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[ 本格/新本格 ]
恋と禁忌の述語論理
井上真偽 出版月: 2015年01月 平均: 5.67点 書評数: 9件

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講談社
2015年01月

講談社
2018年12月

No.9 5点 レッドキング 2025/12/20 22:13
才色兼備のアラサー叔母*と、大学生のティーン甥が主役の中編3作・・(おまけの第4編付き)
ワトソン役の甥が「出会う」三つの事件、とりあえず解決するユニークな三人の探偵、その「解決」を論理学により検証する「真の」ホームズ役の叔母。(に、「驚き」の第4編ドンデンだが・・)
  
  「スターアニスと命題論理」 容疑者達に対する故殺か事故かの判定と、記号論理学の形式的証明による批判。
               精緻な記号演算過程の記載はネタとして面白くなくはないが、そんな表現せずとも、
               「容疑者 Xには、目的 Aの為に、行為 Bが、手段となり得る事を、知り得た可能性が
               あった」と言うだけで済む話で・・3点(点数はネタのミステリ事件「のみ」へ)
  「クロスノットと述語論理」 古典論理学の排中律を直観主義論理学(ま、時間や弁証法で説明できるがな)で乗り
               超えるネタとしては、事件プロットのシャープさに欠けるなぁ。4点(同上)
  「トリプレッソと様相論理」 これも排中律批判だが、可能性の様相論理を取り入れて・・でも、結局は時間性の
               話だなぁ。7点(足跡トリック見事で、そこのみへの採点)
                      で、三作平均で、5点(あくまでもミステリネタ部分のみへの採点)
( 第4編は、蛇足以上に有害・・なので、無かった物として・・)

*「叔母 - 甥」エロチシズム(論理学ウンチクよりヨッポど面白い)、現代日本では「禁忌」だが、通婚可の民族もある。逆に、我が国で許容範囲の「イトコ」婚が、多くの民族でタブーだったり。

No.8 5点 E-BANKER 2025/12/02 15:43
作者の実質的なデビュー作がコレ。大学生の詠彦とロリ顔美女のアラサーで叔母の硯(すずり)を主人公とする連作短編集。設定だけみてると、ラノベそのものなんだけど、そこは井上真偽ですから・・・
ノベルズ版は2015年の発表。

①「スターアニスと命題論理」=「スターアニス」とは最近料理番組なんかでよく耳にするようになった「八角」のこと。「命題論理」とは・・・説明できません!! すでに解決したはずの殺人事件(?)の真相を硯に検証を依頼するーこれが本作に共通するフォーマット。「論理学」って、へえーこういうふうに考えるんだねぇ・・・。ところで本筋は?
②「クロスノットと述語論理」=「クロスノット」とはネクタイの結び方の一つで、幅広の結び目とするもの。「述語論理」とは・・・説明できません!! でも①の命題論理よりは腑に落ちた(ような気がした)。今回も先に解決に導いた探偵の推理をひっくり返す硯さん。
③「トリプレッツと様相論理」=作者の長編シリーズ探偵である「上苙丞(うえおろじょう)」が初登場。上苙の推理を硯さんがひっくり返すという衝撃の最終譚。しかも事件は本格ミステリそのもの。「双子」や「雪密室」までも登場するなど、本作のプロットからするとかなり違和感あり。で、確かに上苙の推理は何だか物足りない。そこで登場するのが「様相論理」だ! でも説明できません!

以上3編+エピローグ編あり。
本作、確かに小難しい。さすがに最高学府出身の作者。ご自身の優秀な頭脳を隠すことなく披露されている。
他の皆さんが書かれてるように、無理やり論理学を載せているだけのように思えなくもないけど、これはこれでメフィスト賞ですから! 新味のある角度からミステリを見るのも悪くはない。

ただ、次作以降はあまり論理学の話は出てこなくなったので、さすがに出版社側も「こりゃだめだ」とでも考えたのかもしれないな。あと、硯さんのいかにも「こういう界隈」の人にウケそうなルックス、言動もなあー。まあイタイといえばイタイ。
でも、さすがにミステリとしての骨格はしっかりしてるし、それは次作以降の作品群からも明らか。
まあ”若気の至り”とでも考えておくか・・・

