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レッドキングさん
平均点: 5.25点 書評数: 816件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.88 3点 殺人をもう一度- アガサ・クリスティー 2022/08/28 19:58
人間存在の本質は実存(≒自由)だから、トリックやロジックのミステリコードで拘束されない限り、誰にも殺人者となる可能性があり、どんな物語も在り得る。あとは、その物語が各読者の趣味に合うか否かだけで・・(自分は否やね)
ところで「五匹の子豚」、真犯人は記憶にあるままだが、他のキャラ達、こんなだったっけ?・・読み返そかな

No.87 4点 アクナーテン- アガサ・クリスティー 2022/07/20 20:50
気の遠くなるような古代エジプト史においても、極めてユニークな王:アクナーテン=アメンホテプⅣ世。一神教・・存在論的唯一神ではなく太陽神拝一主義レベルだが・・による多神教排除を推し進め、支配階級のアメン神官達を弾圧し、遷都を強行し、新たな文化形態まで創造しながら、一代で反動の海に消滅してしまった革命の王。太陽神アテンの理想「愛と平和と非戦」・・ジョン・レノンかガンジーかクエーカー教徒か日本国9条か・・の理想に焼き尽くされた、そんな王を主役にした歴史ミステリ(て呼ぶにはチト・・まいいや)三幕劇。上演完了には3、4時間かかりそ。王の娘婿に、ツタンカーメンてなポピュラーネームも登場。
※ところでフロイトは、聖書の唯一神ヤハウェの元ネタが、この太陽神アテンだった説を唱えてる。

No.86 7点 検察側の証人- アガサ・クリスティー 2022/07/19 19:08
愛する妻の証言は、眉に唾つけられるが、憎むべき情婦の「暴かれた証言」は、決定的な証拠として認められ・・・
「死の猟犬」に収められた短編小説は素晴らしかった。先方より売り込まれて来た物よりも、嗅ぎ出して分捕ってきた物の方に価値を見出す探偵心理が、この戯曲ではイマイチ欠けて、さらにあのラストがくどくて、2点ほど減点。

No.85 5点 海浜の午後- アガサ・クリスティー 2022/07/17 18:05
クリスティーの一幕物戯曲三篇
  「海浜の午後」 海辺に並ぶリゾート小屋を舞台に、宝石盗難を廻るキャラドンデン返し劇。5点
  「患者」 ダイイングでなくインジャードメッセージ犯人告発からの・・でーも、当てられるはずないなあ。7点
  「ねずみたち」 櫃の中の夫の死体、一緒に密室に封鎖された妻と妻の愛人。「~櫃」シリーズやね。5点

No.84 5点 招かれざる客- アガサ・クリスティー 2022/07/06 20:50
殺人現場に予告なく現れた男。射殺された下半身不随の当主。妻・母・知恵遅れ異母弟・妻の愛人・看護婦・執事・・それぞれのワケありドラマ巻き込んで、Whoダニット解決が多重にツイスト展開したあげく・・ラストおちネタは、ちと、クド過ぎかな・・その直前で、招かれざる客=謎の未詳で留めた方が含蓄あった。
「女は強いものよ。男が殺人者でも気持ちは変わらない。でも、男の心ってのは脆く、女が人を殺したと知ると・・」

No.83 4点 ねずみとり- アガサ・クリスティー 2022/07/05 20:20
クリスティー戯曲のト書きの、なんという詳細さ執拗さ。台詞外の役者アクトにまで指示の支配を広げまくって。
戯曲家 vs 演出家・役者だけでなく、指揮者・演奏者に対する作曲家にも、いろんなタイプがあるだろうな・・とあまり関係ないことまで連想してしまった。ところで、この戯曲、中編「三匹の盲目のねずみ」と評価は変わらなかった・・が、舞台ロングラン記録に敬意を表し、点数オマケ付けちゃう。

No.82 6点 蜘蛛の巣- アガサ・クリスティー 2022/07/03 18:04
才色兼備で機知溢れるヒロインと、外交官の夫・傷心少女・貴族叔父・判事・秘書・警部・奇矯な中年女庭師が、殺人屍体隠蔽を巡るドタバタサスペンスを展開し、外交ドラマ・秘密文書謎解きまで巻き込んで、Whoダニットミステリ舞台がツイストし、鮮やかに収束する、面白い。

