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みりんさん
平均点: 6.66点 書評数: 389件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.20 8点 顔のない肖像画- 連城三紀彦 2024/05/06 09:59
連城って長編より短編が圧倒的に有名だけど、ふつうに長編の方が面白くねって逆張りしてた。そんな逆張りの民に読んでほしい1冊。いや、短編も長編もすこぶる面白いということでこの謎バトルは決着。
情緒あふれる悲哀のミステリーを描いたり、情景描写に富んだドロドロ大正恋愛小説を描いたり、本作のようなお得意の叙情性を封印して反転命・本格魂を見せつけてくれたりと、作品ごとに印象がガラッと変わる作家ですね。趣向的には『戻り川心中』や『宵待草夜情』より『夜よ鼠たちのために』に近い感じです。とりあえずしばらくは本作を含めたこの4作が連城短編集四天王になりそうだな

潰された目 7点 反転指数50
アレが目的なら、もっと他に良い方法がありそうなもんだが…んなことはいい。久々の連城ミステリ短編は初っ端から切れ味抜群。どこか湊かなえ感がある。

美しい針 7点 反転指数65
サイコ系でちょい官能的

路上の闇 6点 反転指数30
タクシーでの心理戦は漫才みたいな感じで楽しい。かなり予想はつきやすいオチ

僕を見つけて 9点 反転指数90
特殊な誘拐もので短編にはもったいないほどの出来。いつもの叙情性をプラスして、子供の純情さを訴えかけるような悲劇の誘拐サスペンスドラマとして長編に仕立て上げれば、涙腺がイってたかもしれない。著者は誘拐の新機軸をたくさん生み出していますね

夜はもう一つの顔 7点 反転指数50
ほーこれは逆に短編で良かった。連城がよく使う種類の反転方法だが、オチをバッチリ決めてくれたので良し

孤独な関係 8点 反転指数75
ふんふんこの程度の罠、俺なら見抜けるぜ!って先読みしていた読者の先をいく一撃。脱力系だが、人によっては共感を生むかもね。

顔のない肖像画 9点 反転指数100
ええええ〜そんなのありかよ!絵に限らず収集家という性は時に本質を見失うものですよね。

No.19 4点 あじさい前線- 連城三紀彦 2024/05/05 19:08
連城三紀彦の第8長編 
なぜ1件も書評がないのか疑問に思っていたが読んで納得。ミステリ要素は皆無の完全なる自分探し小説だった(コピペ了)
離婚直後の40歳の女性が日本各地に散らばった元恋人8人に会いに旅立つ日本縦断物語です。連城といえばドロドロした男女関係を描くことが多いイメージですが、本作は全体的に薄味だと感じました。朝子や8人の元恋人の多種多様な人間模様を楽しむ小説なんでしょう。

No.18 5点 残紅- 連城三紀彦 2024/05/03 13:26
連城三紀彦の第4長編 
わりと初期作品(1985年刊行)なのに、なぜ1件も書評がないのか疑問に思っていたが読んで納得。ミステリ要素は皆無の完全なる恋愛小説だった。初期作なだけあって、文学の香りは芳醇。
あとがきによると、実在の歌人である原阿佐緒(1888-1961)の半生を脚色して小説にしたらしい。なので時代は大正。男性優位社会が根付いているこの時代に、魔性の女の悲劇的な半生を叙情あふれる文章で読ませます。恋愛小説ではありますが、心理サスペンス小説といっても良いかもしれませんね。
主人公麻緒は美しいだけでそこまで悪女ではないし、悪いのは完全に男達だけどさあ…いくらなんでもリスクヘッジができてないよ麻緒さん。まあ恋愛小説にそんなこと言い出したら話が進まないのでダメですがね。
"あれほど執着し、そのために泣いた男たちも、所詮は次の停留場まで乗り合わせるだけの客と変わらないのだった"
↑がこの物語の1番大事なところです(たぶん)

No.17 7点 どこまでも殺されて- 連城三紀彦 2024/05/02 08:18
どこまでも殺されていく僕がいる。いつまでも殺されていく僕がいる。
既に七回殺され、今まさに八回目の死を迎えようとしている男。

ここまで書くと誰しもが『七回死んだ男』を連想しますよね??「あっちよりも先なんですね」という書評を目にして、私はてっきり『七回死んだ男』の先行作品なのかと思っていたんですよ。ところがそっちではなくあっちなんですよ!!すごい!連城!すごい!変な部分で感動してしまった。

