皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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レッドキングさん |
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平均点: 5.27点 | 書評数: 889件 |
No.68 | 4点 | おしどり探偵- アガサ・クリスティー | 2022/03/29 19:46 |
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アガサ・クリスティー第二短編集。 「トミー&タペンス探偵事務所」てな・・
「アパートの妖精」 夫婦探偵譚導入。(採点外)※ちょびっーとだけポー「スフィンクス」ネタ 「お茶をどうぞ」 夫婦探偵開業。(採点外)※サクラ詐欺トリック付き 「桃色真珠紛失事件」 開けられないノブと手にしたタオルからの真珠盗難解明ロジック。3点 「怪しい来訪者」 「『怪しい依頼トラップ』へのトラップ返し」のトラップ・への・・・5点 「キングを出し抜く」 仮装パーティ刺殺事件。死体の手に残された新聞紙片からの犯人Who 3点 「夫人失踪事件」 二年ぶりに再会予定の婚約者失踪のWhy。妙に説得力があり・・6点 「目隠しごっこ」 盲人ふり遊びからの秘密諜報アクション。・・2点 「霧の中の男」 霧の中から現れた男・・チェスタートンと先入観証言ネタ・・4点 「パリパリ屋」 贋金づくり一味とのトリック合戦。2点 「サニングデールの謎」 女物ピンでの殺人と人物入代りトリック見事。6点 「死のひそむ家」 主人階級亡き後に容疑者使用人達だけ残り・・「爺やはイカン」言えず・4点 「鉄壁のアリバイ」 同人物二か所同時存在トリック・・え!それぇ?・・見事。1点 「牧師の娘」 トミー&タペンス版「黄金虫」・・3点 「大使の靴」 双子カバンは何故に下船時に取り違えられたのか・・4点 「16号だった男」 ロシアスパイ相手の消失トリック付き活劇・・5点 で、(3+5+3+6+2+4+2+6+4+1+3+4+5)=48÷13=3.692…平均繰上げ全体で、4点。 |
No.67 | 3点 | ポアロ登場- アガサ・クリスティー | 2022/03/22 22:07 |
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アガサ・クリスティー第一短編集。 「ヘイスティングス、探偵ポアロを語る」てな・・
「"西洋の星"盗難事件」 大女優と貴婦人が持つ双子宝石の二重盗難・・これも双子ネタと言えるかな・・4点。 「マースドン荘の悲劇」 破産した初老資産家の急死と若き未亡人、直前加入の生命保険を巡る自殺疑惑が・・3点。 「安アパート事件」 ん、ワケあり物件? てほどに安い賃料のアパートの、そのワケは・・3点。 「狩人荘の怪事件」 遺産相続射殺事件の容疑者には完全なアリバイが・・そのトリックや如何に・・4点。 「百万ドル債権盗難事件」 航行船という密室からの債権消失・・そのトリックや如何に・・4点。 「エジプト墳墓の謎」 ピラミッド遺物発掘にともなう「呪い」の連続死の真相は・・2点。 「グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件」 真珠首飾り盗難の不可能時間トリック・・6点。 「首相誘拐事件」 国際会議の為に渡仏して誘拐された英首相の行方は・・2点。 「ミスターダヴンハイムの失踪」 別荘から失踪した銀行家の行方やいずこ・・ホームズ物やね。3点。 「イタリア貴族殺害事件」 残された料理と開いていたカーテンのロジックによる殺人偽装トリック解明。4点。 「謎の遺言書」 叔父から姪へ残された遺言書捜しゲーム。気の利いた落し噺エンド。3点。 「ヴェールをかけた女」 ん、ホームズ「C.A.ミルヴァートン」?・・からのツィスト。3点。 「消えた廃坑」 鉱山重要書類を持った中国人殺害の犯人Who 2点。 「チョコレートの箱」 ポアロ失敗譚の昔語り。2点。 第七編の見取図付き半密室トリックが見所。で、(4+3+3+4+4+2+6+2+3+4+3+3+2+2)÷14=3.214…平均3点 |
No.66 | 4点 | 象は忘れない- アガサ・クリスティー | 2021/08/21 12:30 |
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十二年後に掘り返される元軍人夫婦の心中事件。「あれ一体何だった」Whatダニット。双子とカツラときたら「あれ」で、当然そのまんまのはずなく驚きのツイスト予想するが・・・まんま「あれ」で逆に驚かされた。象は忘れない、でなく、犬は忘れなかった、のオチであった。クリスティー長編最後の採点で1点オマケ。
