皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
∠渉さん |
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平均点: 6.03点 | 書評数: 120件 |
No.23 | 7点 | 痩せゆく男- スティーヴン・キング | 2015/02/22 21:06 |
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痩せる、ひたすら痩せる。キングが描く「痩せゆく恐怖」はアイデアたっぷりで、日常がしっかり歪んで、書き手の意志がこれでもかと伝わってくる、もはや感動の、熱い熱い恐怖小説だった。とくに本作は、しっかりしたアクションがあり、ユーモアのセンスも光っていて、エンタメ色も強い。元が別名義での作品だったからの遊び心でもあるけれど、文句なしに面白かった。ごちそうさま。 |
No.22 | 10点 | ドロレス・クレイボーン- スティーヴン・キング | 2014/12/18 22:19 |
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全編主人公のドロレス・クレイボーンの、取り調べ室での一人語り。このおばちゃんがまぁしゃべるしゃべる。最初は「またダラダラ始まったよ」なんて思ってるのもつかの間、このあばちゃんの生き様がだんだん見えてくる。見えてくれば見えてくるほど、見えてないものの多さに気付く。小さな町を暗く包んだ皆既日食が隠した彼女の真実に、もう涙ちょちょぎれなのである。
この叩き上げの肝っ玉かあさんこそ、キングが描く「イイ女」なのである。 |
No.21 | 7点 | ライディング・ザ・ブレット- スティーヴン・キング | 2014/12/07 14:59 |
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短編ですがボリュームたっぷりなシチュエーションスリラーである。病気の母の見舞いに行くためにヒッチハイクで病院に向かう大学生がつかまえた車にはなんと・・・!
みたいな、古典的なシチュエーションなんだけど、ストーリィの顛末は予想を裏切る良いものになっていると思う。バリエーション豊かで、ディテールが細かくて、なおかつ短く集約されているので、絶叫マシンのような瞬間的な恐怖と解放感のある作品になっている。しかも泣けちゃうんだからニクい。 |
No.20 | 6点 | 第四解剖室- スティーヴン・キング | 2014/12/07 14:45 |
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表題作『第四解剖室』の迫りくる緊張感とわが道を行くオチにもう心うばれてしまいましたが、他にもかなり良いのが揃っているなぁ、と。
『黒いスーツの男』/少年時代に見た不気味なスーツの男は実在したのか、夢だったのか。老人が回顧する少年時代のいびつな思い出。 『愛するものはぜんぶさらいとられる』/自殺願望を持つ、「トイレの落書き収集家」のセールスマン。彼のささやかな幸せが自殺を前に悲哀へとかわっていく。 『ジャック・ハミルトンの死』/どんな窮地にも絶えず、強固になっていった3人のワルの友情とその最期の物語。史実を基に作り上げたアメリカ大不況時代のファンタジィ。 『死の部屋にて』/囚われの身になった男の、尋問室からの大逆転、大脱出サスペンスアクション。こんなのもできるのかー。ブルース・ウィリスらへんにやって欲しい! でもってラストは<ダーク・タワー>シリーズの番外編が収録。ローランドがひたすら大変な目に遭います。ファンはやっぱり見た方が。 非常にバラエティ豊かで、とっくのとうにホラー作家の殻は破ってます。まぁでも怖いんだけどね。 |
No.19 | 7点 | ペット・セマタリー- スティーヴン・キング | 2014/07/19 16:14 |
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もはや感動をおぼえる怖さ。大切な人の「死」によって起こる日常の崩壊、死と向き合うことの難しさ、そして立ち直ることができずに起こってしまう日常の崩壊の連鎖。ホラーってこういうことだよなぁって思ってはいるけれど、改めて真正面から「死」をつきつけられると、ホラーでも辛いなぁ。土地にしみこむ「人が生き返る墓」の都市伝説が、先人たちが築いてきた「死」の歴史として残る街と、その街で息子の「死」を迎えることになる家族の物語。ホラーという一種のエンターテイメント作品でありながら、物語のすみずみから感じる純粋さが切ないホラー作品でした。 |
