皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ サスペンス ] 悪い夏 |
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染井為人 | 出版月: 2017年09月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
![]() KADOKAWA 2017年09月 |
![]() KADOKAWA 2020年09月 |
No.2 | 6点 | E-BANKER | 2024/12/05 14:08 |
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第37回の横溝ミステリ大賞受賞作。なのだが、横溝ミステリ大賞作品って、今まで読んでたかなぁ・・・?
鮎川哲也賞や江戸川乱歩賞に比べると、どうにも影が薄い気がしてしまう。 そんなこんなで作者のデビュー長編。2017年の発表。 ~26歳の守は生活保護受給者(ケース)のもとを回るケースワーカー。同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースの女性に肉体関係を迫っていると知った守は、真相を確かめようと女性の家を訪ねる。しかし、その出会いをきっかけに普通の世界から足を踏み外して・・・。生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出を目論む地方ヤクザ。加速する負の連鎖が守を壮絶な悲劇へと叩き落す!~ 紹介文を参照しながら序盤を読んでいると、奥田英朗の「最悪」「無理」「邪魔」の三部作と似たプロットだなーと感じていた。主人公を含め何人かの不幸ごとを抱えた小市民たちが、それぞれに巻き込まれた事件、事故。当初はひとりずつだったものが、徐々に川の流れのように合流していき、何とも言えない偶然の結果、臨界点とでもいうべき”大クラッシュ”を迎えてしまう・・・そんな筋立て。 確かにそんな感じで物語は進行していく。ただ、奥田作品ではそれまで全く接点を持っていなかった人物たちが徐々に絡み合っていくのに対して、本作は普段からある程度「知った仲」、緩いながら同じコミュニティにいる人々であるのが異なる。 そして、最終的にはもの凄い「不幸」が待ってるんだろうなあーと予想しながら、その「臨界点」を待つことに。 で、迎えた終章。うーん。もの凄い「不幸」である。こんな偶然ある?っていうのは野暮なことで、これありきのプロットですから。 あとがきで、作者は「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」というかのチャップリンの言葉を引用している。なるほど、この言葉を下敷きに本作を書いたとすれば、なかなかに体現できている。 ほんと、デビュー作とは思えないほど滑らかな筆致と、読者を引き込む腕前である。 ただひとつ、難癖をつけるならば、中盤から終盤にかけての「加速感の不足」と「滑らかすぎる」ことか。まあこれも重箱のスミ的なものではある。 キャラも立ってるし、映像化向きなのも間違いなし。 |
No.1 | 6点 | みりん | 2024/08/04 13:25 |
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著者のデビュー作&横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作とのことです。見どころは不正受給者・シングルマザー・公務員・ヤクザなど多様な人間たちがそれぞれの思惑で交錯し、破滅へ向かうさま。話の内容自体は重く絶望的だが、第三者から見ると少し滑稽に移るので、ドタバタサスペンスみたいな感じ。現行の生活保護制度に対する警鐘がまさか散々悪事を働いたアウトロー人間から語られるというのが面白い。最近読んだ伊坂幸太郎のグラスホッパーが好きな方は合いそう。 |