皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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      いいちこさん | 
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| 平均点: 5.68点 | 書評数: 572件 | 
| No.412 | 7点 | その可能性はすでに考えた- 井上真偽 | 2019/04/02 08:46 | 
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| ライトノベルの仮面を被ったゴリゴリの本格ミステリというプロフィールは、古野まほろの再来を思わせる。
 毀誉褒貶が激しい作品であろうが、非常に斬新なアイデア、着地姿勢が乱れたものの、それでも1個のミステリとして着地させ切ったプロットの構想力、論理性の高さを高く評価したい  | 
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| No.411 | 4点 | 痾- 麻耶雄嵩 | 2019/04/02 08:45 | 
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| 全体として著者の意図を掴みかねる作品。
 本格ミステリとしては、アクロバティックな真相を成立させるだけの説得力に欠けており、この評価  | 
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| No.410 | 6点 | 大いなる眠り- レイモンド・チャンドラー | 2019/02/28 18:49 | 
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| 本作は複数の短編を組み合わせて作られたらしく、プロットは錯綜かつ破綻気味で、ミステリとしての完成度は低い。
 ただ、これまでに読了した作品の中では、作者特有の抒情性が最も十全に発揮されており、その点を評価したい  | 
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| No.409 | 5点 | 怪盗グリフィン、絶体絶命- 法月綸太郎 | 2019/02/28 18:48 | 
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| 二転三転するプロットに作者の苦労・工夫の跡が垣間見られるのだが、それがストレートに作品の面白さにつながっていない。 | |||
| No.408 | 6点 | Rommy- 歌野晶午 | 2019/01/28 13:51 | 
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| ありふれたネタではあるものの、作品の構成や叙述に少しずつ感じていた違和感が氷解する真相であり、カタルシスは強い。
 その説得力を補強するため、時系列をバラし、手記を多用した作品全体の組み立ては巧妙。 一方で、登場人物の造形や歌詞が陳腐で、真相を示唆する伏線に乏しく、リアリティやフィージビリティには弱さを感じる。  | 
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| No.407 | 7点 | 我が家の問題- 奥田英朗 | 2019/01/25 20:15 | 
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| 相変わらず達者、素晴らしく達者。
 そのクオリティの高さに手放しで賛辞を送りたい。 取り上げられている「我が家の問題」と登場人物の生き様が、あたかも日本家庭の最大公約数であるかのように普遍性があり、それゆえにリアリティと共感性が高く、読んでいて全く飽きることがない。 それでいて筆致も実に巧みであり、「我が家の問題」を前向きに受け入れ、乗り越えていこうとする夫・妻・こどもの健気な姿が強く胸を打つ。 本サイトではこれ以上の評価は難しいが、軽量コンパクトな作品でもあり、万人に一読を勧められる佳作  | 
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| No.406 | 2点 | 探偵Xからの挑戦状!- アンソロジー(出版社編) | 2019/01/25 20:14 | 
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| 企画はすばらしいが、肝心のクオリティはミステリ読みの試練に耐えられるものではない | |||
| No.405 | 5点 | 死者は黄泉が得る- 西澤保彦 | 2019/01/25 20:13 | 
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| 連続殺人事件自体はミステリとして相当に食い足りないレベル。
 一方、死後のパートに仕掛けられたトリックは非常に秀逸であるが、「蘇生」という飛び道具の存在とそのルールがいかにもご都合主義であり、山口氏の作品のような必然性が感じられない点は、大きな減点材料。 エピローグのどんでん返しもインパクト先行で、破綻しているように感じられる部分がある。 意欲と構想は買うが、瑕疵・アラも散見される作品  | 
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| No.404 | 7点 | 検察側の証人- アガサ・クリスティー | 2019/01/04 15:13 | 
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| そのプロットから着地点がある程度察せてしまうのは大きな難点であり、軽量コンパクトという印象は拭えないものの、全体として非常に完成度の高い作品と評価 | |||
| No.403 | 6点 | 夏と花火と私の死体- 乙一 | 2019/01/04 15:11 | 
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| 奇抜極まるアイデアは買うが、それ頼みの印象が強く、いわば「掴みはOK」という作品。
 ただ、執筆当時の年齢が17歳であるという事実を考慮しなくても、その乾いた筆致には高い筆力が感じられ、後日の飛躍を伺わせるデキではある  | 
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| No.402 | 6点 | 私が彼を殺した- 東野圭吾 | 2019/01/04 15:09 | 
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| 本格ミステリとしては毀誉褒貶もあろうが、3人の容疑者に等しく犯行動機と機会を与え、一般の読者が到達できるレベルの真相を用意し、という本作の制約を考えれば、出色のデキと評価してよいのではないか。