No.81 3点 ブラック・コーヒー- アガサ・クリスティー 2022/07/02 17:50
学者・教授がメインの戯曲二つ
 「ブラック・コーヒー」 クリスティー処女戯曲。ブラック=毒入りのコーヒーてなブラックな標題なのね。
           いかにもなダミーキャラともかく、” ~はポケットから錠剤を出して、コーヒーカップに入れ"
           なんて、当然に捻り伏線だろ思ってたら・・・逆に驚いた。3点
 「評決」 亡命モテ男教授の観念の信念が、周りの女たちを不幸の渦に巻き込んで・・(採点対象外)

No.80 6点 マン島の黄金- アガサ・クリスティー 2022/05/25 06:01
アガサ・クリスティー第十四短編集。  死後出版の拾遺集といったところらしい。
  「夢の家」 死に至る夢、神秘という病、狂気への狂喜が禍々しいまでに美しく ・・(採点対象外)
  「女優」 恐喝男へのトラップが、読者へのトリックへと側転し・・6点
  「崖縁」 嫉妬と自我理想、抑制と嗜虐、心の地獄の縁を超えてしまった女。(採点対象外) 
  「クリスマスの冒険」 プディングが付いていない分、あの中編よりもタイトに。4点
  「孤独な神」 地味な神像・・日本ならお地蔵さんかな・・に魅せられた孤独な男女の童話。(採点対象外) 
  「マン島の黄金」 これまた「黄金虫」。このてのやつは・・好みの分かれるところかな・・2点
  「壁の中」 画家の男を廻る二人の女。信じ難いまでの献身と、捨身に至る程の支配。(オマケして)7点。
  「光がある間は」 このてのやつは・・どうでもいいや。(採点対象外)
  「クィン氏のティーセット」 短編にちょっとした年代記ぶち込んで、あのトリックネタ付いて・・4点
  「白木蓮の花」 不倫においても妻としての義務においても、嫋やかな倫理を貫いた女。(採点対象外)
  「愛犬の死」 老犬と暮らす困窮極まった女のお伽話。(採点対象外)
大半が採点対象ミステリに「非ず」の作品集。 「夢の家」は「翼の呼ぶ声」に次ぐ程に素晴しい。オマケして全体で6点。

No.79 5点 クリスマス・プディングの冒険- アガサ・クリスティー 2022/05/21 19:07
アガサ・クリスティー第十三短編(といっても半分は中編)集。
  「クリスマスプディングの冒険」 いかにも、非カトリック的な英米的な、クリスマスちょっといい話ミステリ。4点
  「スペイン櫃の秘密」 「バグダッド櫃」と同骨格どころか同プロット。多少、ヒロインにキャラ肉付け。6点
  「負け犬」 無意識の証言からの犯人解明。タイトルまんまの真犯人、捻りの無い所がむしろ・・・5点
  「二十四羽の黒つぐみ」 古時計の様な来店メニュー習慣を破って死んだ老人の謎。5点
  「夢」 カー「妖魔の森の家」同様、名探偵をアリバイ利用する身の程知らずな犯行。5点
  「グリーンショウ氏の阿房宮」 「バカ建物」相続を廻る弓矢殺人。逆密室トリック付きが嬉しい。7点
※作者の前書きには異議あり、「グリーンショウ氏の~」がメインディッシュで、「スペイン櫃」はセミファイナル。

