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レッドキングさん
平均点: 5.25点 書評数: 816件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.756 6点 髑髏の檻- ジャック・カーリイ 2023/10/15 23:17
親に捨てられ地下へ売られ、拷問の様な過酷な幼少期訓練を得て、ローマ剣奴や闘犬闘鶏の如く、「地下格闘家」となった男達・・タイガーマスク「虎の穴」やね。残虐ここに極まる連続殺人との連結や如何に・・肛門から腸内にぶち込まれた灼熱コテ棒!(๏Д⊙)!!って・・・。今回は相棒の女刑事と情事に落ちる主人公・・女検死医や女報道記者、毎度ながら三十路四十路の曲者女がお好きで、大人の男やねえ・・。 あのペットの超混血犬「ミックスアップ(!)」がよいな。
※「永遠の仔」「白夜行」アンドリュー・ヴァクス、このところ同主題の小説を偶々思い出すが、巷でも新興宗教・アイドル事務所の、似た様な茎=年少者「虐待」報道が喧しい・・今までがスルーし過ぎだったのかもね。

No.755 4点 屍鬼- 小野不由美 2023/10/13 08:09
「これ採点しよ思ったまま数年すぎた」作品その三。半ば閉ざされた山里集落を舞台にした、人間vs「吸血鬼」「人狼」のサスペンスロマン。生血しか食せず闇でしか生きられない吸血鬼はイヤだが、人間の食生活も可能で日光も平気、その上に永世可なら、もう神状態じゃん「人狼」。

No.754 7点 山妣- 坂東眞砂子 2023/10/13 07:58
「これ採点しよ思ったまま数年すぎた」作品その二。雪山深くに生息する伝説の山姥・・中世近代~現代「父系権威家族」日本のアンチテーゼの如く伝承された・・山姥の生きた浪漫物語。別に本格ミステリでもなんでもないが、敬意を表して点数大いにオマケ。

No.753 4点 永遠の仔- 天童荒太 2023/10/13 07:56
これを採点しよう思っているうちに数年が経ってしまった。同年の何かの賞(?)争いで「白夜行」に勝った(負けた?)とか。話としてはあっちの方が全然面白かった。ミステリとしては・・うーん、「意外なWho」を評価点として掬い・・。多くの読者から自身の過去を綴った手紙が寄せられ、「自分は、傷を負った人々の為に存在する作家だと自覚した」とか。その自覚が、優れたミステリを紡ぎ出す結果に繋がる事を、願って已まない。
※最近の喧しい「ジャニーズ問題」報道と、偶々、このサイト評でアンドリュー・ヴァクスを眼にして・・彼も同じ事に拘っていた・・この作品思い出した。

No.752 4点 チョールフォント荘の恐怖- F・W・クロフツ 2023/10/09 21:32
クロフツ第二十七作。資産家弁護士の撲殺事件。互いの利便の為に弁護士と「契約」再婚した女を視点に、女の愛人や、十二分な動機持つ被雇用者等のWhoダニット。「本格派」でも「社会派」でも「変態派」でもない、「人生派 (名言やね解説者)」ミステリ。フレンチ視点転回の後半はいつものパターンで・・わが「本格派 σ( ̄^ ̄) エッヘン!」採点基準では・・
せいぜいこの点数かな、「人生派」。

No.751 5点 赤毛のストレーガ- アンドリュー・ヴァクス 2023/10/08 07:28
ああ、このシリーズ読んでたなぁ。何とかマスティフ(だったか)てな犬とは思えない怪物メス犬や、ボードに躰を乗せて道を漕いで行く上半身だけ男、巨人ぬりかべ武術家、マッドな武器発明家ら異形仲間が実に良かった。ハードボイルド言うより、バットマン風アメコミ半ダークヒーロー物だったな。

No.750 6点 あなたは誰?- ヘレン・マクロイ 2023/10/06 22:09
ヘレン・マクロイ第四作。二重人格に色覚異常・・今ではベタ過ぎるネタが中央に居座わり、当時(真珠湾攻撃の頃なんだよな)は斬新なネタだったのかな。イケメン上院議員と裏で操る妻(クリントン&ヒラリーみたい(..))、ニューヨークのクラブ歌手女(「今晩会える?」「んな先の事分からない」に出てきそ)、女流通俗ロマンス作家とその息子の青年医師、議員の姪にして医師の幼馴染娘、甘党食い意地男、空想上の女と会話する少年・・登場人物タイトに絞って、相当高いぞ、りいだびりてぃ。ミステリで「別人格」出しちゃうと、双子ネタなみにズッコケる事多いが、そこはシンプルかつ巧みに物語が編まれてて点数オマケ。色盲ネタの伏線&ロジックが鮮やかにプレゼンされてたら、7点付けても良かった。

No.749 8点 名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件- 白井智之 2023/09/30 11:56
作者第七(連作短編集含め)長編。「ナミ」のミステリならば、メインネタで出て来るレベルの密室トリックを、オードブル・八寸と言うより付だし・お通しの如く初っ端から軽いジャブで放ち、本編に入り、なんだ、「フツウ(ホメ言葉よ)」のミステリも書けるんじゃん、白井智之・・・と思わせといて・・・ウォっーとお!!!

