皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
あびびびさん |
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平均点: 6.33点 | 書評数: 669件 |
No.309 | 9点 | 飢餓海峡- 水上勉 | 2013/04/05 23:12 |
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ある意味、松本清張の「砂の器」に似ていると思った。人間、成功するには個人の才能、努力だけではなく、色々な犠牲を強いられる場面もあり、それが思わぬきっかけで露呈する。
その重荷は、本人がずっと背負っており、一度犯した罪は決して消えることはない。この作品は映画も最高で、自分の中のベスト5に入っている。 |
No.308 | 5点 | 三匹のおっさん- 有川浩 | 2013/04/03 18:10 |
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友人に、「これおもしろいから読んでみて」と文庫本をもらった。ずっと後回しにしていたけど、通勤の合間に読んでみた。女性作家で「阪急電車」の著者だと知った。ほんと、ミステリ以外はほとんど読まないから(しかも9割が外国)、ある意味新鮮でおもしろかった。
でもこのサイトでの書評はないだろうと検索してみると、ちゃんとあったのでにやけてしまった。 |
No.307 | 6点 | クローズド・ノート- 雫井脩介 | 2013/03/29 14:23 |
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賃貸マンションのクローゼットの奥に日記のようなノートがあった。それは前の住人である小学校の女性教師がつづったもので、初めて担任になった4年2組の一年間が瑞々しく語られていた。そして、恋人との甘く、切ないラブストーリーも。
沢尻エリカ主演で映画化されたとは知らなかったが、驚くような謎はなく、ミステリ色の薄い物語だった。「火の粉」などとはまったく趣がちがう。 |
No.306 | 7点 | 犬の力- ドン・ウィンズロウ | 2013/03/06 18:15 |
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かなり重厚な物語だと思う。麻薬捜査官とコロンビア経由のコカインを扱うメキシコのファミリー。巨額が動くだけに全編にわたってけた違いのスケール。マフィア同士の報復合戦も陰惨だが、それがファミリーの結束の固さを余計に際立たせている。
最後はファミリーが分解され、麻薬捜査官が人生を賭けた闘いに勝利するのだが、すぐに次の組織が誕生し、新たな麻薬ロードが生まれるメキシコの土壌(中南米?)には、ため息しか出ない。 |
No.305 | 4点 | 森を抜ける道- コリン・デクスター | 2013/02/14 17:36 |
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以前、ミステリチャンネルでモース警部は何度も見たが、あまり印象には残っていなかった。
それで、小説ならばと初めて読んでみたが、こちらも起伏のない物語だった。粘り強さが身上の警部だけに、コツコツ推理を進めていく過程は分かるが、まあこれは読む方の好き嫌い、合うか合わないかだから、仕方ないかも。 |
No.304 | 8点 | 楽園のカンヴァス- 原田マハ | 2013/01/22 15:14 |
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アンリ・ルソーという画家に俄然興味を持った。「夢を見た」という作品の真贋を問うストーリーだが、重厚で流れるような展開にページをめくる手が止まらなかった。
最後はそれなりにどんでん返しもあり、こういう小説もいいなと、新分野に興味を持った。 |
No.303 | 7点 | ゴールド・コースト- ネルソン・デミル | 2013/01/08 11:42 |
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文庫版上下、1000ページもある。上は、ゴールド・コーストがいかなる場所で、いかなる人種が住んでいるのか、という説明文にページを割いている。
しかし、主人公の隣に、ニューヨークナンバーワンのイタリアン・マフィアが引っ越してきたという設定は冒頭からあり、いつ、どんな事件が勃発するのか?という期待感はずっとあった。 そのボスにあろうことか、自分の妻が惚れてしまうのである。しかし、自分自身もその男を認めており、彼の弁護士として辣腕をふるうのだ。その複雑な心境、夫婦間の愛憎、そして人生の目的が巧みな構成により、読者により深くインプットされる。なかなかの大作だった。 |
No.302 | 9点 | 64(ロクヨン)- 横山秀夫 | 2012/12/26 14:41 |
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今年のミステリナンバーワンとしてかなり増刷しているらしいが、十分な充電期間、その間に何度も書き直しただけあり、本当におもしろかった。
腕利き刑事から広報担当になった男が主役だが、第一線で活躍できないジレンマ、警察詰めの新聞記者との軋轢、身内だが一線を画しているキャリア組との闘い…。 64(ロクヨン)とはD県で起きた未解決の誘拐事件のことで、これを巡る当時の関係者の悲哀がよく書けているが、最後はちょっとしたどんでん返しがあり、ミステリの部分でも満足させてくれた。 |
No.301 | 5点 | 鳩のなかの猫- アガサ・クリスティー | 2012/12/23 15:15 |
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ドロシー・セイヤーズの「学寮祭の夜」に似た設定。外国の王女も入学する名門校で殺人が起きる。それはある国の内紛時に持ち出されたダイヤモンドを巡っての事件だった…。
途中からポアロが登場するが、推理的にはある程度分かる部分があり、意外と言えるほどの犯人ではなかった。切れ味的にはもうひとつかも。 |
No.300 | 8点 | 悪党- 薬丸岳 | 2012/12/02 17:48 |
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連れが面白いと言うので、旅の移動時間の間に読んだ。東野圭吾の「さまよう刃」と同じ感覚の内容だったが、自分としてはこちらの方が読み応えがあった。
しかし、旅から帰ってテレビをつけるとこの作品を滝沢秀明の主演で放送しているのにはびっくりした。渡哲也など豪華出演者で、なかなかのデキだったのではないかと思う。 エピローグは予測できたが、これがないとこの物語は救えないような気がした。 |
No.299 | 6点 | 隻眼の少女- 麻耶雄嵩 | 2012/11/27 12:28 |
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(ネタばれあり) 思わず、「ええっ?」と言ってしまった結末。動機は分かるけど、それだけたくさんのの木を森に隠さなくても事足りただろう! 犯人が、「このことはあの人に言わないでください」って、最後まで我儘で、自分勝手。何人もの子供を殺された琴折家の心情は無視か?第2部の犯行でも、いきなり種田を殺した方が存在感を消せたはずなのに、なぜまた何人も殺す? 色々腑に落ちない点はあるけど、これが麻耶ワールドなのだと治めたが、次の麻耶作品を読むときの免疫にはなったかも。 |
No.298 | 5点 | なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?- アガサ・クリスティー | 2012/11/21 23:15 |
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好奇心旺盛なお城のお嬢様がいて、その幼馴染の男がいる。彼女は貴族であり、彼は平民?なのだが、幼少のころ縁ありて、友人関係が続いている。そんな中、彼がシーサイドコースでゴルフをしている最中に瀕死の男と遭遇する。最後の言葉が、「なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか?」だが、物語においてそれほど重要な言葉ではなかった?