No.78 4点 教会で死んだ男- アガサ・クリスティー 2022/05/16 06:41
アガサ・クリスティー第十二短編集。  なんか、既視感あるネタが目立ってきて・・
  「戦勝記念舞踏会事件」 入れ代りアリバイトリック。ピエロ・ピエレット・アルルカン・・分かりづらい。4点。
  「潜水艦の設計図」 また機密文書ネタ。卓上からの瞬時消失って、「信じがたい盗難」のまんまでなくね? 3点。
  「クラブのキング」 ブルジョア邸宅に闖入した王族の愛人ダンサー。彼女の恐喝男は撲殺されていて・・3点。
  「マーケットベイジングの謎」 これ、あの「密室自殺に見せかけた他殺・・に見せかけた・・」ネタのまんま・5点
  「二重のてがかり」 金庫からの宝石盗難事件。手掛かりが二つも揃うと・ワザとらしく・・ 2点。
  「呪われた相続人」 一族伝承の呪いに纏わる相続人連続死と怪事件・・ラスト一言の衝撃は・・イマイチ 4点。
  「コーンウォールの謎」 夫の自分への毒殺意志を疑う女・・これまた既視感あるネタで・・4点。
  「プリスマ行き急行列車」列車の座席下に押し込まれてた女の刺殺死体。まーた既視感溢れるトリックで・・5点。
  「料理人の失踪」 瀟洒な住宅街の使用人女シェフの失踪。「赤毛組合」にチョビッと「樽」をぶち込んで・・6点。
  「二重の罪」 おお、美術品売却でダブルに稼ぐって、んなクールでファンキーな手口あんのか・・5点。
  「スズメ蜂の巣」 大量殺人後の「犯人は初めから分ってた」名探偵セリフに反発したか、殺人予防ポワロ。3点。
  「洋裁店の人形」 ひんやりと ミステリアスだが ミステリでなく・・(採点対象外)
  「教会で死んだ男」 宝石の如きステンドグランスの下で死んだ脱獄者。秘められた救済譚エンドがグッド。5点。
で、全体平均して、(4+3+3+5+2+4+4+5+6+5+3+5)÷12=4.0833…、4点。

No.77 5点 愛の探偵たち- アガサ・クリスティー 2022/05/12 11:01
アガサ・クリスティー第十一短編集
  「三匹の盲目のねずみ」雪中孤絶の宿の7人。犯人、ターゲットWho? 戯曲「ねずみとり」の前バージョン。3点。
  「奇妙な冗談」 これもクリスティー版「黄金虫」。オチともかく、いんぐりっしゅ分らんと・・つまらん。2点。
  「巻き尺殺人」 落ちていた針1本から、殺人容疑の噂を被る人物を救出するミス・マープルのロジック。5点。
  「完璧なメイドの事件」 「家政婦のミタ」の如く完璧なメイドは、完璧な怪盗だった・・その正体は・・7点。
  「管理人事件」 医師のミステリ原稿(クリスティー十八番トリックエッセンス)を解釈するミス・マープル。7点。
  「四階のフラット」 ずいぶんと手の込んだ仕掛けの割には・・得られる驚き効果イマイチ。4点。
  「ジョニーウェイバリーの冒険」名家の予告身代金誘拐・・情状酌量余地はあるが・・無罪放免て訳には・・4点。
  「愛の探偵たち」 中世の絵に描いた様な互いの罪を庇いあう恋人たち・・からの・・6点。
で、全体を平均して、(3+2+5+7+7+4+4+6)÷8=4.75、5点。

No.76 5点 ヘラクレスの冒険- アガサ・クリスティー 2022/05/09 19:25
アガサ・クリスティー第十短編集 ヘラクレス(=エルキュール)12の試練に擬え(チト無理あるが‥)た、12短編。
  「ネメアのライオン」 愛犬の連続身代金誘拐事件の真相は・・5点。
  「レルネーのヒドラ」 医師を追い詰める妻毒殺疑惑の噂の真相は・・4点。
  「アルカディアの鹿」 アポロの如き美青年が一目惚れした運命の女神の正体は・・4点。
  「エルマントスの猪」 アルプスのホテルに閉じ込められた10人から、ギャングボスを探し出す使命。6点。
  「アウゲイアス王の大牛舎」下ネタは政談に勝り、汚し而して洗い、清めの反作用バツグン・(採点対象外)
  「スチュムパロスの鳥」 東欧のホテルで窮地に陥る母娘と青年政治家。入代りトリック鮮やかに・・7点。
  「クレタ島の雄牛」 狂気の血が己に流れていると思い込む男と、救いを求める女、背景や如何に・・6点。
  「ディオメデスの馬」 痛風病み元将軍と4人の奔放娘。コカイン事件との曰くや如何に。4点。
  「ヒッポリュテの帯」 名画盗難に、走行列車からの少女消失が絡んで・・8点。
  「ゲリュオンの牛たち」 カルト教祖と教団に罠を仕掛けるべくポワロの手駒となる女。3点。
  「ヘスペリス達の林檎」 毒殺に血塗られた宝飾酒杯の失踪を巡るちょっといい話・・2点。
  「ケルベロスの捕獲」 ロシア貴婦人経営のクラブ"地獄"、展開する怪犬とコカインと宝石の豪華ドタバタ。5点
で、平均で、(5+4+4+6+7+6+4+8+3+2+5)÷11=4.9090‥5点。

