皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ギザじゅうさん |
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平均点: 6.99点 | 書評数: 238件 |
No.18 | 6点 | 企画殺人- 鮎川哲也 | 2005/06/27 04:56 |
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『企画殺人』 (集英社文庫)
鮎川哲也の倒叙短編集。ただし、その出来には大いに不満が残る。使われているトリックが小粒なのは仕方がないとはいえ、「完全犯罪」に綻びができる過程もほとんど偶然のようなものが多いのがやはり不満だ。 そういった意味では「錯誤」「偽りの過去」「蟻」「墓穴」は物足りなく、「憎い風」「尾のないねずみ」はちょっと楽しめた。しかし、最後の「てんてこてん」で今までの6編をミスリーディングとした、意外な結末を持ってくるあたりには唸った。 |
No.17 | 7点 | ヴィーナスの心臓- 鮎川哲也 | 2005/03/22 13:43 |
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『ヴィーナスの心臓』(集英社文庫)
傑作フーダニット集。とはいえ、全部が全部傑作ではないが、十分面白い部類に入る。 「達也が嗤う」や「薔薇荘殺人事件」の完成度は驚異的。ややおちるが「悪魔はここに」「ヴィーナスの心臓」も良い出来ばえ。「ファラオの壺」「実験室の悲劇」もいい感じのショートショート?「山荘の死」だけネタが浅くて残念。 |
No.16 | 8点 | 偽りの墳墓- 鮎川哲也 | 2005/03/05 15:57 |
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『偽りの墳墓』(光文社文庫)
鬼貫警部シリーズ だれが犯人なのかの引っ張り方が、他の作品よりも徹底している。そのためサブトリックがなかなか多く、非常に面白い仕上がりになっている。特に電話番号のミスディレクションは上手く、ある病気が登場したときの話の展開もまた面白い。 ただし、ラストのアリバイトリック論議がやや短くも感じたのは残念。 |
No.15 | 8点 | 朱の絶筆- 鮎川哲也 | 2005/01/02 15:03 |
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りら荘と比べると、多少落ちる。 と、いきなり言うのも辛口だが、なかなか楽しめた。りら荘同様に、連続殺人を起こしておきながら無意味の殺人がなく(誤って殺したというのも無い)、伏線をしっかりと張っておくという、まさに本格という作品。アリバイトリックも鬼貫ものとはまた違った趣き。小説としても、りら荘よりも上手くなった感じもする。ラストは素っ気ない感じもしたが、十分満足。(ただし「鏡は横にひび割れて」の謎は、犯人当てにはあまり関係なかった気がしたが・・・。レッドへリング) 犯人が当てやすいのと、多少ダラダラした印象があるのが残念。 |
No.14 | 8点 | 風の証言- 鮎川哲也 | 2004/12/19 14:09 |
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この写真トリックの基本原理は、氏が以前ある短編でも使っていたのだが、それにひねりを加えたもの二つをメイン、サブトリックで使っているのがなかなか面白い。 そのうえさらに、証拠を見つけるとなると・・・。最後に明かされる謎解きの鍵が凧というのも味わい深い。よく出来た秀作。 |
No.13 | 8点 | 人それを情死と呼ぶ- 鮎川哲也 | 2004/08/10 01:43 |
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鮎川哲也初期の傑作! 事件やそれにまつわる登場人物も非常に丁寧に書き込まれているのは、好印象。 さらに、このアリバイトリックも非常に楽しめたのだが、何と言っても強烈な印象を残すラストのシーンと、このタイトルは秀逸。先に述べた登場人物なども、この美しい物語を成立させる、重要なファクターでもある。 見逃しがちだが、『黒いトランク』『黒い白鳥』『憎悪の化石』に決して見劣ることは無い。 |
No.12 | 7点 | 積木の塔- 鮎川哲也 | 2004/05/19 22:46 |
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ある事件の犯人と思しき人物が第二の事件で殺され、第三の事件が起こる。他にも犯人の動機を探るシーンも丁寧に描かれていて楽しめた。 やや短めのせいか、あっさりしすぎていたようにも感じたが、ちょっとした手がかりから謎がするすると解けていくのは読んでいて気持ちがいいものである。 鬼貫物の中では標準的な作品といってしまえば、それまでだが、やはり面白い。 |
No.11 | 7点 | 鍵孔のない扉- 鮎川哲也 | 2004/04/02 11:52 |
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『鍵孔のない扉』 (光文社文庫)
