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[ サスペンス ]
Nのために
湊かなえ 出版月: 2010年01月 平均: 5.12点 書評数: 8件

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東京創元社
2010年01月

双葉社
2014年08月

No.8 7点 斎藤警部 2024/03/16 13:50
作者自ら語ったという『立体パズル』そのもの! ズルズルと解(ほど)き出される魅惑のゲーム性、新事実は新世界。これに恋愛心理劇や●●●●に纏わる過去など程よくキツめに絡んで彩り豊か、おかげで味気無さとは無縁の小説型パズル。 叙述ギミックも最高に効いている。(「十年後」の置き場所!) こじらせ王子がドえらいことやらかしよった、ってだけの話じゃなかった。 作中作の使い方。 仄かな暗号興味。 将棋の魔力がなにものかを発揮する。 マンション高層階で謎の複数死から始まる所は宮部みゆき「理由」を髣髴と。 頭文字Nに該当する人物ばかり登場するけど、ひょっとしてNobodyのNかも・・・なんて憶測してみたり。 いやはやタイトル通り(?)文句無しの「エンタメ」長篇そのものでした。 圧巻のリーダビリティに是非、あなたも振り回されたし。

「お外はすばらしいでしょ。この世界はみんな、あなたのものなのよ」

No.7 5点 人並由真 2020/09/20 03:53
(ネタバレなし)
 数年前、さる流れでブックオフの100円均一で購入し、そのままだった本を思いついて読む。
 でまあ、感想は、うーん……。

 なるべく曖昧に書くように心掛けるつもりで言うけれど、こういう作品は主要キャラの大半に、シンクロは無理にしてもせめてその心情の理解くらいはしたほうがいいと思う。
 しかし実際にはその辺りがものの見事に難しい作品で、題名の「Nのために」がほとんどまったくこっちに染み込んでこない。まあ(中略)でもあるのだが。

 トリッキィなミステリとかじゃなくって、味噌醤油味のシムノンの普通小説みたいな感じの作品であった。しかしシムノンのその手の作品のアベレージほど、心に響かないけれど。

 人気番組になったらしいドラマは観てないんだけれど、出来はどうだったのであろう? もしかしたら脚色のやりよう、キャラ同士の距離感の改変によっては、この原作よりもずっと面白くなったかもしれんね。そういう可能性だけは認める。

 作者がどういうものをやりたかったかは、なんとなく見えるような気はする。しかしできたものは、あれこれ踏み込み方に狂いがでてしまった感じ。
(シャープペンシルの辺りだけは、ちょっと連城ティストみたいで良かったかも。)
 
 湊作品はとにもかくにもこれまで10冊近くは読んでいるけど、そのなかでマイ・ベストといえば、原状のところ、断トツで『望郷』です。なかなか、あれに張り合える1冊には出会えません。

No.6 6点 蟷螂の斧 2018/11/12 10:34
ミステリーとしての結末(真相)は、それなりの出来だと思います。本作は「愛のカタチ」と「ボタンの掛け違い」がメインテーマのような気がします。文学青年の作品「灼熱バード」が挿入されるなど、文学的要素が強いのか?。純朴な「青春ミステリー」と作者らしい「イヤミス」が融合している印象。

No.5 6点 パンやん 2016/09/02 09:38
それぞれのNがそれぞれのNの為にするそれぞれが、微妙に狂っていくのは真面なNがいないから?これぞ一気読み必至!更に、(それぞれの十年後に)二度読みの面白さもある。それぞれの愛の形より、野バラ荘の件が学生時代の下宿先を思い出して、やっぱり仲間っていいねぇ〜(泣)。

No.4 5点 E-BANKER 2015/06/13 20:34
2010年発表の長編作品。
地上波でドラマ化されたが、それは一切見ていない・・・

~超高層マンション「スカイローズガーデン」の一室で、そこに住む野口夫婦の変死体が発見された。現場に居合わせたのは、二十代の四人の男女。それぞれの証言は驚くべき真実を明らかにしていく。なぜ夫婦は死んだのか? それぞれが思いを寄せるNとは誰なのか? 切なさに満ちた著者初の純愛ミステリー~

ちょっと技巧に溺れすぎたかな・・・って感じた。
途中(第三章くらい)までは良かった。
カットバック的に現在から過去に遡り、主要登場人物たる四人の男女の人となり、悲しみに満ちた過去を明らかにしていく。
不思議な感覚で絡み合う男女の仲が、殺人事件の真相にどのように関係していくのか?
そんな期待を込めて読み進めたのだが・・・

熱気球のように空へ上がったと思った期待は、しかし上がらないまま落ちてしまった。
ひとつの出来事を複数の目線や心情で描き出すというのは作者の得意技。
しかも、人間の悪意を十分に織り込みながら・・・
でも本作では上滑りしてしまったようだ。

“N”についての謎も、二人の“ノゾミ”も、結局中途半端なまま料理が仕上がってしまった。
せっかくの材料だったのになぁー
作者の腕前だったら、もう少し旨い具合に料理できたのではないか。
そんな気にさせられた。
せめてオチさえ良ければ、もっと評価は上がったに違いない。
(ここまで将棋に拘った純愛ミステリーというのも珍しいな・・・)

No.3 4点 まさむね 2011/05/29 22:25
作者の考えは分かるんですよ。題名も含めて。
でもなぁ,正直自分には合わなかったです。
何か釈然としないし,陰鬱だし・・・

No.2 6点 白い風 2010/08/05 23:17
パターンは基本これまでの作と同じかな?
でも、慣れてきたから読みやすかったね。
犯人が誰?真相は何?って感じよりその場にいた者の心理を楽しむ感じかな。

No.1 2点 kanamori 2010/03/05 11:27
見事に騙された!
紹介文に「湊かなえの新たなるステージ」のようなことが書かれていたが・・・男女4人のリレー形式の独白によって明らかになる殺人事件の真相・・って、どこが「新たなるステージ」なのか、マンネリもいいところ。
巧妙なトリックだ!
東京創元社だから、てっきりミステリだと思ってしまった。


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