皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
こうさん |
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平均点: 6.29点 | 書評数: 649件 |
No.20 | 6点 | 牡牛の柔らかな肉- 連城三紀彦 | 2012/03/02 00:04 |
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悪女物でストーリー全編にミステリ的技巧、伏線がちりばめられていますが途中まではミステリとは思えない印象でしたがその後サスペンスクライム調になり終盤に肝となるミステリ的仕掛けが味わえました。
主人公の香順のインパクトだけが強く緒沢を含めた男どもの印象が大分希薄で緒沢だけが特別扱いなのはちょっと変な感じもしました。 個人的には少し長さを感じたのと完読してもミステリというよりミステリ風な文芸作品の様な印象が強い作品でしたが楽しめた覚えがあります。流石連城三紀彦と思える作品でした。 |
No.19 | 5点 | 瓦斯灯- 連城三紀彦 | 2012/02/27 01:17 |
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男女の色恋を扱った作品集でミステリ的技巧はありますがミステリとはいえない作品が並びますが唯一「親愛なるエス君へ」のみはミステリと言えます。
超絶技巧は流石ですが実際に起こったパリの人肉食事件をモチーフとした作品で読後感は悪く読者を選びそうです。 |
No.18 | 7点 | 夕萩心中- 連城三紀彦 | 2010/04/26 01:19 |
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花葬シリーズ3作品とユーモアミステリが併録されている作品集です。ハルキ文庫なら「戻り川心中」に花葬シリーズが一挙収録されています。
戻り川心中の世界に浸りたい方にはお薦めできる作品で相変わらず抒情性たっぷりです。 ユーモアミステリの方は個人的には「運命の八分休符」もそうですが作者の本領ではないと思いますが読み心地は悪くないです。 |
No.17 | 9点 | 紫の傷- 連城三紀彦 | 2010/03/29 00:46 |
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「顔のない肖像画」 のkanamoriさんの書評に出ていたので興味を持ち読んでみました。
正直この本のタイトルすら知らなかったのですが正に連城節炸裂の短編集で大満足でした。 赤川作品の幽霊列車のパロディ(?)のゴーストトレインはこんな作品も書くんだなあ、という思いはありますが個人的にはそれほど面白くありませんでしたが表題作と「落書きの家」は特に楽しめました。 「眼の中の現場」については「夜よ鼠たちのために」や「暗色コメディ」 の様に医療(医師や患者など)を扱っていますが守秘義務に抵触するようなことが一般人に漏れたり真相の一部が実際の医師、医療現場にそぐわないと思われる所が不満ですがこれも真相の反転は見事です。 初期の長編や「夜よ鼠たちのために」の系統が好きな方にはお薦めできる良短編集でした。 |
No.16 | 8点 | 顔のない肖像画- 連城三紀彦 | 2010/03/18 00:58 |
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本の裏の文面を見ても全くミステリを強調されていませんがまぎれもない連城ミステリ短編集だと思いました。
真相が一気に反転するというより予想通りの落ち、展開に落ち着くものも多いですが個人的には大いに楽しめました。表題作と「ぼくをみつけて」が気に入っています。 一番ミステリらしいのは「ぼくをみつけて」で「どこまでも殺されて」のような謎の電話をモチーフとしたストーリーです。 |
No.15 | 5点 | 運命の八分休符- 連城三紀彦 | 2009/10/31 23:20 |
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貧乏で見かけはさえない主人公田沢軍平が探偵役を務め各作品毎のヒロインとのサイドストーリーを絡めた珍しい短編集です。蒸発した夫の帰りを待つ妻を描いた「紙の鳥は青ざめて」が気に入っています。ストーリーの反転はいかにも連城作品らしいですが各トリックはさほど面白みはなく「戻り川心中」の様な世界を期待する方には拍子抜けするほど軽いストーリーです。
個人的にはまあまあ楽しめましたがやはりユーモアミステリ調は作者の本領ではなさそうです。 |
No.14 | 7点 | 宵待草夜情- 連城三紀彦 | 2009/10/19 02:11 |
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明治~昭和中期(主に大正)の男女の色恋を軸に、いずれも女性側に焦点が当てて描かれたいかにも連城三紀彦らしい作品集です。
計5作品ありますが個人的には「野辺の露」の真相が一番気に入っています。トリッキーではありませんが初めに提示された真相を反転させるテクニックはこの作品集でも見事です。また文章も美しく「戻り川心中」が好きな方にはお薦めできる作品集です。 |