鬼貫警部シリーズ 氏の作品の中では評価があまり高くない・・・らしい。 が、犯人の巧緻極まるアリバイも充分良かったし、徹頭徹尾論理に拘るところも嬉しい限り。 ちょっとした事から謎を解く手がかりを得るのはお決まりだが、それがシデ虫や浪曲というのも面白い。 鮎川哲也中期から後期にかけての力作。 |
No.10 | 9点 | 黒いトランク- 鮎川哲也 | 2004/04/02 11:44 |
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『黒いトランク』(創元推理文庫・光文社文庫)
鬼貫警部シリーズ クロフツの『樽』正史の『蝶々殺人事件』に連なるアリバイ物の傑作! 正直言って上の二作のように死体が入れ物に詰められていて、犯人と何個もの入れ物の動きを追うとなると、頭がこんがらがってあまり好きではない。この作品も例外ではなく、トリックを完全に理解できたとは言い難い。 が、よく練られた巧緻なアリバイに、それを追う鬼貫警部、それを見てるだけでも充分面白い。時間を取ってゆっくり読むのがおすすめ。 創元版の英題が『Inspector Onitsura's Own Case』となっているのも、ファンにとって心憎い。 |
No.9 | 6点 | 砂の城- 鮎川哲也 | 2004/02/17 14:50 |
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とある刑事がアリバイ崩しに挑んで敗れた後を鬼貫警部が引き継ぐという鮎哲のゴールデンパターン・・・ながらも、今回のアリバイはさほど堅固には感じられなかった。 解決に至るプロセスも鉛筆や笹団子といった小物からヒントを得るといったパターンにも乏しかったのも残念。 単なる偶然でアリバイが立証されるというのも手落ちのようだし、丹那刑事が出てこないのも残念かな? とは言っても、充分に楽しめることは間違いない。 |
No.8 | 8点 | 死のある風景- 鮎川哲也 | 2003/10/09 00:44 |
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鮎川作品の中でもっとも丁寧に推理のプロセスを書き込んである。 些細なところから論理をどんどん組み立てる鬼貫警部は見事・・・なのだが鬼貫警部が捜査を始めてあっという間に終わってしまうのが残念。 |
No.7 | 6点 | 準急ながら- 鮎川哲也 | 2003/08/25 18:40 |
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写真にアリバイトリックがあったせいか、丹那刑事とのディスカッションが少なく感じた。 けれど、鬼貫警部の推理の過程は面白いし、コンパクトにまとまっていてよく出来ていると思う。 |
No.6 | 7点 | 死者を笞打て- 鮎川哲也 | 2003/04/13 15:23 |
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『死者を笞打て』 講談社文庫
淵屋隆夫、星野新一、三木悦子、沈舜水、多岐恭、浅野洋 酒沢左保、須磨久平、赤城一、山之沢晴雄などなど 思わずニヤリとさせられる。事件はそれほどの物でもないが、当時の推理小説界のゴシップや裏話がおもしろい。 |
No.5 | 7点 | 鮎川哲也名作選―冷凍人間- 鮎川哲也 | 2003/04/05 21:03 |
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『鮎川哲也名作選』 河出文庫
幻想、SF、ハードボイルド、ナンセンスミステリ、そして本格と初期の鮎川哲也の様々な味が楽しめる一冊。 純真無垢の『地虫』、残酷童話風の『絵のない絵本』、ハードボイルドだけどしっかり本格の『他殺にしてくれ』、パニックSFの『怪虫』と怪奇性たっぷりの『冷凍人間』のシリーズも面白い。 |
No.4 | 8点 | 憎悪の化石- 鮎川哲也 | 2003/03/24 22:37 |
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名作『黒い白鳥』と並行して書かれた作品。 ちょっとしたことから手がかりを得て推理していくアリバイ崩しの王道! メイントリックとサブトリックがあるけど、サブのほうが面白かった。 |
No.3 | 6点 | ペトロフ事件- 鮎川哲也 | 2003/02/28 12:41 |
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普通の時刻表トリック。 どちらかというとサブトリックのほうが面白かったかな。 舞台が満州というのは変わってるなぁ。 |
No.2 | 9点 | 黒い白鳥- 鮎川哲也 | 2003/02/12 23:30 |
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伏線の多さと巧みさが見事に光ってる。 鉄道を上手く利用したトリックもなかなか。 有栖川有栖による解説(創元推理文庫)も笑える。 |
No.1 | 10点 | りら荘事件- 鮎川哲也 | 2002/12/23 21:54 |
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何重もの連続殺人。そのすべての殺人で殺害方法が違ったり、細かな技が効いている豪華なつくりで、今のミステリでも使われている技がここに詰まっている。 新本格を語る上でこれは読んどかなきゃ。 |