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[ ホラー ]
ジキル博士とハイド氏
ロバート・ルイス・スティーヴンソン 出版月: 1956年01月 平均: 6.33点 書評数: 6件

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河出書房
1956年01月

岩波書店
1994年11月

東京創元社
2001年08月

光文社
2009年11月

新潮社
2015年01月

KADOKAWA
2017年04月

No.6 6点 虫暮部 2022/09/08 13:51
 なんてことだ! ジキルとハイドが○○○○だったなんて、思ってもみなかった! 顔はともかく体格まで変わるのはアンフェアでは?
 議員殺しは単なる通り魔か。悪行の無計画さは不満。
 後半の彼の行動が隠蔽工作と言うには支離滅裂になって行く点には、追い詰められる気持ゆえの説得力を認めても良い。
 死の状況は密室。基本設定と結び付いた鮮やかなトリック。

 ハイド氏の悪評の半分は言動によるものだが、もう半分は外見のせいだ、と意地悪な読み方にシフトすると、登場人物の多くが言動以前に見た目だけで “彼は邪悪だ” と嫌悪感を抱いていることに気付く。本書の場合その直感が正しいので突っ込みづらいが、ホラーはルッキズムの教本になってしまうなぁ。

No.5 7点 クリスティ再読 2021/11/04 21:22
実家の本棚を漁ってたら、この本を発掘。岩波文庫だけど、ミステリ枠じゃん。で「医師ジーキルが薬の....」の帯からしてネタバレしてるよ~~

というかね、「ネタバレ絶対不可」というミステリマニアモードって、実はかなり狭い範囲でのジョーシキのようにも感じるし、1970年代あたりだとそこまで神経質ではなかった記憶もある。たとえば「アクロイド」だって「オリエント急行」だって、一応真相の噂を聞いていて、それを確認するために評者は読んだようなものだった記憶があるくらいだ。でなきゃ宰太郎本なんて出版できるわけないよ。まあ本作のネタバレなんて、バレないのが難しいレベル。普通に比喩で使うわけだし、ミュージカルだってあるしさあ。

あたらめて本作。中編レベルの短い話だけど、こってりとした満足感があるのが不思議なほど。純粋にミステリみたいに読んでもいいようにも感じるくらいに、叙述が技巧を凝らしていて面白い。狂言回しのアタースン弁護士が中心にはなるんだが、伝聞だったり、客観描写からアタースン側に視点が戻ったり、短いながらいろいろ多面的に叙述を工夫して、最後はラニヨン博士とジーキル博士のそれぞれの手記。ハイド氏の犯罪とジーキル博士の奇行が(もし真相を知らないと)ミスディレクションみたいに働く部分もあって、「手法的には完璧ミステリ、なんだよね」と思えるくらい。
実際、本書の時点だとまだ「ミステリ」ってちゃんと確立したジャンルでも何でもないわけだから、たとえば同テーマとも言っていい「ドリアン・グレイの肖像」とかも併せて、「ミステリを巡る一連の作品」といったくらいの、緩めのジャンル感で評価していくのがいいんじゃないのかな...なんて提案したい。

あ、あとスティーヴンスンっていうと「ロンドンの霧」。霧がもう一人の登場人物みたいな存在感。


(そういえば、で思うんだけど、昔ってミステリのメディア展開が盛んで、しかも映画などのメディア展開側で平気でバレてたから、バレに神経質じゃいられなかった気もする...本が本で完結するようになったのって、実は最近のことみたいにも感じるんだ。どうでしょう?)

No.4 6点 バード 2019/08/08 23:27
世界で一番有名な二重人格ものかな?私の知識が足りないので自信ないが・・・。
ネタバレなしで読むのはもはや難しい本。私も例にもれずネタバレした状態で読んだので、私にとって本書に謎はなかったです。なのでそれを踏まえての書評になる。

人間の持つ普遍的な裏表に具体性を持たせてできた本小話は、日本昔話などに通じる面白さがある。誰もが心に潜む自分のハイド氏について考えざるを得ない良い本だと思う。


余談:私はおそらく幼少期にドラえもんでネタバレされたのだと思う。たしかジキル・ハイドという性格を真逆にする秘密道具があったはず。

No.3 6点 蟷螂の斧 2015/06/11 18:38
「ジキルとハイド」(新潮文庫2015版)で拝読。本版でも裏表紙および解説にて、完全にネタバレしています。意味不明です!!!。100%の人がこの話を知っているということ???(苦笑)。
「私は純粋な喜びだけのために罪を犯した初めての男だ。」正にその通りかもしれません。強く印象に残るフレーズです。

No.2 7点 E-BANKER 2014/04/07 22:24
最後の(?)ゾロ目、999番目の書評としてセレクトしたのは本作。
「二重人格」の代名詞ともいえるジキル博士&ハイド氏。作者は「宝島」でも知られる大作家スチーブンソン。
というわけで999冊目に相応しい作品ではないだろうか。
今回は新潮文庫の田中西二郎訳で読了。原題は“The strange case of Dr.Jekyll and Mr.Hyde”

~医学、法学の博士号を持つ高潔な紳士ジーキルの家にいつのころからかハイドと名乗る醜悪な容貌の小男が出入りするようになった。ハイドは殺人事件まで引き起こす邪悪な性格の持ち主だったが、実は彼は薬によって姿を変えたジーキル博士その人だった! 人間の心に潜む善と悪の闘いを二人の人物に象徴させ、二重人格の代名詞として今なお名高い怪奇小説の傑作~

これはもう「古典」としかいいようがない。
おおよその筋書きは未読の読者でも知っているだろうが、改めて今回読んでみると、ジキル博士の苦悩と悲しみが行間から溢れ出るようだった。
友人である弁護士アタスンに残したジキル博士の書き置き。そこには自身の悪の化身であるハイド氏を生み出すまでの経緯や、生み出してしまった後悔、そして徐々にハイド氏に実態が奪われていく恐怖・・・
それらが切々と語られているのだ。

時は19世紀後半のロンドン。
まだまだ夜が夜らしい姿を見せていた時代。
こんな時代に人間の「善」と「悪」をここまで追求したプロットを捻り出すこと自体がスゴイとしか言いようがない。

大昔(小学生時代かな?)に本作を一度読んでいるのだが、そのときはハイド氏の容貌と相俟って、とにかく怖いというイメージしかなく、再び本作を手に取る日が来るなんて考えてなかった。
分量はたいへん短いのだが、やはり名作として残すべき作品なのだろうと感じる。
ミステリーとしては甚だ変格だが、それ相応の評価はすべき作品。
(やはりスゴイ作家だと再認識。) 
さて、次はいよいよ記念すべき1,000冊目の書評だ!

No.1 6点 dei 2008/11/08 21:15
某トリックを扱った古典的作品
でも解説の冒頭でネタばれしなくてもいいよなぁ。。。


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