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煙か土か食い物
舞城王太郎 出版月: 2001年03月 平均: 7.00点 書評数: 46件

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講談社
2001年03月

講談社
2004年12月

No.46 5点 ミステリ初心者 2023/08/16 20:17
ネタバレをしております。

 前情報なしで買いましたが、最初はこの文体に面食らいましたw 改行がなく、!や?の後にもスペースもない、まるまる文章のみでぎっちりつまったページは初めて見ましたw
 主人公が癖のある人物で、その主観文章なので、そうとう癖のある本ですねw かなり狂暴で喧嘩っ早く、一方でちょっとニヒルっぽかったりするプレイボーイなのですが、熱くなる時には熱くなり、また家族愛にも満ちておりますね。かなりせわしなく動き回る活動的な主人公で、また感情の起伏も激しいため、本全体的に疾走感があります。
 推理小説的要素はあまりなく、どちらかというと2時間ドラマのように事件を追います。祖父・大丸の自殺や、二郎失踪は密室事件なのですが、あまり価値はありませんでしたw 

 好みではなかった部分。
 疾走感がある本と書きましたが、事件が進むのは遅いです。半分ぐらいの?ページが奈津川四郎の幼少期~二郎失踪までの話になります。前半にあった疾走感は一度100~150ページ前後で失速します。丸雄の暴力シーンや、歪んで育ってしまった二郎の非行のシーンはしつこくて読むのがつらかったです。また、二郎がそれほど事件にかかわってこなかったので、もっとカットしたほうが良かったような気もしますw
 過去編があらかた終わった後、四郎による捜査が再開され、また一気に疾走してラストまで行きます。四郎は家族を救い、求めていた愛する女性を手にして?、わりと爽やかでハッピーエンドで終わります。その辺はよかったですね! 二郎の件は決着がついておりませんが…。

 総じて、途中の暴力シーン以外は読みやすく疾走感がありました。推理小説としてみるのではなく、普通の本としてみたなら楽しめます。主人公の心の文章が多いので、主人公を鬱っぽくしてユーモアっぽさを消すと、なんだか純文学っぽくなるかもしれませんねw 純文学は一冊も読んだことが無くて恐縮ですがw

No.45 4点 じきる 2021/11/11 23:40
物語の疾走感やパワーは凄まじいものを感じますが、とっ散らかっていてノリきれなかった。

No.44 7点 名探偵ジャパン 2017/01/12 22:25
いきなり「匣にみっしりと詰まった」ような改行なしの数ページが続きます。一人称で語られる軽快な文体もこれでは疾走できず、「渋滞に巻き込まれたスポーツカー」のようです。が、徐々に渋滞は緩和していきフルスロットル。気が付く頃には引き込まれ、「ひとっ走り付き合えよ」状態になりました。
他の多くの方の書評にあるように、ミステリとしての面白みはなく、本サイトの分類が「その他」になっていることも頷けます。
読む前は「どんだけ尖った作品なんだろう」と怖々読み始めたのですが、最後は家族愛、医は仁道、みたいなテーマが浮き彫りにされ、拍子抜けというか意外に思いました。本当はやさしい優等生が、ナメられないように不良ぶっている。という印象でしょうか。タイトルの意味も「なるほど」と思わされます。

No.43 7点 風桜青紫 2016/01/16 01:43
破天荒な見た目とは裏腹に、なんとも作者の苦労が見えてくる作品。この筆致で話を通すためには当然ミステリーとしては必要不可欠の情景描写を省略しなくてはならないし、さらに言えば会話の歯切れをよくするため、いかにもわざとらしい台詞をはさむわけにもいかない。とうぜん本格ミステリ的な伏線は張れないため、謎解きに関してもこのような壁当てキャッチボール的構成になってしまう。しかし、本格的な構造を捨ててまで、演出される筆致と細部描写の面白さは作品ひとつを成立させるに足るもの。二郎がパパンに殴られるシーンひとつとってもわかるが、なんとも痛みが鮮明で、その場の人物の悲壮感が伝わってくる。ありふれた光景でもここまで鮮烈に描写できれば、作中の出来事がなんとも読者の肌にせまってくる。情景描写をしないことが逆に説明過多の作品よりインパクトを残し、かつリーダビリティを上げるわけである。全体を通して見ればハチャメチャメチャな話運びであってもきちんと作品が成立するあたり、舞城自身が小説の面白さに自覚的である印だろう。