No.18 | 7点 | トム・ゴードンに恋した少女- スティーヴン・キング | 2014/04/21 20:13 |
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少女が森で迷子になる話です。
ひたすら迷子になる話なんですが、少女の成長記として読めたり、スリラーな感じもするし、家族の愛情とはなんぞやって読み方もできるし、ファンタスティックな匂いもします。森で迷子になっただけなんですが、深い緑地に囲まれる様は人間の不安の心理とうまく重なるし、不安と恐怖を超えて極限状態に陥る心理描写も巧く、強く生きようとする少女の姿には唸らせられました。 物語のひっぱり具合は、流石キングといったところ。もはや名人芸。 |
No.17 | 7点 | 夜がはじまるとき- スティーヴン・キング | 2014/04/14 21:53 |
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夕暮れがすぎて、夜がはじまりました。
『N』/★★☆☆☆ 古典的な題材を踏襲しながらきっちり怖い。強迫性障害が伝播していく話なのですが、怖い怖いと思いながら結末まで読んでしまう自分はもう強迫街道まっしぐらでした。「あぁおれキング読んでるなぁ」ってタイプの作品かな。 『魔性の猫』/★☆☆☆☆ 猫ってのはこの作品くらい悪い奴だと思ってる笑。なかなか悪童な猫を書いててなんかちょっと嬉しかった。 『ニューヨーク・タイムズを特別割引価格で』/★☆☆☆☆ キングはロマンチストだけど、綺麗ごとは書きません。たとえ男と女の物語でも。 『聾唖者』/★★☆☆☆ 聞こえていようがいまいが、聞いていようがいまいが、耳はふたつあるわけだ。くわばらくわばら。 『アヤーナ』/★☆☆☆☆ 生と死の条理と不条理を"奇跡"を交えて書き上げた快作。胸がつまります。 『どんずまりの窮地』/★★★★☆ 正直この作品のインパクトで記憶が占められてて他の作品の記憶は曖昧です笑。とてつもないウ〇コ祭りでえげつない。ゲスいぞ、キング。これも巨匠の円熟の極みなのか、はたまたゲスの極みなのか。『どんずまりの窮地』って題名もこれまた秀逸。 『夕暮れ~』に次いで秀作揃い。愉しみました。 |
No.16 | 7点 | 夕暮れをすぎて- スティーヴン・キング | 2014/04/07 21:08 |
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キングの第五短編集。
①『ウィラ』/★★★☆☆ 文章が素敵なロマンスホラー。雰囲気がぐんぐん伝わってきて引き寄せられる。そして切なく。 ②『ジンジャーブレッド・ガール』/★★★☆☆ 完成度としては一番だと思う。キングの好きで得意なタイプのサイコスリラーって感じ。溌溂としていく女性の姿にこの作品の緻密さを感じる。 ③『ハーヴィーの夢』/★☆☆☆☆ これもキングらしく緻密。じめっとするホラー。 ④『パーキングエリア』/☆☆☆☆☆ これはギャグってことでいいんだよなぁ・・・笑。作家が主役の物語だとついついキングを思い浮かべて読んじゃうけどライナーノーツ読んだらあながちあながち、キングだった。 ⑤『エアロバイク』/★★★☆☆ これは完全にギャグです笑。個人的に一番好き。増田こうすけに書いてほしい。シュールに虜。 ⑥『彼らが残したもの』/★★☆☆☆ 9.11に関してはいろんな見解と、いろんな解決と、いろんな解釈と、いろんな妥協があると思いますが、アメリカのいち作家として書かずにはいられなかったのでしょう。 ⑦『卒業の午後』/☆☆☆☆☆ キングの脳内ワールド、爆発。どう読めばいいんだか。短いからいいけど。 初期の短編集と比べるとだいぶ毛色は変わりましたが、僕にとっては相変わらず魅力的です。 |
No.15 | 8点 | デッド・ゾーン- スティーヴン・キング | 2014/04/07 20:36 |
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良いプロットにおもくそエグいのぶち込むキングが好きです。真骨頂が出てます。
