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ミステリ初心者さん
平均点: 6.18点 書評数: 404件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.184 6点 いくさの底- 古処誠二 2019/09/16 17:31
ネタバレをしています。

 戦争中のビルマの村という、やや特殊な環境が舞台のミステリです。しかし、本の中での説明が簡潔で読みやすく、難なく物語へ入っていくことができました。
 賀川少尉と村長(偽)が殺害され、村長の真の姿が明らかになるにつれて、犯人の動機が分からなくなります。村長は殺されるとき無警戒である→村長は華僑であり重慶軍とパイプがある→日本軍ではなく、村の人間が殺した可能性が高い→しかし賀川少尉はなぜ殺されるのか? と考えが堂々巡りします。最後まで読んだとき、犯人の意外な正体と動機に納得しました。
 犯人につけられた(と錯覚させた)あだ名"イシマツ"のミスリードが見事で、自然と賀川少尉がつけたものと勘違いしてしまいました。しかも、このイシマツは、犯人の正体を推測する伏線にもなっていました。

 以下難癖。
 登場人物の名前がフルネームでないので、なんとなく感情が入らない。このへんはあだ名関連があって難しいのかもしれませんが。
 犯人の賀川少尉に対する殺意を抱いたシーンが淡々としすぎている気がする。もうすこしドラマティックでもよかったかも(?)

No.183 6点 羊の秘- 霞流一 2019/09/14 01:17
ネタバレをしています。

 キャラクターが明るく、始めはユーモアミステリかと思いました。しかし、ページが進むにつれて、過去の自殺者と現在の被害者の関連が明らかになるにつれて暗い出来事やオカルトのような感じが強くなりました。見立て殺人が3つ続きますが、羊に関連した呪術的なものであり、その説明の衒学?のページが多くやや読みづらかったです。

 本格推理小説としては、不可能犯罪2つと犯人当てがあり、満足しました。
 不可能犯罪はどちらもまったく当たりませんでした。足跡のない殺人は、図がほしかったし、偶然が強く絡み、犯人が意図しないものなのでいまいちでした。3番目の殺人は、死体の状況からピタゴラスイッチ的な要素があるとは思いましたが、自分には当てたれる気がしませんでした。
 犯人当ては、かなり細かく小さい出来事から当てているのでかなり難易度が高いように思いました。しかし、説得力があってよかったです。

 ラストはホラー?のような感じで終わりましたが、犯人断定の推理を覆すものでないので、邪魔にならないと思います。

No.182 8点 吸血の家- 二階堂黎人 2019/09/01 22:53
ネタバレをしています。

 今まで、なぜか敬遠していた二階堂黎人作品で、今作が長編では初めてです。これほど濃厚な本格を書くとは知らず、これからはまりそうです(笑)。
 旧家の雰囲気(?)や、過去のおどろおどろしい怪談じみた伝説。その遺伝子を受け継ぐ人々。美しい姉妹…などなど、どこか横溝作品を思わせ、そのためか非常に読み易く、厚い本にも関わらずさほど時間がかからず読了しました。横溝作品の素晴らしい雰囲気に、さらに本格度を加えたような作品で、好みです。また注釈が丁寧で、ミステリに対する愛も感じました。この本にでてくるタイトルも何冊か気になりました。

 本作の謎も、不可能犯罪3連発という、豪華で魅力たっぷりな物となっています。
 井原殺しについて。実は、私が唯一当てる事のできたのがこれでした。私が当てられるということは、難易度が低いということですが、3つの事件中もっともフェアであることかもしれません(伏線もたくさんありましたしね)。私はこの謎が一番好みでした。
 瀧川殺しについて。時計を壊したのは、瀧川の時計が壊れていることを知らない人物ではないか?ということを思った以外、あとのことはさっぱり(笑)。様々なミスリードによって、自然と犯行時間がずらされているのが見事でした。結末は犯人以外に協力者がいて、犯人を庇っていたというものですが、まあ笛子一人でもできないことはないし(?)、物語の色どりを加えるという点でありでした。
 大権寺殺しについて。これもさっぱりわかりませんでした。凍ったテニスコートに足跡がつかない具合や、石灰?をまいた具合がよくわからず、いまいちな印象を持ちました。注釈で説明はありますが、私は警部とおなじ"石灰をまいたら目立つんじゃ?"とか思ってしまいました(笑)。

