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みりんさん
平均点: 6.66点 書評数: 385件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.245 8点 毒入りチョコレート事件- アントニイ・バークリー 2024/04/10 02:33
300ページまるまる解決編!! "推理"小説としてあまりの無駄のなさに感動を覚えるレベルでした笑
推理合戦+アンチミステリって感じで、『虚無への供物』とは皮肉る部分は異なっているけれども、通ずるところがありますね。

めっちゃ楽しめたけど、あえて不満点【以下ネタバレを含みます】

あらかじめ推理に使われる材料が揃ってから、6通りの解決を示されれば「おぉ…すげぇ…」ってなるのですが、隠された情報を後出しされて推論を立てられると、「ほーん、なるほど」程度になっちゃいます(これなんで?)
うーんでも作者がアンチミステリの部分を主張したいからこそ、あえて情報を後出しにしたと思われるので、これに関しては不満を言ってもしゃーないか… ちなみに私はシェリンガムの推理が1番好き!! 特にユースタス卿に届いたチョコレートは○○○○○で、後に犯人が○○○○○という工夫の部分は、非常に感心しました。


※あとこれ多重解決の元祖なんですね。はじめて刀城言耶シリーズを読んだ時は「この探偵すげぇ…斬新すぎんだろ…」となったけども、アントニイ・バークリーの功績だったのか。じゃあ10点満点付けないとダメな気がしてきたな。
好きになる作家が三津田信三、白井智之、方丈貴恵となぜか多重解決作家ばかりなので、元祖を読めて良かった。とりあえず、ロジャー・シェリンガムシリーズは追いかけます。

No.244 7点 押絵の奇蹟- 夢野久作 2024/04/07 22:03
『瓶詰の地獄』『ルルとミミ』に続く兄妹サーガ。
ピアニスト・トシ子の出生について、3つの解釈が提示されるリドルストーリーとなっており、謎解きが好きなら超おすすめですよ!! 夫婦児というのがすべて丸く収まる解釈ですが、私は頭メルヘン読者なので、3つの解釈の中で最もぶっ飛んでいる"押絵の奇蹟"とやらを信じたいところです。『ドグラ・マグラ』では人間は細胞単位でモノを考え、心理が遺伝するという「脳髄論」が大変衝撃的な内容でありましたが、こちらの『押絵の奇蹟』でもソチラに通ずるような新説があり(わざわざ論文調の書物まで載せて笑)、非常に楽しめました。「脳髄論」「胎児の夢」よりは説得力に欠ける内容でしたが、短編なので仕方がないでしょう。
テーマは「プラトニック・ラブは遺伝学を乗り越えられるのか」であり、夢野久作はその答えを読者に委ねている… ということにしておこう

『氷の涯』と『あやかしの鼓』は他の書評で書いたので割愛
とにかく、『押絵の奇蹟』を表題にした角川文庫グッジョブです!

No.243 4点 レベッカ- ダフネ・デュ・モーリア 2024/04/07 21:21
"どこでこわれたの oh フレンズ"
で有名な神バンド、この小説から名前とってんのかな?

こじつけておくと、この作品もマキシムとわたしが友情関係(とても短いが)から恋愛関係に発展し、ギクシャクするところから始まる。わたしがマンダレーに招かれ、先妻であるレベッカの存在に劣等感を抱くパートが長くてかなり退屈でしたね(この作品を元ネタにした泡坂妻夫『花嫁のさけび』を先に読んだせいで、展開も大体知ってたし)。
ハードカバーで600ページ弱と大長編ですが、400ページあたりから、起承転結の"転"が訪れ、ようやく面白くなってきます。
で真相とオチに関してですが、正直どちらもふーんって感じでした。結末を読んでから1章を読み返すと、ああ…そういう描写だったのねと。8時間読んだご褒美としては少し物足りなかったです。