交通事故に遭い4年半の昏睡状態に陥ったジョン・スミスは意識を取り戻し奇跡の回復を遂げるも、事故後に身に付いた予知能力によって、人生の歯車が狂いだす・・・。 予知能力のせいだけではないし、色々な要素が、そして人が交錯してジョンの人生が動いていくのですが、あまりの迫真さにフィクションだって感じがしなかったし、この不条理さがキングだなぁ、と改めて感じました。そしてロマンチストです。 |
No.14 | 6点 | ダーク・タワーⅢ-荒地-- スティーヴン・キング | 2014/03/27 18:00 |
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ストラウブとの共著の「タリスマン」を読んだときに、キングのファンタジーとは自分は相性がよくないかなぁ、と思いつつページを捲り、「ダーク・タワーⅠ・Ⅱ」では、とてつもないパワーを持つ小説に熱狂する反面、キングの創造と破壊の世界観があまりにも、なんというか、キングの内にある世界があまりにも生々しく小説になっているので、疲れるし辛い部分もあった。「まぁ俺はキングじゃないからなぁ・・・」と割り切るわけです。でももちろん続きは気になる。すっげぇ気になるし、まぁ結局読むことになるんですが、もう読む前からなんか怖いんですよ。読んでからも怖かったけど。なぜ怖いかといったら、自分の理解を遥かに超えてるわけです。自分の価値観と尺度がまったく通用しないのが怖い。ファンタジーって物語の中に作者の秩序があるとは思うのですが、読み手はそれを中々汲み取れないからどうしてもアナーキーに感じてしまう。でも<ダーク・タワー>シリーズでは常に世界が変転している、という「秩序」があって、それはまぁ「無秩序」ってことなんです。キングは「無秩序」という「秩序」を設けているような印象を受けました。じゃあ読み手として自分はどうすればいいのか。それはもう読み手としての自我を無くすということでした。やっぱり疲れたし辛かったけど、とてつもなく面白い。あぁこれがキングなんだなと、キングって「ミザリー」なり「シャイニング」なり、ぶっ飛んでるけど、制約はきっちり設けてたんだなぁと。そんなキングの創作の源の不連続でアナーキーな集合体が、今僕が思い描いている<ダーク・タワー>です。わけわからん感想笑。
あと、個人的なイメージだと、ローランドは断然クリント・イーストウッドなんだけど挿絵がシュワルツェネッガー似でイメージぶれちゃう笑 |
No.13 | 9点 | ミザリー- スティーヴン・キング | 2014/03/06 14:14 |
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再読。
前回読んだときはなかなかえぐい描写が多くてそっちばっかりに気が行ってたんですが、改めて読んでみるとちょっとロマンチックな感じもしました。 ポールは常々アニーのことを「女神」と表現していて、最初はまぁ皮肉だったのでしょうが、最終的にはポールを再び作家へと導く「女神」になったわけです。前回読んだときはアニーは強いファン心理が生み出したモンスターみたいに思ってましたが、読み返してみると、「献身的なイイ女」に見えてきました。いちファンという点でみればかなり尊い存在なのでは?とまで思いました。 作中でポールは作品に献辞をつけることについて、「作家がよく本の始めに献辞をつけるのは、書き終えてから、それまでの自己本位の態度が空恐ろしくなるからなのさ」と言っていましたが、そんなマスタベーションの賜物にたいして献辞をおくる、普段は作家にとって実体をもたない愛読者たちの尊さを表現したかったのかなぁなんて思いました。それをキングが書くと、アニーのような躁鬱を繰り返し、傲慢で繊細で、尊大なのに感傷的な、かなり破壊的な人物が形成されています。でもやっぱ僕ら読者、愛読者、ファンも少なからずこういう不安定さを抱えているのでは?と思うと、とてもじゃないけど笑えません(失笑)。 作家と読者、アイドルとファン、色々ありますが、こういう関係って実はかなり健全な関係ではないのかもしれません。でも素敵な関係であるのも確か。「ただならぬ関係」といったところでしょうか。それが「ミザリー」に集約されていました。とても思い出深い作品ということもあって、この評価です。 |
No.12 | 8点 | シャイニング- スティーヴン・キング | 2014/03/06 13:29 |
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とにかくラストの怒涛の展開にはただただあっけにとられるばかりで、開いた口が塞がらなかった。それくらい破壊力があったし、これはホラーの枠に入りきるのかと思っちゃうくらいのスリルとサスペンスの質も最高だった。シリアルキラみたいな犯罪心理にも通じそうな感じで幽霊より人間のほうが恐い。幽霊が霞んじゃった笑。
