皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
レッドキングさん |
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平均点: 5.27点 | 書評数: 888件 |
No.368 | 5点 | 殺人は容易だ- アガサ・クリスティー | 2020/08/17 21:50 |
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車内に居合わせた老女から「連続殺人」の逸話を聞いた元警官。単なる偶然の事故と眉に唾つけて聞き流した話だったが、後日、老女の予言した人物が死に、さらに老女自身も死んだことを知る。好奇心から探求に乗り出すのだが・・・
なんか気だるくピリっとしないフー・ホワイダニットミステリが、終盤でグッとミステリアスに盛り上がり、サイコなサスペンスにひと捻りし・・操りネタをおまけに付けて決着する。 「自尊心を傷つけられた女の復讐心ほど怖いものはありません」「好きだということは、愛しているということよりもずっと大切・・」相変わらずミステリ小説で人生を教えてくれるアガサさん。 |
No.367 | 4点 | 牧師館の殺人- アガサ・クリスティー | 2020/08/05 07:40 |
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ユーモラスだか、そこはかとなくダークな匂いのする第一人称叙述。「ん?アクロイド?」と疑いつつ注意して読み進めたが、いつもの十八番トリックが待っていた。医師はともかく牧師に人殺し役はさせられないか。
※にしても、せっかく完全犯罪を達成しかけた美男美女カップルを絞死刑(当然そうなったろう)にするために、芝居うって罠にかけるミス・マープル、容赦ねえなあ・・でも大好きよ。 |
No.366 | 6点 | 冬のフロスト- R・D・ウィングフィールド | 2020/08/04 05:16 |
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カンと見込みの「天才」警部:フロストシリーズ第五弾。回を重ねるごとに頁数は増えるが、ボルテージは全く下がらない。今回も、少女連続誘拐殺人、娼婦連続殺人事件にコンビニ強盗事件、さらに枕カバー盗難事件、おまけに数十年前の白骨まで出て来る多重事件の百花繚乱。勘で見込みを立てては外れ、見込みし直し、また外れ・・・点数稼ぎと人件費節減が第一の署長方針による人員不足のあおりを受け、ドジな相棒部下に足を引っ張られながら、複数事件の並列解決に東奔西走七転八倒するフロスト。おとり捜査を巡るサスペンスフル展開の果てに、最後の数行で全事件に見事なカタがつく。ちと出来過ぎだが実におもしろい。 |
No.365 | 4点 | パディントン発4時50分- アガサ・クリスティー | 2020/07/26 18:29 |
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並行して走る列車越しの窓から、偶然に目撃した車内殺人。トラベル時刻表もの?と思わせておいて、安楽椅子老女探偵とスーパー家政婦探偵が活躍する一族連続殺人の屋敷ものへ転じて、意外な真犯人のフーダニットが見事に決着。
※あの魅力的なスーパー家政婦、どっちの男に決めたんだろな。 |
No.364 | 3点 | 死の館の謎- ジョン・ディクスン・カー | 2020/07/24 11:07 |
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曰くのある館。怪死事件から十数年の後、侵入不可能状態の二階部屋から転落怪死した女。状況は「密室」にして、関係者には皆アリバイがあった。肝心の密室トリックは小学生向け探偵ものレベル。せっかくターゲットが心臓病持ち設定なんだからそれ利用するトリックがほしかった。
※あの手すりの一部に隠しスイッチが接続されていて、ベランダの箱から「オバケ」のびっくり風船が飛び出して被害者をショック死させ、風船は空に飛んでってしまうての考案した。(やはり小学生向けだな) |
No.363 | 5点 | むかし僕が死んだ家- 東野圭吾 | 2020/07/15 19:47 |
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幼少期の記憶のない女に、父親から残された遺品の鍵と地図。元恋人とともに訪れた山間の屋敷は、人が住んだ形跡のないままに古び始めていた。部屋に残された手記を手掛かりに、徐々に甦る女の記憶と明らかになる屋敷の「正体」。女の人生に、語り手の男の生い立ちが重ね絵のように投影されて、哀しき個々の物語が交わることの無いままに完結を見る。 |