てことで、アガサ・クリスティーの全長編ミステリ66作(メアリなんたらロマンス除く)の採点修了したので 大変に僭越ながら、私的アガサ・クリスティー長編ベスト15 第一位:「ポワロのクリスマス」 第二位:「シタフォードの秘密」 第三位:「ゼロ時間へ」 第四位:「ゴルフ場殺人事件」 第五位:「メソポタミヤの殺人」 第六位:「書斎の死体」 第七位:「忘れられぬ死」 第八位:「予告殺人」 第九位:「葬儀を終えて」 第十位:「 アクロイド殺し」 第十一位:「ホロー荘の殺人」 第十二位:「そして誰もいなくなった」 第十三位:「死との約束」 第十四位:「終わりなき夜に生れつく」 第十五位:「五匹の子豚」 |
No.65 | 4点 | 第三の女- アガサ・クリスティー | 2021/07/10 21:47 |
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「誰かを殺してしまったかもしれない・・」病的な娘の奇妙な訴え。大富豪の父、継母、老親類とその秘書、若きハンサム、ルームメイトの二人の娘・・・殺された(る)の誰?フームダニットが、手品の様な人物入代りトリックで決着。60年代後半カウンターカルチャーに動じないポワロ・オリヴァコンビの老道化ぶりがなかなか。
てことで、アガサ・クリスティー60年代の長編ミステリ全7作の採点修了したので 私的「60年代アガサ・クリスティー」ベスト3 第一位:「終わりなき夜に生れつく」 第二位:「親指のうずき」 第三位:「カリブ海の秘密」 |
No.64 | 4点 | バートラム・ホテルにて- アガサ・クリスティー | 2021/07/08 19:37 |
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風格と利便性を兼ね備えた由緒ある「本物」のホテル。支配人から給仕・受付・メイド・ドアマンに至るスタッフも、建物・内装から午後ティ・マフィンに至るサービスも、全てが「本物」で、客も「ビューティフルピープル」オンリーの「本物」だらけ・・・が、「永遠に不変のもの」とは「既にして別のもの」であり、「いかにもそれらしいもの」に過ぎず、その美しきホテルの実相は・・・ |
No.63 | 2点 | フランクフルトへの乗客- アガサ・クリスティー | 2021/07/05 22:04 |
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60年代末~70年代初頭の世界的な若者反乱。その極左情熱に、かつてナチズムへ熱狂した若者達の浪漫を重ね合わせ、英雄:ヒトラー=ジークフリートの元で極左と極右を包括した世界革命を夢想する国際陰謀集団。て、クリスティー、齢八十にして、まーだ若き頃の「ビッグ4」の血が滾っていたのかと思いきや、話は、SFチックな脳内革命ネタ(チョビっと「ガニメデの優しき巨人」を連想)へスライドして、いきなりのドタバタサスペンス劇へ畳まれる。クリスティーの中に「左右の全体主義」への何らかの拘りがあることは、前から気付いていたけれども。
※にしても彼女の作品に、ビートルズやゲバラともかく、マルクーゼやレヴィ・ストロースの名が出て来るとは・・・ |
No.62 | 4点 | 複数の時計- アガサ・クリスティー | 2021/05/09 07:34 |
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仕事の依頼を受けて、盲婦人の家を訪れた派遣秘書が発見したものは、刺殺死体とあるはずのない複数の時計だった。婦人の家と両隣り・向い及び斜め両向い、都合六家の位置関係と人物描写から、「赤毛連盟」発展系期待したが、中途半端に・・ポアロの言う「極めて」て程ではない・・単純な真相だった。 |
No.61 | 5点 | 鳩のなかの猫- アガサ・クリスティー | 2021/05/07 05:21 |
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卓越した知性感性意志を持ち、冷静な判断力と強かな営業力政治力までも兼ね備えた、スーパーウーマン校長が運営する超高級女子校。女教師連続殺人が、遠いアラブでの宝石紛失事件と絡めて語られる。連続殺人は、犯人が○○となると推理難しいなあ。まして舞台が、屋敷の一族でなく学園にまで広がっちゃうとねえ。
※オリヴァて女作家が作者の「自虐自画像」ならば、あのバルストロードていう女校長、「理想自画像」てとこかな。 てことで、アガサ・クリスティー50年代の長編ミステリ全12作の採点修了したので 私的「50年代アガサ・クリスティー」ベスト3 第一位:「予告殺人」 第二位:「葬儀を終えて」 第三位:「マギンティ夫人は死んだ」 |