No.42 4点 パメル 2016/01/11 20:57
これは好き嫌いがはっきり分かれる作品ですね
文体自体は個性的で最初のうちはワクワクさせられたのですが
読み進めていくうちに意味不明な暴力描写が多々あり
馴染めませんでした

No.41 6点 アイス・コーヒー 2014/12/20 13:08
賛否両論になるのも納得の内容。メフィスト賞最大の異端児にして文学界に悪名を轟かす舞城王太郎のデビュー作。極端に改行が少なく、口語的暴力的な文体は好き嫌いがはっきりと分かれるだろう。
自分には本作の内容、というより主題がほとんど分からなかった。そのため採点するのも感想を書くのも難しい。憎しみ、暴力、復讐などの混沌とした内容の奥にあるのは恐らく家族愛なのだと思ったが、果たして著者は何を意図して書いたのだろうか。
メフィスト賞受賞作だから「広義のミステリー」ではある。連続主婦殴打生き埋め事件やその隠された意味、真犯人探しとその裏にある陰謀などの要素はまさしく推理小説だ。しかし、主人公の奈津川四郎は、それらの謎を推理とは名ばかりの無茶苦茶なひらめきだけで解決していく。これではフェアかそうでないかというレベルの話ではない。
ただ、どうやらそんな「推理小説もどき」の内容も演出の一部にすぎないようでその点に一々目くじらを立てていたら永久に本作を理解することはできないだろう。横溢する品のない表現も暴力もあくまで装飾の一部なのだろう。
ではそれらを除いたときに何が残るのだろう。自分にはそれが掴みきれなかった。そういう意味では悔いの残る読書体験だ。しかし舞城氏なら何かさらに凄い小説を書いてくれるだろう、と幽かに感じただけでも収穫だった。

No.40 4点 蟷螂の斧 2013/03/05 12:46
文体は特異なもので、スピード感はありました。しかし、一体何を書きたかったのだろうというのが、最初の印象です。推理は二の次で、家族愛?暴力?復讐?よくわからない小説です。

No.39 8点 mohicant 2012/09/17 22:46
 品はないが、勢いがある。文章の持つ力に圧倒される。胸が熱くなる。胸くそ悪くもなる。だが傑作である。

No.38 7点 concon 2012/01/03 00:25
なんじゃこの題名は、と思ったが読んでみると、なるほどそういうことかと納得。
一見、登場人物が自分とはかけ離れすぎているようで、その実、共感させられる部分が多い作品でした。

No.37 2点 いいちこ 2011/12/27 19:14
作品の内容より個性的すぎる文体・語彙の印象が強烈。
ここに魅力を感じられるかで評価が分かれる作品だろう。
しかしミステリとしての本質は主人公がスーパーマンすぎるうえ、ご都合主義の極致なので完全に落第点。
終盤に本作の主題が明らかにされるが、唐突なうえ書きぶりも下世話で感心しかねる。
独特の語り口以外は見るべきところがない

No.36 7点 smile66 2011/06/21 17:16
なんていうかこれは、レストランでハンバーグ頼んだらかつ丼が出てきちゃったみたいな。
頼んだやつじゃなかったけど、おいしかったみたいな。

ミステリとしての要素は味付け程度でしょうか。
舞城王太郎は家族愛について書きたかったんでしょうか。
でも、奈津川家がやばすぎて普通の人はついていけないと思うんですけどどうなんでしょう。彼らのような壮絶な人生を歩んでいる人のことを理解できるとか気安く言いたくはないです。

