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[ 本格/新本格 ]
少女
湊かなえ 出版月: 2009年01月 平均: 5.88点 書評数: 17件

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早川書房
2009年01月

双葉社
2012年02月

No.17 6点 みりん 2023/07/31 03:27
初湊かなえ作品
湊かなえとか東野圭吾とか辻村深月あたりの売れっ子の作家さんってどの方も文章がなめらかでスーッと頭に入ってくるから良いですよね。簡潔で物語を追う以外に一切の無駄がない感じ。

【ネタバレがあります】


テーマは友情(と因果応報)でしょうか。登場する3組の親友関係の中でもダブル主人公である敦子と由紀の脆くて繊細な関係がやはり共感を生む。お互いがお互いをどこか見下しながらも、自己より優れた個性を認めて足りないところを補完し合う。病院でのクライマックスはプライドの高い両者がそれを自覚するエピソードとして無理なく物語に落とし込まれているのではないかと思います。

No.16 6点 zuso 2022/07/05 23:21
物語は、誰が書いたか分からない遺書から始まる。その謎が解明されないまま、「死の瞬間を見ること」に興味を持った高校生の少女の2人のすれ違いや、お互いを理解していく様子が描かれ、でも最後に...という展開。
物語のキーワードは因果応報。軽い気持ちでやったことが誰かが死ぬことにまで繋がってしまう。ちょっとしたことでも、別の人にとっては大きなことなのだと怖く感じる。ただ、因果応報には悪い意味だけでなく、頑張った分、自分に返ってくる意味もあると思う。

No.15 7点 VOLKS 2018/10/16 15:41
「告白」と同じくらいか、もしかするとそれ以上に面白い、と私は感じました。
が、ブラックです。
後味はあまり良くないですね。
にも関わらず、このようなブラックの世界を面白いと思ってしまう自分が少し怖いです…
読み終わって、すぐに気になるところを読み返してみると、色々と、スッキリしました。

No.14 7点 斎藤警部 2016/03/29 12:09
こういうのは無理にミステリと決め付けず行くのがいいよ ふふ〜ん えっ?! って騙されるからね。

キーワードの「因果応報」が似合うもの、とてもそうは言えない理不尽なもの、直接間接、意識無意識、正気狂気(?)、いくつもの痛め付け合いが躍動するストーリーはミステリ枠だからこそゆったり愉しめる暗黒世界。湊さんという人、シャーリー・ジャクスンの嫌嫌煉獄をより強力な(本格めいた)ミステリ興味で糖衣コーティングして、甘く(ミステリっぽく)したぶん嫌ァぁ~な毒性も丁度いいぎりぎりまで上げておきましたよ、いいですね患者さん? みたいな感じがしますよ。それにしても読みやすい。自由律短歌のの分かり易い連なりをすらーっと流され読みする様に高速熟読してしまいました。

【ここよりネタバレの要素芬々】

物語のほぼ中間地点で二手に別れたストーリーが早くも合流してしまうのはオッと思いました。Vでなく、ましてⅡでもなくYの形で行くのね(まさかのXではなかろうな)。。と単純に捉えて済むものでもありませんが。
主人公たる二人(+もう一人?)の少女たちの性格等書き分けが明瞭で無いため、交互に一人称で来られても混乱しがちなのは故意なのか恋なのか。。まるで誰かと誰か(と誰か?)が実は同一人物では?? と無意識に疑わせてるみたいじゃないか。。物語の中にちょっとした入れ替わり趣向があったり、誰と誰が同じ人(及び、何かと何かが同じもの)と明言したり仄めかしたり、そのへんとの合わせ技なのかしら。。
ま、かなり最後の最後まで「あれ、紫織って子の役どころは?登場人物のバランス悪くない??」って不思議に思っちゃってましたからね、やっぱりしっかり騙されたってわけですね。面白いですよ、この人の本。

ちょっと分かりにくいかなって思うのはね、あの親子の「その後」ごく短い間がどうだったかってのと、あの教師が何故「盗作」したのか、っての、この二点についての説明と言うか納得させが生煮えなんじゃないか、ってね。 さほど気にはならないけどさ。

No.13 5点 いいちこ 2015/07/16 18:59
一人称中心のスタイルをふまえて評価しても、描写が表層的で浅く、前作より大きく見劣りすると言わざるを得ない。
フィクションである以上、ご都合主義的な偶然の多発はある程度受け入れるのだが、あまりにもキレイにまとめすぎて、作品の余白や余韻に乏しく、認知症・自殺・援助交際といった題材の既視感と相まって安っぽい印象が拭えない。
4点にすることも考えたが、それほど批判的スタンスに立つべき作品でもないと再考しこの評価

No.12 5点 misty2 2012/11/03 22:39
帯に誘われ購入。

大雑把に云うと、200頁辺りからようやく面白みが出た感じ。
後半は結構良かった。

No.11 6点 E-BANKER 2012/07/20 22:01
大ヒット作となった処女長編「告白」に続く作者の第2長編。
こういうやつを「現代のミステリー作品」と呼ぶのかもしれない(と思ってしまった)。

~親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。ふたりとも相手には告げずにそれぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアへ行く。死の瞬間に立ち会うために、高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描く長編ミステリー~

なるほど! こういう「仕掛け」だったのか・・・と最後には納得。
終盤までは、これって本当にミステリーなのか甚だ疑問を抱きながら読み進めたが、ラストにこういう大技が炸裂するとはね。
2作目にしてこれだけのプロットを仕掛けるあたり、やはり「只者ではない」という気にはなった。
途中から「ミエミエ」の仕掛けをエサとして読者にちらつかせ、実はその裏で更なるドンデン返しが待ち受けているのだ。

ただ、こういうプロットって既視感あるよなぁーと思ってたら、「伊坂幸太郎」がよく使う仕掛けじゃないのか?
(ストーリーが進むごとに、登場人物たちが次々とつながっていく、あの感覚・・・)
主人公の少女の口を借りて言い放つ台詞もどこか説教じみた感じがして「伊坂っぽい」。(感じるのは私だけか?)