「英米のベストセラー」「20世紀のゴシックロマン」「ミステリーの金字塔」と評価されている大名作にこんな元も子もない感想しか出てきません。情けないです。内面を深く抉るような心理描写や文学的価値が評価されている理由は大変よく分かりましたが、単なるパズルミステリーが好きな方にはおすすめできません。

あと、個人的には「マンダレー」より乱歩の『パノラマ島』の方がはるかに魅力を感じました。比較対象としておかしいかもしれませんが。

No.242 7点 花嫁のさけび- 泡坂妻夫 2024/04/04 23:40
また騙されちまった! 泡坂妻夫の騙しの業には今のところ全敗。

【直接的なネタバレはありませんが、未読の方は読まないことを推奨】

序盤はロマンス溢れる雰囲気で悪くはないが、血みどろの惨劇を求める私のような読者にとってはかなり退屈だ。しかし、恩田陸の解説によるとこれらはすべてダフネ・デュ・モーリア作の『レベッカ』という名作小説を下敷きにした壮大なミスリードだったらしい…!私のように古典の教養がないと、こういうオマージュが楽しめなかったりする(笑)
んで、その仕掛け以外の密室トリックですが、ありきたりすぎて驚きはなかったですね(気づけはしませんでしたが)
騙しの姿勢と密室トリックが相殺して6点 レベッカ読んだ自分に+1点


恩田陸が解説で、"「あっと驚くトリック」を求めて巷を徘徊する本格ミステリのファンとして読んだ時は衝撃を受けなかったが、同業に手を染めてこの作品の凄さがわかった"的なことを書いているので、玄人好みの作品だと思います。私はまだ前者です笑

結論:古典と触れ合うことは大事!

No.241 7点 危険な童話- 土屋隆夫 2024/04/02 23:26
泡坂・笹沢・連城・鮎川と続けて書評してきたので、なんとなく読むならこのタイミングだろうと思い、初の土屋隆夫作品を手に取る。

童話ってロマンチックで幻想的で意味深で夢があって好きだ。なにより、本筋とどう絡んでくるのかと期待感が膨らむ。凶器消失に無敵のアリバイ、もう面白くないわけがない。実際に童話の使い方のうまさに感心した。あと、こういう動機には弱いなあ…犯人がトリックに○○○を利用したのも、犯人なりの復讐なんでしょうね。でも、わりと魅力的だった謎が主人公木曾刑事の手によってちまちま解決されていくので、ちょっとだけ損した気分に…何も知らされていないワトソン役が語り手で、最後に探偵役が全て種明かしをする様式だったらさらに驚けたかも(笑)

とにかく、今後も継続して読むことが決定した作家さん。しかしなあ、1960〜1970年代ってこんなにもレジェンド作家達が揃っていたのに、なんで"本格"が冬の時代を迎えていたのかよく分からんな。普通に黄金期では? まあ当時のことは何も知らんので、あんまりテキトーなこと言わんとこ

No.240 6点 憎悪の化石- 鮎川哲也 2024/03/31 13:26
鬼貫警部シリーズ第二弾
【直接的なネタバレはありませんが、未読の方は読まないことを推奨】

メイントリックは超シンプル。鬼貫サンは苦戦したけど、現実の警察が少し調べたら真っ先にバレそうですねぇ… そしてアリバイトリックが露呈した時点で殺人犯と確定するため、リスクリターンが…まあ推理小説って大体そういうもんか
もうひとつのアリバイトリック(今となってはインパクト薄目だが当時なら斬新?)の方がメインで良かったのではと思います。
しかしながら島荘の吉敷竹史シリーズしかり、アリバイ崩しものはそのトリック自体より警察の地道な捜査のプロセスを楽しむものだと認識しているので十分楽しめました。中盤でアレがデカデカと載せられ、メタ的に犯人が確定してしまうことだけは勘弁してほしいが

終盤で唐突に日本の暗部にスポットが当たるのもまたこの時代の本格における一興ですね(笑)