No.13 | 8点 | 戻り川心中- 連城三紀彦 | 2009/10/18 03:57 |
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個人的には美しさを排除したよりトリッキーな「夜よ鼠たちのために」の路線の方が好きですが花葬シリーズの美しさは皆さんが挙げている通りだと思いますし戻り川心中は最も連城ミステリを上手く説明できる作品だと思います。
ただミステリ作品が戻り川心中くらいしか店頭に並んでないのが残念です。個人的にはこれをとっかかりに他作品に進んでほしい作家です。 |
No.12 | 6点 | 密やかな喪服- 連城三紀彦 | 2008/10/26 23:03 |
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表題作の「密やかな喪服」は収録作の中では一番怖いミステリでしたが現実的なリアリティは低いかなと思います。夫婦とはいえこんな会話が成り立つのか、という印象でした。(阿刀田嵩の奇妙な味系でした)他作品も「夜よ鼠たちのために」ほどのトリッキーさはありませんが男女の機微をテーマとした連城作品らしいものも収録されており全体として水準作だと思います。 |
No.11 | 5点 | 白光- 連城三紀彦 | 2008/10/17 03:14 |
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戻り川心中のような文学性は薄いですが現在の連城作品の方向性を示しているのかもしれません。
ありきたりの2組の夫婦(妻同士が姉妹)と一人ずつの娘がおり妹が娘を姉に預けて外出しているうちに預けた娘が殺害されて庭に埋められているのが発見される。発見当初は姉の認知症のある舅が犯人と思われたが、というストーリーです。 そこからの話の展開はものすごく連城作品らしいですが推理して当てる作品ではなく次々に暴かれめまぐるしく変わる真相を楽しむ作品なのでしょう。本格色は強くなく非常に評価しづらい作品です。 |
No.10 | 7点 | 終章からの女- 連城三紀彦 | 2008/09/17 23:07 |
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連城作品はトリッキーなものが多いですが、これはトリッキーさとは一味違う作品でした。
冒頭数ページで女が男を刺殺したシーンが描かれ、その後第一部でマンションで夫が刺殺、放火されその妻が容疑者となって、というストーリーです。 あまり前情報なしで読んだ方が良い作品でしょう。本格ではなく真相というか動機は事前に読者サイドに手がかりがないので絶対にわからない類のものですが奇抜でした。 一般人としては行動、考え方が真似できないものですがキャラクター描写により何となく納得させられます。この作品も他作品同様男女間の模様が色濃くでていますが他作品よりむしろこってり、どろどろした印象で読後感はあまりよくないかもしれません。 ただ真相まで読み進めたところで読者は納得できないまでも事前の伏線、犯人の描写の意図が理解でき今までの連城作品とは違う面白みがありました。また冒頭のシーンの使い方は中町信を思わせます。 知名度は高くないと思いますが秀作だと思います。 |
No.9 | 6点 | 黄昏のベルリン- 連城三紀彦 | 2008/08/31 23:39 |
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いわゆる一昔前の謀略スパイ小説の範疇に入るかと思います。
「ベルリンの壁」がキーポイントとなっており日本人それも連城三紀彦がわざわざナチスものを書いたのも驚きですが逆にこの作品のトリックは「ベルリンの壁」がないと成立しないためもしそのためにわざわざこれだけの長編を書いたとすればすごいと思います。 ストーリーは抒情性たっぷりの連城作品らしく真相も謀略スパイ小説らしく考えられていると思います。 但し、ストーリーはもう少し圧縮できたのではないかと思われますし、やはり第二次大戦どころかベルリンの壁が崩壊してこれだけ年月が経つと作品の出来と関係なく読者の共感が得られにくい作品となってしまったかもしれません。 |
No.8 | 7点 | 変調二人羽織- 連城三紀彦 | 2008/08/04 23:45 |
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これもトリッキーな連城三紀彦らしい短編集です。「戻り川心中」のような雰囲気は全くなくトリックに力点が置かれており個人的にはこの作品集や「夜よ鼠たちのために」が気にいっています。但しすべてが及第点とは言えず不満の残る作品もあります。
トリッキーさでは「メビウスの環」、「依子の日記」が気にいっています。 |
No.7 | 10点 | 夜よ鼠たちのために- 連城三紀彦 | 2008/07/02 23:32 |
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連城作品の中では最もトリッキーな作品が集まった好短編集だと思います。
自宅で妻を殺害したばかりの男の所に警察から別の場所で妻が殺されている、と通報がある「二つの顔」から始まりいずれも高水準な9作品です。共通点としては、一部を除いて男(犯人とは限りませんが)の一人称視点で「俺」が使用されていることで、ストーリーにあっています。 どれも人物誤認、騙りが非常に巧いです。表題作「夜よ鼠たちのために」の真相については現実では人道的にあり得ないので個人的には評価できませんが。 連城作品の短編集の中では最良だと思います。 |
