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[ クライム/倒叙 ] カジノ島壊滅作戦 悪党パーカー |
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リチャード・スターク | 出版月: 1971年01月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 2件 |
角川書店 1971年01月 |
No.2 | 7点 | 雪 | 2021/08/30 23:04 |
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テキサス沖のメキシコ湾に浮かぶ小島、それがコケイン島だ。島の持ち主は "ウォルフガング男爵(バロン)" と呼ばれる男。時間と金だけをもって現れた彼はまもなく島に豪華なカジノとホテルをつくり、所有者もない荒れはてた無人島を海上のラス・ヴェガスに仕立て上げたのだ。今では、夜ごと数十万ドルの金が動くという繁盛ぶり。
パーカーの今回の襲撃目標が、このカジノ島だった。仕事の依頼はバロンと対立する〈アウトフィット〉のボス、ウォルター・カーンズからきた。依頼の内容はこうだ――「島の金を根こそぎやつからむしりとって素裸にしてくれ。それだけじゃない、徹底的に焼きつくすんだ。あのくだらない島をばらばらにして海に投げ捨てろ!」 四囲は自然の要害で、島への航路はカジノの正面にある大桟橋とその西方のボート小屋のみ。そして島内には武装した用心棒が・・・それでもパーカーには成算があった。襲撃は成功。だが―― 1966年発表。『汚れた7人』に続くシリーズ第八作で、原題 "THE HANDLE"。訳者・小鷹信光氏のあとがきによると「賭博や犯罪行為による総収入」というアメリカン・スラングらしい。いつもは年に一度か二度しか仕事をしないパーカーだが、今回は前作でのフットボール場現金強奪からわずか六週間という異例のペース。かけらも緩みはしないが、そのせいかクリスタルという女を受け入れる珍しいシーンがある。 ただし仕事の方は例の無いほどキツい展開。人数集めの段階でハネた男が連邦政府に泳がされており、パーカー自身の過去の犯罪も、しょっぱなの看守殺しからこれまでに用いた偽名までバッチリ把握。さんざん脅された末ナチ戦犯でもあるバロンの身柄引き渡しを条件に、局員の随行監視付きで計画を行う羽目になってしまう。おまけに袖にされたヒーナンはカジノ襲撃をバロンにご注進。二手に分かれて混乱させる筈が、逆に相手に待ち伏せされる惨状に。 それでもプロの意地で追手を振り払うと共にヒーナンを始末し、無事作戦を遂行したかと思った刹那、脱出直前に彼らに追いついたバロンの銃撃を受け・・・・・・ 引退したハンディ・マッケイに代わる、俳優強盗グロフィールドの〈パーカーの相棒〉ポジションを確立させた作品。ヒマな時は女を口説いてばかりいるハンサムな優男だが、本書では銃弾を5発も食らいながら荒事と脱出劇を同時にこなす。ミステリ的には計画漏れによる犠牲が逆に彼の生存に繋がる、塞翁が馬ぶりが見どころだろうか。 序盤と〆は主人公のパーカーが無駄のない行動でバッチリ押さえているが、第三部後半からは脇役たちのサバイバルもどきになる異色の展開で、採点はギリ7点。ただしスマートさに欠ける分読み応えはある。 |
No.1 | 7点 | kanamori | 2010/04/09 20:32 |
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犯罪プランナー・悪党パーカーシリーズ第8弾。
組織の依頼で離島にあるカジノを襲撃することになるが、別の集団が介入することで作戦は思わぬ方向へ・・・。 今回はいつもの、仲間集め-計画-準備ー実行の流れでなく、いきなり襲撃に向かう場面から始まる。襲撃後の島からの脱出はまるで冒険小説の味わいで、マンネリ回避の意識が働いているように思いました。 俳優強盗グロフィールドも襲撃メンバーに入っていて、当シリーズからスピンオフした彼を主役とする第1作は、この物語とつながっているのが面白い。 |