皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
Tetchyさん |
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平均点: 6.74点 | 書評数: 1617件 |
No.277 | 6点 | バスカヴィル家の犬- アーサー・コナン・ドイル | 2008/06/19 19:42 |
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初めて読んだのは小学4年生のころ。
児童向けにリライトされた作品で題名も『呪いの魔犬』だった。 あの時と最近になって読んだときとはやはり当然のことながら、読後感は違っていた。 ただ陳腐な内容には変わりないのだが、ここには本格ミステリの定型があり、特にそれが私が傾倒する島田氏の唱える「冒頭の幻想的な謎を結末で論理的に解明する」形式がきちんと形になっているのが興味深かった。 |
No.276 | 5点 | ループ- 鈴木光司 | 2008/06/18 19:20 |
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『リング』、『らせん』シリーズの最終作『ループ』。
しかしこの作品の評判が非常に悪いのが気になっていた。 実際映画化されたのも『らせん』止まりだし(短編集『バースデイ』から『リング0』という映画も出来たが)、あれだけ世間で大ブームを起こしたこれらの作品に比して、この『ループ』は一種のタブーめいた扱いを受けているような気がした。 で、なぜなのかは解った。 ああ、こういう風に持っていっちゃったのね、という内容だった。 これをスゴイと思うか、え~、そりゃないよ~と思うか賛否分かれると思うが、私はやっぱり前2作を楽しく読んでいただけに、この設定には壁に投げつけようかと思った。 やっぱりホラーは路地裏の暗闇とか台所の隅の暗がりみたいな部分があってこそ面白いのだなぁと今回痛感した。 最後に抱いた感想は、「ハイ、お疲れさん」でした。 |
No.275 | 5点 | 生と死の幻想- 鈴木光司 | 2008/06/17 20:08 |
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タイトルどおり、生と死をテーマにした短編集・・・と思いきや、あとがきで作者は堂々と「これは父性と母性をテーマにした短編集である」とのたまっている。
しかしどちらにしても、一貫性はない。 6編中、「闇のむこう」がよかったかな。 誰にも起こりそうな恐怖を、しかもありえる形で描いているのが怖かった。 |
No.274 | 7点 | らせん- 鈴木光司 | 2008/06/16 14:50 |
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大ヒットホラー『リング』の続編。
高山の死の謎をかつての大学時代の同級生である監察医安藤が探るといった内容。 途中『リング』と重複するところがあり、退屈したが、そこも大事な伏線だった事がわかる。 しかし結末は自作が思った以上に大ヒットした事を皮肉るような内容になっている。 しかし、やっぱやりすぎだなぁ、あの結末は。 何でもアリ過ぎる。 |
No.273 | 4点 | 四つの署名- アーサー・コナン・ドイル | 2008/06/15 20:06 |
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やはり大人になった今読むと、ここに書かれている推理が穴だらけで噴飯物であることがよく解る。
ほとんど偶然の産物だもんなぁ。 今回も推理小説の第1部より、第2部の方が面白かった。 |
No.272 | 7点 | シャーロック・ホームズの冒険- アーサー・コナン・ドイル | 2008/06/14 23:29 |
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この『シャーロック・ホームズの冒険』はオールタイム・ベスト選出に必ず上位5位の内に入る逸品ではあるが、三十路を控えた我が身にはやはり子供の頃のように純粋に愉しめたとは云えない。
やっぱり今読むと、ホームズの推理は恣意的かつ独善的に感じるし、ワトスンは医者の割にはアホじゃなかろうか?と思えるほど盲目的に見える。 でも各短編はヴァラエティに富んでいるので、推理小説というものを未体験ならば、お勧めできる。 やっぱ小学生ぐらいのときに読むのが妥当だろうな。 |
No.271 | 5点 | シャーロック・ホームズの回想- アーサー・コナン・ドイル | 2008/06/13 22:04 |
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「白銀号事件」ぐらいしか『~冒険』クラスの短編は無かったように思う。
残りは特に可もなく不可もない。 本格物ではない「最後の事件」でホームズを葬り去ろうとした、そんな作者の苦悩が窺われて興味深い。 |
No.270 | 8点 | 緋色の研究- アーサー・コナン・ドイル | 2008/06/12 19:38 |
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正直推理小説パートの前半よりも後半の西部小説のパートが非常に面白く読めた。
ミステリに対する嗜好が変化してきているのかもしれない。 しかし改めてホームズの長編を読むと、現在数多あるミステリにものすごい影響を与えているのがわかる。 特に島田荘司氏はその忠実なる愛弟子となっている。 |
No.269 | 7点 | サハラに舞う羽根- A・E・W・メイスン | 2008/06/11 11:27 |
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100年以上も前の作品だが、なんと2003年に映画化されている。
確かに文章は古めかしいかもしれないが、100年以上も前に書かれた作品とは思えぬほど、中東戦争の描写の丹念さや物語の登場人物が織り成す心の綾などが非常に丁寧に描かれ、はっきり云って21世紀に残しても遜色ない。 メイスンは本格よりもこういう歴史冒険物の方がやはり合う。もともとこっちが本家だけにこなれている。 |
