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[ 本格/新本格 ]
暗闇の殺意
本格ミステリー集
中町信 出版月: 2014年01月 平均: 5.60点 書評数: 5件

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光文社
2014年01月

No.5 7点 測量ボ-イ 2022/10/09 17:20
氏の短編集を初めて読みましたが、どれも本格色が濃く、粒よりの短編集です。
満足度は大きかったですね。
個人的なベストは他の方も挙げていますが「裸の密室」
他の作品では「手を振る女」ですかね。

No.4 5点 まさむね 2017/03/15 22:16
 「これは!」と膝を打つ作品は見当たらなかったものの、「これは…」と首をかしげる作品も見当たらないなぁ…といった印象の短編集。でも、こういう、決して派手ではない(地味と言ってもいい)けれども安定感のある短編集って、結構好きです。
 内容としては「裸の密室」がベストで、次点が「動く密室」か。ダイイングメッセージとしてはかなり判りやすいし、現実的にそんな残し方はしないだろ…と突っ込みつつ、真相に意外性のあった「濁った殺意」も印象には残りそうかな。

No.3 6点 アイス・コーヒー 2014/06/07 19:53
三つの単行本未収録作を含む短編集。
全体的に地味な作品が多いが、個人的に気に入ったのは「手を振る女」と「動く密室」。前者は新幹線を舞台にした、単純なアリバイものだがミスリードが見事。後者は、密室状態の自動車での殺人を描く。こちらは密室トリックもさることながら、フーダニットが鮮やか。
他にも「年賀状を破る女」「裸の密室」などは中々興味深いトリックが使われている。「裸の密室」は一種のバカミスだが…。「年賀状を破る女」はインパクトに欠けるが、意外な結末ではあった。
ダイイングメッセージ、連続殺人、密室トリックなど、お決まりの題材が並ぶが、著者の得意とする叙述トリックを応用しつつ、「論理のアクロバティック」を重視した面白い短編集だった。全体的に地味だが、満足できる本格ミステリ。

No.2 5点 E-BANKER 2014/04/07 22:21
「模倣の殺意」の思わぬヒット!
それに気をよくしたのか、今回は光文社文庫よりタイトルまでシリーズを模して発表された本作。

①「Sの悲劇」=ダイニング・メッセージがテーマとなった本作。よくある推理クイズ程度のプロットといってしまえばそれまでなのだが、手堅くまとめてはある。(「Yの悲劇」のアンソロジーで有栖川有栖が似たようなプロットで書いていたのを思い出した・・・)
②「年賀状を破る女」=ラストには全体の構図が反転する・・・といえば面白そうに見えるが、それほどでもない。
③「濁った殺意」=“安楽死”をテーマとする作品。一応動機はあるけれど、それでも○○を殺すかねぇ・・・。
④「裸の密室」=これはトリッキーでよくできた作品。相当綱渡りだし、現実的に通用するかというと?(疑問符)なのだが、物証や関係者のコメントなどの仕掛けがラストに効いてくる。密室はオマケ程度。
⑤「手を振る女」=鉄道を利用したアリバイトリックがメインテーマなのだが、別に時刻表を使った複雑なトリックではない。でも、手を振るのを○○と見○○○うかなぁ??
⑥「暗闇の殺意」=表題作だが、他作品よりも出来は落ちる。一応フーダニットに主眼が置かれているのだろうけど、特段サプライズがあるわけでもなく終了。要はタイトルだけ欲しかったのかな?
⑦「動く密室」=自動車教習所を舞台とした一編。というと、最近読了した「自動車教習所殺人事件」(創元文庫版で「追憶の殺意」と改題)と同じだが、本作は短篇っぽいプロット。教習所らしい小道具がアリバイトリックに一役買っているのが面白い。

以上7編。
ひとことで言えば「寄せ集め」っていう感じだろうか。
作者らしい生真面目な作品が並んでるし、どれもまずまず楽しめる作品ではある。
ただ、全ての作品が“ジャブ”というレベルで、「へぇー」というパンチの効いた作品はない。

まぁ「殺意シリーズ」に便乗した作品集と言われても仕方ないかな・・・
評価はこのくらいになってしまう。
(個人的ベストは④。次点は⑧。あとはうーん・・・)

No.1 5点 kanamori 2014/02/26 18:45
トリッキーな本格ミステリ7編収録の短編集。まさか光文社文庫から出るとは思わなかったが、創元推理文庫の「~の殺意」シリーズのプチ・ブームに便乗した企画なのか。

プロローグでの騙りによるミスリード、ダイイングメッセージ、密室状況の殺人など、短編にもかかわらず、どの作品も長編とまったく同じスタイルを貫いているのは好感が持てる。ただ、青樹社版短編集「Sの悲劇」の収録作との重複が7作中3作も含まれているのは残念なところ(よって、編成に1点減点)。
個別に見ていくと、既読の「裸の密室」「動く密室」を超えるものが見当たらなかったが、ラストに構図を反転させた安楽死テーマの「濁った殺意」と、小品ながら騙りがスマートなアリバイもの「手を振る女」がとくに印象に残った。
作者の短編はそう多くないが、もう1冊分ぐらいは残っているはず。ぜひ第2弾も出してもらいたい。


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中町信
2014年10月
偽りの殺意
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