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[ パスティッシュ/パロディ/ユーモア ]
大癋見警部の事件簿
深水黎一郎 出版月: 2014年09月 平均: 5.80点 書評数: 5件

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光文社
2014年09月

光文社
2016年10月

No.5 7点 名探偵ジャパン 2018/11/24 22:49
好きか嫌いかで答えろと言われたら、私は好きですね。
ただの「クズトリックのバーゲンセール」で終わらず、登場人物たちのドタバタ、特にメタ発言などで笑いを交えながらの展開に、「それ(バーゲンセール)だけでは読者に申し訳ない」という作者の矜持が見えます。
本格ミステリを知っている読者は笑え、本格ミステリ初心者も各話に出てくるミステリ用語の勉強になる(?)、隙のない作りになっています。

※以下「CHAPTER3 現場の見取り図」についてのネタバレがあります!



ただひとつ、「CHAPTER3 現場の見取り図」だけはいただけません。犯人だけ姓名ともに記載しているというのはアンフェアなのではないでしょうか。であれば他の人物も姓名揃えて表記するべきです。

No.4 8点 yoshi 2017/09/02 05:59
あれっ、みなさん評価低いんですね。
私は大変面白く読みました。いまのミステリ界のトピックスや問題点を網羅して、それをいちいちパロディに落とし込むというのは、かなりの技倆が必要だと思うのです。
かといってトリックも使い回しではなく、「逃走経路の謎」や「JAXAの殺人」などのトリックは新味があります。上級者はもちろんですが、初心者が手っ取り早く笑いながらミステリ界の現状を知るにはうってつかかと思います。
なお文庫版は芳井かずみの漫画も入っていて少しお得です。
ただし解説はひどい。そもそも作者の名前が深「見」黎一郎になっている。光文社は校正をしないのか?

No.3 5点 E-BANKER 2016/11/13 21:17
「ジャーロ」誌に随時掲載されたものを単行本化に当たって大幅に加筆修正した作品集(とのこと)。
“芸術探偵シリーズ”に登場する大癋見警部を主役としたスピンオフ作品。
2014年発表。

①「国連施設での殺人」=<ノックスの十戒>の第五項が問題となる作品・・・っていうか初っ端からこれかよ!ってツッコミしか思い浮かばない。なんでノルウェー人?
②「耶蘇生誕節の夜の殺人」=一応アリバイがテーマとなる一編なのだが、当然まともなトリックではない。
③「現場の見取り図」=ふざけすぎにも程がある! ○○なんて名前あるか!(っていうツッコミすら虚しい)
④「迷走経路の謎」=これは・・・叙述トリックということなのでしょうか?(全く意味ないけど・・・)
⑤「名もなき登場人物たち」=これはなかなか爆笑(!?) レッドヘリングの極地!
⑥「図像学と変形ダイニングメッセージ」=<ヴァン・ダインの二十則>に突入。ダイニングメッセージがテーマではあるが、相変わらずボケ倒す。
⑦「テトドロトキシン連続殺人事件」=いわゆる「後期クイーン問題」が俎上に上げられる一編。とにかく刑事たちが可哀想・・・
⑧「この中のひとりが・・・」=CC(クローズド・サークル)の極地。全員に配られた飲み物のなかでひとりだけが毒殺される謎! あれやこれやと弄り回した結論が・・・
⑨「宇宙航空研究開発機構(JAXA)での殺人」=完璧な密室殺人を扱った一編。理系ミステリーを標榜しているが・・・全然分からん!
⑩「薔薇は語る」=「見立て」殺人テーマなのだが、このアイデアはなかなか秀逸・・・なわけないだろ!! 
⑪「青森キリストの墓殺人事件」=ラストまできてトラベルミステリーとは・・・。

以上11編。
とにかくもう・・・ひたすら脱力!
これを怒りなしに読み切るミステリー好きがいたら尊敬するなぁー

でもなぁ・・・光文社もチャレンジャーだね
作者も懐が深いというべきなのか、アホというべきなのか・・・
ミステリーへの造詣の深さや愛情はそれなりに感じるんだけど・・・
これを時間の無駄と思うか思わないかは読み手のあなた次第だな。

No.2 5点 まさむね 2014/11/03 23:13
 メタミステリーとしてどう評価していいものやら。
 目次から拾ってみても、「ノックスの十戒、アリバイ、密室殺人、叙述トリック、レッドヘリング、ダイイング・メッセージ、ヴァン・ダインの二十則、後期クイーン問題、正確な死因、お茶会で特定の人物だけを毒殺する方法、二十一世紀本格、「見立て」の真相、バールストン先攻法にリドル・ストーリー、警察小説、歴史ミステリーおよびトラベルミステリー、さらには多重解決」…というように、ガンガンに詰め込んでいます。そのせいなのか、個々のネタについては、小ぶりの印象が否めません。
 気軽に読む分には良いと思うのですが、個人的には「天下一大五郎」センセの方が好みかな。

No.1 4点 kanamori 2014/10/01 20:18
「エコール・ド・パリ殺人事件」以降の芸術探偵シリーズでは脇役だった大べし見警部と、捜査一課の面々を探偵役にしたバカミス連作短編集。

ドーヴァー警部を思わせるやる気のない大べし見警部と、部下の刑事たちとのドタバタが楽しいが、ミステリ的には使われているトリックやアイデアがくだらなさすぎる。普通のミステリでは使えないネタを、この際だから投下しておこう、という感じかな。まあこの短編集は、気軽に読めばいいのかもしれませんが。
ノックスの十戒、密室、叙述トリック、ダイイング・メッセージ、レッドヘリング、後期クイーン問題、見立て殺人など、本格ミステリのガシェットやお約束をネタにしているところは「名探偵の掟」を連想させますが、東野作品と違って、作者の本格ミステリへの想いやメッセージのようなものはあまり覗えない。ひたすらハチャメチャに徹しているけれども、ユーモア・センスも「言霊たちの夜」の作者とは思えない低調ぶりでした。
ただ、「ちなみに瞬一郎本人は、このシリーズへの登場を頑なに拒んでいる.....」という一文は笑えた。


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