No.239 6点 流れ星と遊んだころ- 連城三紀彦 2024/03/30 22:41
同著者『ため息の時間』『カイン』と同様にBLを含む複雑な三角関係がテーマの物語。乱歩といいミステリ作家はBL好き多め(?)
結局誰が誰を好きなのか、その矢印が中盤以降ごちゃごちゃになり、恋愛小説としてクドイ。あと後期の作品であるからか、情景描写がほとんどない(その代わりに謎の比喩表現が多い笑)。
不自然な叙述で気になって読み進めていくと、待ってましたよコレ!という感じではありますが、長編を支えるには少し物足りずsophiaさんと同意見です。

No.238 6点 螢草- 連城三紀彦 2024/03/30 12:14
「螢草」「微笑みの秋」「カイン」「選ばれた女」「翼だけの鳥たち」の5編。いずれもミステリー要素が薄く、恋愛色の強い内容です。

螢草は単子葉類で、調べたところ花弁は2枚。なので、絹も言っていたように昭次の刺青に掘られている花とは別。5枚の花弁を持つ紫の花で検索するとヒットしたのは『ツルニチソウ』。花言葉は「優しい」「楽しい思い出」「優しい追憶」「幼なじみ」など、少し物語にそぐわないので見当違いか。うーん。
ちなみに蛍草(ツユクサ)の花言葉は「僅かの楽しみ」「ひとときの幸せ」「密かな恋」で、四つ辻までの僅かな距離が夫婦の道である昭二とふみにピッタリです。

『微笑みの秋』『翼だけの鳥たち』は三角関係を含む恋愛ドラマ。『カイン』は同著者『ため息の時間』と同じような超複雑BLストーリー。『選ばれた女』はホラーテイストの脱出劇で、最後は連城らしい反転も。

No.237 7点 人喰い- 笹沢左保 2024/03/28 20:08
「犯人がとある謀略のために、徐々に時間をかけて構築した既成事実」は予想だにしていませんでしたが、これとほとんど同じものが扱われている作品を読んだことがある(私の記憶が正しければ…!)ので、衝撃というほどではありませんでした。
しかし、姉の遺書から始まって色々な事件が起こり、ずっと目を離せない展開だったので夢中になって読み進められました(3時間一気読み!)。この1960年代の経営者側の絶対的優位性や身分による自由恋愛の阻害などなど、主題の本格サスペンスの影に隠れて、興味深い要素も色々ありました。

この時代に本格ミステリを描くうえで、この世の真理みたいなものを少し混ぜるのはご愛嬌ですかね
評点は「かなり楽しめた」ということで7点の最上位

No.236 8点 湖底のまつり- 泡坂妻夫 2024/03/27 15:12
「乱れからくり」「11枚のとらんぷ」「しあわせの書」などと比べて退屈な部分がなく、これは泡坂妻夫の中でも屈指のお気に入り作品になりそうです。密室等の不可能犯罪さえあれば9点以上は確実だったと思います。
ものの見事に騙されました。アレは意味のある描写だったのですね。
これは自虐風自慢ですが、「途中でトリックが分かってしまった」系の書評が多い作品ですら、自力で気付けた試しがありません(笑) ミステリ好きとして幸せな脳細胞です。

※関係ない余談
この2重トリックの方向性で2000年代の某作品が思い浮かびました。この作品が元ネタかなあ?と思ってその作者のX(旧Twitter)で「泡坂」でキーワード抽出を行うと、なかなか心酔しておられるようで…
こじつけるには少し遠いような気もしますが、もしかしたらこの作品から着想を得たのかな…?