物語が軌道に乗るまでが結構長いけれど、読み終わって「どうしてこうなってしまってのか」を振り返ってみたときの材料の量と質がものすごい。あぁ、だからこんなに自分は作品にのめりこめてたんだと。 とにかく現実世界の歯車にホラーを噛ませるのが巧い。とにかく入り込める。そらキングのことだから惨劇になるんだろうしそれが好きなんだけど、中盤あたりで「なんとかハッピーエンドにならんもんですか」って念じちゃってました。やっぱ惨劇だったけど笑。でも救いもあって良かった。心から良かったと思った笑。 とても使い古された題材とは思えない。なるほどモダン・ホラーってこういうことなのね。 |
No.11 | 10点 | ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編- スティーヴン・キング | 2014/01/26 14:10 |
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一つの希望を掴むには、数多の絶望を知って、時には己の運命を呪い、時に後悔し、また時には傷を負う。それでもなお「希望ってのはいいものだ」と言うデュフレーン。「がんばって生きるか、がんばって死ぬかだ。」はこの物語の全てを表していました。そんな静かな余韻と清しさを感じながら『刑務所のリタ・ヘイワース』を読み終え、なんか少しポカポカした感じで次の『ゴールデンボーイ』を読んで、希望ってなんだっけ?といきなり突き落とされました。こうなってしまえば希望もへったくれもありません。そしてそれはあまりにも真に迫っている。ここまで情けも救いもない人物を書けるのは日本人にいるのかはわかりませんが、やはりアメリカですね。スティーヴン・キング とはこの作品のことだと僕は思いました。しかしながら、つくづく、生きるって恐い。 |
No.10 | 7点 | スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編- スティーヴン・キング | 2014/01/26 13:26 |
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昨年も読んで感想を寄せたのですが早くも再読したので更新した所存。
モダン・ホラーの鬼才が書くホラーじゃない小説は、旨い焼き鳥屋のラーメンの如し、絶品です。青春文学として圧倒的な存在感を誇る『スタンド・バイ・ミー』はキングの持つバックボーンと作家としてのキングの二つの側面が生んだ秀作だと思います。憧憬や懐古趣味みたいな言葉では片づけられない、真に迫る物語がありました。青春ってなかなか人生の中でも片付きませんね。 『マンハッタンの奇譚クラブ』にある銘文「語る者ではなく、語られる話こそ」もまた、現代の真に迫るキングのストーリィテリングを表しています。両作を読んで、あぁ生きるって恐い、そして哀しい。なのになんで生きてるんだか、と思わせるキングはやはりホラー作家なのだなという結論に達して、今日もまた生きていくのでした。 |
No.9 | 6点 | キャリー- スティーヴン・キング | 2013/12/28 18:42 |
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事件の後日談という構成で、まぁキングがおちぶれてたいた時期といこともあって、挑戦的なプロットですが、やっぱ面白い。どこにでも起こり得るいじめ問題そのものなんだけど、ホラーにすることによって、より人間のおぞましさが見えてきて面白い。こないだリメイクもされましたが、デ・パルマ版はやっぱ面白い! |
No.8 | 4点 | ダーク・タワーⅡ-運命の三人-- スティーヴン・キング | 2013/12/20 00:33 |
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あくまで単体としての評価。
全く物語の本筋が見えてこないままストーリィが展開していくので、第二部にしてもう少しじれったいけれども、物語が波に乗るまでが非常に長いのはもうキングのスタイルだし、それだけ細かく描きこまれているのは良いことだと思います。なのでここは壮大な伏線の章としてきっと重要なピースの一つなのだろうと思って読み進めた。 だけど、世界観としてはⅠの方がが個人的には好きだったのでこの評価。同じ作者の同じシリーズの作品読んで世界観違うって言うとおかしいけどインターバルもあってか全体に纏ってる雰囲気がなんかちがったんだよなぁ、と。でも迫力は抜群なので、ぐいぐい読まさりました。 やっと始まった感じはするけども、兎にも角にもまだまだ輪郭が見えてこない。だから早く続きを読まねばと思っちゃっている僕はもうこの物語の虜なのです。 |
