皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
虫暮部さん |
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平均点: 6.22点 | 書評数: 1848件 |
No.548 | 4点 | RPGスクール- 早坂吝 | 2019/04/02 11:25 |
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こういう軽めの作風でも上手下手というのは確かにあって、本書はあまり流れが頭に入って来なかった。それともRPGをやったことがないので反応すべきネタを素通りしちゃったのだろうか。とはいえ結末でいきなりミステリ化して繰り出されるロジックは悪くない。あのひとが殺されるのは結構意外な展開だから粗筋でバラさないほうがいいなぁ。ところで制服のまま空中浮遊させたら下から丸見えですよん。 |
No.547 | 7点 | ブラジル蝶の謎- 有栖川有栖 | 2019/04/01 11:07 |
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「妄想日記」。アレが結局ダミーだなんてがっかり。期待してたのにぃ。
「人喰いの滝」。随分と手間暇のかかりそうなトリック。何故死体を滝に喰わせなかったのか。行方不明扱いで済みそうな気がするけど。 国の名を冠した短編がひとつしか収められていないのに本そのものを〈国名シリーズ〉と銘打つのは誇大広告では? そもそも、どんなモノであれどこかの国で生まれてはいるわけで、タイトルの共通性だけでそう呼ぶのは恣意的というか、かなり実体の無いシリーズだと思う。特別に描写が克明だと言うことでもないし。 |
No.546 | 5点 | 千年図書館- 北山猛邦 | 2019/03/28 12:54 |
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“全てはラストで覆る”と予告されると意識的にも無意識的にもそういう読み方をしてしまうから、どんでん返しはもはやどんでん返しではなくなってしまうのである。ラストへ読み急がせるその手の謳い文句はそもそも如何なものかと思うのだが、のみならず本書に収録された作品群が必ずしもそのように結末に向けて収斂して行くタイプのものだとは思えない。表題作や「終末硝子」の世界設定、「今夜の月はしましま模様?」のキャラクター等、非常に魅力的で、読み終えたくない、少しでも長くその場に留まりたいと願ってしまった。かねがね各出版社にはそうやって結末を強調するような売り方は控えるよう要請しているのだが……。
最後の話のラスト、いまひとつ筋が通っていないと私も思います。 |
No.545 | 7点 | 毒よりもなお- 森晶麿 | 2019/03/26 12:20 |
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首絞めヒロのキャラクター設定も良いが、何よりも、語り手が周囲の心情を顧みず手前勝手に詮索して何の反省もしない様子について、傍迷惑な奴だな~と思いつつ共感出来ないまま読み進められる痛い書きっぷりが見事。
で、八合目までは文句無しだったのだが……結末で示される“意外な設定”は要らなかったんじゃないか。期待通りの形でしっかり締めれば充分なのに蛇足を付けちゃった感じ。 パクりだという意味ではないが、Y氏の某作と設定に共通点があり、雰囲気としても似通った印象を受けた。 |
No.544 | 6点 | だから殺せなかった- 一本木透 | 2019/03/25 11:06 |
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第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。
“血液型信仰”の強い日本で、大学生になるまでそのことに気付かない、また両親も息子がそれにずっと気付かないことを期待する、というのは違和感アリ。 解決編は、犯人がいらんことをしてそのせいで正体が露見した、という印象が強い。作者が話をまとめる為にミスをさせた、という感じ。犯人像としても、いまひとつピッタリ嵌った感じはしない(そのギャップが狙いかとも思うが、それでも尚)。 ひとつの大きな塊としては悪くないが、枝葉にもっと工夫の余地があったと思う。 |
No.543 | 6点 | 毒草師 七夕の雨闇- 高田崇史 | 2019/03/20 11:17 |
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①薀蓄アレコレ②特異な価値観で生きる登場人物の描写③事件の経過とその謎解き、の三要素にそれぞれ相応の頁を割く必要があるはずなんだけど、一冊分の長さはそれには足りない。で、①を優先して②は“そういう設定なんです!”で押し切り③はサラッと表層的に話を進める。と言うのがこの人の作品に共通の傾向だと思う。薀蓄が面白いからまぁ良いのだけれど、殺人事件が単なるオマケに感じられてしまう嫌いがある。
本作について言えば、“解毒斎”のメカニズムが未詳なので“なぜ彼が死んだのか”という謎が全然面白くならなかった、のが勿体無い。 |