No.235 7点 ABC殺人事件- アガサ・クリスティー 2024/03/26 00:11
クリスティ四天王の中でも最弱と噂の『ABC殺人事件』
四天王は全てネタが分かった状態で読んだが、本作が1番楽しめたかな。ABC>そし誰>アクロイド>オリエント急行の順。まあ、いずれも衝撃が薄れた状態での評価のため、あてにならないけど。(ちなみに私の42件目の書評で、これらの作品が書評数でもTOP4に^ ^)
この手のトリックに最初に出会った時は甚く感動したなあ。某推理漫画の劇場版の作品。こうした先行作を読むことで後発作品への当時の感動が薄れてしまう現象、あるあるですよね。後発作品が先行作品を完全に凌駕していた場合には、逆の現象が起こるんですけどね。

あと、法月綸太郎の解説が良い。解説ってこのくらいの平易さがベストなんだよ、もっと担当してくれ。ABCパターンという雛形を作った功績だけでなく、本作の他の魅力についても分かりやすく述べられている。解説で触れられているABCパターンの後発作品についても(E.Q,マクロイ,ディヴァイン等)もこれからゆっくり読んでいきたいところ。

No.234 6点 告白- 湊かなえ 2024/03/24 04:46
売れっ子作家特有の抜群リーダビリティで約2時間で読み終わります。謎解き要素はほとんどありませんが面白かったです。




【以下結末を仄めかすような内容があるので未読の方は注意】




登場人物は嫌な奴しか出てこないけど、結末はイヤミスどころかスカミス(スカッとミステリ)ですね。
というか、本当に読了後に嫌な気持ちになるミステリだとしたらこんなヒットしないと思う。

追記:これを読んでスカッとするの、道徳的に人としてあまり良くないな… でも心情的には晴れやかになってしまったのだから仕方ない…

No.233 5点 人間レコード 夢野久作怪奇暗黒傑作選- 夢野久作 2024/03/24 04:30
近代日本の暗黒部分に焦点を当てた5編がセレクトされた短編集。
全て未読だったのが嬉しい


【直接的なネタバレはないが、未読の方は読まない方が良い】


笑う唖女 7点
月光が照らし出す大粒の涙にそれを見て笑う唖女。場面が容易に想像できて、恐ろしい。キキキキキキ………

人間レコード 5点
タイトル通り、記録媒体に人間を用いるというSFです。あまり話の起伏がなく、夢野久作の反共産主義思想がメイン(解説によると、ただそれだけではないらしい)。さすが右翼の大物と評されるだけあります。
「ホントの共産主義は要するに『他人のものは我が物。わが物は他人のもの』」
「ところが支那人のは違うんだ。『他人のものは我が物。我が物は我が物』と言うんだから」

これ『ドラえもん』に全く同じこと言う奴いましたね。あの台詞も実は偽共産主義への皮肉だったんでしょうか。そんなわけないか。

衝突心理 3点
これは何がテーマなのかよくわからない。ただの勘違いユーモアネタか?

巡査辞職 5点
珍しく王道探偵小説という感じで、舞台や動機は横溝風味です。

超人髭野博士 4点
珍しく100p超えの中編だが、ミステリとしてレベルは低い。
しかし、ワルである主人公(吾輩)の言動がやたら面白く、見ものである

"貴婦人と普通の女の違いは、債権に当たった奴と当たらない奴だけの違いじゃないか"


解説は朝宮運河という怪奇幻想ライターの方。
同じ作品を読んだはずなのに、読み取れる情報量にここまで差が出るものなのかと自分が不甲斐なくなるくらい良い解説。このサイトで他の方の書評を読んでも同じことを感じていますが笑

No.232 8点 六人の嘘つきな大学生- 浅倉秋成 2024/03/20 13:21
私にとって、心の底から素晴らしいと思えた作品に出会えました。
就職活動がほぼ終わったので、ようやく本作品を楽しめる心理状態になりました。普段はこういう"社会への警鐘系"の説教くさい作品が全く刺さらない私ですが、当事者として大変共感が得られる作品でした。