 以下不満点。
 不可能犯罪ものにはつきものですが、やはり協力者の存在は不満です。井原殺しの真相や、話の流れ的に笛子がイト子と親子なのは察したし、何かしらやっているとは思いましたが、協力者がいるとやはり難易度が跳ね上がりますね(笑)。しかし、それを示唆するような伏線を残してあるのが流石です。
 瀧川殺しの死体放置は大胆であっぱれですが、犯人にとって危ない橋を渡りすぎなのでは…?
 過去の名作のネタバレはやめてほしです(笑)。

No.181 6点 鬼面村の殺人- 折原一 2019/08/19 20:58
ネタバレをしています。

 とても明るいキャラクターたちが、非常に読みやすい作品でした。主人公の黒星警部、相方の虹子は魅力的でした。
 メインのトリックは、建物が消失するという大掛かりなもの。あとは小粒目の密室が2つ。大がかりなものだと、やはり大人数で行わなくてはならず、馬鹿ミスの香りが漂います(笑)。黒星と虹子の主観が入れ替わり、読んでいると別々の位置にいることをわかりにくくさせるミスリードが良かったです。

 以下、不満点。
 別作品のネタバレはやめてほしいです。ビニールハウスの密室は私の盲点で、はっとさせられましたが、これも前例があるんですね(笑)。

 黒星警部が気に入ったので、いつかまたこのシリーズを読みたいと思います。

No.180 7点 仮面舞踏会 伊集院大介の帰還- 栗本薫 2019/08/12 01:54
ネタバレをしています。

 私はチャットについての知識がありません、そのため、序盤は読むのに苦労しました(笑)。しかし、中盤からは一気に惹きこまれ、すいすいページが進みました。
 これまでに読んだことのないジャンルであり、本格推理小説としてではなく、純粋な小説としても楽しめました。
 中盤にある、「男性が作ったの理想の女性キャラクター」やその逆の話がありましたが、これはとてもよく共感します(笑)。漫画やアニメだけでなく、推理小説の女性探偵とか当てはまる部分が多いともいます(笑)。

 以下、不満点。
 犯人のだいたいの正体、姫野が怪しいということはすぐに気づきました。しかし、犯人が精神病?をわずらっていて行動に予想しづらいことと、犯人が姫野の意図しない行動をしてしまっているため、犯人当てやアリバイトリックという楽しさはありませんでした。事件は、すべて犯人の思い通りにいく小説のほうが好みです。
 やや後味の悪いラストでした。姫野になにも罰が与えられていないのが不満です。

No.179 5点 白い僧院の殺人- カーター・ディクスン 2019/07/30 21:24
 ネタバレをしています。

 かなり昔、創元推理文庫のやつを購入していました。しかし、そのときは訳の文章の合わなさと、文字の小ささや印刷の汚さのため、一度読むのを挫折しております。このあいだ読んだ新訳版の"緑カプセルの謎"や"ユダの窓"などは非常に読みやすかったので、新訳版の"白い僧院の殺人"を再購入(笑)。しかし、よく理由はわかりませんが、これもちょっと読みづらさを感じてしまいました。館の見取り図ぐらいはほしかったなぁと思いました。

 今作は、ミステリ初心者の私でも3~4作品はみたことのある"雪の密室"。犯人はどうやって足跡を残さずに現場を去ったのか…という問題は、ちょっと考えただけでもわくわくします。しかし、実は雪の密室に良い思い出がありません(笑)。雪の密室ものには犯人に有利な偶然や協力者が多すぎる印象があります(そもそも雪が降ること自体が偶然だし)。今作もそんな感じです。この作者の作品は、素晴らしいアイディアとそれを成立させるための強引な要素が混じっている印象ですが、今回は強引さが勝っていると思います。

