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[ 短編集(分類不能) ]
高速道路の殺人者
ウィリアム・P・マッギヴァーン 出版月: 1963年01月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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早川書房
1963年01月

No.1 6点 クリスティ再読 2017/04/30 12:45
マッギヴァーンと言えばパルプライターからハードカヴァーに出世した作家だから、当然短編なんていくらでもあるはずである。若い頃のSFだって邦訳があるらしいが、ネットで見る限り、評判はよろしくない...が、本短編集だと、名をなした後のものらしく(アメリカでコンパイルした短編集らしいが初出は不明)結構充実している。中編2+短編3だが、捜査側と犯罪者側の駆け引き中心のスリラー、冷戦を背景にした巻き込まれ型スパイ?スリラー、不良少年物、小噺風のもの、一応トリックのある倒叙?なもの...と器用で多才なところを見せていて、評者的には水準的×3、水準以上×2 という感じ。
ベストはやはり表題作の中編(70Pほど)。高速道路に限定した舞台での逃亡劇と、捜査側との人質を巡る攻防が描かれる。マッギヴァーンの状況俯瞰的な視点の良さが光る。短いなりにいろいろとアイデアは詰め込まれていてお買い得な作品。日本未公開のTVドラマのようだが、ロバート・アルトマンがやった映像化もあるようだ。たしかに、映画にしたくなるような映像的な良さがある。マッギヴァーンって雨の設定が得意だ...
次にいいのは短い小話のような「ウィリーおじさん」。シカゴの新聞記者の間での口碑のような設定で語られる、カポネ配下のギャングvs門番のおじいさんの対決! トウェイン流のホラ話の継承者みたいなところがある。
というわけで、マッギヴァーンという人の職人的なうまさを楽しめる作品集。短編集が出るくらいに、日本でも60年代~70年代まではマッギヴァーンもちゃんと人気があったことを示す証拠みたいなもの。ポケミスの裏表紙だと「ハードボイルド派の頂点に立つマッギヴァーンが、複雑な構成にみごとなサスペンスを加えて描き出す問題作!」とまで書いてくれるんだよ。


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