No.75 6点 黄色いアイリス- アガサ・クリスティー 2022/05/05 13:04
アガサ・クリスティー第九短編集。
  「レガッタの事件」 室内から完全消失したダイヤ(「レガッタ」あまり関係なかったなあ)・・7点。
  「バグダッド大櫃の謎」 櫃の中で発見された刺殺死体のどんでん返しWhoHow。6点。
  「あなたの庭はどんな庭?」 老婆毒殺巡って・・これまたマザーグース物と言えるのかな。3点。
  「ポリェンサ湾の問題」 マザコン息子でなくサンコン母親の問題の解決如何に・・(採点対象外)
  「黄色いアイリス」 四年越しに再現された毒殺事件。新事件の鮮やかな解決と旧事件の多重解釈の余韻。6点。
  「ミス・マープルの思い出話」 あたう限り少数人物・小数頁の密室殺人トリック。8点。
  「仄暗い鏡の中に」 殺意に至る嫉妬と改心のホラーファンタジー、素晴らしい!(採点対象外)
  「船上の事件」 おお、「踊る一寸法師」展開?・・て思った通りの展開に、アリバイトリック付き。7点。
  「二度目のゴング」 中編「死人の鏡」の前ヴァージョンか習作てとこやね。キャラ一人出てこんし。4点。
で、平均して、(7+6+3+6+8+7+4)÷7=5.8571… 6点。

No.74 7点 死人の鏡- アガサ・クリスティー 2022/05/02 18:41
アガサ・クリスティー第八短(中)編集。 意外に「拾い物」の傑作揃い。
  「厩舎街の殺人」密室に銃を持った死体 → 「自殺だな」 「いや自殺に見せかけた射殺」「~と見せかけた・・」 ・7点
  「信じがたい盗難」  クリスティーに時々出てくる国際スパイネタの機密書類盗難事件。3点。
  「死人の鏡」 クリスティーには珍しや見取図付き密室殺人。絵に描いた様な本格中編。7点。
  「ロードス島の三角形」 十八番の人間関係トリックと、四角形の二重三角形の鮮やかな要の移転。8点。
で、全体・・平均でなく・・で7点。

No.73 5点 パーカー・パイン登場- アガサ・クリスティー 2022/04/29 17:40
アガサ・クリスティー第七短編集。 「良い喪黒福造」パーカー・パインが、"あなたの心の隙間を埋めます。"・・・
  「中年婦人の場合」 幻と分っていて、身の程もわきまえていて、それでも、なお、夢に陥る中年男女・2点。
  「退屈な軍人の場合」 平穏な日常より、スリルとサスペンスとロマンを希求する男女に起こる「事件」。3点。
  「困り果てた夫人の場合」 「模造ダイヤにすり替えた本物ダイヤの返還」依頼・・からの・・4点。
  「不満な夫の場合」 クリスティー作品にしばしば顔出す、支配と被虐の男女のサガと壁・・3点。 
  「事務職員の場合」 平穏かつ忍従な勤め人に与えられる「ばーちゃる」な冒険と浪漫。2点。
  「富豪女の場合」 有り余る富を得た苦労人女。失った価値と取り戻す黄金の日々・・「杜子春」みたい・・7点。
※この後の六編は、"パーカー・パイン西アジア旅行ミステリー" てな
  「あなたは望む物全てを得たか?」 走行列車からの宝石消失トリックと男女関係の機微・・7点。
  「バグダッドの門」 砂漠を走る車内での殺人、容疑者10人のWhoHowWhy 5点。
  「シーラーズの家」 ペルシア末裔の荒地の町で暮らす英国女の秘密。4点。
  「高価な真珠」 砂漠の荒地を歩行探索する一行に起きる真珠盗難事件の顛末。3点。
  「ナイルに死す」 ナイル航行の船内で毒殺される傲慢な中年女。夫・姪・若い男・看護婦・・犯人Who 5点。 
  「デルファイの神託」 身代宝石誘拐事件のHow・・からのツイスト・・じょじゅつトリックやねえ。6点。
で、平均して、(2+3+4+3+2+7+7+5+4+3+5+6)÷12=4.25、オマケして5点。