クリスティーはほとんど好きだが、ドタバタ喜劇ぽいのは好みじゃない。 |
No.297 | 8点 | 死との約束- アガサ・クリスティー | 2012/11/18 16:35 |
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少しの間読書せず、目の保養?に努めていたが、リハビリにクリスティーを選んだ。ある意味、この作品はクリスティーの真骨頂と言える(私的に)。
本格丸出しの設定、少々の無理、難題は無視して、気軽に読んでいくと、最後はポアロの独壇場、そして意外な犯人が指摘される。しかし、犯人になりえる材料はちゃんと披露していた…。 それにしても犯人が当たらない。多分易々と分かれば次は手にしないかも知れないから、これで良し…だろう。 |
No.296 | 6点 | ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女- スティーグ・ラーソン | 2012/11/04 11:24 |
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やたら出演者が多くて、映画はちんぷんかんぷんだったが、そのおさらいのように、物語の本筋が分かってきて(当たり前だが)、案外おもしろかった。
しかし、あまりに異常な世界。ミステリを読んでいるという感覚ではなく、怪奇小説のおぞましさだけが残ったが、西洋文明では受け入れられる世界観なのだと思う。 |
No.295 | 7点 | 秘密- 東野圭吾 | 2012/10/17 23:36 |
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過去の履歴を遡って見ていたらこの作品がノーチェックだった。旅の途中、長時間の電車に備え、いつもならマンガ雑誌を買うのに、東野圭吾の名を見て購入。それからミステリに舞い戻った。
目的の駅に着くころには読み終えたが、なんとなくホロリとさせられ、それからミステリは欠かせなくなった。物語は現実味がないけど、男と女の本音と哀愁を感じた作品。 でも、今はこの筋の作品は読まないかも知れない? |
No.294 | 5点 | 眠りをむさぼりすぎた男- クレイグ・ライス | 2012/10/11 23:58 |
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アメリカでは、一時はクリスティを抜いてトップの女流作家と言われたらしいが、どうだろう?一つのストーリーを読んだだけでは判断できない。
この内容だけでは長すぎる物語、結末も「うーん、そう持っていくか?」という選択。一番有名な?「スイートホーム殺人事件」を読んでみたい気もする。 |
No.293 | 6点 | 曲った蝶番- ジョン・ディクスン・カー | 2012/10/06 14:03 |
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タイタニック号の遭難で、名家の後継者が入れ替わった…という設定はわくわくした。現在、ジョン卿として君臨している人物が本物なのか、それとも「私こそ純粋な血を引く真のジョン卿」であると、いちゃもん?をつけて裁判も辞さないというゴア(現在の名前)がそうなのか?
両者が顔を合わせ、指紋鑑定まで進んだところで当然のように?殺人が起きる。しかし、フェル博士の推理は常人には考え付かない、現実味のないトリックだった。いつもこの作家の結末は丸め込まれてしまった感が強い。 |
No.292 | 5点 | 親指のうずき- アガサ・クリスティー | 2012/10/01 10:11 |
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クリスティは大好きだが、トミー&タペンスシリーズはやや苦手。「ウサギを追いかけるテリアのように」妻のタペンスが暴走して、夫のトミーが軌道修正するパターンは冒険小説のようで、落ち着けない。
ただ、犯人は意外だった。過去、何十冊と読んでいるが、なかなか犯人が当たらない。今回もまさかの終盤で、唸るしかなかった。本当にクリスティ作品に外れは少ないと思う。 |
No.291 | 5点 | 無実- ジョン・グリシャム | 2012/10/01 10:02 |
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ノンフィクションだけに、流れるような展開、解決はないが、古きアメリカの恥部というか、権力者の傲慢さと、警察の杜撰な捜査が浮き彫りにされ、今なお無実の罪で監獄生活を余儀なくされている人々の苦しみが伝わってくる。
当然、日本にも同様の冤罪事件は数多くあり、真実の行方は迷走する台風の如しだ。 |
No.290 | 6点 | 招かれざる客たちのビュッフェ- クリスチアナ・ブランド | 2012/09/04 17:30 |
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短編集とは言っても、読み応えのある作品ばかり。登場人物からして怪しげな人間ばかりで、おのずと雰囲気を盛り上げている。
自分の好みでは「婚姻飛翔」が興味深かったが、「ジェミニー・クリケット事件」も爽快な推理劇だった。 |