No.178 6点 ○○○○○○○○殺人事件- 早坂吝 2019/07/20 00:34
ネタバレをしています。

 非常に読み易く、読み始めてから2日で読了しました。
 南国モードには笑いました(笑)。みんなに認知されているのもウケる。ただ、これも微妙に伏線だったんですね(?)。
 包茎だの剥けているだの、六とんを思い出すワードがでて、メフィスト臭がするな~と思ったら、本当にメフィストだったんですね(笑)。らいちとのチョメチョメシーンも読んでいるときには"ここいらないだろ"と思ってましたが、結局推理に絡んでおり、雰囲気はギャグ調でも案外無駄がない印象でした。登場人物がヌードだということを隠した叙述トリックのひとつだと思いますが、そのメイントリックと物語全体がマッチしててよかったです。
 "挿話 井の中の蛙"で、まるで挑発のような文章がかかれていて腹が立ちますが(笑)、仮面=入れ替わりという鉄板ネタをミステリオタクの沖が気づかないはずがないというヒントが与えられていて良いですね。まあそれでも、叙述トリックと挑戦状は相性が悪いと思います(笑)。
 ビッチ探偵は非常に新しいですね(笑)。いま作者の作品ページをのぞいてみると、シリーズ化されていますね。この作品のレベルなら他も読んでみたいです。

 以下、難癖。
 仮面入れ替わり系は、知人ではバレると思います・・・。顔以外の要素が多いですよね。体の見た目や声や体臭、雰囲気や動作とかやはり仮面つけただけでは難しいのでは(似ているという描写はありますが)。包茎問題も、剥けば同じってわけでもないだろうし・・・。
 タイトル当てであって、犯人当てでないとのことですが、純粋論理思考で犯人を当てられると書いてあります。到底そうは思えないのですが。らいちの"ナニやアレにアイスピックを入れる"説も主観が否定したわけではなく、解決編後で明かされた要素。ヌーディストでなくても話が通用するように、どっちとも取れるように書かれているのが叙述トリックであって読者には判断が付かないと思います(偉そうに書きましたが、もしかしたら読み落としているかも・・・ヒントはあったと思いますが絶対に裸でないと通用しないシーンはないかと)

 いろいろ書きましたが、良い叙述トリックのアイディアとそれを活かした良作品だと思います。

No.177 6点 黒い白鳥- 鮎川哲也 2019/07/18 02:35
ネタバレをしています。

 犯人の緻密な計画や、アクシデントを利用しそれを計画に組み込む機転に感服しました。また、私が今までに読んだ鮎川作品よりも今作のほうがより犯人について細かく書かれており、小説としての厚みを感じました。

 しかしながら、鬼貫警部が登場するまで、個人的に好みではない展開でした。そのため、なかなかページが進みまず、読みづらさを感じました。社長の死~動機探し~犯人候補のアリバイ検証→候補から外れるという繰り返しは苦手です(笑)。労働組合と会社側の対立、宗教団体との対立も面白さは感しませんでした(宗教団体のほうは、非常に怖かったです)。
 さらに、犯人にやや都合が良い証言者や、予期せぬ偶然の要素はどちらも好みではなく、その点では期待はずれでした。

No.176 5点 高原のフーダニット- 有栖川有栖 2019/07/09 19:07
ネタバレをしています。

 短編2つ、ショートショート1つが収録されていました。

・オノゴロ島のラプソティ
 作中のアリスの"叙述トリック"への思い(?)が面白かったです。メイントリックはまったく見当もつきませんでした。三毛猫ホームズはヒントなのか(笑)。主観のアリスも読者も同時に驚き、なおかつ文に嘘は書かれていません。がメイントリックが若干のバカミス的?な大掛かりなものでした。

・ミステリ夢十夜
 夢の国の人形の中に入っていてアリバイが言えない容疑者や、迷路すぎる館がおもしろかったです。味覚障害者のあつまる毒殺は、なにやら長編に使っても面白そうな話でした。第六夜は、私のパープリンな脳ではいまいち理解できませんでした。

・高原のフーダニット
 殺しあった双子のうち、どちらがどちらか見分けられたものが犯人ということはわかったのですが、バードウォッチングの機材の性能やどの程度遠くをみられるのか(雨上がりなら湿度が高くあまり遠くまで見られないのでは?)が想像できませんでした。フーダニットは好きですが、この作品はいまいち。
 ※今調べたら、雨上がりのほうが良く見えるらしいです(笑)。失礼しました。