No.72 5点 リスタデール卿の謎- アガサ・クリスティー 2022/04/18 18:47
アガサ・クリスティー第六短編集。ノンシリーズ短編集。第2,6編なんかうまく作れば怖いサスペンス映画できそう。
  「リスタデール卿の謎」 零落した上層家族が借りた執事付き格安旧館。その秘密や如何に・・3点。
  「ナイチンゲール荘」 夫の正体は青髭なのか・・怯える妻のホラーサスペンス・・からの・・6点。
  「車中の娘」 このプロット引き延ばせば、クリスティかカーの二流スパイ物になりそな・・3点。
  「六ペンスのうた」 これもマザーグース物と言えんのかな・・2点。
  「エドワードロビンソンの男ぶり」 偶然乗り違えた車で見つけたダイヤの謎・・からの・・5点。
  「事故」 父と前夫、ニ件殺害の疑惑を持たれた女。追う前刑事の見込んだWhyが驚きのツイストに・・7点。
  「ジェインの求職」 まんま「赤毛連盟」ビギン、「ブナ木立」ネタ・・からハッピーエンドへ・・6点。
で、採点対象7作の平均で、(3+6+3+2+5+7+6)÷7=4.571…切上げ、5点。
その他、「日曜には果物」「イーストウッド君の冒険」「金玉」「ラジャのエメラルド」は・・・いいや。
※「白鳥の歌」は採点対象外。

No.71 7点 死の猟犬- アガサ・クリスティー 2022/04/15 21:43
アガサ・クリスティー第五短編集。 ドイルだけでなくクリスティーも「こんな」の書いてたのね
  「死の猟犬」 "第六の啓示"を受けた修道女と敵軍を消滅させる超能力。(採点対象外)
  「赤信号」 危機予知降霊会に冤罪殺人トリックネタが付いて・・4点。
  「第四の男」 群衆が単一国家"Who"に成り得る様に、一個人に多重"Who"が棲み分れる事も・・(採点対象外)
  「ジプシー」 ”ジプシーの幽霊”と過ごしたファンタジーから、日常への帰還のメルヘンへ・・(採点対象外)
  「ランプ」 まんま怪談ホラー幽霊話にして、「合理的(=筋の通った)」な非合理話。(採点対象外)
  「ラジオ」 完全犯罪の完璧な完遂が、カワイソ過ぎる(悪党と言え)皮肉どんでん返しへ・・7点。
  「検察側の証人」好意者の証言は否定されるが悪意者の反証は受入れられる群衆心理・・からの・・素晴しい!9点
  「青い壺の謎」 「超常現象短編集」逆手にとって、読者も騙す完全犯罪。7点。
  「アーサーカーマイクル卿の奇妙な事件」 洋館バケ猫話のホラー味チト切れ悪く・・東洋人偏見つき。(採点外)
  「翼の呼ぶ声」 通俗オカルトを超えて、諸宗教も超えて、"真の神秘"、普遍的形而上学にまで至るメルヘン。
          (かくも素晴らしき作品を、ミステリとして採点できず、残念!)
  「最期の降霊会」 霊媒女と降霊会スポンサー女のキャットファイトのオカルトエンド。(採点対象外) 
  「S・O・S」 幽霊屋敷に迷い込んだ男と屋敷の家族に隠された秘密。6点。
で、12作中、ミステリと言える 5作の平均点は、(4+7+9+7+6)÷5=6.6。切上て 7点。