No.362 | 4点 | 水晶のピラミッド- 島田荘司 | 2020/07/14 08:29 |
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これ読んだこと忘れてた。この人、90年代から話がくどいんだよ。それでも「眩暈」とかは面白く読めたが・・ |
No.361 | 4点 | 龍臥亭事件- 島田荘司 | 2020/07/14 08:10 |
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トリック作家:島田荘司礼賛やぶさかではないが、小説作家:島田荘司は退屈である。 |
No.360 | 7点 | 血みどろ砂絵- 都筑道夫 | 2020/07/13 21:58 |
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江戸の異形者達の本格ミステリ(魅筋点理)
・「よろいの渡し」 岡っ引きの注視と衆視の小舟。容疑者遊び人の渡川中消失のハウダニット。8点。 ・「ろくろっ首」 女の首無し死体と男の生首が相次いで見つかった事件のホワイダニット。5点。 ・「春暁八幡鐘」 奇妙な犯罪仕事依頼のホワイダニット。「赤毛連盟」連想の横を行った。7点。 ・「三番倉」 商人蔵からの刺殺犯人消失のハウホワイダニット。7点。 ・「本所七不思議」 江戸の怪異伝説と見立て連続事件のフーホワイダニット。7点。 ・「いのしし屋敷」 さらわれた女を取り返す仕事が、別の筋書きの役割にすり替えられて・・6点。 ・「心中不忍池」 密室状態の待合部屋での心中事件。女の死体が老婆に入代わったハウホワイダニット。8点。 (8+5+7+7+7+6+8)÷7=6.85・・で、四捨五入して7点。 |
No.359 | 7点 | 戻り川心中- 連城三紀彦 | 2020/07/13 21:50 |
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・「藤の香」 寂れた湊町の色街を舞台にした連続殺人の哀しくも「美しい」ホワイダニット。5点。
・「桔梗の宿」 極貧遊郭街で起きた連続殺人の「何故に(美しすぎてホワイなんて言葉じゃ足りない)」の物語。9点つけざるを得ない。 ・「桐の柩」 殺意と区別できない程に強い執着心で結ばれた男女情念の道具となった男。5点。 ・「白蓮の寺」 少年の記憶に明滅する殺人と火炎と白蓮の映像断片が、驚くべきホワットダニットに収束。7点。 ・「戻り川心中」 いわば究極の見立てミステリ。8点。 (5+9+5+7+8)÷5=6.8 で、平均して7点。 ※他の4編は「花」題なのに、タイトル作のみ「菖蒲の歌」とか花がつかないのね。 |
No.358 | 3点 | 盲目の理髪師- ジョン・ディクスン・カー | 2020/07/10 07:25 |
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航海中の客船で起きた、外交上支障のあるフィルム盗難や宝石紛失事件、さらに殺害された女の死体消失事件。連続事件のフーダニットミステリが、コミカルに誇張された人物達によって演じられるドタバタ劇だが、カーにあるまじき事に不可能事件がなく残念!
※犯人指摘の脚注付きロジックは見事だが、フィル博士には安楽椅子にではなく、ドタバタ渦中にいてほしかったな。 |
No.357 | 8点 | マツリカ・マトリョシカ- 相沢沙呼 | 2020/07/08 22:20 |
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9点はつけられないが、困ったことに・・8点未満に下げる欠点が見つからない・・・。 |
No.356 | 3点 | 顔- エラリイ・クイーン | 2020/07/06 20:28 |
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殺された女の書き残したダイイングメッセージは「顔:face」だった。トリックはアガサ・クリスティーの十八番のあれだが、「不連続殺人事件」ラストの犯人セリフが連想・・あんな風にカッコよくないが・・された。
で、肝心のダイイングメッセージ種明かしだが・・・面白くない。 ※クイーンにビートルズが出て来るとは思わなかった。息子の方はともかく親爺の警視って何歳設定なんだ? |
No.355 | 6点 | マツリカ・マハリタ- 相沢沙呼 | 2020/07/05 19:41 |
