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[ サスペンス ] 牝狼 |
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ボアロー&ナルスジャック | 出版月: 1957年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
東京創元社 1957年01月 |
東京創元新社 1962年01月 |
No.2 | 6点 | クリスティ再読 | 2024/09/14 19:38 |
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最初は創元「現代推理小説全集 14」(1957)にマリオ・ソルダアティの中編「窓」と一緒に収録され、のちに創元「世界名作推理小説体系 21」(1961)に「死刑台のエレベーター」「藁の女」と収録されたボア&ナルの長編第4作。結局文庫にならなくて埋もれた作品ということになり、やや入手難だが読めた。今回は「現代推理小説全集」の側にするので、「窓」の方は別途にしよう。
初期のボア&ナルらしい作品と言えばそう。ドイツ占領下のリヨンに、捕虜収容所から逃れたベルナールとジェルヴェイが到着する。ベルナールの「戦争養母」のエレイヌを頼って逃げてきたのだ。しかし、ベルナールはリヨン駅で事故死してしまう。ジェルヴェイは瀕死のベルナールに勧められて、ベルナールに身元を偽ってエレイヌに匿ってもらうことにした。 こんな設定で始まるのだが、貧しいピアノ教師のエレイヌと、霊媒まがいで戦時下でも密かに稼ぐ妹アニェスが、偽ベルナールを巡って鞘当てして緊張する毎日。出生証明書を問い合わせたことで、ベルナールの姉ジュリアがベルナールを訪れてくる....身元詐称がバレるピンチだが、なぜかジュリアはそれを暴こうとはしない。なぜ? こんな密室展開がジェルヴェイ視点で描かれていく。この四人の微妙な駆け引きがすべて。真相はそう不思議なものではないが、ドイツ占領下の理不尽な死などが、緊張感を高めるし、実はジェルヴェイは優秀なピアニストの前歴があって(イヴ・ナットの弟子だそうだ)、入れ替わったベルナールはタダの材木商というのもあって、エレイヌの下手なピアノにイライラする(でも顔に出せない)あたりが面白い。意外にボア&ナルって「芸道小説」の味わいがあるんだよね(苦笑) |
No.1 | 6点 | kanamori | 2013/03/22 20:26 |
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第二次大戦時のドイツ占領下リヨン、捕虜収容所から脱獄した「私」は事故死した囚人仲間に成りすまし、ある姉妹のマンションに匿われることになるが....というあらすじです。
タイトルから想像できるように、作者が初期の頃に十八番とした悪女ものの心理サスペンスです。 事故死した友人の文通相手であるエレエヌと霊媒師もどきの妹アニュス、死んだ友人の姉ジュリアの、三人の女性の三様の思惑が絡んだ心理劇が読ませます。 なぜジュリアが主人公を偽者と告発しないのかという謎を中途半端に決着させたのはもったいないですが、悪夢的で余韻を残すエンディングは作者の持ち味がよく出ているように思います。 |