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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] 宝島 |
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ロバート・ルイス・スティーヴンソン | 出版月: 1951年03月 | 平均: 8.00点 | 書評数: 2件 |
新潮社 1951年03月 |
光文社 2012年02月 |
新潮社 2016年07月 |
No.2 | 8点 | バード | 2020/02/19 07:21 |
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本作は宝の地図を手に入れた一団が財宝の隠された島に乗り込み海賊達と宝を奪い合う冒険ものであり、主人公であるジム少年の予期せぬ行動が味方陣営、海賊陣営双方をかき回す。
古い作品であるが、現代視点でも高く評価できる設定とストーリー展開であった。不満な点は少ないが、あえて挙げると、古い本ゆえに意味が分かりにくい古風な言い回しが散見される点である。 ・設定 宝の地図や海賊といった少年心をくすぐるタームが散りばめられており、まるで自分も冒険しているかのようにワクワクさせられる。また、生き残るために最善を尽くし、かつ余計な心理描写がなくさっぱりとしたキャラクター描写も好印象。特に海賊のまとめ役ジョン・シルヴァーのキャラ付けが良い。 ・ストーリー展開 その場その場での各人物の思惑が有機的に絡み合い、流動的な人物関係を形成している。テンポよく敵が味方化、味方が敵化し、先の読めない良質な物語となっている。(この様な面白さは『ドラゴンボール』のナメック星編に通じていると思いました。) 一例としては、ジムとハンズが一時休戦して船を制御した直後に、再び敵対し主導権を取り合う場面が好き。 (共通点はタイトルだけですが、新旧「宝島」対決は旧に軍配です。) |
No.1 | 8点 | クリスティ再読 | 2019/07/23 22:52 |
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夏休みだ!夏休みこども劇場だよ!第一弾は「宝島」。
うん、誰でも知ってるね。けど、大人になってから読み直した人は意外に少ないんじゃないかとも思われる。今回は光文社古典新訳文庫で読んだから、訳者はル・カレやらユリシーズ号やらでお馴染みの村上博基。海賊時代に使われていた特殊な海事用語が多くて、訳に苦労したことをあとがきに書いている。ほぼ主人公のジム少年の視点だが、戦闘を語る際にはドクターの視点で客観的に語らせたりと、作者は連れ子のために書いたものなんだが、児童文学とは言い切れない技がある。大人が読んでも立派に面白い...というか、イギリスでも原文は子供じゃ難しすぎるらしい。 やはりね、本作といえばジョン・シルヴァーに尽きる。シルヴァー中心で見たときには、実にハードボイルド、なんである。主人公の一行と対立する海賊たちのリーダーでありながら、上陸時に高まった船員たちの不満を抑えるにはシルヴァーを使わなくては、とボスなのを承知で信用されることから始まり、捕虜になったジム少年と秘密同盟を結んで、自分を信用しない他の海賊たちに見切りをつけて、自分の安全を図るなど、力関係を利用する「力学」の視点を備えた、クレバーな男なのである。集団的な抗争の中で、自分の利害のために賢明に立ち回る男の姿を、これくらいイキイキ描いた小説もないものだ。シルヴァーは正しく打算のできる男だから、状況によっては確実に信用できるのである。 そういう意味で実にオトナ向き。素晴らしい。集団抗争の「血の収穫」も宝物争奪戦の「マルタの鷹」もこの「宝島」のリライトみたいなものなのである。オプやスペイドに20世紀のジョン・シルヴァーの後ろ姿を見るのも一興というものだ。 |