサヤの身近な人に憑依して、謎解きをする。 そんな話8編からなる、ほのぼの系ユーレイ・ファンタジー風連作ミステリー。 どこかで見聞きした設定だなと思っていたが、過去の書評にもあるように、それは「ゴースト」だった。幽霊が登場するファンタジーとしては、国内では「居酒屋ゆうれい」という映画があるが、これは男女が逆で、妻が幽霊。さらに古い洋画では、「天国から来たチャンピオン」というのもある。みなほのぼの感動モノで、似通った感はある。 たしかに面白いが、個人的にはそれほど得意な分野ではない。 最初の1,2編では、ただの幽霊ファンタジーからは抜け出せなかったが、しだいに伏線も手掛かりもある本格ミステリーであることが判明してちょっとワクワクした。それに長編なみのサスペンスもあった。 ミステリー度合いはともかくとして、読んで得したと思った作品だった。 |
No.14 | 6点 | 白い風 | |
(2013/07/24 22:05登録) 以前深夜でドラマを見ていたので内容は知ってました。 不思議な町佐佐良で起こる、ちょっとハートフルな短編集ですね。 シングルマザーになったサヤの周りで起きるちょっとした出来事なんだけど、加納作品のキャラはやっぱり温かいよね。 読後、ほっこり出来るのもいいね。 |
No.13 | 5点 | makomako | |
(2011/05/28 08:12登録) 女性しか書けない内容ではある。女性が書いたから奥さんを「ばかっさや」なんて呼んでいても許されるのでしょう。内気で恥ずかしがりで自分のことをはっきり表現できない女性というのはちょっとの付き合いならムードがあってよいのだがずっといたらうっとうしいことこの上ない。しかも変に頑固で理詰め話をすると黙り込んで逃げていってしまう。爺さんにも一理ある話なのに全く聞こうとしない困った嫁。爺さんの立場から言えば家族に愛されていた息子が変な女と一緒になってもう嫁の言うことしか聞かなくなった上に、急死したら嫁は孫を連れて逃げてしまい孫に会わせてもくれないといったことになると思うが(自分が爺さんだからこんなとりかたをしてしまうのです)。 こういった女性は職場にもいるのだが、放っておけないから話を聴いて、明らかに損な事をしているので止めてはどうかと余計なおせっかいをして黙りこくられる。一緒に仕事をするには本当に大変な人だが良い人手もあるのでむげにはできないし。 ミステリーの度合いは大変低いがまあほんわかとした雰囲気ではあるのでそれを味わうといったところでしょう。 |
No.12 | 4点 | ムラ | |
(2011/05/09 18:28登録) 基本的に日常ミステリ物は内容が薄くてそれほど好きじゃないのだが、この作品は単純に物語として楽しめた。 気の弱い女性に集まるばあちゃん達やギャルママの雰囲気がとてもほのぼのとしていて、それでいて実際にありそうな感じてとってもいい。 子を育てる親ってのは本当に大変なのだなと、なんだかしんみりさせてくれる作品でした。 ささらという町の雰囲気もとてもいいですね。一度は住んでみたいと思える場所でした。 |
No.11 | 5点 | メルカトル | |
(2011/05/05 22:09登録) 終始ふわふわした雰囲気に包まれていて、それを心地よいと感じるかどうかで評価が変わるだろう。 私には今ひとつピンとくるものがなかったため、辛目の評価になってしまった。 これは夫が事故で死亡し、その夫が幽霊となって妻を見守り、時には近しい人物にとり付いてちょっとした謎を解きながら彼女を救うという、ミステリと言うよりヒューマン・ストーリーだ。 それにしても主人公のさやは頼りなさ過ぎる。 その彼女を助けるべく登場するのが三婆で、この老婆達は実に個性豊かでいい味を出しているが、感情移入できるほどではなかった。 それに、なんといってもドラマチックさに欠けるのが、難点だろう。 しかし、私の嗜好に合わなかっただけで、こういった暖かみのあるほのぼのとした小説が好きに人には、十分面白いのではないかと思う。 |
No.10 | 6点 | itokin | |
(2009/03/06 20:06登録) 加納さんのメルヘンの世界ですか、ほんわかとした表現は嫌いではないのですが映画「ゴースト」とかぶさって結論も見えていることからもう一つと思いました。 |
No.9 | 8点 | なの | |
(2005/01/05 14:34登録) 『日常の謎』モノとしては、ちょっともう一つ・・・と言うか、 非常に分かり易い話ばかりなんですが、空気の清涼さが素晴らしいですね。 さやの優しさ(弱さ)にイライラしたりもしますが、 三婆たちの『ほっとけない』気持ちが良く分かります。 キャラがホントに生きてます。 しかし、旦那の家族に一発入れてやりたい(笑) |
No.8 | 10点 | む | |
(2004/10/28 05:22登録) すんごくいい!! 三婆最高!! |
No.7 | 8点 | りえ | |
(2004/06/12 23:16登録) 読後心がほんわかした。全体的にほわっとした雰囲気だが、だらだら間延びしたり、物足りないということは全くなく、一気に読ませてしまうスピード感(?)がある。刺激的なものばかり読んでいたせいか、これは新鮮だった。こういう内容でここまでよませてくれるのはすごいと思う。 |
No.6 | 8点 | もえっこ | |
(2004/02/25 22:42登録) 普段は、本格ミステリしか読まないのですが…加納さんの作品は『優しくて温かいミステリー』として、抵抗なく一気に読んでしまいました。 本格ミステリ中毒気味の方(密室、フーダニット、叙述トリック…という言葉を日常に使用してしまう方)は、毒抜きできる一冊だと思います。 …男性の方は、どういう感想をもたれるのか興味があります。 |
No.5 | 7点 | 884 | |
(2004/01/03 23:38登録) 読後感はわりかしいいです。若竹読んだ次なのでさっぴいて聞いてください(笑)。 主人公は今にも折れそうな割に心は太い、という設定に見えますが、中身もポキポキ折れそうな感じです。そんな彼女が生きていけるのは周りの悪意をスルーできる心の広さと、厚意をもらえる性格の良さでしょうか。 どうでもいいことなんですが、正直郵便配達員の兄ちゃんが話しに絡まなくてさびしいです(笑)。 |
No.4 | 8点 | 寝呆眼子 | |
(2003/05/31 18:22登録) 購入する際に、まったく逡巡しないですむ、ごく一握りの作家の一人です。 自分の子どもが、ちょうど乳児から幼児になるころに読んだので、すこし前を懐かしみながらの読書になりました。 弱そうに見えて、実は一番強いのはさやなのかな。 |
No.3 | 8点 | ao | |
(2002/06/19 15:16登録) 泣きのツボを押しまくり。加納朋子ならではの優しい物語でした。毒も痛みもあるからこそそれが際立つ。 |
No.2 | 5点 | シマネコ | |
(2002/02/21 20:08登録) 主人公ボンヤリしすぎ。ストーリーも もってまわりすぎ。加納さんの作品は やさしい語り口のなかにヒヤッとしたものが潜んでるのが好きなんですが 今回のさやのなかの刃は研がれてなかったよう。 |
No.1 | 9点 | しゃん | |
(2001/11/22 15:14登録) 柔らかな雰囲気。辛いこと、悲しいこと、汚いことを全部包み込む優しさを、この話から感じました |