皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格/新本格 ] 少年たちの密室 改題『フラグメント』 |
|||
---|---|---|---|
古処誠二 | 出版月: 2000年09月 | 平均: 6.26点 | 書評数: 19件 |
講談社 2000年09月 |
新潮社 2005年04月 |
No.19 | 2点 | 名探偵ジャパン | 2023/05/14 22:38 |
---|---|---|---|
久しぶりに「読まなきゃよかった」と思った作品でした。
城戸という登場人物に関する描写や言動が、悪い意味で生々しくて、まあ、彼が被害者となるのですが、「別にこいつが死んでもどうでもいいや」としか思えず、トリックにも動機にも「真相を知りたい」という興味がまったく引かれませんでした。 その城戸の死後もページ数が相当あってうんざりしたため、肝心そうだと思うところだけ拾い読みして終わらせたので、的確な書評にはなっていないかもしれないですし、社会派的な問題提起として価値のある作品なのかもしれませんが、「読書」「ミステリ」に対して求めるものとか、こうあってほしいという欲求とか、まあ、ありとあらゆるものが肌に合わなかったということで、この点数で勘弁して下さい。 あと、城戸の親(とその行為に加担した社員)にも責任はあるはずで、そこを無視したら駄目です。私が読み飛ばしてしまっただけかもしれませんが、教師(学校側)にすべての罪をおっ被せて、めでたしめでたし、では問題提起の視点もぶれてしまうと思います。 |
No.18 | 5点 | ミステリ初心者 | 2019/10/29 14:57 |
---|---|---|---|
ネタバレをしています。
いくさの底の作者とは気づきませんでした(笑)。 地震のために閉じ込められた高校生とその担任。クローズドサークルかつ視覚と物資が制限された空間での連続で殺人で、そのシーンにはいってから一気に読めるほど読み易かったです。 クローズドサークル中の殺人の謎とは別に、それ以前に起きた自殺に関する話もあり、最後にはどんでん返しがありました。いろいろな可能性を妄想しましたが、閉じ込められた初期に撮られた写真に登場人物メンバー以外が写っている=ひそかに誰か紛れ込んでいる・・・叙述系のことも考えていました。結果おおはずし(笑)。 ただ、好みで無い部分もありました。クローズドサークル中の殺人で、早名が犯人だろうことと、細かい部分以外の大体のことを予想しましたが、あれは本当に殺人が可能なのでしょうか? アレ以外に殺せないとは思いましたが、結構殺人難度が高いように思えます。 また、やりきれない話のため、やや後味が悪かったです。城戸関連は読むのがきつかったです(笑)。 |
No.17 | 4点 | メルカトル | 2019/08/06 22:34 |
---|---|---|---|
東海地震で倒壊したマンションの地下駐車場に閉じ込められた六人の高校生と担任教師。暗闇の中、少年の一人が瓦礫で頭を打たれて死亡する。事故か、それとも殺人か?殺人なら、全く光のない状況で一撃で殺すことがなぜ可能だったのか?周到にくみ上げられた本格推理ならではの熱き感動が読者を打つ傑作。
『BOOK』データベースより。 評価が高かったので読んでみましたが、私の感性には合いませんでした。高評価の方を否定するつもりは勿論ありませんが、どこが面白いんだろうなあとは思います。まず、回りくどい文章が気になりました、もっとストレートに書けよって。持って回ったような表現が多すぎて、情景が浮かんでこなかったり、頭の中をスルーしてしまうような感覚を覚えました。元々救いのない内容なので、読後どんよりと暗い気持ちになります。そこには一片の感慨もありませんでした。おそらく私が圧倒的なマイノリティーなのだろうとは思いますが、傑作とはどうしても思えません。 地震後の地上の惨状も描かれていませんし、ひたすら閉塞感に襲われて気持ちのいい読書体験をすることができませんでした。「心震える本格推理の傑作」らしいですが、好きになれませんねえ。結局悪事を働いた人間に明るい未来はないと言いたかったのかどうなのか、私には判断できません。 |
No.16 | 7点 | tider-tiger | 2018/12/24 08:53 |
---|---|---|---|
~親友の宮下が自殺の名所で事故死した。相良優は自殺だったと信じている。悪い奴らは今ものうのうとしている。学校はもみ消しを図ろうとしている。
担任の車で複数の生徒たちが宮下の葬儀に向かう。あの城戸を拾うためにマンションの地下駐車場に降りる。そこを大地震が襲った。出口が塞がれ、暗闇の密室に閉じ込められる少年たち。 そして、城戸が死んだ。 「少年は大志を抱き、密室は死体を抱く」というわけで、自分は改題前の『少年たちの密室』なるタイトルの方が好みです。 あらすじから多くの方はイジメ問題をテーマにした話を想起されると思いますが、もう少し深く陰湿な内容です。 物語の発端、動機、話の流れにやや無理もあり、リアリティがあるのかないのかよくわからなくなってきます。人物造型は明らかに弱い。とにかく地震がなかったら宮下の死はどのように幕引きされたんだ? という点が気になります。都合良すぎではないかと。 でも、面白い。文章は読み易く会話も違和感なし。人物造型は弱いものの、各人物の物語内での役割分担は巧妙です。 サバイバルな展開になるかと思いきやきちんとミステリを貫く。 ハウダニットはロジック重視の方に訴求力がありますでしょう。また、心理戦が好きな方にも楽しめる内容となっております。謎の焦点がハウからホワイに移行していく流れもよくできております。捻りも効いています。惜しむらくは伏線が露骨で犯人がわかりやすい。ペットボトルの謎には驚き、呆れました。 意外な掘り出し物をみつけた的な愉しみを味わえる作品です。 メフィスト賞受賞のデビュー作『Unknown』はミステリとしてはやや小粒でしたが、非常にセンスのよい小品でした。 本作は前作の美点であった軽妙さこそ鳴りを潜めてしまいましたが、確実に進化を遂げました。 そして、作者はミステリを書かなくなりました。 |