No.175 7点 首無館の殺人- 月原渉 2019/06/28 19:17
ネタバレをしています。

 昔ながらの、コッテコテの推理小説要素満載で、満足しました(笑)。孤島、記憶喪失の主人公、首無し死体、空飛ぶ首の怪奇、謎の幽閉された人…最高ですね…。これだけの要素を詰め込んだにもかかわらず、どれもしつこくなく、非常にテンポ良く読めました。横溝作品のような雰囲気がありましたがどうでしょう。
 首無し死体というと、その死体と犯人が入れ替わっていて、死んだとみられた人が犯人…という展開はよくありますが、この作品はそれを逆手に取り(?)、さらにその前に全員入れ替わっているという構成が面白かったです。
 私は、空飛ぶ首の怪奇の正体がなんとな~く予想できたので、大体の展開は読めました。ただ、フーダニットや、アリバイトリックと楽しむ類の作品ではないので、当てたことよりかはそれが好きかどうかだと思いますが。

 好みで無い点をあえて挙げるとすれば、この作品ならではの強い個性はなかったように思えます。昔ながらの展開は大好物なのですが、それにプラス大トリックの個性が加われば8~9点でした(笑)。
 今見たら、シリーズものなのですね! シズカさん探偵物の

 ※追記 他の方も書かれていますが、絶対館図がほしいですよね(笑)。 無いから、用意できないトリックがあるのかと思いましたが、あっても困りませんよね?

No.174 7点 緑のカプセルの謎- ジョン・ディクスン・カー 2019/06/24 21:10
ネタバレをしています。

 新訳版を買いました。中学生ぐらいの時分、訳の古いカー作品を読むのを断念した記憶があります。しかし、最近は読みやすい日本語に訳された新訳版が発売されていて、非常に助かります!

 消える犯人、録画したビデオと食い違う証言…という魅力たっぷりな謎があり、この作者特有の安定して面白い不可能犯罪を楽しむことができ、満足しました。

 このトリックと、マーカスによる観察力を試す実験を絡めたところが、この作者の頭のいいところですね! 犯人以外の人間が、無意識に犯人に協力してしまっているのですが、それをほのめかすヒントがちりばめられており、好感が持てました(というか、ヒント過剰気味であり、普段さっぱり当てが外れる私でさえ察してしまうほど)。

 最後はハッピーエンド?で読後感がよかったです。こういうパターン多い気がしますね(笑)。

 この本を購入したときについていた帯のあおり文には、"毒殺ミステリの最高峰"ということが書いてあったのですが、毒殺ミステリっぽくなくてびっくりしました(笑) たしかに毒殺ではあるんですが…。なんか毒殺というと、いかにして特定の人物だけに毒をもることができたのか~みたいなものだと思っていたので。

 好みでない点を挙げるとすれば、フェル博士の紛らわしい発言と、後半の銃暴発事故です。いらないと思いました(笑)。

No.173 6点 本格推理①新しい挑戦者たち- アンソロジー(国内編集者) 2019/06/19 00:02
ネタバレをしています。

 柳之介の推理:密室講義的なものがあったにしてはいまいち。
 鳥:マジシャンで嫌な予感がしたが、当たってしまった。絶対成功するかわからないが面白かった。
 藤田先生と人間消失:実際にやるとバレる気もするが、面白かった。他作品も読みたい。
 信州推理紀行:ちょっとバレバレだった。
 愛と殺意の山形新幹線:あまり印象に残らなかった。
 砧未発表の事件:叙述トリック?のような書かれ方をしているので、話が前後しているのはすぐにわかった。どうやって死体を運んだのかが面白かった。
 仮面の遺書:この手のミステリは初めて。登場人物が少ないので、ラストが読めたが、短編なのでしょうがない。
 静かな夜:やっぱり、多すぎる共犯者は好みではない。
 氷点下7度Cのブリザード:倒叙形式。この本でベストだった。アリバイトリックとしても面白かったが、どこをミスしたのかも面白かった。料金所・被害者の死因・被害者の死ぬ直前の抵抗、全て予想外だった(笑)。
 桑港の幻:最後に大きな驚きがあった。
 牙を持つ霧:ドライアイスしかわからなかった;; 偶然が強く好みではなかった。
 赤死荘の殺人:鮎川氏の言う通り、カー先生の短編を翻訳したといっても通用しそう。1ページ目から伏線があって面白かった。殺人ではなかったけど・・・

