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Tetchyさん
平均点: 6.73点 書評数: 1602件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.182 8点 犯罪は二人で- 天藤真 2008/02/11 22:55
文庫の裏表紙に書いてあるイントロダクションにあるおしどり怪盗夫婦シリーズは12編中3編しかないのでシリーズ物としなかった。
でもこのシリーズは結局犯行は不成功に終わるものばかりで最後にほろりと温かいテイストが流れるのがミソ。
最後の最後まで駄作がなかった。
天藤真は素晴らしい!

No.181 9点 雲の中の証人- 天藤真 2008/02/10 12:52
天藤版リーガル・ミステリ集とでも云おうか、9編中5編が法廷を舞台にしたミステリでそのどれもが傑作。
設定から結末まで一貫してユニークな「公平について」はもとより、中篇の表題作の何とも云えない爽快感。
「赤い鴉」、「或る殺人」の哀愁漂う結末。膨大な人生の喪失感を思わせる深い作品。
もう少しこのシリーズを読みたかった。

No.180 8点 背が高くて東大出- 天藤真 2008/02/10 00:21
粒揃いの傑作ばかり!
「日曜日は殺しの日」と「死神はコーナーに待つ」の2編は自明の理だと思われていた事件が全く予想外の証言や真相が出没することで、全く予想外の真相に行き当たる。
“日常の謎”系「父子像」やミステリアスな結末の「背面の悪魔」、ストレートな「女子校生事件」、実に深い余韻を残す「三枚の千円札」も印象深い。

No.179 7点 われら殺人者- 天藤真 2008/02/08 22:29
短編集3作目。
表題作は文庫の表紙と裏表紙の梗概からは想像できないような着地をする。
なんとも後味の悪い結末。
「崖下の家」、「悪徳の果て」はもう人間の最も厭らしい部分を見せ付けるような結末で正直、今でも震えが来る。
天藤真のダークサイドを見るような短編集だ。

No.178 6点 星を拾う男たち- 天藤真 2008/02/07 22:41
天藤真短編集2作目はまだミステリというより小噺のような感じ。
あえて1つ選ぶとすればジュヴナイル・ミステリ「白い火のゆくえ」が秀作か。
誤植切手を巡る大人・子供入り混じっての迷走や最後の意外な犯人―しかも後味が結構ビター―となかなか読ませる。
次に期待。

No.177 6点 親友記- 天藤真 2008/02/06 23:29
天藤真初期の短編集。
ミステリというより、オチのついた小噺といった方が適切かも。
個人的には「誓いの週末」が好き。
これはチェスタトンでしょう。

No.176 5点 わが師はサタン- 天藤真 2008/02/05 23:10
本書は発表当時、鷹見緋沙子名義で発表され、長らく幻の覆面作家の作品とされていたが、大谷羊太郎、草野唯雄、天藤真の共用ペンネームである事が発覚。
そしてこの作品は天藤真の手になる物。
だからかもしれないが、オカルトテイストのストーリーに正直面食らった。
結構鬼畜系の登場人物が出てくるし、後味は悪い。

No.175 7点 善人たちの夜- 天藤真 2008/02/04 22:55
ミステリというよりもシチュエーション・コメディと云った方が妥当のような物語。

危篤の床に就く親父のために偽装結婚を画策した所、思惑から外れて事は意外な方向に向かい・・・。

田舎の大地主の息子との結婚生活奮闘記のような日々苦闘する主人公二人の姿と非の打ちようがないほどの善人の弥左衛門とそれらを取り巻く気のおけない親戚どもの様子を書きたかったのだろうと思う。
でも恋人を一種理不尽な形でレンタルした修蔵の心境を考えると、結末は残酷な気もせんでもない。

No.174 7点 死角に消えた殺人者- 天藤真 2008/02/03 22:05
今回の主人公令子にどうしても感情移入できなかった。
この令子の探偵ごっこにつき合わされている感じがどうしても拭えなかった。
とはいえ、冒頭の、関係のない4人の転落死、その事件を解決すべく結成される遺族会、そして一癖も二癖もあるいかがわしいそのメンバー、結末直前のどんでん返し、そして4人が同乗して死に至った経緯のコミカルさ、など正に天藤ワールドのエッセンスが詰まってはいる。