連城のわりに恋愛色薄め・ミステリ色強めの長編なので本格好きにもおすすめです。

No.16 6点 流れ星と遊んだころ- 連城三紀彦 2024/03/30 22:41
同著者『ため息の時間』『カイン』と同様にBLを含む複雑な三角関係がテーマの物語。乱歩といいミステリ作家はBL好き多め(?)
結局誰が誰を好きなのか、その矢印が中盤以降ごちゃごちゃになり、恋愛小説としてクドイ。あと後期の作品であるからか、情景描写がほとんどない(その代わりに謎の比喩表現が多い笑)。
不自然な叙述で気になって読み進めていくと、待ってましたよコレ!という感じではありますが、長編を支えるには少し物足りずsophiaさんと同意見です。

No.15 6点 螢草- 連城三紀彦 2024/03/30 12:14
「螢草」「微笑みの秋」「カイン」「選ばれた女」「翼だけの鳥たち」の5編。いずれもミステリー要素が薄く、恋愛色の強い内容です。

螢草は単子葉類で、調べたところ花弁は2枚。なので、絹も言っていたように昭次の刺青に掘られている花とは別。5枚の花弁を持つ紫の花で検索するとヒットしたのは『ツルニチソウ』。花言葉は「優しい」「楽しい思い出」「優しい追憶」「幼なじみ」など、少し物語にそぐわないので見当違いか。うーん。
ちなみに蛍草(ツユクサ)の花言葉は「僅かの楽しみ」「ひとときの幸せ」「密かな恋」で、四つ辻までの僅かな距離が夫婦の道である昭二とふみにピッタリです。

『微笑みの秋』『翼だけの鳥たち』は三角関係を含む恋愛ドラマ。『カイン』は同著者『ため息の時間』と同じような超複雑BLストーリー。『選ばれた女』はホラーテイストの脱出劇で、最後は連城らしい反転も。

No.14 6点 暗色コメディ- 連城三紀彦 2023/10/07 17:57
連城作品で、ここまで論理的で高度な謎解きには正直ビックリです。

No.13 9点 私という名の変奏曲- 連城三紀彦 2023/07/17 00:12
こ、これは美しい…… 最終章は何度も読み返すことになるだろう。
【ネタバレします】



「なぜ犯人だと思い込んでいる人物が7人も存在するのか」という魅惑的な謎の解答は読んでいる途中で薄々見え隠れするが、トリックが本題ではない。何もかもが偽物で虚飾の世界に閉じ込められた一人の女性が奏でる変奏曲を作者の流麗な筆致に酔いながら最期まで見届ける作品である。
連城三紀彦のミステリ長編はあと何作品未読なんだろうと少し楽しみが減ってきた寂しさを感じています。

No.12 6点 人間動物園- 連城三紀彦 2023/06/27 22:30
誘拐ものの面白さって個人的に犯人の難解な指示を遂行し、子供を助けることができるかどうかのハラハラ感だと思ってるんですが、本作は犯人との攻防がほぼなくて退屈でした。
その代わりに解決編は痛快も痛快。 
同作者の「造花の蜜」のオリジナルかそれとも発展形かはわからないがまさかそんな誘拐があったとは やはり連城三紀彦は人攫いのプロフェッショナルです。

「造花の蜜」の方が途中楽しめたのでこの点数で…

No.11 5点 小さな異邦人- 連城三紀彦 2023/06/18 02:31
指飾り 5点
無人駅 7点
蘭が枯れるまで 6点
冬薔薇 4点
風の誤算 4点
白雨 6点
さい涯てまで 5点
小さな異邦人 6点

なぜか目立つ行動をする女の謎を読み解く「無人駅」 交換殺人を持ちかけてきた女の真意が鍵となる「蘭が枯れるまで」 娘のいじめと32年前の事件がリークする「白雨」あたりが面白かったです。タイトルが秀逸なのは「風の誤算」「さい涯てまで」「小さな異邦人」あたりか

No.10 8点 青き犠牲- 連城三紀彦 2023/06/11 23:22
230ページでこの満足感。いまのところ連城三紀彦の長編で1番好きです。(まだ長編有名作が多数未読ですが)
ギリシャ神話に登場するオイディプス王がモチーフであり、産まれた時から"罪の血"を背負った1人の青年の倒叙物語。


ネタバレあり




と思っていたらこの反転は予想外だった。アリバイトリック、"罪の血"の意味、そして母親の18年かけた策謀(と愛情)は見事という他ない。
ただ、ラストの妊娠のくだりは唐突じゃないか?