No.172 6点 黒白の囮- 高木彬光 2019/06/15 01:17
ネタバレをしています。

 男女関係・会社内の権力争いから動機を探す物語の序盤が好みの展開ではなかったため、やや読みづらかったです。しかし、捜査する側が主観の小説にありがちな仮説→新事実による否定の連続する展開がミスリードになっており(私だけそう思っているだけかもしれないが)、犯人が警察をだましたように読者もだまされます。タイトルの"囮"もいいですね。

 自分は、犯行現場で目撃された友子のブルーバードが怪しかったので、まず島岡を疑いました(犯人の偽装としても、確実に目撃者がいないと無意味)。その車は、老人の証言が曖昧なせいもあって解釈が微妙だったのですが、老人が実際見たとすると2台あることになります。さらに、島岡にはアリバイがあったので、友子と共犯を予想しました。しかし、前に"一度わざと疑われておいて裁判で無罪を勝ち取る"という行動をどった犯人の小説を読んだ事があったため、友子犯人説をふわっと思いつきました。なので、当てたとは言えません。

 物語の構成もトリックも面白かったのですが、沢本が犯人のおもう通りに動いてくれるかはちょっと疑問。あと、共犯は好みではありませんでした。

 新装版のため、短編が2つ付いていました。殺意の審判の、胃に残った寿司の話は非常に面白かったです。

No.171 5点 魔術の殺人- アガサ・クリスティー 2019/06/08 15:50
ネタバレをしています。

 少々、読むのに苦労しました(笑)。登場人物の名前がカタカナなのは、いまいち記憶しづらいんですよね。さらに、頭の中で家系図が想像しづらかったです。
 事件が起こったシーンでは、読んだ瞬間嫌な予感がしたんですが、あたってしまいました(笑)。メイントリックはちょっと物足りないと感じますが、アガサ・クリスティーというビッグネームのせいでハードルが上がってしまった感じもあるかもわかりません。
 この作品に限ったことではありませんが、犯人と共犯者以外にもアリバイが無さそうな人物もいました。また、犯人に物的証拠もなさそう(私が理解していないだけならごめんなさい)。

No.170 4点 黄金色の祈り- 西澤保彦 2019/06/01 06:23
ネタバレをしています。

 ちょっと好みではない作品でした(笑)。
 主人公の半生が書かれていますが、少々嫌な奴で、興味を持てませんでした… ここいる??っていうページも多かったです。教子さんにしても、何がしたかったのかよくわからず…(性格のいい奴しかみとめないというわけではありません)。
 自分は、音楽の知識がまるでなく、楽器の名称が出るたびにyoutubeで見てみました。が、意味がなかったような気もしました(笑)

 推理小説としてみた場合も、あまり好みではありません。読み始めから、"僕"の主観がなにか隠しているが、文として嘘を書いていないような、叙述特有の臭いがぷんぷんしていました。さらに、そういう類の小説にありがちな、"部分的な要素は隠してはいるが、主観(犯人)自身も事件の全体像を把握していない"や"偶然が絡む"のはパターンとしてよく見るし、マンネリしています。最初に"僕"が盗んだアルトサキソフォン?の事柄ははっきりとは書かず、"僕"のトランペット盗難は犯人以外の仕業、殺人は偶然(ほぼ事故死)と、私が好みではない要素がてんこ盛りでした。似た作品を見たことがありますが、そちらのほうがハイレベルだったことも、この小説がイマイチに感じてしまう一因かもしれません。