No.60 | 6点 | 死者のあやまち- アガサ・クリスティー | 2021/05/02 23:40 |
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地方の古豪邸で催された「殺人事件ゲーム」の最中、被害者役の少女が絞殺死体で発見され、館主の妻の幼女の如き女が失踪する。何故に誰に少女は殺されたのか。真相の多重入れ替りネタ、なかなかに良い。トリックのリュック使用方法がカー「妖魔の森の家」方向だったらなお良く。※女作家オリヴァの「アガサ自虐ネタ」風味、相変わらずGood。 |
No.59 | 4点 | 死への旅- アガサ・クリスティー | 2021/05/01 12:09 |
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今は昔、まだ共産主義が、楽園幻想と恐怖対象の相半ばの存在だった50年代。失踪する科学者達の謎解明の駒として、西側スパイに仕立てられた自殺志願女。流れ着いた先は砂漠の巨大医療施設・・怪しげな組織とキャラ達・・起と承のミステリアス感は良い。が、転と結が・・・。美味しいがオードブルとスープで終りのフルコースてとこかな。 |
No.58 | 4点 | 魔術の殺人- アガサ・クリスティー | 2021/04/25 17:27 |
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少年院を運営する富豪一族に起きる連続殺人。またも出ました、アガサ・クリスティー必殺技「人間関係トリック」!「十八番」超えて、もはや「伝家の宝刀」と言うべきにあらずや? ちと抜き過ぎだが・・ |
No.57 | 5点 | バグダッドの秘密- アガサ・クリスティー | 2021/04/23 19:29 |
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操りとラスボスWho(見え見えだが)、およびWhatダニットのミステリが、まるでジェフリー・ディーヴァーツイストの源流の様な明るいオプチミズムで泳着する。本来3~4点だろうが、奔放にして聡明なヒロインのエネルギッシュな魅力と、見事なる異邦イラク描写に加点したく。 |
No.56 | 7点 | 予告殺人- アガサ・クリスティー | 2021/04/14 20:43 |
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悪ふざけとしか思えない「殺人お知らせ」に興味津々釣られ集まる近隣者達。お知らせ時間通りに現前で生じてしまった殺人劇は、事故か自殺で処理されるべきところ、遺産相続をめぐる第二第三の連続殺人へと発展して・・・。
第一殺人のトリック解明や第三殺人のサスペンス展開もなかなかだが、読ませどころは第二殺人の「愛憎悲劇」。 「自分の過去を覚えていてくれる最後の人間がいなくなると、人はひとりっきりになるんです。・・・私の少女時代を覚えている人は、もう誰もいません・・もう、誰も・・・」 ※1950年発表作品なので、時代的に、明確には書かれてないが、ヒンチクリフとマーガトロイドって、間違いなくレズビアンのパートナーだよね。この主題、第二殺人にも無意識的に働いていて、クイーン「最後の女」でのこの手のテーマの扱い方よりも遥かに素晴らしい。 |
No.55 | 7点 | 忘られぬ死- アガサ・クリスティー | 2021/04/06 22:14 |
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場所と「見えない男」の毒殺不可能トリックを機軸に、異性への情念と金銭への渇望を燃料に、様々な・・姉と妹、夫と妻、主人と秘書、母と息子・・様々な人間関係を意匠に、ロマンミステリ幻燈が鮮やかに儚く回転する。
てことで、アガサ・クリスティー40年代の長編ミステリ全13作の採点修了したので 私的「40年代アガサ・クリスティー」ベスト5 第一位:「ゼロ時間へ」 第二位:「書斎の死体」 第三位:「忘られぬ死」 第四位:「ホロー荘の殺人」 第五位:「五匹の子豚」 |
No.54 | 7点 | 書斎の死体- アガサ・クリスティー | 2021/03/28 14:30 |
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残酷な独裁者には反抗することができるが、慈悲深い独裁者に対してはそれも難しく、「奴隷」は真綿で首を締められるように、独裁者の慈愛に窒息させられて行く。孤独な帝王が、己の夢想の国から住民達が逃亡しようとしていることに気づき、縋りついた夢の少女は・・死体となって他家の書斎で見つかった。いかにもな遺産相続をめぐる殺人と匂わせて、動機ある容疑者にはアリバイがあり、犯行可能な人物には動機がなかった。疑う気にもなれない程の偽悪な男二人と怪しげなワキ役達、筋骨隆々の身障者爺さん、「自宅で死体が発見されたんなら、その状況を楽しまなくっちゃ」婆さん、そして、二組の人間関係トリック・・見事なる煙幕。「爪」と「ドレス」のロジックがGood! |