No.7 | 5点 | ダーク・タワーⅠ-ガンスリンガー-- スティーヴン・キング | 2013/12/09 23:14 |
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全7部の超大作の導入部なので、単体として評価するのもあれですが、します。スケール感のある大作シリーズで、キング流「ロード・オブ・ザ・リング」であり、「ナルニア国物語」であり、「ハリーポッター」でありのような、つまりファンタジーなんですが、それをキングが書くと物語全体の雰囲気に漂うペシミズムが半端じゃなく、こんなにも夢と希望がなさげなファンタジーの幕開けってあるだろうか、というような感じで、既存の有名なファンタジー作品とは一線を画すものがあるなという印象。
そして話によるとこの作品はキングの多くの作品につながるらしく(小ネタのリンクとかだけじゃく)、キングの世界観のほとんどがこのシリーズに注ぎ込まれているようなのでキングファンとしは必読の様相。 個人的な印象だと森博嗣さんの「ヴォイド・シェイパ」シリーズや「スカイ・クロラ」シリーズのような雰囲気も感じました。なにか真理を求めて不安定になりながら、葛藤をして、悟っていく感じが。とても文章にも引き込まれるものがるので読み応えも読みどころも盛りだくさんの作品になっていると思います。あくまで第1部の感想ですが。 |
No.6 | 3点 | タリスマン- スティーヴン・キング | 2013/12/04 22:05 |
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ファンタジーというジャンルの作品に対して、自分の想像力が追いつかなく、乏しい想像しかできなくなっていることを実感。そんな感じで読後の裏表紙(紹介文)見ると、「童心を失わない大人たちへのノスタルジアの贈り物」と書いてあり、自分の感性の磨耗に寂しさを感じた。ハリポタとか昔はすきだったのになぁ、みたいな。
ストーリィはよく練られたプロットというよりかは、とても自由に物語を紡いでいったような感じで、お二人の「一瞬の創造力」の豊かさを感じました。 キングらしい毒っ気はあまりなく、純度の高いファンタジーになっているので、童心を失ってはいない大人の方々は、ぜひ、読んでみては。 |
No.5 | 7点 | セル- スティーヴン・キング | 2013/11/30 00:28 |
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携帯ゾンビといういかにもB級ホラーな設定をここまで上質なA級ホラーサスペンスにしてしまうキングの辣腕に7点です。
設定もさることながら、前半の展開の速さがとても心地よく、それでいて内容は厚く、読み応え充分です。 そしてそして、キャラクターが最高。トム、アリス、ジョーダンら、くしくも絶望の淵だからこそ出遭えた、素敵な仲間たちが、読んでて愛おしくなります。 そしてそしてそして、なんといってもラストです。キングの他作品とくらべてやや希望多めですが、これ、充分絶望ですよ。ジョニーを見つけたところでおわらせてたら、ここまでの圧巻のラストは書けなかったと思います。もう極限のラストですね。「もうこれ以上はさすがの僕も書けませんよ」とキングが言っているようなラストでした。 文明社会のもつ恐ろしさを大きなうねりとして描いていて、ひたすら恐ろしい。 |
No.4 | 8点 | グリーン・マイル- スティーヴン・キング | 2013/11/26 22:17 |
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6冊あっという間に読めました。スプラッタだと思ってたら全然違って、あぁ、こんなんも書けるんだぁ、とただただ感心。伏線も沢山あるので最後は圧巻の切なさ。そして恐怖。下手するとホラーより恐いかも。混沌とした中で生きていることへの一抹の切なさを感じました。映画は、原作に忠実で大変良いのですが、なにせ、3時間超の作品だったので、見終わって僕はこういってやったよ、「ああ、神よ、ときに<グリーン・マイル>はあまりにも長すぎる。」ってね。 |