No.15 | 8点 | いけお | 2010/09/08 20:40 |
---|---|---|---|
心理を論理で詰めていく趣向はとても楽しめた。 |
No.14 | 8点 | itokin | 2010/03/03 14:53 |
---|---|---|---|
よく構成された作品です。少しグロっぽいが面白く読めました。最後に、一ひねり有りで1点加点しました。 |
No.13 | 5点 | 深夜 | 2008/04/26 20:56 |
---|---|---|---|
人物描写がステレオタイプだし(特に城戸やその親、塩沢)、文章もまどろっこしくて読み進めにくい。
ラストの展開は、ミステリーとして良く出来ていると思うのですが、こういうテーマは個人的に苦手だからこんな点数になっちゃいます。 社会派として読んでも城戸の行動がやり過ぎだから、リアリティに欠けるような気がする。 |
No.12 | 7点 | jigsaw | 2007/06/11 23:49 |
---|---|---|---|
ラスト辺りのツイストはかなり評価されていいと思います。 |
No.11 | 5点 | バファックス | 2004/07/03 02:28 |
---|---|---|---|
もののみかたが新聞記者っぽい。 |
No.10 | 7点 | SD | 2004/06/16 21:54 |
---|---|---|---|
結論に至るプロセスが強引な気がしましたがスピード感があってまぁまぁ楽しめた。 |
No.9 | 8点 | ハッチ | 2003/11/19 22:15 |
---|---|---|---|
正直予想以上の拾い物で驚いた。清涼院氏・蘇部氏・西尾氏とメフィスト賞受賞作家の作品にはことごとく…だったので、全くノーマークの状態で読んだが、リアルさに圧倒!鋭い心理描写が際立った。 |
No.8 | 10点 | 玉椿 | 2003/05/18 23:18 |
---|---|---|---|
古処作品を初めて読みましたが期待通り。 本格、ダークな小説。大いに結構です。 |
No.7 | 6点 | 由良小三郎 | 2002/11/28 18:06 |
---|---|---|---|
タイトルに密室がついていますが、分類的には、「閉ざされた別荘」物になります。倒潰した、地下駐車場に閉じ込められた7人のなかで殺人がおこるわけですが、そのジャンルとして楽しめないのは、普通おしゃべりな探偵が推理を披瀝するというお約束の部分が少ないからで、みんな無口で暗いようです。こちらのほうが、よくあるミステリより、リアルな状況であることは確かですが、リアルをあんまり求めない僕には、全体に重くって、うまいけれどもサービス不足と感じてしまったわけです。 |
No.6 | 5点 | okuyama | 2002/11/22 02:27 |
---|---|---|---|
緊迫感があって良かったのですが、悪者の人物造形が「いかにも」すぎて、少し白けてしまいました。 しかし、いじめっていやですね。やりきれなく、暗い気持ちになってしまったのは、作者の筆力だと思います。 |
No.5 | 3点 | 高桑敏裕 | 2002/09/05 16:31 |
---|---|---|---|
本当に書きたいのはミステリじゃないんだな、と感じてしまった。本格を偏愛し他のジャンルを毛嫌いする僕がいけないのかもしれないけど。ああいう子供たちの争いや情けない教師の話を読むと、憂鬱になってくる。 舞台の設定が非常に面白いので期待したのだが。東海大地震はひとごとではないので、笑えない。 |
No.4 | 7点 | Nakatz | 2001/08/11 23:50 |
---|---|---|---|
「これが真相か?」と一瞬思った時点で、ふと残りページ数を確認したら、まだかなりの 量があった。徒にスマートにするのは問題があるけれど、ただここまでページ数があると、 それだけで「もっと深い真相があるな?」と簡単に予想出来てしまう。その点が残念。 けれども、広義の「密室」内で繰り広げられる登場人物たちのドラマは、丹念な描写で 綴られており、かなり読み応えがありました。 |
No.3 | 6点 | ぽん | 2001/07/28 02:04 |
---|---|---|---|
古処さんの巧さが光っていた。面白かったです。 ただ格核となるトリックにレイプを扱っている点に疑問。あまり心地いい描写でないことは勿論、「なんか違うんだよなー」と感じる。トリックのための性犯罪。こういう扱い方にはちょっと感心しない。 |
No.2 | 7点 | ドクター7 | 2001/07/19 19:20 |
---|---|---|---|
けっこう楽しめました。 個人的には、とつぜんの場面転換や説明の多い文章など が気になりましたが、アイデアは良かったと思います。 |
No.1 | 9点 | 葉 | 2001/07/19 04:31 |
---|---|---|---|
とにかく展開の運びがうまい。 前作(「UNKNOWN」)より格段にレベルアップしています。 完全な暗闇の中という緊張感がひしひしと伝わってくる。 その中で構築された論理と心理。 久しぶりに期待のもてる作家に出会えた。 |