No.53 | 4点 | 動く指- アガサ・クリスティー | 2021/03/25 16:54 |
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療養のために田舎の旧館を借りた若者と付添いの妹。都会風な裕福兄妹を待っていた村中巻き込む醜聞怪文書騒ぎ。騒ぎはやがて自殺・殺人事件へと発展し・・。本来は一番に怪しまれる立場の人物に煙幕をはる為の「いかにも~が行いそうな」偽装行為。加えて一人称叙述・・「アクロイド」以降、読者にとっては拭い切れない疑惑・・の二重煙幕。
※「女はたいがい、自分の子供のことを、あまり好きではありません」・・嗚呼、何という「残酷な真理のテーゼ」 |
No.52 | 5点 | もの言えぬ証人- アガサ・クリスティー | 2021/02/21 21:28 |
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ヴィクトリア朝の生き残りの様な狷介だが情誼あふれる大富豪老女。莫大な遺産を巡る遺族達・・小賢しい甥、傲慢な姪、いじけた姪、温柔な外国人医師の婿、無垢で鈍重なメイド・・。事故死と判断された老女の怪死と書き換えられた遺言。配達の遅れたポアロへの事件解明依頼の手紙。最小限の容疑者で老女殺害フーダニットを引っ張るが、ちとズッコケるハウダニット小粒ネタ・・ヒモと燐光って・・のオマケが付く。ポワロのポロリ「スタイルズ荘」「アクロイド」等ネタバレおまけも付く。老女の友人の毒舌老婆の諧謔が実にいい。「当たり前の事でしょ。誰か死んだら必ずゴタゴタがあるに決まってますよ。死人が棺桶の中で冷え切らないうちに、生き残った連中はお互いに爪を立てて財産争いさ」 ※ところで、あの犬、ヘイスティングスに貰われるんだね。
てことで、アガサ・クリスティー30年代の長編ミステリ全17作の採点修了したので 私的「30年代アガサ・クリスティー」ベスト5(6) 第一位:「ポワロのクリスマス」 第二位:「シタフォードの秘密」 第三位:「メソポタミヤの殺人」 第四位:「そして誰もいなくなった」 第五位:「死との約束」 同五位:「ABC殺人事件」 |
No.51 | 7点 | メソポタミヤの殺人- アガサ・クリスティー | 2021/02/17 23:37 |
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舞台はイラク(首都名バグダッドの方が雰囲気出る)だが、建物の見取り図と容疑者達の行動時刻表がしっかりした「本格館もの」。犯人のアリバイトリックを構成する殺人トリックが単純明晰に決まり、「アクロイド殺し」等より、これとか「ポアロのクリスマス」「シタフォードの秘密」等の方が素晴らしいと思っている。
プライドとマゾヒズム、支配欲と異性愛、憎悪と挺身・・男女間の情念錯綜の物語が、ミステリの型式を粉砕してしまうことなく、むしろ構成しているところも見事。 |
No.50 | 4点 | なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?- アガサ・クリスティー | 2021/02/13 17:07 |
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ラスボスわかり安すぎ。にしても、植民地経営を約束された貴族令嬢と退役軍人青年なんて・・こっちこそ悪役設定にせんとねえ。 |
No.49 | 7点 | シタフォードの秘密- アガサ・クリスティー | 2021/02/11 06:07 |
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雪の山荘での招霊会遊びと同時刻の遠隔地での殺人。遠隔超能力殺人トリックがGood。ただ、この手のトリックとしては飛鳥部勝則「レオナルドの沈黙」の方が面白い・・とか書こうとして、ふと気付いたら早川文庫の解説、その飛鳥部勝則が書いてて驚いた。そっか!まんまこれに影響受けてあのトリック拵えたのか。
坂口安吾がこれ称賛したのは、あのトリックではなく、ヒロインの最後の男の選択・・「できすぎ君」でなく「のび太」を選ぶ「シズカちゃん」・・が、安吾の心の琴線に触れたからだと睨んでる。 「あの人は一人で立派にやっていける人」「でも、もう一人の方は、あたしが世話焼かなければ、どうなるか分からない・・」無頼派にとって、こんな涙が出そうなセリフはなかろう。 |