デビュー作にこんややばい家族が出てくるってことは舞城王太郎の家も相当にやばかったんじゃないかな。

No.35 3点 ムラ 2010/12/19 16:42
(ネタバレあり)
文章が軽快でドンドン流れて行くようでした。主人公にユーモアもある探偵小説と行った感じです。
ただ、テンポがかなり悪かった。一部の登場人物設定をどんどん出してくるのは好きですが、肝心のミステリーの部分が疎かになりすぎてる気が。トリックも、ふーん、程度。
アナグラムの元の人もイマイチ印象に残らないから、一瞬誰かわからなかった。
最後の展開に主人公の職業が生かされていたのはよかったです。

No.34 2点 seiryuu 2010/11/07 15:07
最後まで独特の文章に慣れなかった。
作者の世界観を押し付けられているだけで何も感じなかった。

No.33 6点 2010/02/01 11:14
芥川賞候補作家と聞いてそのデビュー作を読んでみることにした。
文体は強烈。パワーとスピード感のある文章の波が押し寄せてきて、はじめはそれに圧倒されるが、しだいにそれにも慣れて乗せられ読まされてしまう。暴力シーンも嫌な感じはせず、なぜか懐かしの「花の応援団」を思い出して笑えてしまった。著者の芥川賞候補作品は「こけおどし」とも評されているようだが、本作から想像すると、なんとなくわかるような気がする(笑)。こんな文体の作家を高く評価したメフィスト賞ってさすがだな。全く受け付けないという作家たちがいると聞くが、こういう作家を認めて、もっともっとミステリ界、文学界を改革すればいいのになとも思う。
内容についてふれてなかったけど、ミステリとしてはちょっとばかばかしいって感じ。家族愛の物語としてはけっこう良かったんだけどね。
とにかく本書は文体に尽きる。ハードボイルド文体が合わないという読者にはおススメかも。

No.32 7点 itokin 2009/12/24 19:05
舞城さんの作品は初めて、変な文章だが圧倒的なパワーに引きずり込まれた。丸雄、次郎の行動は理解できても終盤での四郎の行動は理解しずらくマイナス1点とした。ただし、この人は才能があると思う続編も読んでみる。

No.31 9点 band box 2009/11/29 14:14
洪水のように押し寄せてくる言葉。すごい文圧。
ミステリ云々というよりも、氏の文体、作風が一番の魅力であった。
そしてラストでまるおが言ったあの一言。不覚にも涙が出た。

No.30 7点 zzz 2009/07/28 10:46
句読点がない事に最初は違和感を覚えたが、
読み進むにつれて圧倒的なスピート感に魅了されていた。

No.29 10点 kai 2009/06/05 16:19
笑った。

No.28 4点 touko 2008/10/28 03:03
基本的にはマイケル・ギルモア著、村上春樹訳の「心臓を貫かれて」という犯罪者の家族病理を扱ったノンフィクション作品を、日本を舞台にしただけのような……パクリとまでは言わないし、ミステリー部分にはオリジナリティがありますが、文学としてのキモの部分がまんま借り物なのはなんだかなあ。
しかも本家と違い、卑俗な説教調に堕ちちゃってるし。
随所に入るその頃はやっていたアメリカ文学の引用も、ミーハー丸出し(なカッコつけ)って感じで、いただけなかったです。

アメリカかぶれの文学青年(少年?)がラノベタッチで書いたハードボイルド調ミステリーって感じ。
この作家、これ以降の作品では、ずいぶん成長したとは思いますが、これはつまらないとかいうより、読んでてなんだか気恥ずかしくなる青臭ーい作品でした。

でもまあ、「オレンジレンジ」みたいな、洋楽パク……じゃない、トリビュートのJポップみたいなものと考えれば、商品価値はあるのかも?

No.27 5点 あさがお 2008/06/08 05:40
ミステリーとしては、伏線とかなく、どんどん新しいネタがでて、どんどん強引なロジックで展開されるので、推理を楽しみたい人には向かないと思います。内容もバイオレンス物で、好みではない。読んで唯一得たものは、子供のしつけと体罰、虐待について、考えさせらたことくらいでしょうか。。


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