まぁ、だからといってつまらないというわけではなく、これはこれで面白くはあるのだ。
手軽に読める作品なので、サクッと読書したい方にはお勧め。

No.10 6点 メルカトル 2012/03/22 21:51
流れるような文章ですらすら読める。
二人の少女が人が死ぬところを見たいという願望から、それぞれ行動を起こし、やがて交錯し一つの結末に帰結するのだが。
冷静に考えれば、こんな偶然あり得ないとしか言いようがない、しかし小説だからね、こんなのは普通かも。
私にとっては許容範囲内だが、読者によっては許しがたいかもしれず、その辺りも評価が別れるところだろう。
現役女子高生の実態は案外こんなものかもしれないと、妙に納得できる部分もあるが、二人の少女の個性が今ひとつキッチリ描き分けられていなかった気がするのがやや残念である。
とは言え、思いのほか面白かったのは事実で、もう少し点数を高くしてもよかったが、ギリギリこの点数で。

No.9 6点 シーマスター 2012/03/03 23:57
う~ん、そうきたか・・・

「偶然多すぎ」というご感想もごもっとも。まぁミステリーというより純粋に「仕掛け」を楽しむ娯楽小説として読めばなかなかではないかと。リーダビリティも高く短時間で読めてしまうし。

二人の女子高生の歪んだ心理を描いていく二交代の物語が、二等辺三角形の底角BとCから頂角Aに向かって進み、合流後にオープンにされるトリック、そして終盤の怒涛の連鎖・・・・うん、個人的には悪くない。
しかし、この「因果応報」は・・・神の裁きか悪魔の業か、それとも私刑そのものか。

No.8 6点 hanuka 2011/05/29 00:15
都合よすぎるが悪くはない。

No.7 7点 3880403 2011/05/18 18:49
テンポがよいのですぐ読めた。
ラストも出来過ぎてはいるが衝撃。

No.6 4点 HORNET 2011/01/10 19:17
 ほとんどの人が「告白」作者の次の作品として,そうした期待をもって読んでいるので必然的に必要以上に評価が下がってしまうと思います。私もその一人です。なんの先入観もなく読めばそれなりに面白い小説だとは思いますが・・・。ただそういう見方で読んでも,ちょっと都合のいい偶然が重なりすぎている感はありました。

No.5 8点 まさむね 2010/11/13 10:57
あまり評価は高くないようですが…私は好きですね。
何を基準に選ぶかによるけど,「告白」よりもこちらを人に勧めるかも。

終盤の因果の連鎖はなかなかだし,友情とか親子の愛情を噛ましているところも悪くない。
で,「因果応報、地獄に堕ちろ!」って台詞が効いてるなぁ。
軽快に読み終えた後に気付く猛毒。何気ないブラック度の高さ。
やっぱり悪くはないですね。(小説として)

なお,机の上にこの本を置いていたら,家族が物凄く怪訝そうな顔をして表紙&題名を眺めていました。
「いや,これは「告白」を書いた作者の小説であって,決して…」
うーん。やっぱりブラック度は高かった。
この個人的な印象の強さを含め,批判覚悟で8点献上。

No.4 5点 虫暮部 2010/10/27 14:22
色々と巧みだとは思うが、小技が組み合わさったという印象で結末の衝撃度はさほど大きくもなかった。ただ、作者の悪意というかすっきりしない嫌な感じは結構良い。
 読み終えたあと、学校でいじめを受ける悪夢を見てしまった……。

No.3 4点 2010/07/04 00:51
「告白」がよかっただけに、ちょっと残念という印象です。あの鮮烈な感覚は得られませんでした。どうして新人や若手作家は、この種のミステリを書きたがるのでしょうか。工夫はいろいろありますが、そのにおいがプンプンするので疲れてしまいました。おまけに一人称二視点は、白い風さん評を事前に見ていたにもかかわらず、前半しばらく混乱がつづきました。と、悪いことばかり書きましたが、「おっさん」に絡んだ後半はけっこう楽しめましたね。
それから、表紙の件、あるびれおさんに同感です。

No.2 6点 白い風 2009/11/18 12:28
1人称二視点は時たま見る手法だけど、あまりにも短い間での展開でもあり最初は戸惑いました。
登場人物が少ないなか、二人の出会う人間関係があまりにも上手くマッチするのが出来すぎ感があったのは否めません。
思春期にある女子高校生の友情のビミョウな関係などは読んでいて面白かったかな。

No.1 6点 あるびれお 2009/09/09 07:05
ちょっと表紙で引きました。それはさておき、「告白」よりもラストの毒が薄くなってしまったような気がします。というのは、皮肉たっぷりに「勧善懲悪」してしまっているからかもしれません。「勧善懲悪」ではないところに、この人の良さ(というか「告白」で感じた魅力)があるように思うのですが。


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