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廃墟ビルに一人暮らす謎の美女:マツリカシリーズ第二弾。ヒロインの非現実度=メルヘン度はさらに高まり・・高まり過ぎて、逆に、前作でワトスン役少年を包んでいた不思議なオーラの方はすっかり溶けてしまい・・不思議事象解明のミステリ度は前作より高いにしても・・小説としては、うーん劣化かな・・と思わせておいて、最終編で見事なメルヘンに盛り上げ(不覚にも感動した)、さらにそれを長編ミステリへと収束させた。見事。 |
No.354 | 5点 | マツリカ・マジョルカ- 相沢沙呼 | 2020/07/05 19:40 |
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廃墟ビルに一人で暮らす謎の美少女安楽椅子探偵と、ワトスン役のシスコンうじうじ少年。不思議事象解釈の4連作短編が、最後に少年の姉を巡る長編ミステリに収束する。女高生マジシャンシリーズよりも、ヒロインの非現実性=メルヘン性が高いのが魅力的なのと、よりメンヘラ重度のワトスン役男子高校生が、最後に主役へと転身するミステリ展開が鮮やかなので、点数オマケ加算。 |
No.353 | 7点 | 仮面劇場の殺人- ジョン・ディクスン・カー | 2020/07/03 20:46 |
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劇場の鍵のかかったボックス席で、背中に矢を射られて殺された女。「密室」ではない。舞台に向かって大きく「窓」が開いていたのだから。殺害状況とアリバイの二つの「不可能性」解決がテーマの作品。
※これ、もちっとで「くたばれ健康法」とんでもトリックになれた(かな?) ただ、あのやり方で本当に背中から刺し殺せるのか?(ま、よいとしよう) ※同様な「半密室」不可能トリックを扱った「第三の銃弾」に比べて、トリック自体は見劣りするが、「第三の銃弾」が余剰部分を極力削った作品だったのに対して、こちらは約2倍の分量の、トリックテーマ外の「物語」たっぷりの作品で、そこが魅力的なので点数はオマケ加算。 |
No.352 | 7点 | 第三の銃弾<完全版>- カーター・ディクスン | 2020/07/01 18:18 |
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「密室状態」の室内に射殺された被害者と銃弾を発射した容疑者の二人。だが、被害者を殺した弾丸は、容疑者が撃った銃Aの銃弾aでも、室内で発見された別の銃Bの銃弾bでもなく、第三の銃弾cであり、銃Cは室内のどこにも無かった。トリックテーマ以外の余剰部分を極力そぎ落とした無駄のない長編ミステリ。
おそろしく手の込んだ、無意味で非現実的な「密室のための密室」「トリックのためのトリック」・・・素晴らしい! |
No.351 | 4点 | 邪悪の家- アガサ・クリスティー | 2020/06/29 00:28 |
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探偵の現前で起きたヒロインの殺人未遂と人違い殺人。彼女には狙われるべき財産も、生じるべき感情的軋轢も乏しかった。探偵の丁寧な覚書付きフーダニットミステリ。容疑者はA~I、そこにJを加え、さらにKが・・
※1932年頃の中産階級「淑女」にとって、コカインだの麻薬パーティーだのって、結構普通の「文化」だったのね。 |
No.350 | 3点 | 最後の女- エラリイ・クイーン | 2020/06/25 18:21 |
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撲殺された大富豪のダイイングメッセージは「ホーム」(あほらしいが個人的に大受けした。ホー〇!) 容疑者は三人の元妻・・歌手、女優、看護婦・・二人の美女と一人の地味女。莫大な遺産の遺書を巡る殺人と見せかけて、意外なフー・ホワイダニット真相の結末は・・。書かれたの1970年か。このテーマ、60年代以前のピューリタニズム米国では書けなかったろうな。
※ところで、あのネタ、チャイコフスキーは有名だがベートーヴェンての初耳だぞ。 |
No.349 | 5点 | 帝王死す- エラリイ・クイーン | 2020/06/23 18:54 |
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なんと予告密室殺人。「密室」出すとポイント高いよ。二部屋の完璧な密室。一部屋には自称犯人と凶器の銃、別の部屋に撃たれた男と気絶した妻、いったい銃はどうやって移動し・・・でも種明かしには何の外連味もなく、「アメリカ銃の秘密」「孤島の鬼」の方がマシな位のレベルのトリックで・・・クイーンにカーを期待してもなあ。 |