No.748 3点 五匹の赤い鰊- ドロシー・L・セイヤーズ 2023/09/29 06:52
ドロシー・セイヤーズ第六作。釣り人か絵描きしかいない(!)村。トラベルメーカーの画家が撲殺されて、容疑者は6つの原因・・民族感情、妻を巡る嫉妬、名誉、釣り場争い、敷地境界抗争、他一つ・・による六人の画家だが、うち五人はニセ物=「赤い鰊」。ニセ油絵アリバイ工作、巻頭詳細地図、丁寧な時刻表、オマケに異色の読者挑戦状まで付いている。にしても、超クロフツ、なんと退屈(必ずしも否定だけの意味でなく)なミステリ小説・・「黄色い部屋」「学寮祭の夜」なみに・・英国の暇な読書士ならば余裕演じて楽しめるだろうが・・
※「わっしは捜査しとるがです」「けんど濃厚だがでのう」等、和訳者工夫してるが、スコットランド方言のニュアンス再現難しいなぁ。我が国で、小地方の方言を笑い嚙み殺して「見下す」のと同様なのか、イングランド - スコットランド関係。なんか、違う気が・・・。

No.747 7点 黒い塔- P・D・ジェイムズ 2023/09/24 22:07
海と霧の断崖に建てられた、曰くある”黒い塔”付き半宗教的介護施設。自己陶酔信仰の経営者、狷介・奇矯・固陋な男女入所者と看護介護者たち。病気療養を兼ねて訪れた詩人警視が出会う、過去現在の”怪死”・・自殺?事故?の連続。ベートーヴェン弦楽四重奏15番あたりの最も"シブい"部分だけで奏でられるような、気だるく重苦しく、かつグロコミカルな小説。いったい何が起きているの?Whatダニットが、僅か最終部で一気にミステリ解明しながらサスペンスエンドする。サスペンスともかくミステリ真相は肩透かしで、”黒い塔”はじめトリッキー味もなく残念。が、小説としてのシブみ味に点数オマケ加算。ドロシー・ジェイムズなんで。

No.746 4点 暗黒女子- 秋吉理香子 2023/09/23 16:48
おおおお、探してみたら、この文庫本は家の本箱にあった!
(よく見ると「殺人鬼フジコ」「鬼畜の家」とか他作家のもいろいろあるなあ。何で採点してないんだろ。)

No.745 5点 聖母- 秋吉理香子 2023/09/23 16:28
おお、こんなのあったなあ。何年か前、図書館で「一気読み」した記憶が。テクニカルな「叙述もの」だったはず。
あの頃、この手のや、女流イヤミスもの・・フジコなんたら・・とかに凝ってたなぁ。
※記憶なんで、点数は暫定でご勘弁を m(__)m

No.744 6点 ささやく真実- ヘレン・マクロイ 2023/09/19 22:48
ヘレン・マクロイ第三作。被害者は富豪の超美魔女。海辺の屋敷に集った、と言うより、集わされた容疑者の男女・・ジゴロの如き美形年下夫、夫の元妻、女の会社の支配人、冴えない科学者、ワケあり風の娘・・。殺人事件が起こり、全ての容疑者には、それぞれにもっともな動機があり、タイトでロジカルでスリリングで、しかも情感タップリなWhoダニットミステリ。偶々、殺人現場を「目撃(実は耳撃)」した探偵の摘発したWhoと、その根拠や如何に・・・
※ 時期を逸したロマンは「グロテスクに堕ちる」・・哀れやのう、老いらくの恋・・男女問わず。
※ 「恥(はじ)」と「始(はじ)まる」・・訳者、工夫したなぁ。

No.743 5点 大菩薩峠- 中里介山 2023/09/18 20:46
ついでにこれも。これは凄い。文庫本数十冊に及ぶ超大長編浪漫。剣豪小説・・ほぼチャンバラ劇画・・に始まり、信じがたいまでに複雑壮大化して行く主題・・ついには、ファンタジー・信仰書のレベルに・・結局、未完・・ミステリアスに終わるけれどね。そこがまたよい。