No.9 4点 ため息の時間- 連城三紀彦 2023/06/11 15:29
あらすじ(amazonより)
敬愛するセンセイと奥さん―。僕は2人を同時に愛してしまった。雨の横浜、湖畔のホテル。危険な愛にはどんな結末が訪れるのか…新しい時代の、新しい恋愛小説。

これ評価に困る
連載小説やミステリに対する自己言及性を徹底している作品で毎章のラストに作者の注釈が載っている。その注釈はどこまでが作者の狙いでどこまでが虚構なのか、いわばメタメタしすぎて頭がこんがらがるのである。誰か解説して欲しいw
作中作自体は濃厚なBLストーリーです。作者曰くミステリとしては失敗作だそうな…

No.8 6点 わずか一しずくの血- 連城三紀彦 2023/06/10 15:26
フーダニットというよりホワイダニット つまり犯人の動機を当てるタイプのミステリですが、これを当てるのはあまりにも難解すぎる・・・ 
犯人の復讐相手は果てしなく強大すぎてこんな動機は今までに見たことがない笑 

No.7 8点 白光- 連城三紀彦 2023/06/08 21:20
ドロドロした人間関係で起こる一つの幼女殺人事件。ラストに畳み掛けるような当事者の独白には一文一文読み逃さないように、そして噛み締めるように読んでしまう。
そしてこの筆舌に尽くし難い読後感…どんどん連城三紀彦の沼にハマっていく。

No.6 6点 夏の最後の薔薇- 連城三紀彦 2023/06/07 08:04
夏の最後の薔薇 8点
薔薇色の嘘 7点
嘘は罪 8点
罪な夫婦 6点
夫婦未満 5点
満天の星 6点
星くず 4点
くずれた鍵 4点
鍵穴の光 5点
仮橋 8点
走り雨 7点
雨だれを弾く夏 7点

登場人物が全員浮気していると言っても過言ではないくらい浮気がテーマの短編集。 
「夏の最後の薔薇」「嘘は罪」「仮橋」「雨だれを弾く夏」あたりが良かったです。

No.5 5点 落日の門- 連城三紀彦 2023/06/06 00:35
ニ・ニ六事件のifが土台になった連作短編集
それぞれのお話に登場する主人公達が揃いも揃って複雑な環境・複雑な人間関係を持っていてお腹いっぱいになった。「夕かげろう」がこの中だと1番お気に入り。

No.4 7点 宵待草夜情- 連城三紀彦 2023/06/04 15:29
能師の妻 5点
野辺の露 7点
宵待草夜情 6点
花虐の賦 9点
未完の盛装 9点

連城短編の中では凡かなあと前半3作品までは思っていた。がしかしラスト二つの『花逆の賦』と『未完の盛装』は傑出している。女性の「愛憎」「悲哀」「情念」がすべて魅力的な謎となって、その真相が明かされたときには作者の筆致も相まって心を揺さぶる。そんな素晴らしい短編集です。

ところで短編集は読み終わった時、既に最初の話のオチを忘れるのってあるあるですかね。忘れやすい分再読の時に楽しめるから良いんですけど

No.3 7点 造花の蜜- 連城三紀彦 2023/06/01 00:32
蠱惑的な体と仕草で蜜蜂を簡単に魅了してしまう女王蜂。生まれつきその造花の蜜のような体質を持った女が企てた誘拐は2重3重の意味を持つ正に前代未聞のトリック。
最終章の"造花の蜜"は少し欲張りすぎたか…

短編の神様である連城三紀彦は長編でも決して劣ることのないクオリティでした。

No.2 8点 夜よ鼠たちのために- 連城三紀彦 2023/03/28 13:24
表題作と「化石の鍵」「開かれた闇」の3つが面白いです。

No.1 9点 戻り川心中- 連城三紀彦 2023/01/28 14:20
藤の香 8点 
桔梗の宿 9点 
桐の棺 7点 
白蓮の寺 9点
戻り川心中 10点
傑作短編集

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