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[ ハードボイルド ]
女虎(めとら)
アル・ウィーラー警部
カーター・ブラウン 出版月: 1962年01月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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早川書房
1962年01月

早川書房
1980年11月

No.1 5点 人並由真 2025/01/19 08:11
(ネタバレなし)
 パイン・シティの墓地「永遠(とこしえ)の憩いの場」で怪事件が起きた。シティの名士である精神病医ジェースン・ソロの妻で、先日交通事故で死亡したというマーサの死体、その埋葬直前の棺の上に、別の死体が乗っかっていたのだ。もうひとつの死体の素性はバーニス・ケインズ。バーニスはソロ医師の秘書だった。「おれ」こと保安官事務所付けの警部アル・ウィーラーは、バーニスが何者かに殺されたことを認め、本格的に事件の捜査を始めるが。

 1961年のクレジット作品。ミステリ書誌データサイト、aga-searchによると、ウィーラーものの第19長編。例によって確実に少年時代に読んでいるが、内容はまったく忘れていた。
 なおタイトルの「女虎(めとら)」(原題「The Tigress」)とは、マーサの親友で未亡人の赤毛の美女ターニア・ストラウドのこと。捜査を始めたウィーラーに向かい、ソロ医師が紹介した証人で、物語のメインゲストヒロインの一人だがニンフォマニアであり、それで男を喰う女虎という意味。ブラックウィドワーズの方が相応しいかも? とも言われている。
(ちなみにこのターニア、確実に主要登場人物のひとりだが、ポケミスの人物一覧表から名前が欠落。しかも彼女の文芸設定「マーサの親友、未亡人」という紹介の文言が、前述(あらすじ参照)のバーニス・ケインズの説明になっている。う~ん、ハヤカワのありがちな? ダメダメな編集ミスだ。)

 発端の事件の掴みが微妙なので、これ、面白くなるのかな? と思ったが、残念ながら今回はハズレっぽい。 
 登場人物もいつものカーター・ブラウン調の際立ったオモシロキャラクターがほぼ皆無で、ミステリとしての構造も凡庸というか地味。サプライズもほとんど無い。
 
 まあタイトルにちなんでか、ウィーラーが某・猛獣がらみでピンチになる見せ場はあり、そこはちょっと、東西のあれやこれやの旧作ミステリみたいなノリで、ほんのり面白かったが。
 フツーにマジメすぎて、手堅くまとめ過ぎて、ウィーラーシリーズの中でも凡作の方ではあろう。
 ウィーラーが大戦中に従軍しており、陸軍の情報部にいたという過去を胸中で述懐する(特に虚言をつく理由もないのでホントだろう)のだけは、ちょっとしたトリヴィアだったが。
 あ、あとアナベル・ジャクスンの出番が多めなのは、救いかな。


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