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[ ハードボイルド ]
ゼルダ
私立探偵リック・ホルマン
カーター・ブラウン 出版月: 1963年01月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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早川書房
1963年01月

早川書房
1985年12月

No.1 6点 クリスティ再読 2019/03/11 00:06
人並由真さんが「キー・クラブ」の評のなかで、本作についてミョーに気になる書き方をされていたので、面白がって読んでみることにしよう。評者カーター・ブラウンはまったくのお初である。
私立探偵ホルマンは、ハリウッド女優ゼルダが招いたパーティのトラブル処理係として雇われた。パーティの客は元夫たち3人と、情交のあった南米独裁者の黒幕、ゼルダが踏み台にした先輩女優...パーティの目的はゼルダの自伝映画を作ることの発表で、その出資を出席者に強要しようとするものだった!
はい、もちろんこれ、体のいい恐喝です。ロクでもないな。ヒロインからしてお下劣なわけで、訳者は田中小実昌、訳文もノリノリでお下劣。そんな具合だから、当然殺人が起きて、元夫の一人が殺される。でも何となく言いくるめられて、ホルマンは翌日正午までに犯人を見つけないと、自分が犯人にされてしまうハメに陥った(おいおい!)ホルマンは犯人を見つけられるか?
なんだけどね、このホルマン、主人公のクセに私怨が優先するような男で、しかも内職もあるし...と「真相なんて下らん!」と言わんばかりに豪快に真相が二転三転して、あっけにとられる。
本作の真犯人って、明文では言ってないけどさ、作品の最後で自殺する人じゃない、別な人物なんだよね....だから本当は、山田風太郎のアレと同じような小説なんだよ。多分人並さんが「<ある理由>ゆえに稀少なトンデモナイ一冊」と書かれた<理由>とは違うかもしれないが、この豪快さゆえに「トンデモナイ一冊」だと評者も思う。
キャラはペラペラ、話を進めるだけでデテールなんてロクになし、おっぱい揺れまくり、主人公を含め全員ロクでなしの悪党揃い...とイイトコなんてなさそうなんだけど、突き抜けた豪快さに一読の価値がある。いや本当に人並さん面白い作品を教えて頂きました。

後記:この<理由>いろいろ考えたのだが、もちろん単純ミスの可能性もあるけども、評者のヨミが正しいならば、意図的なミスの可能性も否定できないと思うんだよ....どうだろうか?


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