No.173 7点 炎の背景- 天藤真 2008/02/02 14:03
ジェットコースター的逃亡劇でとにかく先の読めない話だった。
学生期のトラウマから女嫌いになったヒッピー青年と、同じく学生時代のトラウマから男嫌いになった赤軍派女性を逃亡のカップルに仕上げる辺り、心憎い。
でも最後の真相及び結末がどうにも消化不良。これは自分の好みの問題なのだろうけど。

No.172 9点 殺しへの招待- 天藤真 2008/02/01 13:55
巻措く能わず、とはこのことなのかと実感。
プロット自体は特に斬新ではなく寧ろ地味なのだが、設定や登場人物の動かし方に匠の技が効いていて、350ページ弱を思う存分、愉しませてくれる。
今回の目玉はやはり5人の男に送られた妻からの殺人予告状でこれがどの誰を指すのか判らないという点が面白い。
しかもこのあとの展開は予想外だった。
でも第3部はいらなかったんじゃないかなぁと個人的には思う。

No.171 9点 皆殺しパーティ- 天藤真 2008/01/31 23:20
題名のように7人もの死者が出るという虐殺劇。
狙われる主人公が筋金入りの色魔で大会社の社長であり、街の大権力者という読者に同情を許さない人物なのに、読後感は爽やかという天藤マジックが味わえる。
ちょっと題名がチープだけど、中身は濃いぞ!

No.170 9点 鈍い球音- 天藤真 2008/01/30 23:08
まず登場人物全てが魅力的。
次に最後の先の読めない展開。ベレー帽と髭を残して監督が失踪するという仰天の発端から次から次へと収拾がつかないくらいに事件は右往左往し、終章まで散らかりぱなしといった感じで読んでいる最中はどうなるの!?って不安になってしまったほど。
そして達者な筆捌き。ユーモアが滲み出るその文体は事件が陰惨なものであってもほのかに温かみを感じさせる。
昭和の時代のプロ野球界を舞台にしているので30勝投手とか出てくるのが時代を感じさせるけど、それもまた愛嬌でしょう。

No.169 4点 死の内幕- 天藤真 2008/01/29 23:01
タンスに頭をぶつけて、そのまま死んでしまうというお昼のサスペンスみたいな安っぽい幕開けから始まる本書。
しかしそこからでっち上げた架空の犯人とまったく同じ風貌の人物が現れてしまうという天藤氏ならではの展開に期待したのだが・・・。
意外にすんなり真相へと至り、物足りなかった。
期待値が大きすぎたかなぁ。

No.168 4点 赤い館の秘密- A・A・ミルン 2008/01/27 19:58
横溝正史が金田一耕助を創作するのにモデルにした探偵アントニー・ギリンガムが主人公の作品。
しかし、非常に牧歌的な中で物語が進むので抑揚がなく、名作といわれた本書を今読むと、単調な気がせんでもない。
『クマのプーさん』の作者がこんな探偵小説を書いていたんだと興味が湧いた人はどうぞ。

No.167 7点 陽気な容疑者たち- 天藤真 2008/01/25 22:59
デビュー作とは思えぬほど卓越した文章。
密室殺人が起こるが終始のどかなムードで物語が展開するのがこの作者の人柄が表れていて、いい。
ただ真相は第1作目にして気負いすぎの感もあり。
でも登場人物全てが良くて、ホント「陽気な容疑者たち」だった。

No.166 10点 大誘拐- 天藤真 2008/01/24 23:38
プロット、ストーリー、キャラクター、アイデア、どれをとっても超一級でしょう!
こういう面白い話をひょうひょうと書くこの作家の上手さにも感服。
まさに歴史に残る名作。
映画もよかった!

No.165 2点 カケスはカケスの森- 竹本健治 2008/01/23 13:28
ゴシック風味のミステリだが、ちょっと合わなかった。
二人称叙述が効果を上げているとは思えてないし。
解説も駄作を必死に持ち上げようとして、苦しかった。

No.164 9点 狂い壁狂い窓- 竹本健治 2008/01/22 23:31
とにかく怖かった、グロかったというのが第一印象。
やっぱ病院は怖いよ~!
おまけに竹本氏がわざわざ想像力をかき立てる言葉を選んで書いているので更に倍!
ホラーと思いきや、最後に論理的に落ち着くところが凄かった。

No.163 1点 将棋殺人事件- 竹本健治 2008/01/21 22:55
文章が合わなかったなぁ。
幻想小説風味の章と普通の章が交じり合っているが、なんとも奇妙な感じがした。
真相も今ではそう目新しい物でもないし。
今敢えて読む必要は無いのでは。

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