大学院に入学したのも束の間、就活の超早期化により5月から就活は始まります。
毎日大学に通い、研究活動に力を入れたものが損をする。就職活動のために大学に一切来ず、研究活動を疎かにする学生ほど内定を得る。私の周りではありふれた光景です。果たして企業は学生の何を見ているのか甚だ疑問と言わざるを得ません。
そんな就活に対する私の1年間の鬱憤を晴らすような秀作でした。なんて、まだ社会を知らない私の青臭い意見だと温かい目で見守ってください。


【ネタバレがあります】




こんなのは就活で拗らせた私だけだと思いますが、この犯人の動機は10000000%理解できます。今年出会った犯人の中で、最も納得のいく動機でした(笑)
ただそれだけに、最後の実はみ〜んな○○奴でした路線はあまり好ましくないのです。しかし、これは私の考えと作品のテーマが最後の最後に微妙にズレてしまったというだけであって、エンターテイメントとして優れた作品であることは間違い無いです。映画が楽しみですね。

上記の理由から、ミステリとしてというよりは就活への警鐘の部分の方が楽しめたので、私もこの作品は社会派に投票します。

No.231 8点 オリエント急行の殺人- アガサ・クリスティー 2024/03/20 13:15
人生で初めて読んだミステリ長編は『Yの悲劇』で短編はホームズ。でも、人生初のミステリー(映像作品)はこの『オリエント急行殺人事件』なので思い入れのある作品。まあ、1974年の本国の映画の方ではなく、松嶋菜々子が主演の邦ドラの方なんですけどね・・・そして親に途中でネタバレされましたが(笑)

いまさら原作を読む。まあ当然ではあるが、ネタを知ってから読むと少し退屈。これを何も知らずに読めた方は幸せでしょう。しかし、この作品を機にたくさんのミステリと出会えたので8点未満はどうしても付けられません。

No.230 9点 球形の荒野- 松本清張 2024/03/20 13:14
年末に松本清張が大好きな祖母と話す機会があった。祖母の選ぶ清張ベスト3は
1位『球形の荒野』
2位『張込み』
3位『ゼロの焦点』である

2位と3位はたびたび他作品と入れ変わるそうだが、1位はずっと不動だと言っていた。
ということで3作品を祖母から借りて読んでみた。(『球形の荒野』は知人に貸したまま戻ってこないらしくて、借りられなかったが笑)

お得意の人間ドラマだけでなく、サスペンスとしても優秀で、退屈しません。多少の瑕疵を吹き飛ばすほどのラストシーンは余韻がすごいです。名作とはこうあってほしいなという思いを強くしたところです。
作品のテーマなどは他の方の書評をご覧になると良いと思います。私には書けません(笑)

祖母への感謝を込めて+1点


【以下ネタバレ感想】



下巻の半分あたりからは怒涛の勢いで読み進まさせられた。とある人物Aが芦村亮一との長いやりとりの中で久美子への心情を吐露するシーンが印象に残っています。果たして元妻孝子はこのまま一生報われないのか。そこだけが心残りです。
ドラマがあるそうで、ぜひ見てみたいですね。京都が舞台ならなおさら…

No.229 6点 張込み- 松本清張 2024/03/20 13:12
【直接的なネタバレはないが、未読の方は読まない方が良い】

張込み 5点
犯人の男の方ではなく、張込みを通して浮かび上がってくる女の内面が主題。こういうのをあまり読んだことがないので新鮮。
 
顔 7点
面白い。とにかく読ませる。「片方がうまくいくと、もう片方の悪事が露呈するかもしれない」みたいなジレンマ、規模は違えど、誰しも一度は経験ありますよね(たぶん)。