No.268 | 3点 | 矢の家- A・E・W・メイスン | 2008/06/10 21:06 |
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アノー探偵が無個性で、あまり印象に残らなかった。
あと、隠し通路は真剣に謎を考えていた当方にとっては、「ズルい!」と思ってしまい、そこで興味を失ってしまった。 |
No.267 | 7点 | 絹の変容- 篠田節子 | 2008/06/09 11:13 |
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篠田節子デビュー作。たった200ページにも満たないパニック小説であるが、中身は薄っぺらな物ではなく、仕上がりは堅実。
品種改良した蚕が人間を襲うパニックの経過を発端から結末―もちろんこういうパニック小説のセオリーともいうべき、最後に一抹の不安を抱かせる結末はきちんと用意されている―まできちんと描いているのに好感が持てる。 突然変異とかで片付けなく、きちんと読者にも怪物が生まれていく様子が納得できる。 ただ冗長な作品も困るけど、あまりにコンパクトに纏めすぎて味わいが薄く感じるのも確か。贅沢な要求かもしれないが。 |
No.266 | 7点 | 仄暗い水の底から- 鈴木光司 | 2008/06/08 19:01 |
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7編の水をテーマにした連作短編ホラー集。神奈川県に住む老婆が孫娘に朝の散歩時に一週間お話をするという構成になっている。
映画化された本書。私は映画を観ていないが、恐らく最初の1編「浮遊する水」のみが映像化されたらしい。 確かにこれはおぞましい。最後に吐き気を伴います。 その他『光射す海』の後日譚である海洋奇談が1編収められており、ちょっと得した気分になる。 どれも標準はクリアしているが、やはりページ数が足りていないと感じるものもあった。 あと『楽園』、『光射す海』で使用した題材の再使用も気になる。 意外と懐小さいなぁと思ってしまった。 初めて読むなら十分楽しめる短編集です。 |
No.265 | 5点 | 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件- 麻耶雄嵩 | 2008/06/08 01:44 |
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この作者、本格ミステリのコードに対して非常に自覚的。
つまりあえてこういう裏を斯く書き方をしているようだ。 驚愕のトリックを好む本格ミステリファンを喜ばすかと思えば、それをあっさりと覆し(オイラはあのトンデモ推理が非常に気に入ったのだが)、あえてマイナーチェンジを行う。 そして最後に本格のコードでは最もありえない人物を第三の探偵に仕上げる当たり、非常に本格に対して嘲笑的だ。 だからもうこの小説には現実味なんて全然考えてないのだ。 単純に思いも知らない真相を提供し、読者の裏を斯く事こそがこの作者の目的なのだから。 みなさんの感想を読んで、あの真犯人が犯罪行えることないだろ!と突っ込んでいたのは64人中たった1人だけだったことから、もうまんまと麻耶氏の掌中に踊らされているなぁと思った。 文章については読みにくいということはあまり感じなかった。 むしろ海外古典ミステリの方が読みにくいだろう。 で、この文章が21歳が書いたとは思えないというコメントが方々で見られたが、オイラにしてみれば、これは21歳ぐらいでないと「書かない」文章だろう。 なぜならこれほどまでに言葉の使い方に無頓着な文章も、ない。 これはとにかく今までの人生で色んな書物を読んで知った難しい単語を、本当の意味、使用方法を考えもせずに、自分の知識の放出というカタルシスを得るがためだけに書かれた文章だからだ。 これはまさにコメントにもいくつか見られたように「頭でっかち」の文章だ。 そしてこれは麻耶氏の罪ではなくて、これを校正し出版する義務がある講談社の罪なのだ。 あとみなさん、このタイトルの意味解りました? 私は解りましたが。 このタイトル自体、本格ミステリ、いや小説そのものをあなどっているかのように思うのですが。 だって全然中身と関係ないですもの。 |
No.264 | 7点 | 光射す海- 鈴木光司 | 2008/06/06 19:26 |
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精神病院に運ばれた入水自殺未遂の記憶喪失の女性の正体を探るというまっとうなミステリです。
『リング』の時にも感じましたが、謎を少しずつ手掛かりを提示しながら、解き明かしていくプロセスが非常にこの作者は上手いと思います。それもなんの無理や偶然性も感じさせず、小出しに読者に提供し、ページの繰る手を休ませません。 ただ最後がねぇ、ちょっと悪趣味な感じがしました。 でも読んで時間を損した、なんては思わない作品です。 |
No.263 | 7点 | 楽園- 鈴木光司 | 2008/06/05 18:48 |
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日本ファンタジー大賞受賞作で、作者のデビュー作。
ファンタジーとはいっても、山岳小説、海洋冒険小説、そして地底洞窟への探検といったエンタテインメントがふんだんに盛り込まれているので、これはもうミステリといっても問題ないでしょう。 とはいえ、主題は1000年を越える男女の愛の物語です。輪廻転生を繰り返し、いつか再会を誓う男女は魂の奥底でどの時代においても引き合う力を感じている。『リング』というホラーで有名な作者ですが、こんなロマンティックな作品も書いていたんですね。 |
No.262 | 8点 | リング- 鈴木光司 | 2008/06/04 20:40 |
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あまりに有名なこの作品がなくてちょっとビックリ!