No.6 | 7点 | 人間動物園- 連城三紀彦 | 2008/06/25 23:41 |
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大物政治家の孫娘が誘拐されたが被害者宅には盗聴器が仕掛けられ、警察は身動きがとれず、という形でストーリーは始まりますが連城作品らしく一筋縄ではいきません。
途中で真相の一部が倒叙形式であからさまにされますが、そこから更にどんでん返しが連発します。 一番最後のエピローグは読者によってかなり評価はわかれそうです。個人的には動機をみる限り、ここまで大掛かりなことをわざわざしなくても、と思いますが、ストーリーの展開は満足でした。 この作品も珍しく叙情的では全くなく連城作品ぽくはありません。叙情性は個人的には苦手ですが作風が他作品と全く違いかえって違和感を感じるほどでした。 |
No.5 | 7点 | どこまでも殺されて- 連城三紀彦 | 2008/06/23 00:11 |
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冒頭よりいきなり、これまで7回殺され今また殺されようとしている、という内容の告白から始まるいかにも連城作品らしいストーリーです。
ただ高校が舞台でメインキャストが高校教師とそのクラスの女子高生で教師が包み隠さず生徒に報告し二人で推理してゆく設定はかなり無理がありました。舞台上止むを得なかったのでしょうが。 真相は予想しやすいもので連城作品中ではひねりは小さめかもしれません。(どちらかというと他作家で類型の作品があるので予想しやすいのかもしれません。) 尚舞台が高校のためか他作品で見られる叙情さはこの作品では見られません。 個人的には叙情さが苦手なのでそれがなくても作品そのものは楽しめました。 |
No.4 | 6点 | 敗北への凱旋- 連城三紀彦 | 2008/06/22 01:30 |
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連城三紀彦第二長編です。第二次大戦で将来を絶たれたピアニストの生涯を小説の題材とした小説家が主人公で取材を続けるうちに戦後直後の殺人事件の真相や、様々な謎が明らかにされていく、というストーリーです。
暗号については全くわかりませんで、ただ読み飛ばすだけでしたが、それ以外の真相は連城作品らしい仕上がりです。 犯人のキャラクターは正直あまり好きではなく、殺人の動機もあまり納得いきませんが、戦争直後ならありうる動機なのかもしれません。 ただその動機をひきおこす戦争そのものがトリックになっている所が壮大で凄いです。ある有名な海外作品の古典と本質は全く同じですが、ストーリーにうまくあっていると思います。 |
No.3 | 6点 | 青き犠牲- 連城三紀彦 | 2008/06/18 00:43 |
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連城三紀彦第4長編作品です。帯に書いてある通りで、高名な彫刻家とその美貌の妻、18歳の息子の三人がメインキャストでオイディプス(エディプス)王がモチーフとなっており、彫刻家が死に、息子が疑われて、というお話です。
真相、トリック、犯人像はいかにも連城作品らしい仕上がりですが、あまり感情移入できる作品ではありませんでした。連城ミステリ好きには十分面白いとは思いますが個人的には連城作品の女性像はあまり好きではないのでその分評価は低めです。 |
No.2 | 7点 | 暗色コメディ- 連城三紀彦 | 2008/06/11 23:01 |
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連城三紀彦第一長編です。裏表紙に書いてある通りもう一人の自分を目撃してしまった主婦、自分を轢き殺したはずのトラックが消滅した画家、妻にあんたは一週間前に死んだと告げられた葬儀屋、知らぬ間に妻がすり替わっていた外科医。という4つのストーリーが平行して進んでゆき最後にまとまる作品で第一長編からいかにも連城三紀彦らしい作風に仕上がっています。
一つ一つの真相については説得力に弱いものもありますし、精神疾患患者を利用しているのもあまり気に入りませんがストーリー自体は気に入っています。また男女の心情の筆致はうまいです。個人的には謎解きとは関連が薄いので興味は薄いですがそれもひっくるめての連城作品だと思います。 |
No.1 | 7点 | 私という名の変奏曲- 連城三紀彦 | 2008/05/17 22:01 |
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いかにもな連城節炸裂の作品。ただ実際に見破られずに七回死ぬことが可能かどうかはひっかかりますが。またその殺人の動機と個人的には好きではないトリックのための殺人にもひっかかります。ただストリーテリングのうまさは相変わらずで読んでいる間は最後まで一気に読まされました。最近は恋愛小説にシフトしてしまい読んでいませんが連城節炸裂した以前のような推理小説を書いてほしいです。 |