No.70 6点 火曜クラブ- アガサ・クリスティー 2022/04/13 17:00
アガサ・クリスティー第四短編集。 「ミス・マープル推理披露サークル」てな・・
  「火曜クラブ」 同じ物を食べた三人のうち、一人だけが毒殺された事件のWhoHow 3点。
  「アスタルテの祠」 ギリシア女神オマージュ儀式中の凶器無き刺殺事件のHow 7点。
  「金塊事件」 友人に誘発された海賊財宝浪漫が、ドイル十八番ネタへ・・5点。
  「舗道の血痕」 これ読めば もういらなくね?クリスティー。 8点。
  「動機対機会」 動機ある者には機会なく、機会あった者に動機無く・・でも、トリック、それえ? 4点。
  「聖ペテロの指のあと」 んなダイイングいんぐりっしゅメッセージ、ワカラん! 2点。
  「青いゼラニウム」 青い花の死に至る恐怖。赤から青へ変る物と言えば・・6点。
  「ザ・コンパニオン」 動機と手品幻影のトリックが、目的の二段階達成を成立させて・・7点。
  「四人の容疑者」 容疑者達の疑心暗鬼杯中蛇影。にしても花言葉なんてゼンゼン知らん!3点。
  「クリスマスの悲劇」 死体利用のアリバイ時間トリック解明。6点。 
  「毒草」 一緒に口にした「死の薬草」入り鴨料理。娘一人だけが落命した事件のWhy 4点。
  「バンガロー事件」 ちと軽妙なWhy、やや悪質なHowの「赤毛連盟」ネタツイスト。7点。
  「溺死」 不利な状況証拠の青年の冤罪を救う、ミス・マープルの透視力。6点。
で、平均、(3+7+5+8+4+2+6+7+3+6+4+7+6)÷13=5.230…おまけ付けて6点。

No.69 5点 謎のクィン氏- アガサ・クリスティー 2022/04/10 18:34
アガサ・クリスティー第三短編集。 「初老趣味人と妖精(幻想我)のための殺人」てな
  「クィン氏登場」 男女情念の死に至る執着と疑念。時を隔てた毒殺疑惑の決着は・・4点。
  「窓ガラスに映る影」 三角関係の要の移転、窓に映る幽霊と銃弾の謎の解決は・・5点。
  「"鈴と道化服亭"にて」 蒸発した男と残された女、手品の目眩ましに隠された結果は・・6点。
  「空のしるし」 相当な・だが絶対的ではない・状況証拠のアリバイトリック崩し。3点。
  「クルピエの真情」 支配と献身、矜持と被虐愛、初老と青年、ラテンと米国・・男と女のお伽噺。(採点対象外)
  「海から来た男」 享受としての生とその挫折、止揚される生のメルヘン。(素晴らしいが、採点対象外、残念!)
  「闇の声」 夜な夜な貴族令嬢に纏わりつく怨念の声。幽霊の正体や如何に・・6点。
  「ヘレンの顔」 唯その美形だけで・他に何もないのに、戦争から殺人まで誘発する麗しのかんばせ。3点。
  「死んだ道化師」 殺された道化師の絵と密室殺人の時を経た解明。5点。
  「翼の折れた鳥」 音楽の魔性と幻影の狂喜、見えない男の衝動を絡めたWhoダニット見事。7点。
  「世界の果て」 絵を描く女の絶望と、秘密の箱の解明からの再生。4点。
  「道化師の小径」 愛する者にも愛してくれる者にも「真の愛」を認められないのならば、死しか・・(採点対象外)
で、12作中、ミステリ採点対象 9作の平均、(4+5+6+3+6+3+5+7+4)÷9=4.777…5点。

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レッドキングさん
ひとこと
ミステリは戦前の乱歩の様に 子供が親に隠れてコッソリ読むような、恥ずかしい存在でありたい。 ミステリ書きという驚異的な作業に神経を減らし 結果報われることの無いミステリ作家たちに心から崇敬を捧げます。 ...
好きな作家
ジョン・ディクスン・カー  PD・ジェイムズ  トマスH・クック  沼田まほかる
採点傾向
平均点: 5.25点   採点数: 816件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(88)
ジョン・ディクスン・カー(55)
エラリイ・クイーン(51)
F・W・クロフツ(32)
二階堂黎人(25)
カーター・ディクスン(25)
トマス・H・クック(23)
アーサー・コナン・ドイル(23)
麻耶雄嵩(21)
ジェフリー・ディーヴァー(19)