ホラーですが、『このミス』にもランキングしているので広義の意味でミステリと判断しました。 いやあ、これは本当に面白い作品ですね。もう謎のビデオテープの発端から、どんどん明かされていくビデオの内容の秘密、そして呪いを打ち砕くために試行錯誤する浅川と高山の冒険行。 エンタテインメントのあらゆる要素が詰まった作品です。 そして後に日本中にブームを巻き起こす貞子のキャラクター性も秀逸。 最後にどかぁーんと明かされるビデオに隠された謎は、よくよく考えると何故気付かなかったのだろう?というくらい至極当たり前な内容ですが、これも作者の手腕のなせる業でしょう。 私は映像作品は見てませんが、本書を読んで、なるほど、これは映像化向きだと得心しました。 |
No.261 | 10点 | 男たちは北へ- 風間一輝 | 2008/06/03 20:20 |
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自転車旅行を題材にしたロードノベル。作者が行った東京~青森間自転車走破の実体験に基づいているらしい。
それに自衛隊の陰謀を絡めて、単なるロードノベルに終わっていない。 そしてこの無骨な主人公桐沢の魅力にどんどん引き込まれていき、読者は彼と同化し、旅の名残を惜しむように本を閉じることだろう。 作者のデビュー作でありながら、傑作。 多分あなたも私同様、読み終わったら自転車の旅に出たくなるに違いない。 |
No.260 | 7点 | 紫苑の絆- 谷甲州 | 2008/06/02 20:18 |
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一人の男を求めて、上越国境での鉱山採掘現場からストーリーは端を発し、酷寒の信州の山中での逃亡行。そこから北海道の小樽へ移り、そして一路ロシアのウラジオストクへ。そこでは国境警備隊の一員となり、朝鮮独立運動に加担する反乱軍の討伐を頼まれ、やがてソ連内で勃発する複数の民族間闘争の荒波に否応無く飲み込まれていく。
文庫本上中下巻合わせて1,500ページ弱の壮大なストーリーなのだが、なぜか満腹感がない。 それは同じようなシーンの繰り返しが多いからだ。 色んな要素を詰め込んだにしては展開は単調である。 ただ連続ドラマにすると、かなり面白くはなりそうな題材ではある。 |
No.259 | 6点 | ジャンキー・ジャンクション- 谷甲州 | 2008/06/01 19:28 |
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単なる冒険小説と思ったらさにあらず。
なんと「口寄せ」、つまり霊との交信が物語を左右するのだ。 しかし、だからといって非現実的だと切り捨てられないところがある。 舞台はネパールの山中、つまりヒマラヤ山脈である。もっとも神に近いところであり、またネパール、チベット、インドなど、そこいらに存在する国々は神への信仰も厚い。 だからこそこういうありえないことも起きうると受け入れられる。 まあ、それと作品の出来とはまた別の話だが。 |
No.258 | 7点 | 背筋の冷たくなる話- 谷甲州 | 2008/05/31 23:38 |
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山岳冒険小説、SF小説の旗手、谷甲州が手がけたホラー短編集。この作者には珍しく、日常を舞台にしたものが多かった。
収録作の中では「鏡像」と「三人の小人と四番目の針」が個人的には好き。 まず「鏡像」は恐らく誰もが子供の頃に抱いた鏡の向こうには鏡の世界があるといった原初体験を扱っているのが面白い。 「三人の小人と四番目の針」はよくもまあ、こういうことを考えたものだと感心した。時計の針をそれぞれ家族構成に当て嵌め、語る様は非常にしっくり来ていて面白かった。 谷氏が山岳冒険小説やSF小説だけじゃなく、こんなのも書けるぞ!と高らかに唱え、証明した事が本短編集における収穫だろう。特に子供を主人公に書かせるとこんなに面白い物が出来るのかと驚いた。この路線の作品ももっと読みたい。 |