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[ SF/ファンタジー ] 神狩り2 リッパー 神シリーズ |
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山田正紀 | 出版月: 2005年03月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 2件 |
徳間書店 2005年03月 |
徳間書店 2010年06月 |
No.2 | 6点 | クリスティ再読 | 2021/05/02 13:08 |
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言うまでもなく日本SF史上の傑作「神狩り」の続編である。評者は「神狩り」が大好きなこともあって、珍しく新刊で出た単行本を買って読んだよ...夜中2時までかかって読み終えた記憶がある。懐かしい。
そのくらい、ノンストップで読める小説。作者は「カッコいいSFに回帰したい」という思いで書いたそうである。いや、実にシーンシーンがカッコいいのである。オトコ3人が笑って死んでくあたりとか、老残の島津圭介が満を持して登場するあたりとか、 幅一ミリ秒、高さ百ミリボルトほどのパルスが軸索小丘から末端まで電気的に伝播される。それが第一次視覚野に集中されて異常発火(バースト)を作為的に起こす。 バースト! バースト! バースト! ああ あああぁううぅゥルルルル! 実にロックンロール!な覚醒描写! でこの結果「理亜は『神』をキックした。いわば『神』の後頭部に回し蹴り」を入れちゃうわけだ。 だから「カッコいいシーンを繋いで書いたら、カッコいい小説になるか?」というのが最大の問題。いやさすがにそれ、無理でしょう。いろいろ風呂敷は広がるんだけど、話がダイナミックに動いていく面白さが、ないんだなあ...「神」に恨みが数々ある「神狩り」の島津圭介のカタキを娘の理亜が討ち果たす...んだが、意外に感慨とか感動とか、ない。ふつうにオチがついているくらい。 残念。でもサクッと読めて、読んでるうちはほんとにカッコイイ。アニメの「機神兵団」で真空管が吹っ飛ぶバンク、カッコよかったな~ なんかそんなことを思い出す。 |
No.1 | 8点 | 虫暮部 | 2020/03/02 10:34 |
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作者は、神によって着せられた濡れ衣を晴らすべく、既存の言葉で形容しようのないものを何とか表す為にこれほどの言葉を費やした。しかしまだそれは、並べられた言葉の向こう、語られたエピソードの向こう、脳が認識する五感の向こうにしかない。本を閉じてやっと物語が始まる。今も私は、世界の境界部がぱらりと捲れてメタ的な外部が顔を覗かせる不安に苛まれている。 |