皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格/新本格 ] 緑色の犯罪 探偵クラブ(国書刊行会) |
|||
---|---|---|---|
甲賀三郎 | 出版月: 1994年04月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
国書刊行会 1994年04月 |
No.1 | 7点 | 空 | 2011/10/22 12:01 |
---|---|---|---|
甲賀三郎と言えば、戦前の本格探偵小説擁護者として有名です。それは間違いないのですが、問題は「本格探偵小説」という言葉の意味です。
実際にこの短編集を読んでみると、ルブランを思わせる作品が何編かあるのです。怪盗が出てきたり、スリラー風な展開だったり。実際作者自身、ポー、ドイルを別格とすれば、ルパンものが好きだと語ったこともあるくらいです。ではルパンは「本格」かというと、甲賀三郎の定義ではそうなのです。甲賀流「本格探偵小説」とは、現代の「ミステリ」とほとんど同義と言っていいでしょう。 もう一つ、作者の傾向として挙げられるのが科学利用トリックで、実際『ニッケルの文鎮』『緑色の犯罪』『誰が裁いたか』等で使われています。『妖光殺人事件』になると、実現可能ではあっても、ほとんどSF的と言えるくらい。これが意外に楽しめました。一方、倒叙の『音声フィルム』では当時最新技術のトーキー映画の録音原理を利用していますが、それより少し前に書かれた英国超有名作を考えると、ちょっと遅れているといわざるを得ません。 |