 もしかしたら、私の頭がパープリンのせいで、この小説特有の大トリックを見逃していたら大変申し訳ありません。

No.169 6点 孤島の鬼- 江戸川乱歩 2019/05/30 20:54
ネタバレをしています。

 いろいろな要素が入った力作だと思いました。純粋な推理小説ではないため、評価点をつけるのが難しいです。
 最初の展開は、本格色の強いミステリ。密室殺人や、逆に大衆がいる中での殺人など不可能犯罪系です。私の日本家屋?に対する知識が浅かったためか、すべてはわかりませんでしたが、まあ大体のところは予想できました。しかし、推理小説としての出来は微妙かとおもいます(笑)。
 中盤からホラーになっていき、スリリングな冒険があり、最後には意外(?)にもハッピーエンドで、一気に読んでしまいました。ある意味今では販売できなような内容でしたね。唯一、道雄だけはかわいそうな最後でした。

 以下は好みの話です。
 一冊の小説としてはそれほど不満はないですが、読者の思考の裏を突く要素や、意味深な伏線とその回収、ミスリードなどがあればもっと好みの作品でした。殺人前に現れていた老怪人について、いろいろ妄想したのですが、いまいち拍子抜けしました。
 深山木があっさり死亡したんですが、花瓶の謎に気づいておきながらなぜ子供に警戒しなかったんでしょうかね? それとも、それ自体には気づいていなかったんでしょうか?

No.168 5点 聯愁殺- 西澤保彦 2019/05/26 01:04
ネタバレをしています。

 過去の連続殺人事件の生き残った被害者と、担当刑事、ミステリ作家や警察OBや心理学者などが集まる恋謎会でディスカッションして解明しよ~! 的な内容です。毒入りチョコレート事件を思い出しました。
 各人の披露する新事実と推理によって、物語が少しずつ分かっていきます。みな、どこかで否定されてしまうのですが、それぞれ面白い推理でした。
 真相はどんでん返しがあり、楽しめました。被害者が返り討ちにする→その後、被害者が犯人の計画を沿う…の構成を効果的に魅せ、隠すためにうまく叙述トリックを取り入れられています。梢絵が知らない、知りたいのは襲ってきた男の動機であり、嘘は書いてありません。
 物語が進むにつれ、梢絵はかなり怪しくなっていきます(笑)。そのため、まあ梢絵が犯人なんだろうと高を括っていたのですが、襲われた順番が大きな問題であり、頭を悩ませていました。最後まで読んでみて、なぜこの叙述トリックに気づかないのだろうと、あらためて自分の頭のパープリンさに絶望しました(笑)。私は叙述トリックに一生ひっかかり続けるでしょう。

 以下、好みではなかった部分
 読者が推理を楽しむ類の小説ではなかった。新事実→推理→新事実→否定の流れです。その形式の小説は多々あり、この作品特有のものではないのですが、自分は好みではありません(笑)。作者が勝手に推理をしてしまって、置いてけぼり感があります。
 場所・時間をあいまいに書き、その認識をずらす類の叙述トリック自体は目新しさはなかったと思います。しかし、自分はだまされたし、使い方がうまいな~とは感じました。
 偶然に偶然がからみ、読者が真相にたどり着くのはかなり難しいと思います。梢絵が襲われた後、架谷を殺すまでは動機も納得しましたが、それから何人も殺すのはよくわかりません(笑)。ラストシーンでは、狂ったようになっていたんで、もう半分狂ってたんでしょうね。

No.167 6点 ねじれた家- アガサ・クリスティー 2019/05/22 22:39
ネタバレをしています。

 自分にとって久々のアガサ・クリスティーです。やはり、非常に読みやすく、あまり時間がかからずに読み終えました。登場人物が個性的で、普段海外ものでは名前を覚えられない私でも読むのが苦になりません。
 ねじれた家の住民ではない、外部の人間である主人公が主観の物語で、主に動機の面で捜査しています。一見、関係がないような文章が読み返してみれば伏線であったり、思わせぶりなキャラクターの反応も真相をしるとまた印象が変わり面白いです。終わってみれば、無駄な点が非常に少ないという感想を持つのは、アガサ作品の共通したところだと思います。