No.542 | 8点 | レーン最後の事件- エラリイ・クイーン | 2019/03/18 10:58 |
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リアルタイムの読者は、本書が刊行された時、XYZ三部作かと思ったらまだあったんかい!? と突っ込んだのではないだろうか。
必要以上に謎めいた行動をするキャラクターが目に付いて、心情的には充分納得出来たとは言えない。しかし(トリックやロジックではなく)ストーリーと言う点では、四部作の中で一番面白い。 ところで何故ドルリー・レーンものの作者名はバーナビー・ロスからエラリー・クイーンに変わってしまったのだろう。複数のペンネームを持つ作家など珍しくないのに。どんな事情にせよ、野暮なことだなあと思う。 |
No.541 | 8点 | 混物語- 西尾維新 | 2019/03/08 12:07 |
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西尾維新の諸々のシリーズのヒロインと阿良々木暦が作品世界を越境して出会うと言う、ファンの為のお楽しみ企画だが、存外にミステリ度が高い。概ねはデフォルメされた世界観に準拠したバカミスだが、私の見たところ全15編中4編はちゃんとしたミステリにも転用可能。勿論メインはキャラクターの絡みなんだけどねっ! |
No.540 | 6点 | 因業探偵 リターンズ 新藤礼都の冒険- 小林泰三 | 2019/03/04 12:30 |
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謎解き要素はあまりないけど丁々発止の会話劇が楽しい。この作者の定番ネタが幾つも出て来るが、そういう時に“またか”と感じる作家と“待ってました”と感じる作家がいて、小林泰三は明らかに後者。得だね。 |
No.539 | 6点 | ビブリア古書堂の事件手帖~扉子と不思議な客人たち~- 三上延 | 2019/03/04 12:28 |
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必然性があって完結させたシリーズだけど結局捨てられなかったか、世知辛いなぁ、と思って読み始めたが、番外編としては上出来。 |
No.538 | 7点 | Zの悲劇- エラリイ・クイーン | 2019/03/04 12:26 |
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初めて読んだ時は10代前半。本書のおかげで patience という英単語を覚えた。
ドルリー・レーン達は、証人の立会いなしに監房で被告に実験を仕掛けて証拠をひとつ駄目にしているが、最終幕直前に某の証言を得る際も同じ失敗をしていないか。作中では誰も問題視していないけど。 第二の殺人、強請る相手を殺しちゃったら元も子もないだろうに。 サム元警視は何度も身分詐称している。 気になるので書いてしまいます。クリスティ再読さんの評の「医者ならば聴診器を使うはずだ」のくだりですが、現場の状況から“聴診器を使わなかった”と判断するのは困難。かといって“医者ならば脈で死亡確認はしないはず”という理屈はちょっと微妙。〝医者ならば聴診器を使わねばならない”と言う必然はなく、裏をかいて“医者があえて聴診器を使わない”という可能性もある。やはり最後の証言は必要だと思います。 |
No.537 | 7点 | 人外サーカス- 小林泰三 | 2019/02/01 12:02 |
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版元は“サバイバル・ミステリ”と謳っており、確かに伏線があり種明かしもあるが、そこまで謎解き要素が強いわけではない。殺し合いに関する工夫を楽しむ作品であり、能力が高い&なかなか死なないキャラクターだから色々と無茶な殺し方が出来て小林泰三の本領が遺憾なく発揮されている。しろがねもびっくり、徳さんの仕掛けた罠に拍手! |
No.536 | 8点 | 幽霊刑事- 有栖川有栖 | 2019/01/29 12:02 |
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ミステリの面白さとはちょっと違う気もするが、変化球ゆえに作者のミステリ以外の部分の良さが上手く出ているのでは。
早川が目隠しして口寄せすれば幽霊的な何者かの存在はほぼ証明出来る? ただ、証明したからそれで良しと言うものでもないしね。 |
No.535 | 8点 | Yの悲劇- エラリイ・クイーン | 2019/01/24 11:23 |
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1932年、EQは『ギリシア棺の秘密』『エジプト十字架の秘密』『Xの悲劇』という、パズラーのスタイルを規定するような端正な傑作群を発表し、同時にそのスタイルがまさに“スタイル”であることを逆手に取ったような或る意味セルフパロディの如き本書も上梓。あたかも右手で穴を掘りながら左手で埋めるような自由自在な自己対象化スタンスは驚嘆に値する。実はエラリー・クイーンって二人いたんじゃないの?
