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[ 本格/新本格 ] ゴースト 創造士・俎凄一郎 |
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山田正紀 | 出版月: 2007年09月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
講談社 2007年09月 |
No.1 | 6点 | 虫暮部 | 2017/10/02 07:20 |
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摑みどころのない描写は話が進むにつれますます曖昧になり、雨に打たれて迷い込む街は更に荒涼とし、足下はどんどん覚束なくなる。幾つかの短編を内包する形で街がいびつに崩れて行く。話の核だけを取り出せば他愛ないものかもしれないが、構成と文章による巧みなコーティングで読者の気を滅入らせる手管は筋金入りだ。まぁ厳しく評するなら、“虚構性を重視した本格ミステリ”という得意の芸風で一冊焼き増ししただけ、ではある。
俎凄一郎というのは綾辻行人の館シリーズに於ける中村青司のような存在で、館ならぬ街シリーズといったものを意図していたのだろう。私は(ファンの欲目もあるにせよ)面白いと思ったが、中断するほど不評だったのだろうか。とはいえこの作者には『神狩り』(1974年)の続編を2005年に発表したという前科もあり、シリーズが突如再開される希望が皆無とは言い切れない(と思いたい)。 |