No.742 4点 邪宗門- 高橋和巳 2023/09/18 20:44
「飢餓海峡」の事書いてたら突然これも思いだした。こっちは、明治期に誕生し、昭和にかけて大教団化しながら、国より凄惨な弾圧を受けて崩壊した新興宗教「ひのもと救霊会」(大本教て言う実際のモデルあり)の群像劇。もちろん本格でもなんでもないが、宗教自体がミステリなんで、そのテーマの稀有壮大さに敬意を表して・・でも、山本周五郎水上勉なんかより小説は下手だなあ、高橋和巳。

No.741 3点 飢餓海峡- 水上勉 2023/09/18 20:39
「飢餓海峡」! おお懐かしい。松本清張「ゼロの焦点」や映画(清張でなく)「砂の器」、「白夜行」や「火車」なんかと同様に、The twilight(darkでなく) Side of The modan日本 の半ピカレスク浪漫やね。

No.740 4点 毒を食らわば- ドロシー・L・セイヤーズ 2023/09/16 23:06
ドロシー・セイヤーズ第五作。最近評したクロフツ諸作や、それ以上に後期クイーン作品に頻出する有罪判決条件の、必要条件:「犯人で在り得る(その可能性がある)」と、十分条件:「犯人でない事は在り得ない(明晰判明である)」の問題が、冒頭の裁判シーンで鮮やかに描かれる。判事自身、被告側には無罪証明(=必要条件の否定=「在り得ない」の証明)の義務はなく、検察にこそ有罪の十分条件(=明晰判明)の証明が求められると宣言をする・・・すなわち、「疑わしき状況」だけでは無罪、があくまでも大原則だ、と。が、そんな裁判の大原則では話にならず、主役「貴族探偵」は、被告以外の真犯人の有罪を明晰判明にする事(できたか?)で、被告の無罪を証明せざるを得ない、そりゃ、ミステリ小説だからね。

No.739 7点 殺す手紙- ポール・アルテ 2023/09/15 22:55
ヘレン・マクロイ「月明かりの男」同様、これまたナチススパイもの。親友からの手紙に書かれた奇怪な指示どおりに、目的の見えない行動を起こす傷心の男。幻覚の如き危機展開と悪夢の様な逃走劇。舞台ドンデン返しに予期せぬ殺人事件が混入し、ディーヴァーツイストをテンポ良くショートカットさせたジェットコースター展開が、あっと言う間に二重三重返りして、ラスト落ちも決まる。こういうのも書くんだな、ポール・アルテ。

No.738 6点 月明かりの男- ヘレン・マクロイ 2023/09/15 22:54
ヘレン・マクロイ第二作。対独(対日もオマケ)戦時下の米国大学で起きる連続殺人のWho・Whyミステリ。加えて全編被うナチススパイねたがサスペンスしてて面白い。如何にもクセある教官、理事、学生ら容疑者達。逃走者の風体が目撃者三人三様に異なる「心理」ロジックや、供述の虚偽を見破る客観的ロジック・・読み返せば見取図ないままにキチンと描写されてた・・が、美味しい。「事実を述べる時には心情は隠されるが、本音が出て来ると物語=噓が始まる」・心理的推理良いが、客観的証拠のタイピングネタがいまいち。

No.737 2点 ベローナ・クラブの不愉快な事件- ドロシー・L・セイヤーズ 2023/09/12 23:03
ドロシー・セイヤーズ第四作。前作「不自然な死」に続き相続殺人もの。クラブで死体で見つかった老軍人。当初見立てられた自然死が、「捻くれた」遺言書に死亡順番が絡む毒殺疑惑へと変じ、居合わせた「貴族探偵」が首を突っ込み、真相は、前作に輪をかけてシンプル(=ひねり無さすぎ)な相続金目当Whoダニットだった。
※英国の「クラブ」って、男性専用かつ極めて階級的な存在に思えるが、大富豪貴族ボンボンとカミさんに喰わせて貰ってる失業軍人上がりが、一緒のクラブに加入しているって普通なのか? 会費、どれ位なんだろ。

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レッドキングさん
ひとこと
ミステリは戦前の乱歩の様に 子供が親に隠れてコッソリ読むような、恥ずかしい存在でありたい。 ミステリ書きという驚異的な作業に神経を減らし 結果報われることの無いミステリ作家たちに心から崇敬を捧げます。 ...
好きな作家
ジョン・ディクスン・カー  PD・ジェイムズ  トマスH・クック  沼田まほかる
採点傾向
平均点: 5.25点   採点数: 816件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(88)
ジョン・ディクスン・カー(55)
エラリイ・クイーン(51)
F・W・クロフツ(32)
カーター・ディクスン(25)
二階堂黎人(25)
アーサー・コナン・ドイル(23)
トマス・H・クック(23)
麻耶雄嵩(21)
ジェフリー・ディーヴァー(19)