声 4点
珍しくトリック的中。

地方紙を買う女 7点
地方紙を買っただけなのに・・・
イイなあこれ 最後の手紙もgood

鬼畜 6点
非常に匂わせる…とにかく匂わせつつ、何も明かされないまま終わる。 他の方の書評によると映画では"その後"も描かれているらしい。気になる。

一年半待て 8点
女性の悲劇的な半生からどんでん返し2捻りまでが無駄なく凝縮されたお話。これぞ短編のお手本とも呼べる一作。

投影 4点
1番トリックらしいトリックが出てくる。題材にあまり興味を持てなかったので…

カルネアデスの舟板 7点
あまりにも身勝手すぎる男。「カルネアデスの舟板」になぞらえる資格はないだろうと突っ込みたくなるほど、殺人の合理性が一切ない。でも不条理の絡み合いらしいので仕方がない。

No.228 7点 ゼロの焦点- 松本清張 2024/03/20 13:11
一物語として面白いです。リアリティを出すための添物として社会の有様を描いているだけで、問題提起が主題にある他の社会派小説とは似て非なるモノだと思いました。
というか自分が全然知らないだけで"社会派"って本来はこちらのタイプの方が多いのかな。だとしたら社会派って誤解を生むカテゴリ分けだなあと…(いや勝手に誤解をしていたのは私の方ですが)

とにかく、一時代を築いた作家の力量を見せつけられたのでした。


社会派推理小説?
ああ、アレね。「日本社会に警鐘を鳴らさないと…」って謎の脅迫観念に駆られた作者が、ソレを意識した"お誂え向きな設定"と作者の主張を代弁させるための"説教臭いキャラ"が出てくる小説でしょ?

と知ったかぶっている私のようなヤツに本作品を読ませましょう。他に存在するかは分かりませんが

No.227 9点 エレファントヘッド- 白井智之 2024/02/12 01:30
年末に本サイトの「みんな教えて」機能にて、よんさん主催の「このミス予想」というとても楽しい企画がありましたね。私はそこで参加者9人のなかで単独最下位を取ってしまいました( ; ; )  そんな私でも読む前から明らかに異彩を放っていた『エレファントヘッド』は的中させましたよ。ドヤ

【ネタバレあります】


白井智之作品は謎解き以外の無駄が一切なく(ほんとか?)、純粋なパズラーとしての密度が尋常じゃないくらい高い。それ+特殊設定のせいで読んでいる間は疲れるけれど、そんな疲れを吹き飛ばすカタルシスがある。今回でいえば最後に明かされるアレがそう。
白井作品史上最高のトリックなだけでなく、特殊設定ミステリ史上最高にして最恐のトリックと言っても過言ではない(はず!)。
ただ、エンタメとしての面白さももちろん保証するが、こんなことを思いつく作者への畏怖が勝ってしまうなあ。シスマ打って読む前に戻りてぇ…
でもハウとホワイのバランスを考えると『名探偵のいけにえ』の方が好みかな。白井作品制覇記念に10点満点にしておこう。

No.226 7点 おやすみ人面瘡- 白井智之 2024/02/09 03:01
うーん面白い。これ3作目なんだねぇ…
3作品続けてこんなに面白いと、作家に対する信頼みたいなものを感じはじめる頃だろうか。本作品まで読まずとも、『人間の顔は食べづらい』『東京結合人間』あたりで既にとんでもない作家が来たと期待感に溢れている当時のレビューを読むとニヤニヤしてしまう。本サイトの楽しみ方の1つ。

【ネタバレあります】






まず、人面瘡の設定は発症した"人間"の生涯を思うと精神的に辛くなるなあ。フィクションだけど、これだけで色々妄想してしまう… この設定が今回の謎解きにどう関わってくるのかはずっと不思議だった。
中学生パートは友情・青春・辛酸。キャラクターが中学生でも、この作者は容赦のない仕打ちを用意します。また、中学生4人が容疑者となって開かれた推理合戦では、意外な探偵役が場を引っ掻き回し、二転三転する真相。一見どれも筋が通っているように見えるのがこの作者の凄いところ。
意外な犯人と救われない結末に+2点

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島田荘司(20)
江戸川乱歩(17)
エドガー・アラン・ポー(15)
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