 終盤に向けて徐々に各章の尺を縮めていくことで、サスペンスを盛り上げていく手際も見事。 ただ、このテの趣向の宿命として、作品の焦点を「犯人当て」のみに絞り込んだ結果、人物が描けていない、登場人物に魅力が感じられない点が大きな難点。 趣向そのものに歴然とした限界があり、著者の相当な苦労にもかかわらず、それが十全に報われたとは言えない作品  | 
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| No.401 | 6点 | D機関情報- 西村京太郎 | 2018/12/07 20:16 | 
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| 作品の主題を考えれば、やや冗長さも感じるところだが、リーダビリティの高さも加味すれば、これまで読了した著者の作品の中ではベストの評価 | |||
| No.400 | 5点 | 巷説百物語- 京極夏彦 | 2018/12/07 20:15 | 
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| 短編であることを差し引いても、作品に奥行き・重厚感・リアリティが不足しており、この評価 | |||
| No.399 | 6点 | 片桐大三郎とXYZの悲劇- 倉知淳 | 2018/12/07 20:14 | 
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| 各短編によって出来・不出来の差はあるものの、推理の説得力の欠如・アンフェア、犯行のフィージビリティの低さ、捜査の不合理性等、全体として明らかに穴が多い。
 プロットの面白さを評価し、それと相殺してこの評価  | 
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| No.398 | 6点 | ダ・ヴィンチ・コード- ダン・ブラウン | 2018/11/20 15:01 | 
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| toukoさんの書評に同感。
 使い古されたネタかもしれないが、それらを活用して、よい意味でも悪い意味でもハリウッド的なサスペンス・スリラーにまとめ上げた手腕は一定程度評価。 一方で1個のミステリとしては竜頭蛇尾と言わざるを得ない  | 
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| No.397 | 7点 | 恋と禁忌の述語論理- 井上真偽 | 2018/11/05 20:40 | 
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| 数理論理学という斬新な視点を採用し、その本格ミステリとの親和性を示したうえで、既存の本格ミステリにおける論理的な瑕疵を示した。
 その一事だけでも、本格ミステリにおける新たな達成と評価できるのではあるまいか。 その視点の独自性や、本格ミステリとしての甘さゆえに、毀誉褒貶の激しい作品であろうが、著者のチャレンジを肯定的に評価したい  | 
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| No.396 | 4点 | 占い師はお昼寝中- 倉知淳 | 2018/10/11 20:35 | 
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| 端的に言えば「幻獣遁走曲 猫丸先輩のアルバイト探偵ノート」とほぼ同様の評価となる。
 著者の日常の謎系作品は、真相が飛躍する衝撃とリアリティの絶妙なバランス、それを解明するプロセスの論理性の高さが大きな優点。 しかし、本作は後者を半ば放棄しており、それでいて前者も真相を容易に察することができる点で、全く水準に達していないと言わざるを得ない。 4点の下位  | 
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| No.395 | 6点 | 眼の壁- 松本清張 | 2018/10/11 20:34 | 
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| サスペンスとしては佳作以上と評価できるのだが、この長尺を締めくくる肝心の結末、黒幕の呆気なさすぎる最期が大きな難。
 ミステリとしては、犯人の目立ちすぎる行動が大量の目撃者を生み出し、捜査を攪乱するためのあざとすぎる小細工等で、少なくない減点。 以上を相殺して6点の上位  | 
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| No.394 | 6点 | 五匹の子豚- アガサ・クリスティー | 2018/09/19 15:10 | 
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| 一番底の真相があまりにも容易に推測できることが、却って二番底を深くしている非常に巧妙なプロット。
 ただ惜しむらくは、二番底の前提となっている「被害者と容疑者の会話」に仕掛けられた罠がもたらす衝撃が、翻訳によって相当に弱められていると推察されることであるが、これは当然著者に帰責する訳ではない。 一方、本作のプロットを事後的に俯瞰すれば、真犯人はどうしても一定の条件を満たす人物に絞り込まれてしまう点で、傑作とまでの評価は難しい  | 
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| No.393 | 4点 | ナミヤ雑貨店の奇蹟- 東野圭吾 | 2018/09/19 15:08 | 
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| 相談者が過去を生きる、しかも総じて将来有名人になる人物であるから、未来に生きる回答者は、相談者の将来や未来の社会を知ったうえで、妥当なアドバイスができる、という至ってイージーな設定。
 このご都合主義の極致のような設定こそ「奇跡」だろうという想いは拭えないが、この点は著者もミステリのスコープで捉えず、ファンタジーに棚上げしているので追求しない。 問題は、上記設定が各エピソードを予定調和させる圧力として強く作用している点。 各登場人物を造形するにあたって、掘り下げが圧倒的に足りず、魅力に欠けている点。 各相談者の相談内容と回答が非常に陳腐である点。 本作に込められた著者のメッセージがいま一つ読み取れないのだが、それがもし仮に「結局人生は本人が決めるもの」というものだとしたら、あまりにも安っぽい印象が拭えない点などにある。 これだけの頻度で作品を発表しながらもなお、本作が娯楽小説として一定水準以上のクオリティを維持しているのは事実。 この著者の傑出した力量を評価するがゆえに、SFの世界における古典的な題材を適当に料理したジャンクフード的な本作に対し、批判的なスタンスにならざるを得ない  | 
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