 以下好みではなかった部分。
 他の方もさんざん指摘されていますが、この作品に似た本が存在します。にわかミステリファンの私も、さすがに読んでいました(笑) どうやら、某作品のほうが早く書かれているみたいですね? 同じタブーに挑戦していますが、それを小説として成立させ、より効果的に魅せているのは、某作品のほうが上だと感じました。家族がやや風変りなのも似ているかも?
 動機探しが主なストーリーですが、アリバイトリックや犯人当ての要素が好きなので、少しでも入っていたらもっと好きなのですが、犯人が犯人なので複雑なものはできないんでしょうね…。ブービー・トラップのヒントは面白かったです。

No.166 5点 推理小説- 秦建日子 2019/05/14 05:41
ネタバレをしています。

 ドラマ"アンフェア"の原作でしょうか? ドラマはほとんど知りませんが、1~2話みたことがあったような。"ユキヒラ"という名字が珍しいので、気が付きました。それでこの作品がドラマになったんだと知りました(もしくは逆?)。

 非常に魅力的なキャラクターが多く。すいすい読めました。また、叙述トリックについて説明されていて、普段ミステリを読まない人にも理解しやすいように書かれていて好感を持ちました。
 
 作中作の推理小説と同様の事件が起きていき、犯人から"続きを見たければ、小説を落札しろ"という要求がある物語の展開は魅力的でした。
 また、犯人自身が、雪平からの影響からか、これから起こす事件を変更することは面白いです。


 以下、好みではなかった部分。

 犯人の主観の文章に、たぶん嘘はなく、この小説内にある?叙述トリックのルールを破っていないとは思います。しかし、叙述トリックを使うのは、ほぼ=アリバイトリックや論理による犯人断定がない作品が多いです(例外あり)。叙述トリックを味付け程度に使い、メインに持ってこない作品はその限りではありませんが、この作品は叙述トリック一本釣りであり、また個性もいまいちありません。

 この小説の文章は、いつ・どこの・誰の主観か?が説明されてないことも多く、それでいてコロコロ場面が変わり混乱してしまう。さらに作中作文章も存在するため非常にややこしい…。ただ、それをわかりやすくしてしまうと、叙述トリックが成立しないので、仕方ない部分もありますが。叙述トリック自体が、ただ勘違いさせるだけの類なので(そうでないものもあるかもしれませんが(笑))


酷評されるほどでもないとは思います。かといって、心に残る名作でもなく、よくある叙述トリックものの一つでした。

No.165 5点 ドミノ倒し- 貫井徳郎 2019/05/10 01:30
ネタバレをしています。

 この作者の作品は初めて読みます。作風は全然知りませんでしたが、意外にもコメディ調でした(笑) ラストはホラー的?でしたが…
 主人公が聞き込みをし、徐々に事件が明らかになっていく形の小説は、たいてい後半まで退屈なことが多い印象があります。しかし、この作品は、主人公やその周りの人物だけでなく、すべての登場人物に魅力的なキャラクターがあり、退屈さを感じませんでした。

 以下、好みではなかった点。
 本格好きとしては、論理やトリックが薄味でした。それでいて、独創的なアイディアがあるようにも思えません。村や町や多数の人間による共犯やら因習やらは、小説やドラマでちょくちょく見るものです。たしか海外古典作品にもあったような。テレビドラマ"トリック"シリーズを、さらに薄口にしたような作品でした。
 ラストがあいまいな終わり方が不満です。また、キャラクターが魅力的だっただけに、続編を期待しましたが、あの終わり方では無理でしょうね…。
 

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ミステリ初心者さん
ひとこと
 有名な作品をちょこちょこ読んだ程度のミステリ初心者です。ほとんど、犯人やどう殺したかを当てることができません。


 高評価・低評価の基準が、前とは少し変わってきました。
 犯人を一人に断定で...
好きな作家
三津田信三 我孫子武丸 綾辻行人 有栖川有栖 鮎川哲也
採点傾向
平均点: 6.18点   採点数: 404件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(17)
三津田信三(14)
歌野晶午(13)
エラリイ・クイーン(11)
綾辻行人(11)
東川篤哉(10)
鮎川哲也(10)
東野圭吾(10)
西澤保彦(9)
アンソロジー(国内編集者)(8)