第一幕第二場、“次は百合の花が凶器になるでしょうよ”って何。英語の慣用表現、それとも単なる意味無しジョーク? |
No.534 | 6点 | 東京零年- 赤川次郎 | 2019/01/22 12:41 |
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錯綜した状況が小出しに語られ、それらを慎重につなぎ合わせるも、最後までピースが全てぴったり嵌ったというあの感覚は訪れることが無く、しかしそのスッキリしない読後感こそがこの作品自体を象徴するものではないか。第50回吉川英治文学賞受賞作。 |
No.533 | 7点 | 文字渦- 円城塔 | 2019/01/16 10:31 |
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鏡花水月 言語道断 驚天動地 仰天放置
品磊蟲聶 焱垚鑫淼 禍媧堝騧 呵呵大笑 融通無碍 字由字在 気字壮大 字宙遊泳 倚馬七紙 五里霧中 舌先三寸 炎上々等 |
No.532 | 6点 | 人間狩り- 犬塚理人 | 2019/01/11 13:16 |
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第38回横溝正史ミステリ大賞優秀賞。
古典的な命題と現代的な素材。突っ込みどころは色々あるが、1+1=3ぐらいにはなっている。しかし逆に言えば5とか10とかになるほど物凄い広がりは示していない。 Yは命を賭す必要が有ったのか? Mは事後工作を自白したが、実は自分でHを殺したという可能性も否定出来ないのでは? スナッフ・フィルムの撮影・流通は刑法上、何罪に該当するのか? 全体的に事態がスムーズに進み過ぎなのは、リアリティの退屈な部分を省いたってことでまぁいいか。 ところで、似た設定の先行作品が存在することを後日知った。“誉”の付く作家の“主”の付く作品。類似は一部分だけで、主題も方向性も違う。意図的な剽窃だとは思わないが、編集者が事前に知っていたら本書はボツだったんじゃないか。 |
No.531 | 6点 | 百億の昼と千億の夜- 光瀬龍 | 2019/01/04 10:38 |
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“「神」を追い求めた日本SFの金字塔”との謳い文句、偽りではないが、そのポジションは(SFが発展途上だった)時代が多少有利に働いた結果だろう。第四章までは複数のプロローグが羅列されている感じでなかなか物語が走り出さない。後半のスケール感には目を瞠るが、既に判っている究極の答えを勿体振っている観もある。読みにくい文章、と言うほどではないが、グイグイ引っ張るには何かひとつ足りない。
但しそれらは作品がもともと孕む問題であり、“古い”とは感じなかった。 |
No.530 | 8点 | 無事に返してほしければ- 白河三兎 | 2018/12/25 10:29 |
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一章読み進むごとに“うわー凄いなー”と呟いている私がいた。いつまでも青春じゃいられない。白河三兎は順当に表現のフィールドを広げている。少々いびつな構成に見えるのは内容からして必然なのだろう。
ただ、最後の最後、もっときっちり書き切って欲しかった。説明し過ぎは粋じゃない、かもしれないが、ヘヴィな場面から逃げた、とも思えてしまう。 |
No.529 | 6点 | 鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース- 島田荘司 | 2018/12/25 10:26 |
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単純なキャラクターばかり、なのはいつものことか。大傑作とは言えないまでも概ね面白かったが、プロローグの亡者の真相がアレというのはあんまりだ。
しりとりや“オセンベ焼けたかな”について地の文で解説しているのは、海外の読者を意識してのこと? さすがぁ! |