No.7 7点 ひとこと 2023/05/28 17:07
斬新。作者さんめっちゃ頭良さそう 

No.6 5点 ボナンザ 2021/04/11 18:11
数式は飾りだと思うが、井上らしい凝った内容は中々楽しめる。

No.5 7点 いいちこ 2018/11/05 20:40
数理論理学という斬新な視点を採用し、その本格ミステリとの親和性を示したうえで、既存の本格ミステリにおける論理的な瑕疵を示した。
その一事だけでも、本格ミステリにおける新たな達成と評価できるのではあるまいか。
その視点の独自性や、本格ミステリとしての甘さゆえに、毀誉褒貶の激しい作品であろうが、著者のチャレンジを肯定的に評価したい

No.4 6点 makomako 2018/02/03 07:58
 数理論理学という分かったような分からないような方法で物語を検証するという、確かに今まで読んだことも考えたこともない推理小説でした。
 この理論だけでやられたら読む気がしないこと請け合いですが、硯さんなる女性探偵の魅力といかにも凡人(でも秀才だな)の詠彦君の掛け合いが面白く、へんてこな数式がたくさん出てきても読むのにさほど不都合ではありませんでした。
 でもこんな屁理屈をこねくり回して実際の事件の検証をするといいうのはさすがメフィスト賞受賞作品。
 理屈の割には解決が人間的なところがよいですね。
 ただしほかの方も指摘されていたように、本格推理小説としてはトリックが甘いところがあります。これ程の理論で勝負しているのですから、偶然に頼っているトリックは無理があるとされてしまいそうです。

No.3 5点 yoshi 2015/08/11 03:11
新しいことをしようとしている意気は買いたい。
だがミステリーというのは言葉のロジックで読者を納得させるジャンルであり、
この作品も数理論理学を持ち出しながら、最後は結局言葉のロジックで説明されおり、
二度手間感がある。
そのロジックも多少穴があり、たとえば第三の事件、イリーナが主人公を朝の6時に叩き起こし、それからずっと一緒にいる。そしてオルガが離れから戻って来るところを周防が目撃することで、イリーナのアリバイが成立、しかしオルガは両手が使えないので犯行不能という感じで謎が深まり、バイロケーションだの奇跡だの大層な話になって行くのだが、そんな朝早い時間に周防が起きて自分を目撃してくれることをオルガは事前に知ることはできず、もし誰も目撃してくれなかったらイリーナのアリバイは不成立、彼女が夜中に往復して殺したという結論になってしまいます。
これはちょっとまずいですね。

No.2 5点 虫暮部 2015/03/10 18:25
 ただややこしくしているだけ……という思いが半分。一方で、こういう味付けを加えることで、割と古典的なミステリのネタを上手く転がすのはそれはそれでアリかとも思う。

No.1 6点 名探偵ジャパン 2015/03/02 14:16
かつて、これほど読了に難儀したミステリはない。
探偵が真っ当な(?)不可能犯罪の謎を解く、などという凡百な「本格」ミステリなぞ、もうお腹いっぱい。これからは、「変格」いや、「解格」「脱格」だ。と、そっち方面の作品が大好きなメフィスト賞。納得の受賞作だ。
しかしながら、BLOWさんもご指摘の通り、いくら論理だ何だと事件をこねくり回しても、結局最後は「そういう人物なら、こういう行動はしない(をする)はず」という、昔ながらのクラシカルな人物観察による推理を決め手にせざるを得ない。
語られる各事件は、難しい論理式などを挟まなくとも、十分「本格」ミステリとして観賞に堪えうるものだっただけに、余計蛇足に感じる。(だが、「普通」の安楽椅子探偵ミステリでは、同賞は受賞できなかったはずで、悩ましいところ)
作者も恐らく、「普通の本格ミステリを書いただけでは、歯牙にもかからないに違いない」と、こういう脚色をしてきたのだろう。
次回の同賞は、悪い言い方をさせてもらえば、どんな「ゲテモノ」が受賞するのか。楽しみでならない。


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